Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs新潟(H) 決め手は"シュータリング"〈J2 第27節〉

前節、新たな試みで喉から手が出るほど欲しかった後半戦初勝利を手にした勢いそのままに、4-0の完勝で連勝を飾った。

 

この日のメンバーは以下のように。

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前節からの変更は1つ。星雄次がメンバーから外れ、那須川将大がスタメンに。千葉から期限付きで加入した岡野洵がさっそくベンチに入った。

 

アルビレックス新潟f:id:west242447:20180806035117j:image

J1から降格して1年目だが、ここまでリーグ戦19位。後半戦も1勝4敗と波に乗れていない新潟は前節からの2枚の変更。GKをアレックスムラーリャから大谷幸輝へ、CBの原輝騎から怪我明けのソン ジュフンがスタメンへ。ベンチには新加入の梶山陽平と渡邊凌磨が入った。

 

焦らず丁寧に

この日のゲーム前のインタビューで片野坂監督は「狙いができれば勝てる」と自信を持っていたようで、選手たちもいつも通り焦らず丁寧にゲームに入った。前節と同様にGKを含めたビルドアップに取り組み、積極的にCBからFWにクサビのパスを入れる意図が見えた。

大分の新潟対策は、守備のマッチアップを明確にしたこと。3バックを右にスライドし、左サイドを那須川が埋めて4バックに。3センターの中盤は左にスライドして丸谷拓也小手川宏基がダブルボランチを組み、左SHに前田凌佑が入る4-4-2へ。

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誰が誰を見るかという単純な約束事だったが、これだけで新潟の攻撃はほとんど凌げてしまった。

新潟の攻めはSBからシンプルに矢野貴章をターゲットにロングボールを入れてポストプレーから落としたボールを田中達也が受けるか、タメを作って田中と左右のSHを押し上げるかがメイン。SBがドリブルで持ち上がって起点になることはあれど、直接得点に繋がることはそうそうないので、大分は自陣深い位置での不用意なファールをしないことが重要であった。

一方の新潟の大分対策は、大分の右CBの岩田智輝が松本怜とのコンビでサイドを崩してくる事を想定して、岩田に対面する高木善朗が積極的にプレスに行かず、リトリートをして縦パスを警戒。必然的に左サイドが押し下げられるため、セカンドトップの田中は矢野と高木の間を取り持つ事と、大分のビルドアップの起点になるボランチのチェックの2つのタスクを担った。それ以外はオーソドックスな4-4-2だったが、大分のボランチを抑えられなかったことが結果として大きな代償を支払うこととなった。

 

ゲームは開始すぐに矢野がファーストシュートを放つと、9分には安田理大のクロスを那須川がヘディングでクリアしようとするが後ろに逸れてゴールへ。ギリギリの所で高木駿が弾く。新潟の決定機はこれだけだった。

大分はサイドでCB、WB、ボランチの3枚でサイドを崩してはいたが、3ボランチの左右がサイドの組み立てに関わるためかバイタルエリアがぽっかりと空いてクロス一辺倒に。大銀ドーム特有の蒸し暑さにより今季初の飲水タイムを挟んで32分。中盤中央から丸谷→前田と渡り伊佐へ縦パス。ワンタッチで前田に戻して那須川と左サイドへボールが行くと那須川がクロスと見せかけた「シュータリング」。山なりのボールはファーサイドのサイドネットへ吸い込まれ、大分が先制点を奪う。

--その先制点は、クロスのようなシュートのような感じだったが……。

……狙いました(笑)。自分の中でもたまに「シュータリング」と呼んでいるのだが。ラッキーではあるが、ああいうところで持つとGKはクロス対応の体勢に入るので、そこを狙ったら良いところに行って入った。

大分-新潟 選手コメントより

スコアが動いてから新潟は小川佳純と加藤大が縦の関係になり両SBを押し上げたが、37分に岩田がドリブルで持ち上がり、伊佐へボールが渡ると反転してシュート。バーに当たり得点にはならなかったが、大分の3センターがボランチ脇を突いていき新潟はすぐに横の関係に戻していた。

結局前半は、那須川のゴールで1点のリードで折り返す。

 

最後まで激しく

大分は後半、三平のキックオフから鈴木義宜のロングボールを伊佐がヘディングで落として松本怜→小手川と右サイドを崩しマイナスのクロス。伊佐がニアサイドでスルーをすると三平が流し込み2-0。後半開始15秒ほどの電光石火の攻撃だった。

51分にも右サイドを崩し伊佐のフリックから丸谷がスルーパスを送り、抜け出した三平がGKをしっかり見てループ気味にシュート。これが決まり3点目。

67分には岩田の縦パスを右に流れていた三平が受けて中央へパスを送ると、三平とスイッチしていた小手川が冷静に合わせて4点目。これでゲームは決まった。

直後に伊佐にかえてひさびさの出場を果たした林容平、77分に三平から馬場賢治と前線をフレッシュにし、80分には那須川から新加入の岡野を入れる余裕を見せた大分。

新潟は渡邊凌磨、河田篤秀、ターレスと攻撃的なカードを切りパワープレーを仕掛ける。f:id:west242447:20180806062956j:image

が、球際で悉く大分に負け、波状攻撃もできないままタイムアップ。最後まで手を抜かず、球際、1対1のデュエルに拘った大分が1ヶ月半ぶりのホームでの勝利をゴールラッシュで飾った。

 

新潟の印象

こう言ってはなんだが、攻守で連動できずにサイドから再現性のないクロスをむやみに放り込む事に終止し、ほぼ何も出来ていなかった。前期ではオーソドックスな4-4-2で選手の質の高さで殴っている印象だったが、夏場に入りマンネリ化と対策をされて質的な優位は帳消しにされてしまい、選手たちは疑心暗鬼に陥っているように見えた。この試合が今季のワーストであれば「こんな日もある」で済ませられるかもしれないが、戦術的に遅れを取っているのは明確であり、2年連続での降格争いに現実味が出てきた。

チームとして機能性を欠いたのには、監督が的確な指示、戦術を持ち合わせてない事に起因するが、特に致命的だったのはボランチ。中盤の底に居るには居るが、大分の3センターの対応に追われて後手を踏んでおり押し上げに苦労し、それを発端にサイドとの連携ができなくなり攻撃まで上手く運べないという地獄の様な内容に。高木善朗にリトリートをさせて岩田の攻撃参加を抑える意図は面白いと感じたが、高木をボランチの位置まで下げて3センターにぶつけ、田中達也をサイドに回すくらいの思いきりもなく、ほぼ何も積み上げもないままターレスに「次に繋がるゲームを」とハッパをかけても目の前のゲームも戦えていないのに次は見据えられないのでは?と疑問を感じた。

