Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【日本代表】vsベルギー 見えた限界。だが、美しく〈ロシアW杯 R16〉

2-2。アディショナルタイム。本田の蹴った無回転のFKは枠を捉えたが、クルトワに弾かれCKに。ここからカウンターを食らい、失点。

北京世代が求め続けた「自分たちのサッカー」はベスト8には届かなかったが、最後で最高の90分を魅せてくれた。美しく散った日本。グッドルーザーだったかもしれないが、それと同時に限界の見えたのも確かだった。

 

この日のメンバーは以下のように。

日本代表
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グループリーグ第1戦、第2戦と同じ11人。フルメンバーでFIFAランク3位のベルギーに挑む。

 

ベルギー代表
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プレミアリーグオールスターのような面々のベルギー。タレント揃いのチーム。デブライネがボランチをしたりカラスコがWBだったりと結構攻撃的。

 

 

ゲーム序盤のベルギー攻略法

 攻撃に強みをもつベルギー。日本はその相手に対してしっかりと対策を立てて弱みを見抜いていた。

 

ベルギーの3-4-2-1は攻撃の際に両WBが上がり前5人が幅を取る。


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自陣からのビルドアップでは、ヴィツェルが右SBに入り4-1-4-1で組み立てを行う。

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相手が攻めて来たら上記の4-1-4-1か、5-4-1でブロックを作って対応。


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この3つの形を使い分けるベルギーの弱みとなったのは、右サイドのムニエの裏と、可変の際に大きく動くヴィツェルのスペースだ。

 ベルギーは、日本に対しての守備ではたいていは②の形で守り、①の形で攻撃。守備であまり③を使わなかった理由として、日本の攻撃は大迫の足下に入るとスイッチが入ること(高さでの勝負ではベルギーに分があるため)、5-4-1では自陣に引く形になるため攻撃で特徴が出る選手の個性がなくなると共に日本の両SBがフリーになりやすくなるため、前からスイッチを入れられる②の形での守備、組み立てをメインとしていた。

 

 これに対して日本は、ベルギーの右サイドを突くデザインを準備していた。

4-2-3-1を基本とする日本。
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攻撃の際には大迫、香川、乾、原口の4人にボールサイドのSBかボランチの柴崎が上がり、5人で幅を取りながら攻めるというこれまでの形は維持。
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しかし、乾と香川の動きには工夫があった。

これまでは乾はサイドと左のハーフスペース(中央とサイドの間)を行き来してマークを外していたが、この日は左サイドよりも内側に入ってプレーすることが多かった。これはサイドの長友のスペースを空ける意図と、相手CB、右WB、ボランチの間に位置を取ることによりベルギーの連携を分断できた。

また、これまでは時間帯によって組み立てに関与するために下がることもあった香川は、2列目から動かないことを重視。相手のダブルボランチの内、ヴィツェルは右SBに吸収されるため、デブライネの1ボランチの脇にできるスペースを突く事ができた。また、内に来る乾、ポストプレーをする大迫との距離が必然的に近くなるため、中央での連携から3バックの脇を突くことがよりスムーズにできた。

 

日本は、ベルギーのヴィツェルボランチ-右SB間を動くことによりできるスペースの有効活用を準備できたことにより、主導権を握ることができた。

 

前半中盤からベルギーの修正

主導権を握られたベルギーは想定外だったようだ。日本が柴崎を中心に左右のサイドチェンジから組み立てると予想していたかもしれないが、予想に反して前から仕掛けてくる。ベルギーの両サイドは高い位置を取るため、守備で後手を踏む。ここでベルギーはビルドアップの形を修正。ヴィツェルとデブライネの位置を変えて、ヴィツェルのポジション移動をスムーズにできるように変更。また、ヴィツェルが下がって4+1のビルドアップから、3バックが大きく広がり3+2のビルドアップを主軸に置いた。

この変更により、中盤とDFラインのスペースを突いていた乾の位置をヴィツェルが消すと共にベルギーがボールを持った際に乾はヴィツェルアルデルワイレルトのどちらを見るか迷いが生まれ、中央で香川と被ったりサイドで孤立する場面が増えた。

