Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】2019年シーズンレビュー Go!Forward!〈選手編④ ~FW編~〉

エルゴラも選手名鑑出したしもう開幕じゃんか!!!!早すぎ!

※書くのが遅いという意見は受け付けません!

 

19年振り返りラスト!FW編!です!

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9.後藤優介

16試合 717分(2G1A)

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俺たちのゴレアドール

トリニータの若きバンディエラ。ユースからずっとトリニータを知るごっちゃんは苦悩の連続であった。上手いけど気弱でどこかプレーも遠慮がち。でも持ってるモノは本物。なんか器用貧乏さがあったが、J3優勝時からメキメキと伸び、そこから3年連続で2桁得点。ついたあだ名は「覚醒王子」だ。

クラブと共にカテゴリーを上げながら結果を残し、J1へ。期待された2019シーズンであったが、前線のメンバーが大きく変わったこともあり、出場機会をあまり得ることは出来なかった。

ごっちゃんの長所はスペースを敏感に捉えられる事と、パンチ力と精度のあるシュート、そして献身性。一方でチームに求められたFW像は、CFではポストプレーをしつつ広大な裏のスペースに抜けられるスプリント力。シャドウではボランチとサイドを、サイドとトップを繋ぐゲームメイク力とハーフスペースに飛び出す認知能力であった。

どれもごっちゃんは器用にこなすことはできるが、CFではオナイウや藤本に分があり、シャドウでは小塚や三平がこなしており、ごっちゃんはオプションより上になる機会はあまりなかった。

まさに逆境。普通であればちょっとへこたれるし、一昔前のごっちゃんならば怖じ気づいていただろう。しかし、トリニータを知り、トリニータと共に育ってきたごっちゃん。サポーターは逆境上等!の精神で見てたし、本人も出た試合でインパクトを残した。

FWながら得点数は僅かに2。しかしその2つは共に勝ち越しゴールであり、ごっちゃんらしく、胸に熱い想いがこみ上げるものだった。

1つめは3節の磐田戦。シーズン初先発のごっちゃんは藤本のゴールをアシスト。数的優位に立ちながらも同点弾を喰らいもどかしい後半。福森からのアーリークロスに対して藤本がニアサイドに飛び込んでDFを引き連れるのを見て、ファーサイドに流れて難しいボールをしっかり当ててのゴール。スペースの把握と技術力が凝縮されたものだった。

2ゴール目はシーズンハイライト。29節の浦和戦。アディッショナルタイムで自陣から長いスプリントをしての劇的な決勝点。2005年のマグノの「大分はまだ死んでない」の名言が生まれたあの時以来の埼スタでの勝利。それも浦和のGKは同じトリニータユースの周作から、2008年のナビスコ杯決勝で高松が決めたゴールを彷彿とさせる形で奪ってみせた。このドラマチックな展開で「後藤優介が」決める所が実にトリニータらしかった。

多分この時に、期待が確証に変わったというか。押しも押されね大分の顔。後藤優介こそがこれからの大分トリニータの象徴であり、高松大樹から背番号13を引き継ぐんだろう。今年はJ1で2桁得点して名実共に大分のエースになると勝手にだだっ広い青写真を掲げてしまっていた。2020年は後藤優介の年だと。

 

しかし現実はそう上手くはいかない。シーズン末には知念が加入し、渡、野村、町田と前線がフレッシュになった。CFではより収まる選手が入り、シャドウは中盤色が強くなった。そんな中でごっちゃんは清水へ完全移籍と大きな決断を下す。

産まれ育った九州をはじめて飛び出して、結婚して1年ちょっとでの新天地。簡単な決断では決してない。とてもとても寂しいが、「象徴」としての枷から解かれた、かつては人見知りで気弱だったごっちゃんがどこまでいけるかはとても楽しみである。ごっちゃんの活躍する姿をトリニータのユニフォームで見れないのは悲しいが、新たな地で福森と共に清水エスパルスでも愛される選手に、そしてエースになってほしい。だっていつもいつまでも俺たちのゴレアドールなのだから。

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10.藤本憲明

21試合 1686分(8G2A)

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昇る男

開幕男が開幕から点決めて全国メディアになったときはそれはそれは「J1やなぁ~」と感じた。

プレースタイルは絶妙な裏抜けやワンタッチゴール、こぼれ球への反応やPKなどまさにゴールマシーン。ボックスストライカー。そんな藤本だが、注目したいのは身体の使い方の上手さ。一昨年だと熊本戦、昨年だと11節の湘南戦で見せた身体の入れ方が象徴的だった。ボールと相手の間に軸足を入れて踏ん張って腰捻ってシュートか切り返し。裏抜けでスピードに乗ってる中でいきなり静的な動作は体幹がないとできない。上手い。そして「当然でしょ?」とサラリとしちゃうのがカッコいい。

 

彼の抜け目のなさとトリニータの疑似カウンターはとてもマッチしていたし、それ以外でもゴールの匂いが常にする、相手からすると嫌な選手だった。当然主力であったし、少ないチャンス数の中で得点を重ねた藤本は前半戦のMVPであった。それだけに、夏での神戸移籍は、年齢と移籍金を考えればとてもありがたい話ではあったが、戦力的な話だと替えの効かない存在であったため大きな痛手になってしまった。藤本放出後はオナイウがCFになって穴埋めはされたが、「藤本がいなくなって点取れなくなったね」とはよく聞いたもの。それだけインパクトも強かった。

 

また、ピッチ外でも存在感を発揮。藤本憲明はコンテンツ。発信力が凄い。ラブトリニータポーズとかTwitterとか本当に。明るくて気を配れる優しさと不快にさせない配慮もさりげな~くやれる。心身共に若い。今年も賑やかなゴールハンターはJでもアジアでも輝く事だろう。

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18.伊佐耕平

5試合 90分(1G1A)

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ムキムキ

失意のシーズン。怪我に悩まされ、期待とは程遠い1年であった。出た試合では前線からのチェイスを怠らず守備のスイッチをこなすだけでなく、相手を背負ってのプレーだったりとある程度は伊佐らしさが見えた。そして短い出場時間ながらも26節湘南戦では1ゴール1アシストと結果を残してくれた。その時にラブトリニータポーズをやってくれたの、めっちゃアツかった。

 

伊佐の魅力は強引な反転。一昨年の横浜FC戦でのシャドウ起用はサプライズであったが、攻撃の起点として大きな役割を果たした。CFらしい身体を張ったプレーで時間を作り、サイドを上手く使うだけでなく、強引な反転で相手を引き摺って剥がす。これで対面すれDFがピン止めされて、それまでやや手詰まり感のあったサイドからの展開が増えた。

今期は知念、渡など実力派のCFが加入。伊佐もCF争いをするだろうが、シャドウなど別のポジションで伊佐の良さも見てみたい。とにもかくにも、健康第一。月並みだが、怪我なくシーズンを終えることがトリニータにとって最大の補強。やったれ!

 

23.高山薫

20試合 1164分

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ウクレレオネェ

実はFW登録だったウクレレオネェ(ポロロン…

しかし主なポジションは左WB。シーズン開幕前はJ1経験豊富な高山が来た事に盛り上がった。4節横浜FM戦では自陣からのロングボールをワンタッチで裏に飛び出して広瀬をぶっちぎった場面はまさに湘南仕込みのプレー。これから疑似カウンターでこんなプレーが増えるんだろうな~と期待したし、攻撃面でのクオリティを魅せてくれると思っていただけに、アイデアの乏しさと積極性のなさにはかなり驚いた。ボールを持ったらカットインして密集でオロオロしてバックパス。サイドで寄せがキツイのにわざわざ右に持ち替えてクロス。本職ではない逆サイドだとしても、昨年はバカスカシュートを撃っていた星が比較対象だったため、非常に物足りなかった。せめてクロスだけでも左で蹴って。

 

ヤキモキした前半戦。非常に不満が残ったが、やはり実力と魅力がなければ主力にはなり得ない。高山の魅力は守備意識の高さとロングスプリントを90分ほぼ続けてできる事だった。前半戦の大分の守備はまずは5枚ブロックを作り、シャドウとボランチの動かし方を工夫してやりくりしていた。そのためWBは「まずは下がってスペースを埋める」事が基礎。オープンな、カウンター合戦にならないように慎重に慎重にゲームを進めていても試合終盤にはテンポが上がりがちになる。そんなときでも守備に綻びを作らないためには長い距離をたくさん走ることができる高山が1stチョイスでなければならなかった。

攻撃面での貢献が少なかったためか、後半戦ではG大阪から田中達也が加入。左足でのクロスとキレのあるカットインからのシュートでガッツリスタメンを確保されてしまった。

やや余剰戦力的な扱いになってしまった後半戦だったが、片野坂監督は大胆なコンバートにより新たなオプションに仕立ててしまった。それはまさかまさかの「限定的な」左CB起用であった。

17節神戸戦でのビハインドで迎えた後半。確か80分前後からだと思うが、左CBの三竿が大外に、左WBの高山がインナーレーン低めにポジションチェンジ。三竿のクロス精度の高さを生かすための苦肉の策だったと思うが、交代枠を使わずに攻撃力を高め、それでいて被カウンターの場面で相手を遅らせるためには高山のCB起用はうってつけであった。その後はチラッとやったりしていた記憶はあるがおぼろ気。しかし相当インパクトのあるコンバートであった。

疑似カウンター対策がなされ、攻撃に手詰まり感のあった昨季終盤の教訓を基に、今期はよりボールを保持して攻める姿勢が全面に出るシーズンだと考えている。そのためボールを持って「崩す」ための手立ては補強によりできた。一方でそれを支える守備では補強もあったが、現状維持が主軸である。高山も守備の人として生きる道は十二分にある。

31歳の年。まだまだ成長。新たな一面を期待したい。

 

27.三平和司

17試合 765分(4G1A)

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秋の季語:さんぺー

夏過ぎて盆明けくらいからは三平和司のパーティータイム。ひょうきんなパフォーマンスだけでなく、プレーでも輝いた。

昨季開幕前のキャンプでは、吉坂圭介GKコーチと共にインフルエンザにかかってしまい大きく出遅れた。デジっちでも思ったより出番はなく消化不良なスタートに。(それでもデジっちをキッカケにくまだまさしさんと縁ができたりとやっぱり持ってるお祭り男)

ルヴァン杯ではCFをやったりするもゲームから消えがちになったり、シャドウでもあまりインパクトを残せず。リーグ戦でもほとんどインパクトを残せなかったため、とてもとても心配した。

それでも21節鳥栖戦からはちょっとずつ途中出場を果たすと、26節湘南戦でやっとスタメン復帰。この試合で古巣相手にDFの股を抜いた技ありのコントロールショットでシーズン初得点を決めると、そこから3試合連続ゴール。31節G大阪戦ではシーズン4点目を決めただけでなく、交代を告げられると「俺?」と変顔。バッチリDAZNに抜かれてたし、これで片野坂監督との不仲説が流れないあたりからもチームの雰囲気の良さが伝わってきた。

夏過ぎて盆明けてからのさんぺー。秋の季語として抜群の存在感だった。

今期はキャンプで病気にかからず、デジっちでもちゃんと暴れていてシーズン開始時からやってくれそう。今年を振り返ったら「さんぺーの年だった!」と是非言わせてほしい。

 

 

30.吉平翼

※19年 7月 育成型期限付き移籍(→藤枝)

0試合0分

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元気印

ユース時代は「東京五輪のかくし球」なんて言われていたらしいが、大分でその才能が花開く事はなかった。

坂井と共にトリニータでリーグ戦、カップ戦共にベンチ入りはなし。夏に藤枝に移籍も僅か1試合しか出場できなかった。が、その1試合で2得点。"持ってる"のは確かだろう。

2種登録された2015年に4試合に出場。翌16年には岩田、江頭と共にトップ昇格を果たしてJ3での開幕スタメンに選ばれるほど期待をされていた。契約満了が発表された時に「もし開幕でビッグチャンスを決めきっていたらその後は大きく変わってただろうに……」というのを目にした。自分もそう感じる。

カテゴリーが上がる中でトリニータの戦力になりきれなかったのはとても切なかった。そんな中でも常に明るく振る舞えるのはチームスポーツで大切なこと。プロフェッショナルだ。

特徴は前線からの守備と豊富な運動量。岡崎慎司みたいな泥臭いプレーができる選手だ。

 

FWらしく得点を量産できれば良いのだが、プロ6年目。生き残るためには手段は選べないはず。新たな覚悟を得点という結果に結びつけられるか、はたまたハードワークさを生かして新たなポジションで輝くかはわからない。だが、吉平翼はしんけんにがむしゃらに頑張るのは確かだろう。そんな翼が大好き。報われてほしい。藤枝でやったれ!翼!