選手で印象に残ったのは、右SHをメインにパワープレーの場合ではボランチに入った戸嶋祥郎。いい形でボールを受ける機会はほぼ皆無だったが、攻守でほぼ唯一走っていた印象で、球際で戦う姿勢を見せていたと感じた。そして戸嶋以上に印象に残ったのは他でもない新潟のサポーター。サウナのような大銀ドームで90分間声を出し続け、チームを鼓舞し続けていた。遠路はるばる大分まで本当にお疲れさまでした。

アルビレックス新潟というチームで一番戦えていたのがサポーターというのは寂しく、不甲斐ないこと。これをチームは、フロントはどう感じるのだろう。新潟の苦境はまだまだ続きそうだ。

 

新たな形をモノにして

ここにきて今季2度目の2試合連続クリーンシートでの連勝を果たした大分。ミドルサードからディフェンシブサードへの侵入を阻止できており守備の改善が見受けられ、GKを含めたビルドアップでプレス回避でも進化を遂げたように見える。復調の要因は、フォーメーション変更があったからではなく、球際の強さの再確認があったのではないか。

これからは引いた相手には3-1-4-2、押し込まれた際は3-4-2-1の2つを使い分けて行くことになるだろうが、今季開幕してすぐの山形戦でも実際にあったようにゲーム内での原則の大きな変化を伴うフォーメーション変更はなかなか上手くいかないのが常。その対策としてはしっかりと3-1-4-2のやり方を詰めてくしかないが、バイタルエリアの埋め方、ロングカウンターのデザインはこれからの課題として向き合わなければならない。価値のある連勝であるからこそ、これから終盤戦、そして来期以降にも繋げていくために細部を詰めていかなければならない。

新たな形をモノにできるのがすぐなのか、来期以降かは神のみぞ知る。しかし、難しい時期をレベルアップで乗り越えたチームをこれからも追っていきたい。そう思える試合であった。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第27節 大分トリニータ vs アルビレックス新潟 - YouTube

【大分】vs岐阜(A) ひさびさの勝利! 〈J2 第26節〉

5試合勝利なし。長いトンネルに入ったかと思われた大分だったが、中盤での優位を作り出して岐阜をシャットアウト。前半に奪った2得点をあげて久しぶり、そして待望の後半戦初勝利を手にした。

 

この日のメンバーは以下のように。

FC岐阜
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真夏の3連戦の最後で風間宏矢小野悠斗から三島頌平、中島賢星とトップ下の2枚を変更。前節から新加入の北谷史孝が先発に。

カウンターからの失点、セットプレーからの失点が多く、前節の讃岐戦ではCKから連続で失点。通算1勝の苦手大分にどう対応してくるかが注目された。

 

大分トリニータf:id:west242447:20180801152012j:image

5試合勝利から見放された大分は、前線の3人を総入れ替え。藤本憲明、後藤優介、馬場賢治をベンチスタートにし、伊佐耕平、三平和司小手川宏基が先発に。DAZNの予想では伊佐の1トップ、三平、小手川の2シャドウでの3-4-2-1と予想されたが、実際は伊佐と三平の2トップ、小手川は中盤の右に入った3-1-4-2か3-3-2-2の形でゲームに入った。

 

バイタルを埋めて

大分は中盤を前田凌佑、丸谷拓也小手川宏基の3枚で埋めて岐阜の中盤での細かいパス回しのスペースを消してサイドに誘導して奪いきる意図があった。

前期の対戦では、大分は4-1-4-1を採用してビルドアップで相手を引き込んでから中盤3枚がパスコースに顔を出して岐阜のプレス回避を目的にした3センターだったが、この日の3センターは前から仕掛けて相手の最終ラインに積極的にハメる意図があった。

 

大分は、岐阜対策として岐阜が自陣に居るとき、アンカーが落ちて疑似3バックになっているときは2トップが積極的にプレスに行きパスコースを消しに行く。岐阜がボールを持ち上がった際には1stDFをハーフラインよりやや下に設定をしてスペースを消す事を共通事項としながら非カウンター、ポゼッションの2つの場面によって形を変えていた。

 

・岐阜がポゼッションで攻めて来るとき

岐阜の3トップの左右はペナルティエリアの幅までしか広がらず、中盤との距離を詰めて積極的にパス回しに関与することが求められていた。そのため、大分の3バックは距離間を保ちながら対面する岐阜の選手を見ることができる。そして、岐阜のアンカーである宮本航汰が落ちて左右のSBが高い位置を取った3-4-3のような形に変形。

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これに対して伊佐、三平の2トップがコースの限定をしてサイドに追い込み、WBとトップ下の2枚で挟んでしまいボールを奪う。f:id:west242447:20180802183511j:image

幸いにも、岐阜のアンカーの宮本が落ちた際にトップ下の中島、三島が連動して落ちて来なかったためサイドで効率的にボールを回収できた。

 

・岐阜がカウンターで攻めて来るとき

岐阜はポゼッションで崩せないと見ると、低い位置からロングボールで数的同数のFWに一度ボールを繋いで位置の回復から攻める事に対しても、大分は準備ができていた。

ロングボールが入ると、WBは無理にDFラインまで戻って5-4-1を形成する今までのやり方ではなく、アンカーの位置の丸谷がDFラインに入り、小手川、前田がバイタルを埋めた4-4-2の形で守っていた。

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4+4のブロックを形成して3トップの無効化に成功する。

 

結果として、岐阜はバイタルエリアを埋められてよい形でボールを受けられず、速攻を仕掛けても大分DFの網にかかり、ボールは保持できても攻め手を失ってしまう。

 

また大分はビルドアップの形にも工夫を加えた。

普段は3バック+ボランチ2枚の5人での組み立てを行うが、この日は3バック+丸谷+GKの高木駿という5人で行った。

高木はゴールキックの際によくタッチラインを割っているためかそれほど周りの評価は高くないが、浮き球のミドルパスをWBにしっかりと付けたり、相手のプレスを往なしながらのビルドアップはこの半年で確実に伸びていたため、ビルドアップへの積極的な参加を片野坂監督は要求したのだろう。