日本の1stDFのズレから中盤→サイドと繋がると、低い位置からでもクロスを入れはじめた。最前線のルカクにボールを当てて日本のDFラインの押し下げと中盤の分断を狙ってのことだろう。しかし日本はルカクとマッチアップをする昌子がなんとか凌ぎ、全体をコンパクトにすることで間延びを防ぎ、大崩れをすることはなかった。

30分ほどからゲームは落ち着くと、44分に右サイドから左へ振り、長友がシュート。大迫がコースを変えるとクルトワがボールを後逸。ゴールラインは割らなかったが、非常に珍しいシーンだった。

攻守での駆け引きが多く、見ごたえのある前半はスコアレスで折り返す。

 

電光石火の連続得点

後半に入り、先手を取ったのはまたしても日本。48分に前がかりだったベルギーに自陣からカウンターを仕掛け、中盤中央から柴崎が3バックのウラヘ見事なスルーパス。これにベルトンゲンが足を延ばすが届かず、原口にパスが通ると、ボディフェイントからファーサイドへ右足一閃。3バックの脇を突いた会心の一撃で日本が先制。

直後の49分、昌子と長友の間でメルテンスがボールを受けて右サイド深くからマイナスのパス。これをアザールがダイレクトでシュートも枠に嫌われる。

先制を許したベルギーは、日本のボランチの位置でのプレスの強度を上げてショートカウンターを狙うも、これが仇となってしまう。

中盤の高い位置からプレスをかけるも、素早いパス回しでサイドの長友→乾とパスが回る。ベルギーは前がかりになった中盤とDFラインが間延びをしてしまい、香川にフリーでボールを持たせる。ベルギーはここでディレイができ、守備ブロックを作ったがその前から乾が強烈なミドルシュートを放つ。無回転のボールは、糸を引くようにゴールに吸い込まれていった。

52分で日本がまさかまさかの2点リード。ここからゲームはまた、大きく動く。

 

3と4の間。流動的に。

 ベルギーは2点をリードされてから変更を加えた。右サイドのムニエの攻撃参加をやや抑え、右サイドのチェーン切れを抑制。DFラインは3枚か、ヴィツェルが降りて4枚の形。中央のレーンにCB2枚とトップ下の2枚、デブライネの5人を置いて中央で日本に気持ち良くプレーさせないようにした。また、ルカクメルテンスアザールは流動的になり、より自由に攻撃を仕掛けるようになった。
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前線が流動的になったベルギーは、ロングボールを入れるために、自陣でビルドアップをするときにルカクがサイドへ流れて長友とマッチアップをする形を増やした。ルカクは190㎝に対して長友は170㎝。ミスマッチを作ってボールが収まれば、そこからはズレを突いていくだけだ。

なりふり構ってられないベルギーは、65分に2枚変え。メルテンスを下げて194㎝のフェライニカラスコを下げてシャドリを投入。
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交代直後はこの形だったが、フェライニルカクと2トップになったりボランチまで下がったりと流動的で、それにあわせてデブライネがバランスを取ることで日本にマークの的を絞らせなかった。

 

流動的なベルギーを相手になんだかんだで粘り強く対応をしていた日本だったが、フェライニ投入から僅か4分後、思わぬ形から失点をしてしまう。左サイドからのCKを乾がクリアミス。大きく上がったボールをベルトンゲンがヘディングで折り返すと、これが川島の頭上を越えて直接ゴールへ。不運かミスかはわからないが、あり得ない形から失点。すると5分後の74分にはCKの流れから左サイドのアザールのクロスをフェライニに合わせられてあっという間に同点に。

 

日本はこの連続失点に動揺して稚拙なミスが増える。79分80分にはベルギーに連続でCKを奪われてファーサイドを徹底的に狙われたが、これで失点はせず。慌てまくる日本は、柴崎→山口、原口→本田。本田が入ってから多少落ち着いたが、85分にシャドリのヘディングシュート、そのこぼれ球をルカクがヘディングシュートをするが、どちらも川島がファインセーブ。

そして試合終盤。90+1分、あの場面。大迫が中盤中央でファールを貰い、キッカーは本田。

距離的にも8年前のデンマーク戦とほぼ同じ。無回転のボールは枠を捉えたが、クルトワに阻まれた。
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その後のCKをクルトワにキャッチされ、速攻。たった10秒でデブライネからムニエと繋がり、ルカクがスルー。ファーサイドでシャドリ詰めて逆転。そして、試合終了。

 

見えた動揺、Jの文化

この試合の流れが大きく変わったのは、川島のミスと言われても仕方のない失点からだった。直後のプレーで大迫がコンパニとのデュエルで負けて副審に怒った場面や、その後の日本チーム全員が浮き足だって攻め急いだ場面から「ヤバいかも」と感じた。

多分この動揺は、川島のミスだったからではなく、どのような形からの失点でも日本はおそらく同様に浮き足立っていたと思う。それは単純にメンタルに起因するものでなく、普段のJリーグの文化が関係しているのではないか?