 

 

45.オナイウ阿道

31試合 2293分(10G2A)

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異能:反転使い

チームトップスコアラー。久々のJ1で2桁得点の計算できるストライカーはJ1残留をする上で滅茶苦茶キーだったと思う。

阿道の特徴はシュートレンジの広さと打点の高いヘディング。これは19節札幌戦で存分に魅せてくれた。多分真似できる選手はうちには居ない。それ以上に魅力的だったのは相手を背負ってのプレーだった。

 

シーズン序盤はパスの受け方、ポジショニング、アングルなどガチャガチャしててこりゃCFだなんとか誤魔化すしかないかな……と思っていたが、ルヴァン杯で着実に経験を積んで徐々にフィット。7節仙台戦でシーズン初ゴールを決めてからは主力として活躍。ここら辺から阿道のパンチ力のあるシュートや守備をサボらない献身性が良い方に作用していった。夏場から疑似カウンターからボール保持にゆっくりとシフトチェンジをしていくと、阿道最大の魅力、「反転」がチームとしても大きな武器になっていった。

前線でボールを受ける、ということは相手のDFのチェックが厳しくなるということ。ここでボールを奪われてしまってはチャンスは潰えてしまう。が、DFを剥がせば守備に綻びが生まれる。阿道はセンターサークル近くでボールを受けると身体を上手く使いキープができるだけでなく、なんかヌルッと反転してひっくり返してしまう。足首が柔らかいからか、深い切り返しを反転しながらやっちゃうから、いつの間にか相手の背後にボールを置けてしまう。

疑似カウンターに対策が講じられ、ビルドアップに無闇に食いついてこなかったり、プレスを掛けずに自陣にどっしり構えられたりしたが、オナイウ阿道という「個」で無理矢理前線でタメを作ってしまった。J1復帰初年度で相手の個の質に苦杯を嘗めたシーズンであったが、阿道はほぼ唯一といって良いほど質で劣らなかったプレーはトリニータの中でも異質であった。

今期は王者横浜F・マリノスに移籍。ポゼッションが高く、攻撃に迫力のあるチームの中央で「違い」を見せる事だろう。恩返しはやめてね。

 

35.小浜耀人

0試合0分

天皇杯のみ2種登録

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知る人ぞ知る2種登録の小浜くん。天皇杯のみでの登録かつトリニータ公式サイトも恐らくお知らせはなかった。そりゃ最終戦での選手全員のコールでもごもごしちゃう。ユースからの2種登録でJリーグでの登録なしはレアケース。多分一昨年は東京Vの森田晃樹くらいしかなかったはず。

なんでこんな事が?を考えるとルヴァン杯にベンチ入りの見込みはなかったが、天皇杯で勝ち上がってるうちに移籍で登録枠が空いてるかつ、対戦相手との実力差がある、みたいな。天皇杯の選手変更は8/13で、翌日の3回戦の相手は鹿屋体育大。この試合でベンチ入りを果たしていたし多分そんな感じだろう。

プレーについてはまたまたプリンスリーグ日章学園戦から。だいぶ記憶が薄くなっているため3トップのどこかまではハッキリ覚えていないが多分CFだった……かなぁ……

とにかく前線からのプレスをしんけん頑張っていたのと、サイドからのボールに果敢に飛び込んだり、打点の高いヘディングだったりをみせてくれたのは覚えている。あとはこぼれ球への執着だろうか。伊佐とか吉平翼っぽさをそこはかとなく感じた。

進学先は九州産業大田中達也の後輩になる。頑張って1年からトップチームでの活躍をみたい。そしてまたトリニータのユニフォームを着てプレーする姿が観れたらとてもステキ。楽しみにしてます。

 

写真は大分トリニータ公式HP藤枝MYFC公式より

 

【大分】2019年シーズンレビュー Go!Forward!〈選手編③ ~MF編~〉

MF登録の選手、多いのね……

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なんとか1月中に選手振り返りブログを消化したい!という強い気持ちでしたが!開幕前!終わんのか???

 

4.島川俊郎

22試合 1425分(1A)

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ムッツリ笑顔

影のMVP。序盤戦では9節の仙台戦で初出場。そこからは前田凌佑や長谷川雄志とボランチを組み先発に。岩田智輝の負傷離脱の際には右CBに入り、ポリバレントな選手であることも知らしめた。

夏場からは小林裕紀の加入。小林ゆとはじめて組んだ25節松本戦では、ずっと昔から組んでたかのようなチャレンジ&カバーを見せて、フィジカルに強みがある松本にトランジッションの強度と球際での勝負で危なげなく完封。終盤戦では長谷川にスタメンを奪われてしまったが、昨年の影のMVPである。

昨年のボランチに求められたのは、球際の強さと、ビルドアップの出口となる事+αだったように思われる。

序盤戦の島川は球際の強さ、読みの鋭さはあったが、なかなかビルドアップの出口になれずに、相手FWに隠れたままであったりボールを受けてもターンできなかったり……不安感が拭いきれなかった。しかし、さすがはプロ。しっかり修正をして動いて顔を出してパス受けて散らして。安田さんにロングボール蹴りすぎと言われたり……

島川が魅せた+αは気の利いたポジショニングとポリバレントさ。組んだボランチが動きやすいように、気持ち良くプレーできるように上手い位置取りでチームを支えた。また、緊急時には1列下がってCBとして振る舞ったり、島川の1列下ろし+三竿のWB化、中盤に小塚で3142に変更してパワープレーをしたり(28節磐田戦)と戦術面でも幅を広げる大きな要因になった。

昨年のハイライトといえば11節湘南戦。この年唯一のアシストを記録した場面だ。島川のロングボールに藤本が抜け出して交わしてゴール。得点に繋がった綺麗なアシストだったが、ハイライトを見てみると実況の方から指摘があったように本当はサイドのオナイウ阿道を狙ってたんだろう。島川の「んも~」ってジェスチャーだったり、引きの画でベンチメンバーがシュート前にガッツポーズしてたり、決まった瞬間にDFラインが両手を上げてたりでいいチームなんやな、って思える芸術点の高いゴールハイライト。なんか憎めない島川、すき。笑った時になんかムッツリスケベ感があるのも大変良いと思います。

 

6.小林裕紀

※19年夏 完全移籍で加入(名古屋→)

11試合 944分

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認知の鬼

夏に加入したスーぺル助っ人。なんか気難しそうで拘りがあって仕事を淡々とこなしていく感じがすごくかっこよかった。

半年間見たが、ハイライトとなる特徴を掴んだ「これ!」というプレーは特にない。が、常に85点以上を叩き出すハイクオリティーさ。中盤でビルドアップの出口としてパスコースを確保したり、豊富な運動量で中盤の底からマーカーに鬼プレスをしたり、密集でボールを貰い引き付けて散らしたり、組んだボランチの相方(特に長谷川)に身振り手振りでコーチングをしたり。たった半年で片野坂サッカーを理解し、チームの軸になった。

そんな彼の最大の魅力は切り替えの早さと正確さ。ボールの位置、敵味方の位置を常に掴んでおり、2手3手先まで読んでるかのようなプレー。自分がボールを受けたときに、どの相手が寄せてくるかを見定めて、そこからどのエリアにスペースができるかがかなり正確に判断できているからこばゆ起点にチャンスになる場面は多かった。逆に守備ではボールホルダーに味方の誰が寄せてどこにスペースができるかを把握してカバーリングをしたりコーチングで味方を動かしたり。スペース認知の鬼であった。

 

加入時には名古屋サポーターから「こばゆをよろしく」とたくさんのメッセージが。ぶっきらぼうでも伝わるものは伝わる。大分でも既に愛される選手になった。男は背中で、プレーで語る。今年も淡々と中盤を引き締める小林裕紀から目が離せない。

 

 

7.松本怜

34試合3026分※全試合出場(2A)

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イケメン

顔が良くてサッカー上手くて男気あってアシストまでできる。しかし神はそのかわりに決定力を与えなかった……

忘れた頃に点取る元FWのレイチェルだったが、昨年は得点ゼロ。一昨年に点を取り過ぎたせいかもしれない。一番得点に近かったのは29節浦和戦。小塚のスルーパスに完璧に抜け出してのシュートだったが、枠に嫌われてしまった。

昨年は実況や解説の方に「クロスに定評のある」って紹介をされてなんだかむず痒い。昨年は岩田智輝とサイド攻略→ニアに低いクロスが効いたが、徐々に対策もなされた。今年はクロスのバリエーションにも期待したい。

 

 

8.丸谷拓也

6試合 118分

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孫の手

痒いところに手が届くというか。気の利いたポジショニングでさりげなーくチームを助ける。一昨年はバリバリの主力で、昨年の開幕でも多くの方がスタメン予想をしていたが、まさかまさかのベンチスタート。その後もルヴァン杯での主力とはなったが、リーグ戦ではなかなか絡めず。スタメン出場がないままシーズンが終わってしまった。この悔しさをバネに今期はさらなる奮起を期待したが、30歳の若さで現役を引退することに。J1昇格の立役者がピッチを去るのはとても寂しくはあったが、大分トリニータをキャリアの最後の地に選んでくれて嬉しい。セカンドキャリアは広島のスタッフに。またスタジアムで、ピッチの外ではあるがサッカーに関わってくれる。指導者として元トリニータダービーとかできたら嬉しいな。お疲れ様でした。

 

11.馬場賢治

※19年夏 期限付き移籍(→岐阜)

2試合 16分

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暑苦しいオトコ

一昨年は2桁得点にプロ初のハットトリックなど「日々成長」している姿を見せてくれたベテラン卑弥呼さま。しかし昨年は2試合の途中出場。それもクローザーとしてだったため極端に出場機会に恵まれなかった。シーズンが進むにつれてシャドウの選手が日によって変わる中でチャンスを掴めないまま夏に岐阜に期限付き移籍。勝負の世界は厳しい。

岐阜では左SHとしてスタメンを勝ち取るも、ゴールはなし。「もしあの時……決めていれば……」な場面が少なからずあった。

シーズン終了後には岐阜、大分ともに契約満了でフリーに。未だに所属先は未定。

馬場賢治の魅力は貪欲さ。いくつになってもハングリーで、どんな場面でも「勝つために」必要な最善なプレーを選ぶために、もがく事のできる選手だ。それは時に不恰好で泥臭くもあるが、ベテランとなる年齢でこれだけがむしゃらで暑苦しいプレーができるのは才能だし、チームにとって必要不可欠な存在。本当に頼りになる。

本人は現役を続ける意思をブログなどでみたのでピッチで輝く馬場賢治をもっとみたい。早く次の所属先が見つかってほしい。

 

14.小塚和季

33試合 2581分(1G5A)

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大分のエロ

J2オールスターズの中でも最もトラウマだった小塚。加入の噂が出た時はまたまた~って思ってたけど来ちゃいました。

トラウマの記憶どおりのスルーパスはJ1でもちゃんと通用。それよりも驚いたのは献身性だ。ビルドアップの時にはパスを受けるためにやや下がり気味な位置取りをして、攻撃時にはスペースを見つけていつの間にかフリーで受ける。ここまではありがちな司令塔タイプだが、攻守の入れ替わりでも高い強度でボールにガツガツ行って相手のカウンターを未然に防いだりもしてくれた。

創造性溢れるパスと献身性で主力になったが、そこからボディフェイントというもう1つ色を付け加えた。緩いボールを迎えにいって相手を引っ張り出してターンして剥がす!みたいなのが上手くなり、大分のシャドウのポジションをより確固たるものにした。

夏場にはボールを持ってから考える場面が増えて時間を貯めるよりボールをコネてる印象が強くなって数試合ほど途中交代やベンチスタートもあったが、秋口にかけて吹っ切れた様子。31節G大阪戦では小憎いヒールでのクイックリスタートから同点弾を演出。エロかった。

シーズンオフのインタビュー記事やオファーの噂で退団やむなしと覚悟はしていたが、残留を決断してくれた。焦らしもエロい。今年はより数字にこだわってプレーしてほしい。

 

20.小手川宏基

6試合 122分

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大分のスケベ

地元産ムッツリスケベ。今期は19節札幌戦と20節川崎F戦で小塚と変態な?シャドウを組んで個人的にとてもたまらんかった。小塚が上がればコテがカバー。逆もしっかりするだけでなく、サイドのケアやボランチの補助まで手広くやった。詰まるところポジションの循環がとてもスムーズだったことと試合の機微を読むのがとても上手かった。しかしここはJ1。ポジションの循環と試合の機微を敏感に読んでも川崎には勝てず。これがターニングポイントになったかもしれない。試合の流れを先読みすることよりもトランジッションを重視する傾向へ。小手川は一昨年のトラウマ、甲府戦でトランジッション勝負でボールロストが増えて「らしくない」プレーをしてしまっていた。そんなこともあり、受難のシーズンではあった。それでも契約は更新。今期の目指すであろうサッカーに必要であるからこそ、だろう。もっとスケベなプレーやゴールとかみたい。

 

25.小林成豪

7試合 280分(2G)

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スーペルゴラッソ小林成豪~!