この日のビルドアップの形は2+3、3+2の形がメインだった。2+3では鈴木義宜と高木が横になり、福森直也、丸谷、岩田智輝がその前で構え、3+2では鈴木がやや右に移動して福森、高木、鈴木が横になり、丸谷、岩田がその前で構える。この2つのビルドアップをメインとしたことで、岩田が右サイドの高い位置を取ることが可能になり、脚の速い松本怜との強力なサイドアタックを繰り出すことを可能にした。

またGKの高木をビルドアップに組み込めたため、前線で2トップ+両サイド+トップ下のどちらかが絡んだ攻撃が可能になり、もう片方のトップ下が中間ポジションを取ることでパスコースを増やすことも可能になっただけでなく、前線に人数がいるため3バック、GKからクサビのパスを積極的に入れることが可能になった。

 

このような狙いを持った大分は、15分に右サイドの松本のクロスを大外の星雄次が合わせる大分らしいプレーを見せ、19分には左サイドのスペースを星が突いて前田、丸谷と繋ぎミドルシュートを放つと、三平がこれを絶妙なトラップで足下に収めると、冷静に流し込んで待望の先制点を奪う。

28分に岐阜DFの北谷がボックスのギリギリ外でハンドを犯しFKを獲ると、GKとDFの間に入ったボールは丸谷と北谷に当たりゴールへ。公式記録ではオウンゴールとなったが、2点のリードで前半を折り返す。

 

まだ、モノにはできず

後半に入り攻め手がほとんどない岐阜はハーフタイムで動く。ライアン デ フリースを下げて長沼洋一を投入。3-3-2-2へ変更してマッチアップを明確にしてきた。

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これにより序盤こそ右サイドからチャンスを作った岐阜だったが、トップ下がスペースを埋められているためよい形でボールを受けられない。また、ボールを受けても前を向けないためパスが各駅停車になり攻撃が停滞すると、次第に攻めたい攻撃陣と非カウンター対策のため守りに重きを置きたい守備陣で別れてしまい間延びをして、フリックを多用した岐阜のパスワークは消えていった。

 

一方の大分も課題を見せた。

ロングカウンターからサイドへの展開は精度が低くなり、うまくボールが入ったとしても、FWやトップ下が追い付けずに、効果的にゴール前まで持ち込めなかった。しかし、三平、伊佐から後藤、藤本に変更をしてからはサイドからのアーリークロスに抜け出す形を見せた。これからも3-1-4-2を継続するならFWの組み合わせも悩み所だろう。

また、4分であったライアン デ フリースの抜け出しのような形はこれから狙い目とされるかもしれない。3トップに対して大分DFがマンマーク気味でついていたこの日。4分の場面では岐阜の右サイドの山岸祐也がタッチライン際に開いており、福森と鈴木の間が間延びをし、チャンネルができていた。このスペースに飛び込まれてシュートを打たれた。WBが対面する選手を捕らえられなかった場合にだれがそこにチャレンジをしていくかや、アンカーの丸谷の脇の埋め方は改善の余地がありそうだ。

 

結果として後半はスコアは動かずに2-0で勝利。6試合ぶりの勝ち点3となった。

 

岐阜の印象

前回対戦では前から仕掛けられ、涌き出てくるような印象だったが、今回は大分の対策がハマったためか全体的にパッとした選手は居なかった。この試合後に古橋亨梧が神戸に移籍をし、田中パウロ淳一も離脱となかなか厳しいような。

選手で印象に残ったのは加入2試合目で2失点目の起点になってしまい、オウンゴールも献上してしまった北谷史孝。悪目立ちしてしまった印象で、後半の3バック変更後もあたふたしていたが、まだ2試合目。これから巻き返して3バックも4バックもこなせる選手になると怖いなと感じた。

 

新たな引き出しを手に

これまでは引いた相手に苦戦をし、ボールは持てるが最後まで行ききれないというもどかしい試合が続いたが、ここに来て引いた相手を釣りだすだけでなく、引いた相手を殴る引き出しを手にした印象だ。夏場の折り返しで苦しい試合が続いたが、これは確かな収穫だろう。まだまだ選手には物足りないと感じる点はあるが、システム変更でその弱味を覆い被せた片野坂監督の手腕には驚かされる。

大分の反撃は、ここからだ。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第26節 FC岐阜 vs 大分トリニータ - YouTube

【大分】vs愛媛(H) 今こそ選手の奮起を〈J2 第25節〉

最後に勝ち点3をみてから遂に1ヶ月。1分3敗で迎えた愛媛戦は、片野坂監督が選手に道筋を提示することはできたが、目標である勝ち点3にはまたしても手が届かなかった。今、求められるのは選手の奮起。そう痛感した試合だった。

 

この日のメンバーは以下のように

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前節から3人を入れ替えて臨んだ大分。3バックの右に岩田智輝が今季初スタメン。前田凌佑は初出場。そして馬場賢治がスタメンに復帰した。

 

愛媛FC
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DAZNの愛媛の予想フォーメーションは4-1-2-3だったが、実際は3-4-2-1を基本とした可変型だった。怪我から復帰の神谷優太がトップの位置に入っているが、ほぼゼロトップのように。

 

自信を持たれて

前半から仕掛けたのは、今節も大分だった。6分に中盤で前田が安藤淳からボールを奪うとそのままドリブル。駆け上がる味方の動きを利用してスルスルと持ち上がると、愛媛がたまらずファール。ペナルティエリアの外でフリーキックを獲得するが、壁に阻まれる。続くコーナーキック。中での競り合いで林堂眞が鈴木義宜を倒したとして前半9分でPKを獲得した。このプレーで林堂は完全にホールディングとは言えず、微妙な判定。スコアだけでなく、心理面で大分が優位に立てるチャンスでもあったが、キッカーの後藤優介の蹴ったボールは愛媛GKの岡本昌弘がファインセーブ。絶好のチャンスを逃してしまった。

そこからゲームは落ち着きだし、両チームの可変の仕組みが見えてきた。

大分は、ビルドアップの際にボランチが1枚落ちて4バックを作るのは変わらず。しかし多少のメンバー変更により、いつもより攻撃に厚みを持たせる意図があった。f:id:west242447:20180728174011j:image

右CBに岩田を起用したことにより、擬似4バックを作ると前田の横ほどまで上がり、松本怜、後藤と距離感を縮め、その3人の関係性を中心に右から崩したかったようだ。

ボランチに前田を起用した理由として、愛媛がブロックの位置を低く設定し、宮阪政樹のような大きなサイドチェンジから揺さぶって攻める事をしても、スペースがないため効果的でない。ならば周囲を上手く使いながら縦の意識の高い前田を使うといったところか。似た選手として川西翔太も挙げられるが、これまでベンチにも入れていなかった前田のモチベーションや、川西の器用さが逆に作用すると考えたのだろう。しかし、片野坂監督が彼をベンチにも入れないという所から、前田でやれるという確信的なものがあったのかもしれない。