Jリーグはビッグクラブがなく、毎年チャンピオンは変わるし、勝ち点1差で明暗が別れるケースは他国に比べてとても多い。J2ではより顕著だ。また、外国人選手が日本サッカーに関してのインタビューを見ると「良く走る」「勤勉である」「規律を守る」と共に「たとえ点差が開いても最後まで諦めない」と言うのを目にする事がある。個人の経験なので印象でしか語れないが、2-0から1点を返されると途端にあわてふためいて引き分けに持ち込まれたり逆転されたりという機会が多く感じる。Jリーグがはじまりたったの25年だが、最後まで諦めない「文化」が悪い方向に作用してしまったのだと感じる。

 

試合を終えて

あまりにも、あまりにも劇的な逆転での敗戦。うずくまる昌子の背中を見ると、号泣する乾を見ると、とてもやるせない気持ちになった。項垂れる選手たちを見るとサッカーはとても残酷だ、と感じた。

 北京世代が中心となった南アフリカ大会後から取り組んで、自分が毛嫌いしてきた「自分たちのサッカー」の集大成の1戦。選手たちの気迫がこもった90分。なんだかんだでステキなサッカーだった。観ていてとても美しく、最高の試合だったと思う。

 

だが、この結果は北京世代の成功や成果であっても、日本サッカーの成功ではないことは残念で仕方がなく、これが俗人的で再現が難しい事を考えると、とても儚いものだったのだろう。それが個人としてはとても悔しく、やるせない。

「感動をありがとう」と連日のTVで見たが、個人としてはベルギー戦の90分を終えての感想だ。これまでの4年間の積み上げを反故にしてまで「感想をありがとう」とは、自分は言えない。JFAにはしっかりと振り返りと検証を行ってほしいが、目先の新監督、目先の親善試合と場当たり的で、長期を見通した指針はなかったものとされてまた漫然と4年を過ごす事がとても、とても虚しい。そして指針なき組織の下でプレーをしないといけない選手達が割りを食らうのがとても気に入らない。

 

非常に美しく、スペクタクルな試合。しかしその感動を田嶋に削がれた。とても悔しく、気持ちはまとまらない。

 

【大分】vs徳島(A) 崩せず自滅〈J2 第21節〉

一進一退の好ゲームで47分で退場者を出した大分。これにより破綻してしまった。低いラインの相手に釣り出され、ことごとく背後を取られての敗戦。これからの戦い方を考えさせられるものとなった。

 

この日のメンバーは以下のように。

徳島ヴォルティス
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開幕前は昇格圏に予想されながら、怪我人が多く、ここまで4連敗。主力の大崎玲央が神戸に移籍を発表しベンチ外。難しい時期が続く。

この試合から広瀬陸斗が怪我明けで初スタメンで右WBで起用。それに伴い、大本祐槻が逆サイドを務めた。

 

大分トリニータ
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変更は1つ。契約上出場できなかった松本戦以外は全試合先発出場していたボランチ宮阪政樹がベンチスタート。かわりに川西翔太が先発。昨年はこのポカスタでPO進出を逃し、シーズンダブルを食らった。

 

相手に対応できずに

大分はゲームの入りで、徳島が前からアグレッシブにプレスを仕掛けてくると想定していた。それはボランチのビルドアップの際に工夫を施していたからだ。普段はボランチが1枚下がり4+1の形で組み立てをするが、この日はその下がり方を変更。川西が左CBの刀根亮輔の横に入り、プレス回避の意図が見えた。

しかし、徳島は前線からのプレスを仕掛けては来ず、ハーフラインよりやや自陣よりにラインを引いてきた。これはただ単にドン引いたワケでなく、明確な意図を持っての低いライン設定だった。

徳島の狙いは攻守共に狙いがあった。

 