一昨年は2桁得点でブレイク。ピッチ外ではシャイで、加入時には福森から「シャイなヤツですが……」と語られるくらいだが、ピッチでは勝ち気。積極的に1対1を仕掛けるし、ちゃんとぶち抜く。期待された昨年のはじめは意外にもWBでの出場であった。昨年中盤戦以降で、サイドの打開力、推進力は課題にもなっていた。それを見越してのWB起用だったのだろう。しかしあまりハマらないまま3月末から行方不明に。

そして忘れられかけた6月の古巣神戸戦。久々にベンチ入りを果たすと、途中出場。ビハインドのなかで最初のプレーから魅せてくれた。ダンクレーのスライディングをひらりとかわしてサイドをエグってクロス。得点にはならなかったが、空気をガラリと変えてみせた。その試合のロスタイムに劇的な同点弾(スーペル)を決めると、翌17節浦和戦では途中出場から豪快なミドルシュート(スーペル)で追加点。スーパーサブとしての地位を確立したが、そこからまた行方不明に。

そこからまた3ヶ月空いた9月末。27節磐田戦でスタメン出場。フル出場を果たしたが、自慢の積極的なドリブルは鳴りを潜め、中盤でフラフラ漂うだけに。オフザボールの時のポジショニングやアングルが悪く、ボールを受ける準備ができていなかった。今期はポジショニングを意識して内側でシャドウとしてプレーするのか、1対1の突破力を生かしてWBをするために滅茶苦茶走るか。どちらかと言えば前者な気がするが、ボールを持った時の期待値はチーム1。ぶち抜いてほしい。

 

28.坂井大将

※19年6月 育成型期限付き移籍(→群馬)

0試合 0分

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#坂井大将を諦めない

昨年は全試合でベンチ入りすらできず。夏に無念のレンタルになった。シーズン開幕前から適正がどこなのかがハッキリせず、ボランチにしては力量不足と見られたためか、練習試合では右CBやWBでも出ていたらしい。群馬ではボランチよりも4-2-3-1のSHとして数試合に出場もインパクトは残せないままとなった。しかし、今年も契約を延長。期限付きで今年は鳥取でプレーをすることに。ポリバレントさが器用貧乏に映るのは歯がゆい限りだが、それは本人が一番感じているはず。大分と同じ3-4-2-1の鳥取のどこでプレーするのか、どこで個性を光らせるのか。今年は恐らく最後の1年。頑張って這い上がってほしい。#坂井大将を諦めない

 

32.前田凌佑

20試合 1613分

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ダル絡みキング

昨年、福森並みに明暗が別れた選手。前半戦では鋭い読みと素早い寄せを武器にアグレッシブを全面に出して多くのインターセプトを記録。ボールを奪っては相手を小馬鹿にしたかのようなキープをしたり、プレスを「外す」動きで主力に。磐田戦での川又とのマッチアップは前田の強心臓さがよく出た憎いプレーだった。

しかし、夏に入る前辺りから状況が変わってくる。それまでボランチはまず前田を主軸にその相方探し、だった印象だが、島川やティティパンのフィット、長谷川の台頭もあり序列が変わってきた。

ボランチの選択肢が増えてくると、前田の良さよりも足りなさに目が行くように。前田の良さは前述の通り細かいポジショニングでビルドアップの出口になれることとトランジッション勝負に強いこと。そして特筆すべきはインターセプト。一方で展開力やシュート意識が低く、ミドルシュートを打っている姿はほとんど印象にない。

チームは夏場から疑似カウンターから徐々に徐々にポゼッションに傾いていったため、ボールを刈り取る位置がより前方になっていった。トランジッション勝負に強くとも、奪った後の選択肢が乏しいと判断された部分が大きいのでは?という印象。また、チームもトランジッションを重視するのは変わらないが、引いて構える事から前から積極的に奪いに行く。つまりボランチからしたら単純に走る距離が長くなり、前田は中・長距離でのスプリントでの強度を見せることができなかったのではないかと推察される。今期は追う立場でのスタート。より積極的に前線に絡んでいく姿が見られれば、もっと活躍ができる。頑張れ凌佑。

 

37.嶋田慎太郎

※19年夏 期限付き移籍で加入(大宮→)

8試合 282分

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ヌルヌルドリブル

夏に期限付きで加入したしまたろう。熊本在籍時にはタナタツと共にトラウマでした。

加入した時は「え!そこ取んの!?」くらい意外な、充実したシャドウをもっとムキムキにする移籍だった。

加入してすぐの22節神戸戦からコンスタントに試合に絡んだ。加入3試合目の24節広島戦、翌25節松本戦では先発出場を果たす。ボールを受ける動きはイマイチ把握できなかったが、違和感はなく。一度ボールを持ったらヌルヌルっと密集を縫っていった。守備ブロックの打開に手詰まり感を感じつつあった夏場での加入はまさにドンピシャであった。

そしてもう1つ。裏テーマとしてあったであろう事は「小林成豪をなんとかしよう」説。

小林成豪はポジショニングに難があり、中央での密集で個性を出せないでいた。そこで同じドリブラータイプの嶋田を引っ張ってきて、ボールを受けるアングルの大切さを感じてほしかったのかな、と。

同じドリブラーでも嶋田は2列目、カットインタイプで、成豪はスピード、ウインガータイプと役割がやや異なるため編成でダブつかないというのも魅力だった。嶋田は結局半年で大宮に戻っていったが、彼が居たことって割りと大きな出来事だったと思う。ヌルヌルのカットインから左足で巻いたシュートとかヨダレものなので大宮でもっともっと輝いてほしい。

 

38.高畑奎汰

※19年8月 育成型期限付き移籍(→鳥取)

6試合 296分

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ずぶとかわいい人

卒業したばかりのユースっ子はインパクトを残した。2節松本戦終盤でリーグデビュー。たった5分間の出場であったが、左サイドを活性化してスピードに乗ったドリブルからニアサイドへのピンポイントクロスで停滞感のあった前線に活気を与えた。その後はルヴァン杯で両WBや左CBなどで出場。ポリバレントさもみせた。

10節鳥栖戦では初のスタメン出場。3バックの左右が智輝と奎汰という結構ファイヤーでエモい形に。その試合で高山薫を大外から抜いてクロス。相手のクリアミスからオナイウ阿道が決めてダービーでの先制点をアシスト。まさにノリノリなルーキーだった。

しかしその2試合後の清水戦で軽率なミスからPKを献上したりパスミスが散見されたり。昨年で一番早い38分というタイミングでの交代。ベンチに戻ってからは馬場が寄り添って話していた。翌13節川崎F戦では左WBで先発も前半で交代。これは調子ではなく守備意識の問題。浮き沈みの激しい前半戦だった。

9月には三竿が左CBで、夏に加入した田中達也が左WBでスタメンをガッチリ掴むタイミングで鳥取期限付き移籍。ここでは初ゴールも決めるなど、インパクトを残した。

奎汰の良さは攻め上がりのタイミングの良さとトップスピードでも精度が落ちないキック。トップスピードでのクロスは流れがちというのは松本怜田中達也を見ても解るとおり主力選手でも難しい。大きな武器だ。一方で課題ももちろんある。対人の守備とバランス感覚だ。フィジカルコンタクトでは見掛けによらず案外負けないが、対人ではボールに行くのか人に行くのか迷う場面もあった。まぁプロ1年目だし対人激強の智輝センパイもいるしなんとかなるはず。バランス感覚についてはボランチとCBがスライドしてお守りをしてくれるため攻撃面での特徴は存分に出せたが、そこからの守備はもっと意識しないといけないような。トランジッション勝負になると基準がボールの位置になりがちで、本来埋めるべきポジションに居ないという場面をなくしていけばもっと上にいける。

今年も三竿や田中達也だけでなく、香川勇気なども加入。ライバルは増えたがユースっ子だし贔屓目にみちゃう。頑張って!

 

40.長谷川雄志

19試合 1359分

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ピッチに虹をかける人

一昨年6月くらいに特別指定に登録されるも、Jリーグでの登録はなく、Twitterの更新もなくめっちゃ謎だった大卒ルーキーは、ルヴァン杯でいきなり魅せてくれた。

ミシャ式ボランチで最終ラインに落ちてフリーな状態からピルロさながらの高精度ロングパスをバンバン配給。ショートパスもダブらず丁寧。その上ほぼ両利き。最強じゃん!

パスは申し分なく、ハードワークもできる。ルヴァン杯ではボールの受け方も(元々上手かったが)より上手くなり、11節湘南戦で満を持しての初スタメン。そこからは疑似カウンターの「砲台」として主力に。夏場からは対策がなされてメンバー外にもなったが、終盤戦では巻き返した。

嬉しかったのは20節川崎F戦の同点弾に繋がる起点になったプレー。ボールを受けるとスッと反転。相手のプレスを往なしてハイラインの裏にボールを落とすタッチダウンパス。それまではパスを受けてから判断、というのも多かったためパスの受け方だけでなく、前田のような外し方もしてほしいと感じていただけに素直に凄い!と思えるプレーだった。

後半戦からは小林裕紀も加入し、より細かいポジショニングやコーチングを間近でレッスンを受けている。今年も期待される選手だ。

 

43.西城響也 ※2種登録

0試合 0分

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サイドのソース顔

同じユースの工藤大雅と共に天皇杯鹿屋体育大学戦で出場。出場時間が短く、台風も近づいておりピッチコンディションも良くない中でインパクトは残せなかった(そりゃそうだ)。

西城をしっかり見れたのはプリンスリーグ日章学園戦。左WBとして出場していた。スプリントに長け、逆サイドでの組み立てから大きく展開されたボールをファーサイドで詰める!みたいなプレーが上手かった。一方で試合中にプレーの質が不安定で集中できてないのかな?とか思っていたら負傷交代。筋肉系だったような。結局90分フルで見られないままであった。

トップ昇格はなく、恐らくは大学進学。ちらほらと新入生の一覧が出ているので探してみる。4バックのチームならどこで起用されるかとか含めて継続して追っていきたい。

 

44.ティティパン

20試合 1022分

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アドレナリンタックル

まさかまさかの開幕スタメン。みんな予想できなかった。映像資料ではモリモリ警告を受けるファイターな印象だったため思ったよりクリーンじゃん……となった。

開幕からそのハードワークさとトランジッションの強度の高さ故に重宝された。3節磐田戦辺りからはミドルシュートも打ちはじめて積極的な選手だなぁ、と。ルヴァン杯では積極的な前プレをしてGKのミスを誘い来日初ゴールも決めて見せた。

夏場に入りボランチのスタメン争いが苛烈になりはじめた時期から1列前のシャドウでプレーをするようになった。シャドウではハイプレスのスイッチ役として1stDFをやったり、ハーフスペースに入って智輝対策の対策となったりして片さん仕込んだなぁ~とワクワクした。が、23節鹿島戦ではその積極性が裏目に出てしまう。序盤から積極的にアフタータックルをかまして警告をうけると、鹿島はティティパンの前でボールをちらつかせて2枚目を誘発させようとしていた。鹿島の強かさといえばそれまでだが、勢いよく突っ込んで退場するか自制するかを迫られて落ち着くしかなかった。その試合でのシャドウのハーフスペース攻略は再現性があり、鹿島の4バックの間を縫うものだったためゲームプランを崩してしまっていた。裏抜けのタイミングとそこからの展開に引き出しと精度はあったが……

代表戦での怪我もあり、8月以降は消えがちに。最終盤で出番はあったが1年でのレンタル満了となった。ボランチからはじまり、そのハードワークさから1列前で起用され、選手としての幅が広がる実りの1年だったと思う。代表戦でのアシストではハーフスペースからマイナスクロスという形で、「これ、ウチで掴んだんですよ!」となった。次会えるのは恐らく代表戦。タイのトリニータ代表として頑張ってほしい。

 

46.伊藤涼太

4試合 144分

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ツンデレ

勝手にアウォーズのMIPで話したいことはだいたい……

マジで21歳!?ってくらい大人びててプロフェッショナルでハングリーだった涼太郎。どこか陰があるような佇まいがとても印象的だった。恐らくプロとは何ぞや?みたいなのを内側に内側に拡げていってるからなんかぶっきらぼうに見えた。かわいいぞ!