 

一方の愛媛は、大分のボールを持つ位置によって可変。大きく分けると

・大分陣内/中央

・自陣内/サイド

の2つ。

そしてゼロトップの神谷の役割も重要なものだった。

 

大分陣内では、シャドウの近藤貴司がサイドに開き、野澤英之が1列前へに入って4-1-2-3へ。
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これにより、大分のDF3枚+ボランチ2枚に蓋をしてビルドアップを阻害する。

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自陣内では両WBがDFラインまで下がり、シャドウが左右に開いた5-4-1へ。f:id:west242447:20180728180035j:image

大分は1トップで2シャドウ+両WBという左右を広く使った攻撃をするため、それに合わせて5バックに。中盤中央のスペースをボランチが消して左右へ誘導してWB+シャドウ、WB+CBで挟んでの守備をしていた。

 

ここまでは大分やミシャ式対策でよくある型だが、それに加えて愛媛はボールの位置によって上記の2つを変えていた。

ボールが中央の時は4-1-4-1。サイドならば5-4-1。これの意図はビルドアップの阻止、大分の攻撃に対しての数合わせというのが第一だが、この横の可変は大分のシャドウを消すための意図があったように思われた。

大分はシャドウの後藤、馬場にボールが入ると高確率でチャンスを作る。なので中央でボールを持たれた時はCBやボランチからシャドウへ直接クサビを入れられないように、サイドではシャドウにボールが入ったとしても愛媛ボランチとCBで挟撃をしようとしていたようだ。

 

そしてゼロトップの神谷。彼の役割は攻守で1つずつだが大切な役割があった。

守備では大分DFに対して積極的にプレスに行き、コースの限定をするという守備のスイッチとしての役目。

攻撃では大分のDFと直接やり合うのではなく、大分ボランチの近くやセンターサークルよりやや自陣寄りでプレー。これにより、大分DFを釣り出したり、大分DFとボランチの間で受けたり、味方ボランチの位置にまで下がり中盤中央で数的優位を作ってカウンターをしたり……。

また、神谷が下がると近藤、野澤が前に上がり2トップのような形に変わり、カウンターの鋭さを常に持っていた。
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そしてこのゼロトップの神谷の動きが効いたことにより先制点を許してしまう。自陣から西岡大輝が右サイドへ大きく展開。玉林睦実がヘディングで落として近藤がドリブルで駆け上がる。ゴールライン際からマイナスのパスを送ると、神谷がダイレクトで合わせて得点。愛媛は狙い通りの会心の一撃だった。

大分はこの失点によりビハインドで折り返しに。

 

殴るしかない!

攻め手はあるものの、ラスト30mを崩せない大分は後半に入り、意外な変更をする。ボランチ丸谷拓也からFWの三平和司へと変更し、今季初御披露目の形に。

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前線の枚数を増やし、強制的にシャドウへのコースを作らせた。

愛媛はこれの対応するのに少しドタバタしたが、ボールと逆サイドのシャドウが一列下がり3-5-2のような形をとって対応してきた。f:id:west242447:20180728184132j:image

しかし、大分もここまでの愛媛の修正を想定していたようだ。ボールを持った際に松本がFWと同じ高さでほぼウイングとしてプレーをして相手を押し下げ、後ろにスペースを作る。そこを積極的に岩田が上がり、精度の高いアーリークロスでシャドウを介さないシンプルな攻めという変化をつけた。また、鈴木と前田が上がった岩田のケアをしっかりと施していたため、岩田のウラのスペースをカウンターの狙い目とされることもなかった。f:id:west242447:20180728185328j:image

そういった事もあり、ここからの45分はほとんど大分が愛媛を殴り続ける事になる。戦術的な駆け引き、ベンチワークはとても見ごたえがあった。

60分になると、ほぼ攻め手を失った愛媛は野澤から夏に岐阜から新加入をした禹相皓を投入。守備の強度を保つ為だろう。

大分も同じタイミングで交代。スペースを消され、ほぼなにもできなかった藤本憲明から伊佐耕平へ。前線でボールを収める事、クロスへの飛び込みを期待してだろう。

62分には岩田がミドルシュートを放つが枠に嫌われ、その後に岩田のアーリークロスから三平のヘディングも決まらない。

いよいよ攻撃の糸口がなくなった愛媛は、カウンターを効かせるためにカードを切った。

ボールサイドによって1列落ちたり上がったりしていたシャドウ2枚から禹相皓をボランチに固定をして、高さのある吉田眞紀人を投入。ロングカウンターで吉田のポストプレーに期待しての交代だろう。

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前から仕掛ける大分に対して効果的な策になるかと思われたが、勢いは止められない。

77分に大分は福森直也から清本拓己を投入。ほぼ攻め手がなく、引きこもらざるを得ない愛媛を崩すため、サイドに厚みを持たせるための交代。これにより実質、鈴木の1バックで1-3-4-2という超攻撃的な策に出た。

81分には右サイドで作って松本が深い位置からマイナスの折り返し。馬場がスルーをして前田がシュートを放つも、玉林が身体を捻りつま先でコースを変えて得点ならず。結局、引きこもらざるを得ない状況にまで持っていくことはできたが1点が遠く、またしても勝ち点を逃してしまった。

 

愛媛の印象

前期の対戦では川井監督の初陣で、それまでの3-4-2-1をベースに選手の特徴を生かしていた印象。特に近藤貴司はその恩恵を受けた一人だろう。それまでは突破力を買われてかWBで何度か使われてはいたがパッとせず。しかし川井監督になってからはシャドウの位置でのびのびとプレー。今季の大分のトラウマベスト11の有力候補になった……

選手では岡本昌弘と神谷優太が印象に残った。シュートの雨あられで大忙しだった岡本が何度も好セーブを見せていたのは知っての通り。神谷もゼロトップの意図をしっかりと理解をしてプレーしているようでとても面倒な存在であり続けた。

そしてなんといっても川井監督の手腕。シーズンの途中からの抜擢ながら、ベースはそのままに適材適所の起用で後半戦序盤の台風の目になった。選手の役割がしっかりと整理できているからこその結果であるし、よく走ることのできる好チームになった。すごい……

 