まずは守備。

これまでの「大分対策」はいずれもパサーへのアプローチをどうするかが中心だったが、徳島はパスの受けてへのアプローチを試みた。3-3-2-2のサイドを下げて5バックにし、中盤中央の3人は内側を重視し、3バックと中盤の3枚で大分のシャドウを孤立させた。 
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 また、ラインを低く設定することによりボランチからのロングフィードも無効化した。スピードのある大分の両サイドがロングフィードを受けて背後を取って崩す形を取るが、徳島DFがあらかじめ低い位置に構えているので高さでの競り合いに持ち込んだ。また、ラインが低いため、裏のスペースもなくなり、結果として大分のボランチは近くの味方に預けるしかなくなっていた。

ボールの位置取りを高くしてから全体を押し上げる大分は、攻め手は無いがボールは持たされるという状況に。そうなってはリスクを負ってでもラインを高く設定して殴り続けることを余儀なくされた。

 

次に攻撃。

基本的にはDFラインを低く設定するとそれだけ相手ゴールからも自ずと離れるため、攻めあぐねる事が多い。しかし、徳島はしっかりと攻撃のデザインも施されていた。

肝となったのは中盤の底にシシーニョを置いたことと、FWの動きだ。

徳島の中盤の底はいつも岩尾憲だが、この日はシシーニョを起用。これはボールをシンプルに捌けるシシーニョが一番ボールに触れる位置に置いたということ。シシーニョにボールが渡ればそこを起点にカウンターへと移る意図があった。

徳島の2トップはボールを奪うと、縦ではなくナナメに走り、高い位置を取った大分の左右のCBの裏を狙った。中央を回避することにより、大分のCB、鈴木義宜をサイドへと釣り出す。そして岩尾憲と小西雄大インサイドを駆け上がりフィニッシュまで持っていく。
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大分は高いラインの背後を取られてサイド→中と揺さぶられて多くのカウンターを受けてしまった。

その形から11分に岩尾のシュートをブロックした丸谷の腕に当たってPK。これを岩尾にしっかりと決められて失点。

 

大分は効果的なカウンターを繰り出す徳島にただただ攻めあぐねてしまい、25分ごろからフォーメーションを変更。4-1-2-3に変えてサイドの補強をした。
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引いた相手に対して3バックでは人数が余ること、5バックを敷いた相手のサイドに2枚をぶつけて3ボランチ気味の中盤を拡げる意図があった。これによりサイド突破が増え、シャドウもボールを触れるようになったが、粘り強く対応されてしまい、カウンターを食らう。を繰り返し、ややテンションの高い前半をビハインドで折り返す。

 

崩れたゲームプラン

大分はハーフタイムに國分伸太郎から清本拓己を投入。今季初めて4-2-3-1に変更をして後半をスタートさせた。
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しかしこの変更から僅か2分後にゲームプランは完全に崩れる。なんでもないボールを丸谷が岩尾に対してスライディング。これが岩尾の足首に入り2枚目の警告を受けて退場に。あまりにも軽率なプレーでゲームを台無しにしてしまった。

これにより4-4-1に変更。
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大分は果敢に走り、積極的に攻めるも打開はできず。65分ほどから徳島が前に出て来て攻め手を失うと、69分、89分と失点をして0-3で敗戦。残念な結果となった。

 

徳島の印象

ただ守備的なだけでなく、攻撃もデザインされており、やっぱり徳島はどの順位にいても嫌な相手だと思う次第。

特に攻撃面では、しんどい長い距離のスプリントを何度もこなし、チャンスを作るのは走力が叩き込まれているから。島屋八徳や岩尾憲はそのスピードでもプレーの精度が落ちない良い選手と感じた。次は11対11での戦術での殴り合いをしたい。

 

運も味方して

個人の軽率なミスもあり、0-3で敗戦も、2位山口も敗戦、町田、福岡は引き分けと上位チームが軒並み勝てず、前半戦を勝ち点40で首位で折り返すことができた。しかし、昨年暮れにPO圏進出を逃し、片野坂監督の涙の会見があったポカスタでリベンジが果たせなかったことはとても悔しい。

ここまで完勝といったゲームはほぼなく、クリーンシートでの勝利も数えるほどと課題は多く残る。そんななかでも今年はシーズンの折り返しをトップで迎えられたのはこれまでの積み重ねの証左であり、勝負強さが備わっているからこそ。後半戦はより研究をされて難しい試合も増えるが、そこを勝つことで新たな景色が見えるのは確かだろう。