サッカーは団体競技。内側に矢印を向けるのも大切だが、それと同時に外側に、周りに矢印をもっと向けてほしいな、と。孤高であることは強さだし、ブレなさ。そこにもっと柔軟性をもってほしい。「オレはこうだから」と引っ張るのも強さだが、まだ21歳。もっと周りに委ねるのも大切なんじゃ、と勝手に心配をしてしまう。贔屓目だが、うちは委ねる所としてはわりと整ってると思う。ここでもう1年頑張るという選択肢をみてみたかった。

今期は浦和に復帰。槙野や周作をはじめ先輩らにたくさん弄ってもらうともっともっとプレーも変わると思う。

浦和から世界へ。伊藤涼太郎はウチでも育ったと言いたい。頑張れ。

 

47.工藤大雅 ※2種登録

0試合 0分

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矢野、西城と共に2種登録。西城と共に天皇杯に出場。工藤に関してもプリンスリーグ日章学園戦での印象を書いていく。

ポジションはボランチ。ボールをを受けてからの展開力が印象に残っていて、前を向いたら右足からサイドや裏に浮き球で配球をメインに攻撃を組み立てていた。プレスを受けても味方とのワンツーやダブルタッチで背後を取ったりと判断上手いな~と。一方で強度、トランジッションに関しては未知数。ボールを受けるときも展開力ある選手あるあるなのか最終ラインなど相手のプレスが届きにくい所で受けたがっていた印象。トップの選手たちは内側で受ける事に躊躇しないタイプばかりだったため、そこがネックだったか。

ボランチ以外にもシャドウでスルーパスをバンバンしてたりとボールを持ってからのクオリティは確か。大学生でもやってくれると思うので早く進学先を知りたい。情報待ってます。

 

50.田中達也

※19年夏 完全移籍加入 (G大阪→)

15試合 1324分(1G2A)

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一昨年喉から手が出るくらい欲しかった選手。補強するならまず左WB!で!田中達也!と思ってたから夏に加入が決まった時は「つ、ついに……」と滅茶苦茶嬉しかった。マジJ2オールスターズ。

加入してすぐの20節川崎F戦からずっと先発出場。川崎F戦ではキレッキレでサイドを抉ってクロス、カットインからシュートとホントに加入して数日?ってくらいハマっていた。左WBだけでなく、シャドウでもプレー。豊富な運動量と強気な仕掛けで前線を活性化しただけでなく、ポジションチェンジで戦術の幅や交代カードの幅を大きく広げた。

戦術に興味があるためか、自分が動いたら味方がここにいる、というのを把握している。そのため「この時はこう!」みたいなプレーで味方がそこに居ないとまぁブチギレてたようなw成豪や岡野は鍛えられてたなぁ……

32節清水戦では待望の初ゴール。右サイドから繋いで繋いでスルーパスからファーサイド田中達也が決めるという美しい形。わかってないとそこに飛び込めない。決めた後に選手に行くのかゴール裏に行くのか迷ってたくさんガッツポーズするのは慣れてなくて笑った。かわいい。

調子が悪い時はひたすらクロスが流れたりカットインが突っかかったりするが、自分で建て直す事ができるのが大きな強み。ゴールを決めた清水戦でも前半は消えかかっていたが、プレスで気をはいてスライディングをしてからはノッてきたのが印象的だった。

今季のキャンプでは弄られキャラの1面が。ゴールパフォーマンスやキツいイジリにももっと対応してもらいたい。

 

 

國分伸太郎

期限付き移籍(→北九州)

小林塾、やはり鍛えられるようだ。昨年は442の左SHとしてプレー。J3きってのチャンスメーカーとして多くの決定機を演出した。特にサイドからのクロスは右足、左足共に精度が高く、驚異に。また、嬉しいJ初ゴールを含む2得点。大分では課題であった決定力も徐々についてきたはず。来年は北九州との期限付き移籍を延長。J2の舞台で爪痕を残して、来年に「トリニータの」シャドウの1角として輝く國分をみたい。

 

姫野宥弥

期限付き移籍(→群馬)

シーズン前に育成型ではない期限付き移籍という事で、チームから「1年間で結果を残してこい!」という期待の現れだったはず。いざ、シーズンが始まるとそれまでの正ポジションのボランチよりも3421のWBや4231のSHなど、サイドのプレイヤーとして起用されていた。豊富な運動量が魅力な選手なだけにサイドで使われたんだろう。しかし主力にはなりきれなかった。今年は藤枝に期限付き移籍。これが片道切符となるか帰還できるかのラストチャンスなはず。ポテンシャルは充分なだけに殻を破ることを期待したい。

 

江頭一輝

※育成型期限付き移籍(→盛岡)

一昨年から期限を延長して盛岡で武者修行も、昨年末に無念の契約満了。

181㎝の大型ボランチだったが、盛岡ではWBで起用されたりと定位置を掴めなかった。それでもこれまで所属した鈴鹿、盛岡でコンスタントに出場していたことから戦力としては考えられていたはずだが、「えがちゃんじゃなければ!」という強みを見せるまでには至らなかったのかも。プロは厳しい……

そしてなんと21歳の若さで現役引退を決意。まだまだやれるとは思うが、それは大分ではない。青春を過ごした場での活躍を誓ってトップ昇格をした選手にとってこれほどきついことがあるだろうか。佐藤昂洋もだが、ユース卒だから贔屓目にみちゃうけどトリニータのユニフォームを着て出場できたのは極々僅か。一番悔しい形での引退だろう。しかし、人生はまだまだこれから。 セカンドキャリアでトリニータに関わる事もできるし、サッカー以外でも色んな世界を知ることができる。加部未蘭の様に大学行ってもう一度サッカーやるもよし、全く違うことをやるもよし。可能性は無限大。エガちゃんお疲れ様でした。

 

野上拓哉

期限付き移籍(→VONDS市原)

この冬一番最後の移籍発表だったのがちょ。3年間でトリニータに在籍したのはわずか半年。プレーを観れずじまいで移籍となってしまった……

VONDS市原では左SHだった様子。うちならシャドウのポジションだと思われるが、そこは魑魅魍魎がうじゃうじゃいる場所。プロって厳しい。

移籍時のコメントで誠実さというか想いを言葉にできる選手なのは伝わってくる。ここから這い上がってほしい。頑張れ!

 

川西翔太

期限付き移籍(→岐阜)

チームに閉塞感?そんな時は!川西だ!(ドン!)といったように一昨年から麻薬のように言われてる「いざとなったら川西」論。それはボール持ってヌルヌル持ち上がってスルーパスなんてのをたくさん見せてくれたからこその評価だ。実際、昨年の序盤戦では、なかなかチャンスの作れなかった広島や松本戦後には川西待望論が散見されたが、サポーターは現金である。シーズンも折り返す時のボランチ談義はやれ長谷川だ前田だと、川西待望論はトーンダウンしてしまった。

ワクワク感溢れるロマンの塊ではあるが、使いづらく、起用法が限定されやすいのは昨年も指摘した通り。より強度の高くなるJ1ではリスクが大きくなると踏んだのだろう。

今年は放出やむなしくらいな雰囲気であったが、期限付き移籍を延長。岐阜の10番としてプレーする事になった。頑張ってほしい。

 

写真は大分トリニータ公式HP超WORLDサッカーより

 

【大分】2019年シーズンレビュー Go!Forward!〈選手編② ~DF編~〉

さーて、新体制が発表されましたが!なんなら開幕戦とかルヴァン杯予選の日程も出ましたが! 選手振り返り第2弾、DF編!やるよ!!!

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3.三竿雄斗

26試合 1831分(1G2A)

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神出鬼没。

気づいたら三竿。振り返っても三竿。違ったそれは健斗さん……開幕には間に合わずともしっかり主力になってたり、いつの間にかゴール前に顔出したり、ロングスプリントからアシストしたり、累積警告たまってたり……神出鬼没だった。

今季、三竿的に悔しかった試合はホームの鹿島戦だろう。古巣との試合で相馬勇紀にカットインからぶっちぎられて失点。次のプレーでも相馬に抜かれて引っ張ってしまい警告ももらった。今年は鹿島絶対やっつけるマンとして頑張ってほしい。

三竿のすごいのは長い距離走ってもクロスが流れない。フォームが崩れない。だからこそのアウェイ浦和戦の決勝アシストとかできちゃう。また、クロスが上手いということはセットプレーも上手く、キッカーを務める場面も。あと意外にヘディングも強くてターゲットにもなった。

片野坂監督の求めるCB像にしっかり答えた三竿。サイドでのリスク管理とクロス、スプリントが本当に効いていて穴を作らせなかった。怪我がちといわれているが、今年は是非開幕からフルタイム出場を目指して頑張ってほしい。

 

5.鈴木義宜

34試合 3060分(1A)

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最近Twitterはじめた人。

インスタのストーリーに蕎麦や和菓子の投稿をして渋さ全開だった義宜が(実は1年前には作ってた)Twitterでコミュニケーションを取ってるのをみるとそんな年寄りな感じではなかった。気持ちでいうとほうじ茶からほうじ茶ラテくらいになった。(は?)

 

SNSで堅実さを見せた義宜。ピッチ上でも空中戦で、シュートブロックで、カバーリングで総合力の高さを魅せてくれた。数字でも自陣パス数とかシュートブロック数とかリーグで1.2を争うくらい。それはそれは「義宜ナイスゥ!」と皆さん実感してるはず。

今年はその守備の総合デパート(トキハ)的な面だけではなく、攻撃面でも面白い試みがあった。それが見られたのがアウェイ神戸戦。やったことを勝手に名付けるなら「バルトラロール」だろう。

 

バルトラロールとは一昨年、キケ・セティエン率いるレアル・ベティスのCB、バルトラがやっていたビルドアップの形。

ベティスのサッカーは点はなかなか決まらないが再現性が高く、ビルドアップの手数が多いトリニータみたいなチーム。バルトラは義宜と同じ3バックの中央に位置していた。

 

バルトラロールとは、ビルドアップの際に3バックの左右が内側に絞り、中央のCBがアンカー、WBは前線に張らずにSBの位置まで下がる。

 

普段なら……

基本的には3-4-2-1から

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4-1-5(ボランチを落とした場合)

4-2-5(GKがビルドアップに参加した場合)

に可変。

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これを3-4-2-1からバルトラロールを行うと……

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義宜がアンカー、WBがSBの位置まで下がる。前5枚はシャドウが開いてハーフスペースはボランチが埋める。

GKがDFラインに加わり、1つずつポジションを循環させると4-2-5にもなる。

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アウェイ神戸戦では積極的にこのバルトラロールを使っていた。本家のバルトラは散らして良し競って良しと足下が滅茶苦茶あるのでDFラインから平気でドリブルしたりしており、だいぶ頭のネジが飛んでいた。一方我らの義宜にドリブルなんてイメージはないし、ボールを散らせるイメージもそんなになかったが、それなりにこなす。後半ATには小林成豪の決勝ゴールをアシスト。中央を綺麗に割いてみせた。

今年はより大分のビルドアップ対策がよりキツくなるはず。その打開案の1つとしてとても良いものを見せてくれたし、義宜の選手の幅も広がった一年だった。これからもっともっと期待したい。

 

6.福森直也 ※19年夏 完全移籍(→清水)

9試合 788分(1A)

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学級委員長、旅に。

夏に清水へ完全移籍。足りなかったのはチャレンジする勇気だった。

 

開幕からスタメン。3節には決勝アシストをしたりと、フックも義宜といっしょにJ3からJ1まで来たんだよなぁ~、と感傷に浸っていたがそこから雲行きは怪しくなった。9節C大阪戦を最後にリーグ戦出場はなし。そこからルヴァン杯で2試合出場。その後は出場はなく、天皇杯鳥取戦で左WBで出場を果たすもそれが大分でのラストマッチになってしまった。