「あとは選手のみ」というもどかしさ

この試合、相手を押し込みあの手この手でゴールを奪うための道筋を作った片野坂監督。しかしながら、監督ができることはベンチ入りメンバー18人の選考と、交代枠3つのタイミングと攻めきる、守りきるための準備だけであり、実際に得点したり守ったりというのは選手の役目だ。だが、どこかで選手たちがその意図を汲み取れていない、実行に移せていない印象がある。後半の三平投入による意図は、前線でのポイントを増やすことではなく、シャドウを生かす事が第一。しかし選手たちは攻め急いで前へ前へと行くばかりで、肝心なバイタルエリアがスカスカという矛盾が出た場面は象徴的だった。

片野坂監督がやりたいサッカーに選手達がこれからどこまで食いついていけるか。これが今年の大きな課題となるだろう。幸いにも前半戦での貯金があるためPO圏に留まる事ができている。今こそ選手達がチャレンジをしてもう一度、上を目指してほしい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第25節 大分トリニータ vs 愛媛FC - YouTube

【日本代表】目先のカネのために捨てられる未来〈監督人事〉

感動をありがとう!日本代表良かった!メディアは日本代表を持て囃して、「さて、次の代表監督は~!」と盛り上がっており、JFAの田嶋も「よーし!26日までに後任決めちゃうぞー!」と頭田嶋なやり取りをしてますが、ちょっと待った。総括もなしに4年後のプラン、これからの長期的な戦略が全く見えないまま、なにも学ばずに「次!次!切り替えていこうぜ!」といわれてもついていけない。こっちは顔面サムライブルーです。f:id:west242447:20180724010945j:image

ということでどうヤバいかを書いていきます。

 

興行第一。カネカネカネ

ワールドカップを終えて、JFAの公式サイトを見ても総括はなく、ロシア大会全体の総括は技術面での考察はなく、「ロシア大会、こんなんでした」といったもの。この記事の最後に

今大会の技術面での分析については、FIFAのテクニカル・スタディ・グループ(TSG)が9月中にレポートを発表する予定だが、今後の競技のあり方に、ロシア大会は小さくない転機となったと言えそうだ。

とある。

そしてワールドカップ後の初戦は9/7のチリ戦@札幌とのこと。9月に総括を発表するのに代表監督は26日に発表。「大きな転機を迎えた」とあるのになぜそんなに急ぐのか……

そもそもワールドカップ明けの日程が大会前に発表されており、だいぶタイトな日程で代表監督を決めないといけない。日本のサッカーのこれからの4年をこんな急ぎ足で決められるとは思えないし、これまでのように監督を決めて監督のやりたいサッカーに日本の理想を擦り合わせていく形で行くのだろう。

つまるところ、代表監督は話題性第一で、そこそこ名のある人を連れてくれば良い位にしか考えてないのだろう。日本代表の長期的なプラン、戦略も提示しない不親切さなんだからこちらはそう受け取らざるを得ない。

また、次期代表監督の発表を26日に決めたことにはもうひとつウラがありそうだ。それは翌日の27日にハリルホジッチ前監督の第1回公判が行われる。

つまり、前日までに代表監督を決めちゃって、これまで通りハリルホジッチ氏に何のリスペクトもせずにいけしゃあしゃあと「これから日本代表が新たな船出をするというのに、前監督はネチネチと自分の名誉のために絶対負けられない戦いを挑んだのである。」とでも書き立てるのだろう。実に汚い。まぁそれもこれもぜーんぶ「コミュニケーション不足」なんだから仕方がないんだろう。んな寝言で許されるかい!と。

結局、JFAとメディアがハリルホジッチを悪者に仕立てあげて、検証できないのに「ハリルホジッチではベスト16には行けなかった」という結論で次の集金を優先するのだろう。
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ハリルホジッチ解任により失った信頼

ハリルホジッチ前監督の突然の解任によって起こった事は、選手第一主義で長期的なプランを持って指導をしても、協会は監督を守らずに保身に走るということだ。

代表監督は、その国の指揮だけでなく競技力の向上も求められる。4年を1つの区切りとしてどのように代表を強化するか、という一大プロジェクトであるが、今回の突然の解任によって信頼を失ったのは確かだろう。それによりこれから様々な面で苦労をすることになるだろう。

今回の解任によりまずは監督より選手の方が守られる、ということが公になった。いくら監督が素晴らしい強化案を持っていても、選手がワガママを言ってゴネれば簡単にクビを切られる。仲介役を協会がしなければならないがメディア、スポンサーと共に選手を中心にした興行を行っているため代表監督は守られる事はない。また、JFAは育成の指針を明確にしておらず、メディアに刷り込まれた「日本らしさ」「勤勉さ」「走力」をオウム返しするのみ。指針がないのにどうやって監督を決めるのか。

明確な指針も無いままアジアの盟主であることを求められ、ワールドカップではベスト8を目指さないといけない。それなのにいざ何か問題が起これば「コミュニケーション不足」とお茶を濁されて解任。これでやりたい監督なんているのだろうか?

これについてはfootballistaにて結城康平さんがまとめているのでそちらもご覧ください。
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オールジャパン」が抱える矛盾

コミュニケーション第一な田嶋はロシア大会後も「オールジャパン」と寝言を言っているようだが、そこには矛盾がある。

海外で活躍する選手は多くいるが、監督やコーチでは海外で活躍する方はいない。ざっくりと今回までのワールドカップで選手の技術力の向上による結果だと考える。しかし、Jリーグが始まって25年。開幕当初は選手だった世代が引退し、指導者としてのキャリアスタートして結果を残しはじめて間もない、というのが今の現状。新たなサイクルが生まれようとはしているが、まだ始まったばかり。指導者のレベルは世界と比べるとまだまだ低く、海外から学ばなければならない現状であるにも関わらず、なぜ「オールジャパン」なのかは謎でしかない。

しっかりと海外のメゾットを日本人に分かりやすいように言語化されているわけでもないのに、判断基準、解任理由がコミュニケーションが取れるか否かの一本槍ではあまりにも低レベルであり、日本サッカーのガラパゴス化鎖国へと舵を執っているようにしか思えない。

それだけではない。選手が引退してからのセカンドキャリアの問題は多く、数年前からずっと言われている事だ。「元プロ」が増えてはいるが、彼らの受け皿は十分あるとは言えず、指導者には登録料など様々な負担があるが、それが有効に活用されているとは思わない。海外の指導者ライセンスとの互換性も低く、本当に日本サッカーは鎖国へ進んでいるようにしか思わない。

 