スタメン落ち、メンバー外になってしまった理由は、クラブの要求に応え切れなかったからだろう。

昨年の大分は、左右のCBに岩田智輝のようなダイナミックな攻撃参加を求めた。実際、福森は磐田戦での決勝アシストや一昨年の山口戦でのゴリブルなど、攻撃面でもキラリと光るものを持っている選手。加えて前年から引き続き片野坂監督のサッカーを知っているため、ビルドアップなどでもアドバンテージがあった。

それでも、"継続して"攻撃面で自分の色を出せなければ使わない、使えない、と判断されたのだろう。実際、福森の後の左CBはサイドの選手と触れ込みのあった高畑奎汰。守備力では福森に劣ったが、積極的に前線に顔を出してチャンスに絡んでいた。福森の良さは守備で計算が立つ所だが、そこからもう一歩が踏み出せなかった。

片野坂監督はリーグ戦からルヴァン杯天皇杯で試合の強度を下げて「リスクを恐れるな!」とメッセージを込めたのだろう。天皇杯鳥取戦では1つ前のWBでもプレーさせた。そこまでしても攻撃面で個性が出せなければ、いくら守備力で計算が立つ選手で、ビルドアップができて、左利きという希少性の高い、重宝されやすい選手であっても戦力として見合わないと判断されても仕方がなかった。

ポテンシャルは充分。J1でも通用する。しかし、そこからの一歩が踏み出せなかった。最後に自分を信じてチャレンジできなければ居場所はない。大分トリニータでの福森直也はここまで。最後に自分を信じなきゃ。

しかし、まだプロ生活は続く。次は対戦相手としてスタメンでプレーしている姿をみたい。それだけの力はあるのだから。

 

 

16.岡野洵

4試合 261分

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"映え"のジュン

2019シーズン、最も成長を感じられた選手。

1つのチームを継続して見る者として、チームの、選手の成長を見守ることができるのは本当に幸せな事。ありがとう岡野洵。

昨年初頭はルヴァン杯で主力としてプレー。CBとしてフィジカルの強さ、高さは加入時から見てとれたが、昨年は攻撃面での魅力がグッと増した。GKからボールを受け、相手のプレッシャーがなければ迷わず前進。プレスにさらされても近くの味方だけでなく、1つ飛ばしたサイドの選手にボールを付けることも上手くなった。

ルヴァン杯敗退後は主力の壁が高く、なかなか試合に絡めなかったが、盟友、岩田智輝の怪我でチャンスを掴む。9月の市陸開催だった湘南戦から3試合、スタメンとしてピッチに立った。ここでは右CBとして不器用ながらも果敢に前線に顔を出してプレー。タイミングがわからないのか湘南戦では特にガチャガチャしていた印象があったが、名古屋戦では田中達也にブチギレられながらも一生懸命プレーしていた。

左右のCBに対しての要求は高く、チームの攻撃の肝にもなるため超重視されているが、及第点が与えられるどころか、智輝にはない"高さ"という色を付け加えてくれた。

最初に見たスクランブルでの出場だった熊本戦では裏取られる→タックル=長い足で削る!!くらいの超粗削りだった選手が攻撃の組み立てをしてカバーリングもして……本当にたくさん努力したんだろう。今季も青いユニフォームを着てプレーしている姿を見たかったが、本人のふるさとである千葉を昇格させるために帰還していった。イケメンでオシャレでプレーは泥臭い。そんな洵にときめいたシーズンでした。ありがとう。

 

19.星雄次

11試合 528分(1A)

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あざとかわいいほっしゃん

11試合に出場も、フル出場は1度のみ。主に対札幌での戦術兵器だったが、本人にとっては不本意なシーズンだった。

札幌戦ではサイド張っとけおじさんとして相手のWBをピン止めするというタスクを担ってシーズンダブルに貢献。サイドでの単騎での突破はそんなにないが、積極性でアピール。だが、左WBは同じ質より量なタイプの高山薫に立場を奪われたが、ルヴァン杯で右WBとして好プレーを何度か見せる。

リーグ戦では途中出場したりしなかったりで長期間ボッコリ居なくなってざわついたりもなく、かといって主力とは言えず。もどかしい年だった。そんな今年の星のトピックスと言えば、相変わらず顔が良いこと、はにかんだらあざとさがチラ見しちゃうこと……だけでなく、新たなポジションをやった事だろう。

それまでは左右(主に左)のサイドでのプレイヤーだったが、20節川崎F戦で途中出場をすると左シャドウをやった。サイドからのカットイン→シュート(枠外)は相変わらずだったが、田中達也との相性が良く、チャレンジ&カバーがスムーズだった。それだけでなく、内側でも上手い。スペースに入り込んでターン→シュート(枠外)やボールを受けて引き付けてサイドへ出したりと違和感なくプレーできていた。また、元々サイドのプレイヤーなためか、様々な場所に顔を出して掴みづらい選手として振る舞う一面も見れた。

今年もサイドには田中、高山、松本と強力なメンバーが居る。そこに食い込む事ができるかも楽しみだが、シャドウで新たなオプションとしてより機能する姿をみてみたい。

 

29.岩田智輝

27試合 2403分(4G3A)

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柴犬

にへ~っとしてる柴犬っぽい智輝。かわいい。が、プレーは逞しかった。

2種登録の時からアデミウソンを完封したりと対人の強さがあったが、J1でもそれは遺憾なく発揮。攻撃面でも重要なタスクを担って多くの勝利に貢献した。惜しむらくは怪我で度々離脱をしてしまったこと。今のところ智輝の替えは実質的に居らず、誰かが代役を果たしても、どうしても異物感が残ってしまう。活躍したらブッコ抜かれる無慈悲なJリーグで戦うカネのない地方クラブ。次の手は常に考えなければならない。

昨年、アウェイに行った際に智輝が対人で勝つ度に「さすが智輝や!」といった声や拍手が多くてニヤケた。みんなわかってる。それだけでなく昨年はチーム3位タイの4ゴール。意外に取るやん?今季も守備から攻撃でチームの主軸として、大分の、日本の代表として世界と戦ってほしい。イニエスタにメンチ切れる強心臓を「世界に」見せつけるシーズンに!

 

39.庄司朋乃也

6試合 334分(1A)

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ほのや(・8・)チュン

庄司をはじめて見たのはユースの時。ヘディングの強さと正確なロングフィード。その場にいたどの選手たちよりも印象に残った選手だった。そんな彼もプロになり、J2オールスターズと呼ばれるまでに成長。加入が決まった時は本当に嬉しかった。

しかし、鈴木義宜の牙城は崩せず。3バックの中央の選手なイメージだったが、出場した試合では左CBが多かった印象。持ち味のロングフィードをするより前にプレッシャーにさらされて近くの味方に慌ててパス、という場面が多かった。

原因としては、一言。アングル。

ボールを受ける際にはパスの出し手側に身体を向けてしまい、受けてからのプレーが窮屈になる。パスを出す際にもちゃんと相手の方向を向いてパスを出すため、パスコースが読まれやすい。実際、神戸戦では特に狙われ続けてしまい、ビジャにまんまとやられていた。ボールを大事にするチームなため、丁寧にプレーしようとすると読まれるという悪循環に陥っていた。真面目なんだろうなぁ……

そんな庄司だったが、浦和戦で魅せてくれた。智輝の負傷離脱によりスクランブルで出場をすると、被カウンターの場面でインターセプト。奪ったボールから小林成豪のスーぺルゴラッソに繋がった。

プレスに慌てず対処できれば、持ち前のロングフィードインターセプトなどがより活きる。今年はレンタル元のセレッソに復帰するが、ロティーナ監督のもとでまた一回り成長することだろう。

 

41.刀根亮輔

1試合 45分

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戻ってきた男

前十字靭帯損傷の大ケガから復帰。それよりもデカかったスーパーオウンゴール。まぁそんな日もある。

今季のリーグ戦は神戸戦での45分のみ。しかし、その神戸戦で智輝の穴を埋めるようなプレーを見せてくれた。チンピラな見た目で恫喝して対人守備をしたり(してない)、攻め上がりも滞りなく、ビルドアップも積極的に。様々なポジションやってたからかそつなくプレーしていた印象。

今年は怪我なく、ルヴァン杯から厳つさをみせてほしい。復活の年に。

 

42.矢野太一 ※2種登録

0試合 0分

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秘めたポテンシャル

ユースっ子。リーグ・カップ戦共に出場がないため知る人はあまり居ない。

自分は鳥栖戦前日に行われたプリンスリーグvs日章学園を観に行っていた時にチェック。ポジションは義宜と同じCB。ビルドアップでGKの木戸雄登と共に中央での落ち着いたボール回しを披露。逆足も器用に使っていた。プリンスリーグ後期では怪我をしていた様子。トップ昇格とはならなかったが、継続して追う価値のある選手だと感じた。どこの大学に行くんだろ?進路も楽しみだ。

 

49.羽田健人 ※特別指定

1試合 83分

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経験を積んだ人。

33節仙台戦で初出場を果たした選手。三竿の出場停止で左CBどうするよ???での答えが彼だった。プロでの試合では結構狙われていた様子。まぁはじめてだからしゃーない。

今年は関西学生サッカーリーグにちらほらと行ってたので、関西大学もチェック。桃山学院大学との試合をメモってたからそれを参考に。

羽田の他には関西大にG大阪内定の黒川圭介、桃山大には長崎内定の毎熊晟矢、大分高出身の佐藤碧もスタメン出場をしていた。

この試合での羽田の印象はボール奪取からの前への意識の高さ。この日の関西大のボランチにボールが収まらなかったためかGKからボールを受けると、まずは前線を見て配球。ロングフィードには自信がありそうだ。また、対人が上手く、インターセプトからロングスルーパスをしたりと、攻守の切り替えも速かった。

大学の、それも1試合だけの印象のため、ここからさらに強度が上がったプロの試合でどんなプレーを見せてくれるか非常に気になる。

 

次回はMF編!強い気持ちで!

 

写真は大分トリニータ公式HPより

 

【大分】2019年シーズンレビュー Go!Forward!〈選手編① ~GK編~〉

あけましておめでとうございます。

昨年はやろうやろうと気持ちばかりで筆が進まなかった年でしたので今年はなるだけ記事を配信できればな、という気持ちはあります。気持ちね。

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さてさて。新体制発表まであと少し。去就もだいぶきまってきました。積み上げを信じてサポートするのみ。と、その前に去年の選手個人の印象とかを振り返ります。第1弾はGK編。

 

1.高木駿

34試合 3060分(フルタイム出場)

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アゴナガスタグラムな人。

リーグ戦フル出場。開幕の阿道への浮き球パスでJ1でやれる自信を掴んだ。ビルドアップ時にCBのようにプレーしたことが注目されたが、ビッグセーブでも魅せてくれた。至近距離からのシュートストップ、ミドルレンジからの不意討ち……J1だとよりピンチは増えたがDF陣と共になんとか踏ん張った。

セーブをみてるとどれもちゃんと身体を伸ばしてセーブできてる場面が多い印象。タイミングを外されても喰らいつけてたのは足の運びとかが上手いんだろうな、と。良いセーブは良い準備から。丁寧。

そして今季は昨年よりWBにボールを付けるのが上手くなった。タッチラインを割らずにライン際に出すのは難しい。それも浮き球で。開幕の阿道へのパスみたいにダイレクトでサイドにつけるのではなくワンバウンドさせて付けるのが増えたからだと感じる。

ここまで書いてると安定感あって抜け目のない雰囲気だが、バックパスをキャッチしてヤベッ!ってなったり、お子さんが産まれた試合でオウンゴールしたり……そういうおちゃめなとこも(失点しなければ)すき。

来年はもっともっとチャレンジして中央に速くて低いパスとかやってほしい。高木ならできるし、高木じゃないとチャレンジできない事。俺たちの高木駿。今年も頼んだぞ!