終わりに

現状で不満なのは

・振り返りもせずに監督を変えること

・そもそものJFAの指針が提示されていないこと

・日本人監督の優位性が明確でないのにそれが最優先になっている理由

・指導者の育成が上手くいっていないこと

・不明瞭な点が多いこと

これらである。素人目に見ても様々な問題があるのにも関わらず、指針すら持ち合わせていない、不明瞭なのは怠惰と言われても仕方がないのではないか。

自分のリサーチ不足であればぜひコメント欄などで指摘をしてほしい。

 

日本サッカー協会、そして田嶋正幸へ、

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貴殿方の傲慢さで選手をはじめとするサッカーに携わる方々が不幸になるのは本当にやめてほしい。しっかりと未来を見据えたビジョンを、指針をわかる形で示してくれ。

 

【大分】vs栃木(H) 今こそ見たい気持ちの強さ〈J2 第24節〉

3連敗、刀根の長期離脱と厳しい時期だからこそ、勝利という結果で魅せてほしいと願っていただけに、ただダラダラとリスクをかけないパス回しに終止し、勝ち点2を「落とした」大分。どうしたのよ?

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
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後藤優介が5試合ぶりに復帰。ボランチ宮阪政樹から川西翔太、左WBを那須川将大から星雄次へと変更。馬場が第3節の岡山戦以来のベンチスタート。

 

栃木SC
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6連敗からの2連勝と復調し始めた栃木。CBの西河翔吾が累積警告で出場停止。大卒ルーキーの浜下瑛が4試合連続のスタメン出場。そして先日登録されたばかりの西谷和希の兄、西谷優希とパウロンも早速ベンチ入り。

 

アグレッシブに。だが。

 前半から仕掛けたのは大分だった。栃木が11人全員で守ることはスカウティングでわかっていたようで、しっかりと対策を用意していた。

栃木の守備は11人全員がハーフラインほどで守備を仕掛けてきたため、大分DFが比較的フリーでボールを保持できる場面が多くなった。栃木は守備でリトリートを第一に考えてはいたが、大分の3バックの左右にボールが入るとプレスの強度を上げてシャドウの浜下、西谷とボランチが連動して奪いに行く。プレスの方向づけを大黒将志がしてそれに連動するが、1stDFの位置を低くしてまずはスペースを埋めることを優先した。

それに対して大分は、ボランチの川西、CBの鈴木義宜がボールを運び、中央から大きな展開をして栃木の守備をより押し下げる。栃木の5-4-1のブロックの中盤4枚はボールサイドへ積極的にアプローチに行く裏を突いて大分の左右のCBが高い位置でフリーでボールを持てる場面も多くみられた。

10分には藤本憲明ポストプレーから國分伸太郎がミドル。こぼれ球を再び國分が打ち、もう一度こぼれたところを藤本が狙うもゴールならず。積極的にシュートを打ってサンドバッグ状態にしていた。しかし、そこからの前半は高い位置でボールを持ち、ボックス付近で栃木にブロックを作られてもう一度作り直すもどかしい展開に。

結局45分ではスコアは動かず、大分はボール保持率が74%という驚異の高さで前半を折り返す。

 

らしさでつくるもモノ足りず

後半に入り、栃木が先に動く。右WBの久富良輔から夛田凌輔へ変更。前半はほとんどボールを持たなかった栃木が時間と共に攻撃の形が見えるようになった。低い位置でボールを奪うと、ボールサイドへシャドウが開き、WBと縦の関係を作り、逆のシャドウが大黒と並び4-4-2へと変形。
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 (自陣左サイドでボールを奪ったらこの形に。)

中盤より高い位置でボールを奪うとFW3枚+両WBの5枚で仕掛けると言った形に。

前半からの修正として、リトリートからチーム全体を前からプレッシングへと変更。これにより全体の間延びの解消と、ボールを刈り取る事のできるヘニキに高い位置を取らせることでショートカウンターの意図を持たせていた。

大分は後半も急がず焦らずボールを保持して、左右へ大きく展開。栃木の中盤の脇を狙ってのプレーを続けたが、その脇を栃木のWBが積極的に埋めるようになっていたため、思っている以上に窮屈になり、次第にビルドアップが雑になってきた。簡単にロングボールを蹴って回収されてカウンターを食らう。すると大分の中盤中央は構造上どうしても空洞化してしまうためヒヤリとする場面も多くなっていった。

それでも大分は、78分に右サイドからチャンスを作る。川西から右サイド深くへスルーパスを出すと、松本怜が追いつきマイナスの折り返し。ニアサイドで鈴木が潰れて後藤がシュートを放つも枠から大きく外れる。

81分になり大分は星、後藤を下げて岩田と伊佐耕平を投入。88分には足首を痛めた國分にから清本拓己を投入するもゴールはこじ開けられず。スコアレスドローになった。

 

栃木の印象

開幕とは全く違い、走れるチームになっていた栃木。ここ数試合はレオーニとペチュニクがスタメンを外れるも、全体をコンパクトに保ち守備の強度を上げていた。ロングカウンターを狙っていたようだが、そこはまだ詰めれていないのかな、とも。

選手では、福岡将太とヘニキが目立っていた印象。福岡は対人の強さ、高さもあるだけでなく、ロングスローという飛び道具も持っていた。引いて守る栃木の攻め手の1つであるし、中には大黒となかなか気が抜けなかった。

ヘニキは機動力があり、ボール奪取のうまい選手。中盤でのプレスもサボらずにやっており、まさにチームの心臓といった働きだった。

 

半歩は進めたが

3連敗からの勝ち点1。最悪な状況からは1歩抜け出したが、依然として悪い状況には変わりない。ボールを「持たされた」ときにどうアクションするか、どこまでやりきるかは非常に悩ましい所だ。しかし、求めたいのは戦術的な策よりも、勝利のためのアクションだ。この試合の終盤、81分にサイドへ流れたボールを栃木の夛田は懸命にボールへダッシュをしてボールを残した。たったこれだけのプレーだが、自分は彼から勝利への渇望のようなものを感じた。それに比べて大分の選手たちはどうだったか。最後までやりきれたか?チャレンジできたか?と言われるとできていなかった様に思える。観ていて淡泊だな、と感じた。たった1つのプレーで雰囲気は大きく変えられる。最後までやりきる姿を、大分に魅せてほしいと感じた試合だった。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第24節 大分トリニータ vs 栃木SC - YouTube

 

 

 

 

【大分】vs大宮(A) 結果は伴わずとも〈J2 第23節〉

2連敗で迎えた大宮戦は、結果から言えば連敗を一つ伸ばして3連敗。結果だけみると自動昇格を目指す上で手痛い敗戦となったが、内容は確実に良くなった。試合の中でどう立て直したかを振り返っていきたい。

 

この日のメンバーは以下のように

大宮アルディージャ
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6月は負けなし。大前元紀は5試合4ゴールと絶好調。月間MVPを獲得した。ここ5試合スタメンは固定。勢いを持ってこの日を迎えた。

 

大分トリニータ
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スタメンを固めた大宮とは対称的にメンバーを5人変えて挑んだ大分。出場停止明けの丸谷拓也をはじめ、黄誠秀、福森直也、宮阪政樹那須川将大がスタメン。宮阪、丸谷以外は久々な選手になった。

 

出鼻を挫かれズルズルと

試合は2分で動く。ボックス内で黄誠秀がマテウスを倒してPK。これを大前に決められて早くも先制を許す。大前は4戦連発のゴールとなった。

ここから大分はドタバタする……ことはなく、いつもより球離れを早くして打開を図った。

この日の大分の工夫は左右を非対称にした変則的なものだった。

左サイドに那須川を置いた理由として、相手の右SBで前線によく顔を出す酒井宣福に対して守備での貢献と、ボール奪取後に酒井のウラを馬場賢治が突くためにクロス精度が高くアーリークロスを使って展開ができるように、といった意図を持っていた。

逆の右サイドでは選手の距離を狭めて松本怜の前に國分伸太郎が流れて、國分が空けたスペースを宮阪が1列上がり、パス回しで崩すためだろう。
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片野坂監督は守備の5-4-1をベースに宮阪と丸谷を高い位置で縦の関係にして上記の策により打開を図ったが、タスクの過多により発生したボランチ脇を突かれて機能不全に陥った。

 

タスク過多だったのは宮阪。中盤のボランチとトップ下を行き来していつもより攻撃的な役割を与えられていたが、なぜかDFラインまで下がってビルドアップをしており、松本と國分が孤立し、ボランチ脇にスペースを空けて守備偏重な形になってしまった。

そしてボランチ脇を大前、茨田陽生に突かれて守勢に回ってしまった。
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また、大宮も大分のビルドアップに対してマッチアップを明確にしていたため、より切羽詰まった印象になった。

宮阪が落ちてDF4枚+1枚の形では4-4-2のままFW2枚+SH2枚で蓋をして対応。

大分がDF3枚+2枚のビルドアップに対しては茨田が内に入り、酒井が1列前に、DFラインに三門雄大が落ちて4-1-4-1で対応。
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前からハメてショートカウンターという形を狙いとして持っており、それを可能としていたのは相手を見る事だけでなく、エリアによってリアクションを変えていたから。大宮のアタッキングサード、大分の自陣寄りでは上記のような形に応じて対応。中盤より前で大分がボールを持てば酒井がDFラインに戻り5-4-1に変えてブロックを築いてスペースを消す。
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マテウス、大前をサイドではなく内に寄せた事により相手の左右のCBを釣りだしスペースを作らせると共にゴールまでの最短距離でカウンターを完結させる意図を持っていた。マテウスがボールの収まり所になること、ある程度は4バックでも守れるという個の強みを生かした実に嫌らしいものだった。

 

それだけでなく、大宮はボールを持つと中盤4枚が幅を取ってボールを回し、大分のシャドウのプレスを無効化とボランチ間を強制的に間延びをさせて、ボランチ間、ボランチDF間に大前がポジション取りをして大分の守備は混乱してしまう。ミスマッチを突かれまくった大分の崩壊は時間の問題かと思われたが、35分から4-4-2に変更し、マッチアップを明確にして球際の強度を強め対応して凌ぐ。
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自分たちのタスクの矛盾による機能不全から悪い状況に陥ると共に、臨機応変に対応できる大宮と、やりたいことはチグハグでフィニッシュまで持っていけずミスの連続でより意識が守備に傾き、挙げ句の果てにプランの変更という最悪な状況。0-1なのが不思議なくらいだった。

 

整理をして「らしさ」を取り戻す 

にっちもさっちも行かなかった前半。改善点は沢山あるように見えたが、原因は宮阪のタスク過多という1点のみ。そこで後半から宮阪をボランチに固定をし、3-4-3で前から仕掛けるように変更。これにより内容が劇的に改善した。

大分が3バックでビルドアップをするため大宮は4-1-4-1で対応をしてきたが、馬場を中心に大宮の1ボランチ脇を突いて次第に攻撃が活性化。國分がサイドに流れるのは変えず、彼の空けたスペースを宮阪が埋めるのは、後半開始すぐでは機能しなかったが、時間の経過と共にそこも改善していった。

64分には丸谷のパスを藤本が胸で落とし馬場がシュートと中央突破もできるようになり、ほぼ大分がハーフコートに押し込んでいく。73分には那須川→星雄次、馬場→清本拓己と2枚替えをしてより縦への意識を強めてゴールを奪う意識を強める。

2枚替えから左右に大きく展開をしていき、相手のプレスが効きづらくさせると、中央でシャドウがボールを受けやすくなり、そこに蓋をされても宮阪から大きなサイドチェンジでサイドを抉るという波状攻撃に。WBからWBへとつながりシュート、相手の背後からシュートなど様々な形でゴールを脅かす。結局最後の精度が足りずに枠内シュートゼロ。これが響いて3連敗になってしまった。

 

大宮の印象

好調の大宮は前回よりも手強く、特に前半は状況判断の面で大きな差があった印象。判断が良ければ自ずとペースは握れるはずなので、ノッてきた今からの巻き返しが怖い。

選手ではマテウス、茨田が印象に残った。

マテウスはゴリゴリのフィジカルでシュートの意識も強く、リトリートで守備をする大分のスペースへの侵入は大きな驚異だった。

茨田はこれまではボランチだったが、今季の途中からSHへ。主にサイドから中に入り、ハーフスペースへの侵入と酒井のスペースを空ける役割だったが、これが上手くハマった印象。ボールキープもできるのでタメを作ってサイドの上がりを待てるので、右サイドの酒井とのコンビは強烈だった。

そしてなんといっても石井監督。オーソドックスな4-4-2に選手の特長を生かした配置は理にかなってると感じたし、茨田のコンバートで酒井との関係や、大前と富山貴光を流動的に置いたりと確実に良くなっていた。守備も大崩れしないし、これから勝ち点をまだまだ伸ばしそう。

 