 

21.小島亨介

0試合 0分

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Hカップの余韻でざわついてた人。

大卒ルーキーで年代別の正GKがまっさか昇格組のチームなんかに……来ちゃってた。めっちゃびっくりで期待されていた。が、ルヴァン杯で出場も、リーグ戦では高木の牙城を崩せず。どちらかと言えば苦しいシーズンだった。

出場したルヴァン杯ではセービング能力の高さと足下の不安の両方が見えた。

セービングでは高木同様、足の運びが上手くちゃんと伸びきってセーブしたり、プレジャンプが小さいため見切りしちゃう場面もなかった。名古屋戦では古巣相手に大学の同期である相馬勇紀に決められた場面。シュートスピード、コース共に良く決められてしまったが、プレジャンプで片足を残す→足の運びでボールとのギャップ埋める→身体を伸ばしてセーブへと動けててプロってすげぇ!ってなった。並のGKならプレジャンプのタイミングを外されて見送りパターンだったはず。

一方で足下はまだまだ発展途上。本人の加入時のコメントにも「足りないところを伸ばすために来た」ってのがあったように、左足で近くの味方を探して出すまでの判断が遅く、右足はおもちゃ気味。相手に左足側のコースを消されたら出し所に困っていた様子に見えた。

判断や足下については、大分のDF陣を見てもわかる通りプロになってからでも絶対に伸びるので、20代後半の一番脂の乗った時に良いパフォーマンスができればいいんです。大分はGK王国だからそこらまで見込んで取ったはず。まずは今年、新潟でスタメン取ってポテンシャルを見せつけてほしい。

 

22.ムン キョンゴン

0試合 0分

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キムサランて誰や!ってシーズン前になった人。

リーグ戦終盤でベンチ入りが増えるも、リーグ・カップ戦を含め唯一の出場機会がないGKになってしまった。そのためプレーはわからない。終盤でベンチ入りが増えたのはポープのレンタル満了や小島の足下等を加味したら……というやや消極的な理由っぽいのかな、とか思ってしまった。

ピッチ外では積極的に選手に絡んでいってるようで、三平や伊佐から弄られて後藤や長谷川を弄ってるのをみると日本語でのコミュニケーションがしっかりできてるんだろうな、ちゃんと話してモノにしてるんだな、と。高卒で隣国とはいえ海外に来てプロ選手として働くって想像以上に大変なはず。来年こそはルヴァン杯でもいいからプレーしてるムンちゃんをみたい。

 

31.ポープ ウィリアム

0試合 0分

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ポプ山のポプの方。

まずはこれに触れないわけにはいかないだろう。天皇杯3回戦鹿屋体育大戦。まさかまさかのロングバックパスを決められて全国ネットで晒されまくってたのは本当に可哀想でしかなかったが、エンタメとしてはとても面白かった(白目)

本人の名誉のためにちょっと書くとするならば、あのタイミングでゴールを空けてたのはポープがボケッとしてたのではなく、相手FWがカバーシャドウをして中央の岡野のコースを消しながら左CBの刀根にプレス。岡野のパスがやや後ろに流れたため刀根は多少慌ててバックパス。ポープは岡野の逆側のCBとしてプレスの逃げ道になるように準備していたから無人のゴールになってしまった。ちょっとしたズレで簡単に崩れちゃうのよね……って言い訳。

主にルヴァン杯で出場。出場機会だけでいえば序列は2番目だった。GS5節神戸戦では嬉しいプロ初勝利。伊佐スタでのホッとした笑顔、ステキだったなぁ。

プレーではセーブより足下の上手さが印象的。浮き球での配球は少な目だったが、グラウンダーで散らしは上手く、時たま見せるボランチへの楔とかをみるとヴェルディユースブランドはダテじゃない!って感じた。もっとサイドにつける事ができたら現代的なGKとして活躍できそう。

インスタグラムではリーグ戦終盤で畳み掛けるように高山さん家で上手そうな料理を食べてたりシーズンオフに一緒におでかけしてたりと、何かとウワサになってたポプ山。レンタル満了、岡山移籍の際には惜しむ声と共に高山の扶養から外れる心配が多かったのには笑った。多分今年は大分と岡山の間を取って山口あたりでイチャコラすると睨んでる。岡山で主力になって立派な正GKになってほしい。がんばれ!

 

次回はDF編!

 

写真は大分トリニータ公式HP大分トリニータオフィシャルTwitterより

【大分】継続はやがて勇気に〈チーム編②〉

這い上がる。やり直せる勇気を見せる。一度躓いたってなんとかなる。できる。今年の、そして片野坂体制4年間でのトリニータそれを見事に体現した。

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まとめは1節からざっくりとしたくくりで4つ(序盤、前半戦折り返し、後半、終盤)に分けてみました。それを踏まえてどうよ?って流れで。

それではシーズンの振り返り!すたーてぃん!

 

ブレなさと抜け目なさが生んだ"勢い"

開幕の鹿島戦(2-1○)、4節の横浜FM戦(2-0○)などのビッグサプライズ。開幕から10戦で6勝2分2敗。アウェイ負けなしと最高のスタートを切った。

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大分旋風を巻き起こした大きな要因としては対戦相手が大分への対策よりもチームのストロングポイントを出したがった事と、チームの完成度が他クラブよりも"ほんの少しだけ"勝っていたからだろう。

対戦相手がストロングポイントを出したがった理由としたら、大分は2部上がりである程度「個」で勝る事が想定されやすい事、序盤戦であるが故にチームの底上げを図り、中盤戦以降を見据えて選手たちが実践の中でどんなプレーが出来るのかを試す場にした、という面が大きいだろう。

その一方で大分は、カテゴリーが上がっても「ボールを保持する」戦い方は継続。GKからのビルドアップや焦ってボールを蹴らないといった約束事を大きく変えなかった。相手が「個」で勝る事をある程度前提にして勝負をしてくるため、昨年戦った松本以外は面白いほど大分のビルドアップに食い付き、GKへの対応に四苦八苦しているうちに背後を取ってしまうことができた。

 

このブレなさと、シーズン序盤戦特有のメンバーの流動性が上手くマッチしてゲームの流れは思った以上に大分がやりたいことができる時間が多かった。それに加えて大きかったのは、抜け目のなさであった。

 

序盤戦、その抜け目のなさを遺憾なく発揮したのは藤本憲明
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開幕から7試合で6G1A。すごく飛び抜けた身体能力は無いが、スペースを見つける動きやこぼれ球への反応が物凄く上手い。逆足でもちゃんと上手いしワンタッチで仕留められるし……大分の相手を釣りだして背後を取る「疑似カウンター」との相性は抜群。彼の抜け目のなさも序盤戦での躍進の要因のひとつであった。

 

足腰を鍛える

10試合で6勝も挙げれば嫌でも目立ってしまう。11節からリーグ戦折り返しの17節までで挙げた勝利は2試合。12~16節は3分2敗と1か月丸々勝利から見放されてしまった。

12節清水戦では各ポジションの間で守られてパスコースを消されて、リスクを負ったパスがシンプルに無謀なパスとなったり集中力の欠如からかミスが増えた。今季一番のカミナリが落ちたとのこと。せやな……

続く川崎F戦、FC東京戦では「個」の力に圧されての敗戦。名古屋戦、神戸戦ではなんとか粘って引き分けという展開。ヒヤヒヤものばかりだった。しかし、それは裏を返すと「あと少し」の場面で守りきることができたとも言える。高木駿、鈴木義宜を中心とした守備陣が鍛えられた時期だった。

 

中でも鈴木義宜は印象深い。

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キャプテンとして、ビルドアップの中心として大黒柱であり続けているが、この時期にぶつかった「個」の力は久保建英永井謙佑レアンドロ・ダミアン、ジョーなど強烈な相手ばかりだったが、なんとか身体を投げ出してシュートブロック。多分読みやシュートコースを"見せる"のが上手い選手なのだろうが、J1仕様に合わせてきたのは流石の一言。それに加えて16節神戸戦ではバルトラロール(選手総括で言及します)をこなして劇的同点弾のアシストも記録。攻撃面でも成長できた。この高木と鈴木を中心とした踏ん張りがあったからこそ、上手くいかなかった時期もなんとか踏ん張ることができた。

 

「質」への挑戦

後半戦。移籍マーケットが開いてから出場機会に恵まれなかった馬場賢治坂井大将、吉平翼、高畑奎汰の4人が期限付きで退団。主力だった藤本憲明、序盤戦では主力だった福森直也が完全での移籍。一方で新加入選手として名古屋から小林裕紀G大阪から田中達也を完全移籍で、大宮から嶋田慎太郎を期限付きで獲得。

チームとしての骨格が固まっているため、現状のメンバーで物足りない所を補強し、思うように活躍ができていなかった選手の放出もある程度スムーズに行えたと思われる。その一方で藤本憲明の神戸への引き抜きは、強化部からしても青天の霹靂であった。ここで後手を踏んでしまった事が後半戦に響いてしまった。

「藤本がいないから点が取れなくなった」のは結果論でしかないが、あながち間違いでもないのが悔しいトコロ。この年のJリーグの夏のマーケットでは大きな動きが多く、後釜のリストアップもままならなかったというのが本音だろう。

 

編成では絶対的になりつつあったCFが流出したためやや苦労はしたが、基本的な方針はブレずに貫けた事は評価に値すると考える。それはこの時期に直面した「個」や「質」になんとか喰らい付く事ができたからだ。

 

折り返しの18節から30節までで3勝5分5敗。負け越しや20節~26節まで約2ヶ月も勝ちから遠ざかったりとまぁしんどい時期。個々のクオリティで劣ってはいるがゲームプラン通りに、上手く事が進んでいても理不尽に殺られる事が多かった2ヶ月。そこを耐えて耐えて、ブレずに継続できた事がクラブとして今年一番評価されるべき点だと思う。

 

今年一番成長を感じられたゲームもこの時期。第25節の松本戦だ。

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結果こそスコアレスドローではあったが、松本を終始圧倒した90分。昨年から共に昇格したクラブとの対戦だったからこそ多くの「変化」を感じられた。

ボールを保持して後ろからゆっくりつなぐ大分に松本がプレスに行く。それに対して大分の選手たちはボディフェイントひとつでタイミングを外したり、味方へパスをできたりと技術、判断面で大きな差を見せつけた。また、ボールを奪われても即時回収。フィジカルが強みである松本を相手に球際での強さも見せてくれた。

「質」に悩み、挑み、折られる方がやや多かったが、少しずつ少しずつ、それこそ亀のように日進月歩で積み上げができた時期だった。

 

貯金を生かし、来期へ

30節FC東京戦で敗れたものの、他会場の結果により目標であったJ1残留を果たしたトリニータ。混戦のJ1リーグの中で想定外の早い時期に来期もJ1で戦える権利を得た。

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望外の展開が故に、ここからのモチベーションの低下や来期に向けてどういうアプローチをするかが最大の焦点だった。

31~34節。特に最後の2節では来期に向けた戦いをしたように見えた。そこでのテーマは「1年間で選手のクオリティがどれだけ通用するか」と「最悪な状況の中で勝つ手立ての模索」であった。たぶん。

 

1つめの選手のクオリティについては、戦術的な後ろ楯が乏しい、もしくはない状況でどれだけピッチ内で考えてゴールまでの手立てを創るか。

夏に藤本の引き抜きがあったし、これから滅茶苦茶つまらない代表に片野坂監督が引き抜かれるかもしれない。というのはそんなに大きくなく、素のままで今の時点でJ1で通用する部分、しない部分を見てたような。

 

2つめは最悪な状況での勝つ手立ての模索。多分こっちが本命。自分たちの用意したプランが上手くいかなくなった際に、もしくは片野坂監督の策が出涸らしになってしまった場合にどこに光明を見出だすか。これを探して来期の準備をしていたように見えた。

 

ここの2つはただ単に負けた理由探しをしたのではなく、片野坂監督がこの2試合で「不可解な」変更があったからそうなんじゃねーかな、って妄想。キーワードは3センター。

 

仙台戦では岩田智輝、羽田健人が自陣高めの位置でボールを受けても相手がプレスを積極的にかけてこないから中盤内側をダブルボランチ、2シャドウから3センターにしてもっと前に人数かけて押し込もうぜ!って算段があったかもだが、C大阪戦の後半開始時の小林裕紀からティティパンへの交代で3センターにしたのは、それまでの大分の戦い方からするととても「不可解な」ものにみえた。

それまでは内側を見せて外側を使う形(岩田のインナーラップから松本怜の大外使うみたいな)が多かったが、WBの松本、田中達也を敢えて孤立させて(C大阪戦では交代枠を45分で早くも1枚使ってまで)攻撃が詰まるようにしたのは片野坂監督らしさが全く見えなかった。つまりは何かしらの意図があったのでは?というそれっぽい妄想。(総括……なのか?)

 

大分に片野坂あり

できることをこなし、積み上げ、来期へ繋げた大分トリニータ。J1残留を成し遂げる事ができたのは片野坂監督の采配が大きかったからだ。

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片野坂監督は一貫して3バックを継続。質や個々のクオリティでは勝てないが、徹底して数的優位と位置的優位を生かしてJ1を生き残った。

 

数的優位については3バックが一番わかりやすいだろう。相手がボールを持ったらまずは引いて守る。後ろにDFの3人と左右のWBが「構えて」5枚に。この「構えて」というのがミソで、相手FWと並走してボールの追いかけっこを愚直にしてしまうと速さだったりフィジカルで負けてしまうから、ちゃんとセットして、構えて守りましょう。という形。

今年はその後ろ5枚リトリートに+αを求めた。

 

昨年の主な守り方は5枚ベタ引きにシャドウが開いて5-4-1で守る事をしていたが、これではいざボールを持ってもチームの重心が低く(=位置的優位性がない)遅攻に頼らざるを得ない場面があった。それを今年の夏ごろから守備を5-2-3へ変更。シャドウはサイドに開かずにできるだけ中央に留まった。それによりサイドは明け渡す形になったが、ボール奪取時に位置的優位を確保しやすく、ゴールに近い位置でプレーができるようになった。

 

位置的優位については様々な視点があるため一概には言えないが、どこにスペースを造るか、ボールをどう受けるかに力を入れていた。

どこにスペースを造るかについては相手を食いつかせて相手のDFラインとGKまでの距離を間延びさせることでできるスペースを使う疑似カウンターの形をベースに。他にもWBがサイドの高い位置でボールを受けて斜め下のハーフスペースにスペースを造りCB(HV)がクロスの形だったり。様々な再現性のあるものだった。

ここにボールの受け方のクオリティをより突き詰めた1年。例えばGKからボランチへパス。ボランチはゴールを背にして相手のチェックを受けている時。ボランチは近くで前を向けているDFに戻す(位置的優位+数的優位)のがメインだったが、マークを受けながら反転(質的優位により位置的優位を創り出す)するチャレンジを各ポジションで求めた。

 

この数的優位と位置的優位を生かすだけではなく、徹底的に質的優位を殺す手立ても準備。それはカウンターの封印だ。

今年はそれはもう泣きたいほどカウンター絶対禁止!を徹底。たとえ高い位置で相手のミスからボールを奪ってもやたらむやみにゴールへと向かわず、じっくりゆっくりとボールを回した。

ホーム戦では度々「早くゴールへ行かんか!」などの声も聞かれたが、カウンターをするということは、裏を返せばどこかでボールを奪われてカウンター合戦になってしまう。ボールがゴール前をスピーディーに行き交うのはとてもハラハラドキドキすることだが、そんな展開では「構えて」の守備はできないし、数的優位や位置的優位を作れない。それが作れないと言うことは質的優位に晒される事に他ならないため、片野坂監督にとってもある意味不本意だったはず。しかしブレずに淡々と1年間継続して残留を掴み取った。J1定着がこれからの一番大切な事であり、そのための礎をつくったのだからカウンターの封印なんて些末な事ではないか。

生き残るためになりふりなんて構ってられない一年だった。そんなシーズンで理想と現実!みたいな両極端な事をせずに、理想のために今できる現実を選んだ片野坂監督に心から感謝を申し上げたい。来年も大分に片野坂あり!という采配を、勝利を期待しています。

 

継続はやがて勇気に

振り返ると、本当に、本当に報われたシーズンだった。

残留という目標を達成し、まさかまさかの2008年以来の1桁順位という結果を残したからだけではない。クラブとしてドン底をみて、そこから共に這い上がってきたメンバーがJ1の舞台で通用すること、活躍する姿を観れることが本当に嬉しかった。これをクラブの新たな1歩とできるのが嬉しくて仕方がない。

そして、自分にとって今年なによりも嬉しかったのが昭和電工ドームで1試合平均が1万5千人を超え、2万人以上の試合が3試合もあったこと。

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CKなどチャンスの時に少し遅れて響く手拍子。ゴール前での歓声。

昔の、そこまで強くはなかったが約2万人の人が毎試合トリニータを観に足を運んでいた15年くらい前を思い出した。

ここまで、それはそれは遠回りをして、たくさんの過ちを犯した。それでもまた、たくさんの人がトリニータに関心を持ってくれるのが本当に嬉しかった。
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神戸戦ではハーフタイムにスマホでキラキラは空間にできたり、続く鹿島戦では25周年記念にユニフォームも配布してくれた。友人も05年のコンフィットTシャツ(三木)からやっと新しいエンブレムに変わった。

相変わらずたくさんの人がドームに行くと渋滞が起こったりするが、それがまた懐かしくて。あー、J1戻ったんやな。ちゃんと戻るまで10年かかったな。とかしんみり。

 

トリニータを追い続けて良かったな。本当に報われたシーズンだったな。こっからまたいろんな挑戦をしような。とか思っちゃうわけです。

 

這い上がって、やり直せる勇気を見せてくれたトリニータ。一度躓いた先のJ1はとても輝いた、素敵なものだった。

そして、トリニータが体現した継続性を見て「俺も頑張らなきゃな」と。トリニータが日々の活力に、勇気になっていく。素晴らしい1年だった。

 

 

写真はトリニータ公式HPより

 

 

【大分】勝手にトリニータアウォーズ2019〈チーム編①〉

みなさんお久しぶりでございます。

夏場から更新をサボりにサボりまくってたので超久々の更新。いやぁ、ズボラしたなぁ……

 

そんなことはさておき、シーズン総括です。

まずは勝手にトリニータアウォーズ。いろんな賞を考えるのが面倒だったのでジェイさんの記事を元手にしました。面白いのでみんな読んでね。


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目次

 

それじゃ、いってみよう!

 

ベストゴール

岩田智輝(第21節 vs鳥栖)

ダービーで逆転となるゴールの価値もそうだが、あの時間帯、被カウンターになりかけた場面で即時回収から逆足でのコントロールショット。完璧~!

生え抜きが決めるってのもエモい。

 

次点
後藤優介(第29節 vs浦和)

前回は3-0からひっくり返されて負けた埼スタ。なんならマグノの「大分は死んでない」のあのクラブ史に残るゴールで勝って以降未勝利の埼スタで、クラブ生え抜きの西川周作が守るゴールを生え抜きのごっちゃんがロスタイムに決めちゃう。出来すぎです。うちはこういうストーリー性が強い背景があると印象に残る試合をやりがち。だからトリサポは辞められん。

現地で観てましたが「最高!」の一言。あの埼スタが静まり返った中で歌った使者は人生の宝です。一生大事にする。

※なんで次点のが長いんだよ!ってツッコミは受け付けません

 

ベストゲーム

第3節 vs横浜FM

「大分旋風」を巻き起こした上半期の中でも強く狙いがハマった試合がこれ。

J2上がりでまだ他クラブが「ま、あれはJ2だったからできたんでしょ?」と大分に対して対策よりも自分たちの良さを全面に出してくる事が多かったのも背景にあるが、横浜FMの構造を叩いて大分の強みを全面に出せた。

横浜FMの偽SBに対して大分は3センターで内側を切って相手アンカーの喜田拓也を前田凌佑がマンマークで自由にさせず。ボールを持ってはサイドでCBを絡めて分厚く攻める。ここから藤本憲明が2点取って勝ち。ビルドアップではDFラインの身体の向きで相手の4バックが左右に振り回されて本当に痛快だった。

J1に大分あり、と知らしめるゲームだったのでベストゲームです。

 

トリニータレコード大賞

クソッタレが原動力/強

選手発信でオフィシャルが乗っかる。最高の形だと思う。プロモーションもスポンサードも「共に」という気持ちがあれば全く聞かない曲調でも伝わるし響く。トリニータ公式も今在籍していない選手でもこれまでの4年をギュッと詰めた写真のチョイスで本当に素晴らしかった。

また来年も強さんのスタジアムライブとかあればいいな、素敵な関係が続けば良いなと思います。

 

心臓/中村慎吾

ガチサポーターの中村慎吾さんのこれも外せない。地元で活躍する方って掛け値なしで応援したくなるのはユースっ子のそれと同じ。クラブ側となにかタイアップとかがあればなぁ……

 

技能賞

三平和司(第26節 vs湘南)

シュートの時にチョンと横にずらして相手の股抜きしてGKの逆取ってのゴール。大好き。まだ坊主だった頃の三平はサイドの人間魚雷だっただけにすごく上手くなった。京都よありがとう。そしてJ3も経験した彼がJ1で技術で出し抜いてのゴール。いくつになっても成長よ。すんばらしい。

 

敢闘賞

高木駿

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カテゴリーが上がってよりキツいコースだったり予想外のタイミングだったりしただろうが、リーグ6位の失点数の少なさを達成。DF陣の頑張りもあったが、最後の砦として奮闘した。またビルドアップではCBのようにプレー。相手の前プレを混乱させる事と前線の人数を増やす事をJ1でも両立させた。そしてリーグ戦フルタイム出場。来年も屋台骨の一角として頑張ってほしい。

 

殊勲賞

小林成豪

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ちょっと出てガッと点取って怪我ったドリブラー。今期は7試合出場で内5試合がベンチスタート。2ゴールと燻った印象もあるがその2ゴールはどっちもスーペルな一撃。停滞感が出てきた夏場以降で待望論がいくつ出てきたことか。本当にインパクトに残る1年。来年はぜひ敢闘賞を狙ってほしい。

vs神戸戦

vs浦和戦

 

スーペルゴラッソ!!!

 

功労選手賞

丸谷拓也
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「勝負しなければならない」

2018年、不退転の覚悟で挑んだ2度目のトリニータへの移籍は、それまでのレンタルではなく完全でのものだった。昨年は主力としてプレーし、影のMVPと呼ばれるほどチームの屋台骨としてJ1昇格の原動力となった。そんな彼がまさかまさかの引退。早すぎる。

しかし、トリニータ復帰2年目の勝負で他のボランチたちを押し退けて継続的に試合に出場できなかった事から、大きな決断をしたのだろう。

今年はルヴァン杯をメインに出場したが、そこでもボランチとしてより右CBとして出場する機会のが多かった印象。昨年はスクランブルで右CBをこなしたが、バタついたり徳島戦で退場したりとほろ苦い思い出が。しかし今年はポジショニングの上手さだけでなく、攻め上がりのタイミングから思いきりの良さを感じられていただけに、本職のボランチ起用をされた時、どんな変化を見せてくれるのかがとても楽しみにしていたが……

こんなプレー見せといて、もう見れないの!?

 

最終節終了後のセレモニーで本人がプロサッカー選手としての人生を振り返りで家族への感謝を述べている時に、言葉に詰まってたのにはもらい泣きしてしまいそうになった。優しい人柄が滲み出たシーンだったと思う。

マルと共に過ごした4年間は本当に山あり谷あり。プレーオフにシーズンホーム未勝利、主力としてJ1昇格の立役者に、最後は余裕をもって残留を決めた。目立つプレイヤーだけが上手い選手ではなく、目立つプレイヤーを引き立てる名脇役がいるからより輝ける。チームに一人居るだけで本当に心強い存在でした。ありがとう。丸谷拓也のこれからの人生にたくさんの幸せがありますように。

 

新人王

長谷川雄志

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ここ数年の新卒選手では群を抜いてた長谷川。ルヴァン杯で頭角を表すとメキメキと成長した。元々のウリである両利きで左右に散らせる上手さと中盤で闘える強さだけでなく、ゲームのなかで「剥がす」プレーも増えた。本当に大卒か?ってくらい落ち着いてる。もっともっと上手くなればピルロっぽくなりそう。たぶん夏場は日焼けしないで赤くなるタイプ。

 

MIP

伊藤涼太

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昨年水戸で2桁得点をマーク。期待された今期は開幕こそスタメン出場を果たしたが、リーグ戦4試合144分とベンチ入りすらままならない結果に。しかし天皇杯で奮起。鹿屋体大戦、広島戦と連続でゴールを決めた。

本人的には滅茶苦茶不本意なシーズンだったはずだが、夏場で腐らず結果で応えた。逆境に燃える選手は大好きです。

一番印象に残ってるのはホームでの鹿島戦。出場こそなかったが、ハーフタイムに一番にピッチに出て三平とパス→ターンの練習や無回転ミドルの練習をしていた。「俺が出たら流れを変えられるぞ!」って強い意思を感じた。目の前の90分だけが選手の価値ではなく、そこに向けた日々の努力って本当に本当に大切だと思う。まだ21歳の彼の背中から「プロとはなにか」を感じた。来年もまた青いユニで、ピッチでその勇姿をみたい。

 

MVP

岩田智輝
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大分旋風のキーマンとして、対戦相手が一番手を焼いたであろう選手。WBの松本怜とサイドでタッグを組み、大外からのマイナスクロス、内側低めの位置からダイナミックなクロス。時にはカットインしてシュートと右サイドが大分の攻撃の強みになっていた。

守っては対人の強さを生かして封殺。背後を取られてもわりとボール回収や相手を遅らせたり、時にはイニエスタにキレたりと守備でも大きく貢献した。

コパ・アメリカではトリニータから久しぶりのA代表として出場するなど、明るい話題も提供してくれた。来年はオリンピック代表として大きな期待がかかる。やっぱり智輝がナンバーワン!