結果は伴わずとも

結果だけ見れば片野坂体制初の3連敗と厳しい結果になったが、これまでとは違い、後半の45分で盛り返していたことを評価したい。今までは流れが悪くなって苦肉の策でのフォーメーション変更で応急措置をして多少は佳くなることはあった。しかし、この日はベースである3-4-3で真っ向勝負をして多くのチャンスを作った。これは、これまでミシャ式をベースにしたサッカーが根付いている証左であり、ハイプレス、ハイインテンシティーを貫いて押し込んだ、盛り返した事は大いに評価したい。幸い、上位陣も軒並み足踏みと、首位とは勝ち点差もあまりない。この日の後半45分をベースに戦えば、必ず建て直せると思う。敗れはしたがチームとして、トリニータが勇往邁進するために必要な自信をつけられた試合になったはず。悪い中で見いだしたこの光明を掴めるか。次節が楽しみだ。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第23節 大宮アルディージャ vs 大分トリニータ - YouTube

 

 

【大分】vs甲府(H) 噛み合わず、必然の敗戦〈J2 第22節〉

ここからリーグは後半戦。前期での対戦は2-6とフルボッコにされたが、今回はそれよりも酷い内容だった。走れない、ミスが多い、機能しない戦術。今季ワーストの内容。なんだこれ……

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
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放送では3バックと話していたが、4-1-4-1だったように思われる。

前節退場した丸谷拓也に変わり岸田翔平川西翔太から姫野宥弥と2人を入れ替え、宮阪はベンチ外に。七夕開催で誕生日、J通算250試合出場を果たした馬場賢治に期待がかかる。

 

ヴァンフォーレ甲府
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ルヴァン杯PO進出によりJ2で唯一の中2日で対戦となった。1週間前から4人、3日前から7人を変更して大分に挑む。

怪我人が多く、仕上げのリンスはFC東京へ移籍となかなかメンバーは揃わないためかほぼ0トップのような布陣に。そして0トップの中央には曽根田穣が初スタメンに。

 

ハマらない戦術

前半4分、CKをすんでの所で高木駿がセーブ、こぼれ球も星雄次が掻き出して前回対戦のような開始早々からの連続失点は防ぐものの、大分はふんわりと入った、もしくは出鼻を挫かれる形になった。

前回対戦と同様に、甲府が前から仕掛けてくる事は想定でき、それに対しての策を片野坂監督は準備をしていたが、全くと言って良いほどハマらなかった。
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大分が準備していたのは3つ

・被プレス回避の策

・相手ボランチのスペースの攻略

・サイドの強化による3バック脇の攻略

 

被プレス回避の策は、小手川が中盤底に入り4+1の形と、小手川、姫野が1列下がり、両サイドが一列上がり3+3の形を併用してパスコースの確保をする意図があった。

相手ボランチのスペース攻略は、守備でも前から仕掛けてくる甲府。だが、大分がミドルサードまで持ち上がるとボランチ島川俊郎がDFラインに入り、4バックに可変。小椋祥平の1ボランチ脇にスペースが生まれる。ここを、シャドウの國分が下がると共に、姫野が1列上がり数的優位を作って攻めるというもの。

サイドの強化による3バック脇の攻略は、大分が4バックを敷いてサイドに2枚ずつ配置をするというだけでなく、よくドリブルで上がってくるエデルリマの背後を狙う意図と、相手WBをサイド2枚で挟んでカウンターという狙いがあった。

 

しかし、この3つの狙いで重要だったダブルボランチの動きが全くと言って良いほど機能せず、甲府対策のデメリットばかりが出てしまうというものになった。

 姫野は、機動力を生かして攻守でボールに関わる事を求められたが、3+3の1ボランチではボールをロストしまくり、攻撃では國分と横に並べずにボールを持ったら前に5枚はいるというのを原則とする大分の形を作れなかった。

小手川はバランスを取る事に長ける選手という評価での起用だったが、彼は「ボールを持っている時に」バランスを取れる選手ではあるが、ボールがない場面でのポジション取りは曖昧で、特にボールを奪われてすぐの場面で棒立ちになったりしていた。

中盤の底を意味する「ボランチ」は、ポルトガル語で「ハンドル」の意味。スペイン語で同じポジションを指す「ピポーテ」は「軸」という意味だ。ダブルボランチが機能しない事はハンドルがないこと、軸がブレブレだったということだ。

 

そんなこんなであたふたしている間に20分に堀米勇輝、24分に曽根田に決められて0-2。

大分は42分に姫野を諦め、川西を投入して応急措置をして前半を終える。

 

プランBでも変えられず

流れを掴めないまま前半を終えた大分は、星を下げて伊佐耕平を投入。フォーメーションを変えて打開を図る。

松本怜を左SB、藤本憲明をトップ下に変更し、4-2-3-1へ。
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ボランチの上下の動きをなくし、中盤でのスペースを狭めて応急措置を施した。

この変更により落ち着きを取り戻し、攻勢に出た大分だったが、次の得点は甲府だった。カウンターから堀米がペナルティエリアの外からループシュートを放つがバーに当たって跳ね返る。これを佐藤和弘が頭で押し込んで3点目。

大分は74分に裏抜けをした藤本がボックス内で倒されてPK。自ら決めて2点差にして勢いが増したが、83分に小手川が自陣中央で佐藤に奪われてGKと1対1を決められて万事休す。アディショナルタイムに再び藤本がPKを貰い自ら決めるも結果は変わらず。厳しい敗戦となった。

 

甲府の印象

怪我人が多く、リンスも移籍。それに加え、ルヴァン杯の関係で試合数も多いと厳しい時期を過ごしているが、どの選手が出てもクオリティが下がらないのはやっぱりJ1で戦ってきただけあるなぁ、という印象。そんな選手達が惜しみなく走るのだから驚異でしかなかった。

この試合で、島川が負傷交代とまた一人怪我人が出た様子。ここから怪我人が戻るのが早いかリーグ戦が終わるのが早いかで成績が変わることもあるだろうが、後半戦の目玉となるだろう。大変トラウマになりました。

 

辛抱の時

大分は甲府相手に2試合で10失点。非常にしょっぱい結果となった最たる原因は、ボランチの機能不全であった。今季初、そして昨年8月の町田、ヴェルディ戦以来の連敗となってしまった。ここでブレるかブレないかは悩ましく、辛抱の時だと感じる。そして、次節は昨年J1で、前期では逆転敗けを喫した大宮。勝ちが遠い今こそ、一丸で戦わなければならない。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第22節 大分トリニータ vs ヴァンフォーレ甲府 - YouTube