 

 

次回はチーム振り返り、総括編!

掴んだもの、物足りなかったもの。1年間どうだったよ?って所感。お楽しみに!

 

写真はトリニータ公式HPより

 

 

【大分】vs川崎F(A) 内側の強度〈J1 第20節〉

わかっててもやられた。そんな試合。やはりJ1優勝クラブ。対策はしっかり準備して、それなりにできたが「それなり」以上にはならなかった。無念。

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現地、行ってきたよ。

 

この日のメンバーは以下のように。

川崎フロンターレ
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多摩川クラシコで効きまくっていたと噂の齋藤学をスタメンに。川崎サポの先輩曰く「矯正ギプス」と揶揄されてた家長昭博(ムキムキ)はベンチから。レアンドロ・ダミアンがベンチて……エグい。

 

大分トリニータ
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岩田智輝が怪我から復帰し、新加入の田中達也が早速スタメンに。前節から引き続き、中盤色の強い小塚和季(エロ)と小手川宏基(スケベ)がシャドウに入った。

 

強気で

オーソドックスな守備をする川崎に対して大分は強気なビルドアップを敢行。普段なら相手が中盤で強みを出せるチームならGKをDFラインに組み込んだビルドは控えめに、ボランチを1列落として空洞化を図るが、この日は積極的にGKビルドを行っていた。

 

ボランチが落ちるビルドアップだと……

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※大分→青、川崎F→白

川崎の前4枚を引っ張り出してボランチとの距離を敢えて間延びさせることができる。

 

GKビルドだと……

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※大分→青、川崎F→白

大分のダブルボランチが中央でステイ。GKがビルドアップに加わるためDFラインで大分が数的優位に。

ここで川崎のトップ下の中村憲剛が無闇にプレスに参加してしまうと、大分のダブルボランチを川崎のダブルボランチが監視、川崎のSBは大分のWBにピン止めをされているから前線で大分の3トップのうち誰かが余るため、中村憲剛は無闇にプレスに行けない。

 

大分は敢えて強気なビルドアップを積極的に行う事で、中村憲剛の押し下げを目論んだ。

もし中村がプレスに来なくとも、ボールをじわりじわりと押し上げていけば自然と中村憲剛が大分のDFラインに対面する形になるため、前線での数的優位を生かせる。

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※大分→青、川崎F→白

 

また、川崎の1stDFである小林悠がボールに果敢にプレスに行くため、カバーリングのために中村憲剛が動かざるを得ない場面も多々あった。

これにより大分は最終ラインからロングボールをDFラインの裏に出してオナイウ阿道を生かす形が多く見られた。

 

内側を消して

いつもより強気なビルドアップ。それにより高くなる最終ライン。大分は擬似カウンターで背後を使うハメ技めいたものをしているが、自ら最終ラインを高くして押し上げることはほとんどしてこなかった。

その理由として、ゴール前を行ったり来たりするハイテンポなゲーム展開になると選手の「個」の部分に頼る場面が増える(ピッチのいたるところで1on1ができてしまう)事を避けたいからというのがある。あくまでも「J1、18位」のチームであるため、個では劣るというのが片野坂監督の中で前提としてあるのだろう。各シチュエーション別でJ1の選手と同等、もしくはそれ以上のプレーはできるが、総合力では劣る。ならばハイテンポなゲームはできるだけ避けて、数的優位と位置的優位を確保しようというわけだ(たぶん)。

 

しかし、この試合ではラインを高くしているため、カウンターを食らうリスクを背負いながらのビルドアップを選択。相手のカウンターを阻止するために中盤の振る舞いに変化を持たせた。

シャドウの守備での立ち位置を最初から外に置いた5-4-1ではなく、まずは内側を締めて、相手のボランチに対して前田凌佑がプレスに行くという前節からの守備を継続。5-3-1-1(5-3-2)のような形で内側にスペースを作らない事を意識。

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※大分→青、川崎F→白

まずはネガトラの場目。シャドウが相手SBではなくCB-CH間に顔を出して内側のコースを切る。その間にWBが帰陣するため相手SBがフリーになるが、そこから厳ついロングフィードはそんなにないこととボールサイドのシャドウが寄せればOK。

 

川崎のビルドアップの時はこんな感じ。

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※大分が青!

シャドウはハーフスペースを閉じてSB、CHを共に見ることができる立ち位置に。ボランチの前田が下がってボールを受ける相手ボランチ(主に下田)とボールホルダー(CB)をカバーシャドウをしながらプレスに。(カバーシャドウはうちが甲府にボッコボコにやられたときのやり方)

長谷川はアンカーとして中村憲剛をみる。

 

入念な。とても入念な準備をしてました。これで内側で細かいパスを通して腹パンしてくる川崎の対策は万全!

実際、右サイドでボールを持つ時間があった登里はHSに小塚がいて攻め上がれないし、車屋を上げるために齋藤学を内側に入れてみたりと工夫はしていたが、再現性に欠くものであった。それでも左サイドで作って大外の阿部が絞って裏抜けしたシーンや、小林悠のバー直撃のシュートなど生きた気のしない展開ではあったが。

川崎は守備でも大分のWBをなかなか捕まえられずに四苦八苦。大外の田中達也松本怜の快速コンビが掻き回していた。

 

小休止で……

個の力では優位さをもっていたが、結構フリーダムで「アイディア出していこう!」な雰囲気がプンプンしていた川崎。しかし、飲水タイムからじわりじわりと「川崎対策」をなんとかしてしまった。

川崎の修正は2点。

ひとつは、ポジトラ時にSHが絞って大分のCBと対面するようにした。SHが組み立てに関与する場合は中村憲剛がその役割を。これはボールに対して積極的にアプローチにいく大分DFのピン止めと、トランジッション時にCB-ボランチ間を間延びさせる意図があった。

もうひとつは、守備。大分のCBから前線にボールが送られるためボールホルダーにSHがプレッシャーに行っていたがそれをやめて自陣で4-4-1-1のセットをして守るように。スペースがなくなった大分が押し込みに来たらボールサイドのSHはCB、SBはWBを監視して逆サイドがスライドをしてミスマッチをなくす。

前からのプレスは大分のバックパスの時のみに限定した。

これにより安定してきた川崎。主導権をジリジリと握られる形で前半を折り返す。

 

わかっていても

後半。川崎は攻撃でSHが絞って大外をSBが駆け上がる形でSB→SH→CFフリック→SB(ハーフスペース攻略!)で先制パンチ。こんな形で中がダメなら相手を寄せて3バック脇を使うのかな、と思っていた51分。下田北斗中村憲剛とワンツーでエアポケットに侵入すると齋藤学がボールを呼び込んでダイレクトで合わせて先制。大分は細心の注意を払っていたが、内側から得点を奪われてしまった。

 

しかし、直後に小手川→藤本憲明オナイウ阿道をシャドウに下げた「いつもの」3-4-2-1に戻すと、54分に高木駿からボールを受けた長谷川雄志がシンプルにDFラインの裏にロングボールを蹴ると、藤本が抜け出してボックス右からマイナスの折り返し。これをオナイウがしっかりあわせてすぐさま同点に追い付いた。

 

同点とした大分は、ゲームを落ち着かせるためにビルドアップ時に3バックが横幅いっぱいに広がり、川崎のプレスの網を拡げるようにしたが、その効果が出るかどうか探る段階でミスから再びリードを奪われてしまう。

61分。オナイウのバックパスが前田ではなく中村憲剛に渡ると小林悠にパス。小林は切り返しでDFを冷静に交わしてゴールに流し込んで大分を突き放す。

 

内側の強度

大分の2失点はどちらも中央を崩された形。しっかりセットしていても崩された1点目、自分たちのミスからの追加点。なかなかにダメージがデカい失点であった。66分に攻守にわたり動き回っていた前田からティティパンに替えて量の部分を確保して安定をさせようとしたが、それをしている間に川崎に大分の前プレの攻略をされてしまった。

こんな感じ。

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※大分が青!川崎Fが白!緑色がボール!

大分のCFがボールホルダーのCBに寄せてボールと逆サイドのシャドウが逆のCBへアプローチ。ボランチは前プレしてアンカーとしてボールの受け手になる下田にアプローチに。両WBは撤退。

川崎が狙うのはまずは赤マルの①。大分の間延びしたシャドウとWBのチャンネルをついてSBを高めに。そこにWBがケアしていくと赤マルの②へ。川崎のSHが開いてWB-CBの間に潜り込む。大分はボールサイドで狭い方はしっかり締める事が出来たが、逆サイドのWBの前後を使われて主導権を握れなかった。

これに対して大分も、プレスに行くのを藤本、オナイウにして小塚はボランチと横並びに配置をして守備のスライドをしやすくして対応はしていたが、それで手一杯というような印象に。

 

とっておきの奇策も……

守備で修正を加えてなんとか耐えていた大分。77分に長谷川雄志から星雄次に交代。WB3枚かと思いきや、まさかまさかの星はシャドウでの起用だった。

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左のシャドウに入った星。ルヴァン杯ですら見せたことのないコンバートだった。

星の特徴はカットインからの右足でのシュート。昨年はチームトップのシュート数だったらしく、攻撃への意識の高さが伺えた(なおゴール数)。田中達也がサイドの大外を引っ張って、星がハーフスペースを攻略というのをメインに、左サイドの活性化を図った。

星投入で田中がボールロストをしても星がサイドの穴を埋めたり、星の機動力を生かして掻き回すことを目的にした投入であった。

星投入の5分後には縦の突破と左サイドのクロス精度を求めて田中と松本のサイドを入れ替える。

が、次の得点も川崎。自陣からのFKでチョン・ソンリョンロングフィードレアンドロ・ダミアンが胸で収めてカットイン。ラストパスを阿部がダイレクトで右隅に巻いた美しいシュートが決まり万事休す。あれだけの「個」を前にはなすすべなし、といったようなゴールだった。

 

入念な準備、内側のケア、サイドの活性化といまある全ての武器を使った大分だったが、内側をやられて試合終了。川崎、強かった……

 

川崎の印象

内側の崩しの上手さが抜きん出ていた。スルーを織り混ぜたダイレクトプレーは圧巻の一言。個の能力の高さとチームプレーが合わさるとめっちゃ厄介であった。

一方で守備ではミスマッチを埋めるのに飲水タイムまで変更なし。もし前半の早い内に大分がゲームを動かしていたら……と悔しくもあった。J1のレベルの高さを思い出すと共に、来年リベンジができるように勝ち点を積み上げねばな、と感じた。

 

出しきる大切さ

結果こそ敗戦に終わったが、今持てる「最大値」を見せてくれた大分。下を向くことなく、淡々と次の試合に向けて備えるのみ。

川崎を大いに悩ませた前半の25分間。相手の守備のやり方を変えさせるほど「ヤバい!」と感じさせる事ができたのだから、自信を持ってやってくれればいつか結果はついてくるはず。方向性は間違っちゃいない。来年は勝ちにいけるはず。

 

 

川崎の思い出
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川崎大師行ってきたよ

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入院してる先輩のお見舞いに行って等々力へ。

住宅街を抜けると、YMCAで洗脳されました(*_*)

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等々力の前の方は段差しかなくて驚きました……

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見やすさは、うーん……f:id:west242447:20190915181004j:image

でも2階席からは見やすい。f:id:west242447:20190915181203j:image
可愛さの質では勝ってた!f:id:west242447:20190915181243j:image

人気アイドルのそれ。可愛さの暴力f:id:west242447:20190915181414j:image

これからも共に。次は等々力で勝とう!

 

川崎遠征、楽しかったです!