後半戦最初の相手は甲府。前回の対戦ではボッコボコにやられた相手にどこまで出来るかを楽しみにしたい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第21節 徳島ヴォルティス vs 大分トリニータ - YouTube

【日本代表】vsポーランド "最終的には"勝負に徹して〈ロシアW杯 グループH 第3節〉

とても退屈でクソみたいな90分。国際大会で「無気力試合」はエンタメとしては最低で、とても醜いものだった。だが、それでも決勝トーナメント進出という「結果」を残したのだから、それは評価されて然るべき。しかし、そこに至るまでの過程には首を傾げる他ない。個人としては納得いなかいゲームであった。

 

この日のメンバーは以下のように

日本代表
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突然の!4-4-2!メンバーを6人も変更した。

 


ポーランド代表f:id:west242447:20180701150400j:image

こちらは4-2-3-1。

解説者泣かせの、舌を噛み切るかのようなメンバーたち。グジェゴシュ・クリホビアクとか。(グジェゴジュって東欧っぽい)

ピシュチェクブワシュチコフスキといったドルトムントで見たことある選手はベンチスタート。とりあえずミリクが出て来たらヤバいって印象だった。

 

つまんない

90分通して日本はちぐはぐだし、ポーランドはモチベーションの低下からかパスは回せど凡ミスで奪われて……と互いに良さを出しあうわけでなし、良さを消しあうわけでもなし。死ぬほどつまらなかった。セットプレーで大外を酒井高徳がはずされて失点して負け。まだ23時にキックオフだったからよかったものの、時間を無駄にした感が半端ないって!

 

采配に疑問

この日のスタメンを見て、まず最初に思ったのは
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そして、試合を見てもこの感想は変わらなかった。

スタメンを6人変更し、フォーメーションも変えた。変わって入った6人は、岡崎以外はいずれも課されていたであろうタスクを全うできていない、もしくはそもそもタスクなんてなかったんや!としか言い様のない酷い出来。

 

 まず4-4-2の採用について。

相手が4-2-3-1。マッチアップを考えての4-4-2採用であったようだが、日本の強みであるトップ下を生かしたプレーを捨ててまで相手に「形だけ」合わせることはあまりにも無謀だった。

真ん中に人がいないため、日本の強みであるトップ下を使った中央からの崩しは皆無。サイドからサイドへ繋ぎ、どん詰まり。相手のCBはアジリティで優れているとは言えず、今まで通りの戦い方のほうが優位に試合を進められていたように思われる。

 

起用された選手の力量

前線から岡崎、武藤、宇佐美、酒井高徳、山口、槙野と6人が先発出場をしたが、岡崎以外はよく分からない起用だった。

 

武藤は、前線で相手DFと駆け引きを好んでいたが、そればかり。あれだけバイタルエリアがポッカリと空いているのに下がる素振りも見せない。それでは大柄なポーランドのDFと高さで勝負しかなくなるのに、非効率的な動きしかできなかった。決定的な場面で宇佐美にパスも出さずに横にドリブルでは怖くもなんともない。

宇佐美は、守備をしない(できない)し、攻め残りからカウンターという戦術でもなく、長い距離をスプリント出来るわけでもないため、中盤でアタフタするのみ。一番酷い選手だった。ポーランドも彼のサイドからチャンスを作っていたし、後手後手の守備はレイトチャージでファウル。攻撃でも輝きは放てず。

酒井高徳はいつもとは違う1列前での起用。軽いプレーで簡単にボールをロストして、酒井宏樹は守備にばかり回った。そんなだからサイドで厚みのある攻撃はできずにごちゃごちゃしてチャンスを潰してばかり。

山口は無策にボールサイドへ向かい、自分のカバーなんて全く見ない。自分が空けたスペースをもっと使われていたら確実に戦犯だ。柴崎との連動もできずにカウンターで相手SBに柴崎、山口がぶつかっていき宇佐美が守備をしないという地獄が完成した。

槙野は前でのグダグダのしわ寄せをくらい、1列前のカバーリング、最終ラインでの守備と頑張っていた。しかし、相変わらず手グセの悪さや軽いプレーでヒヤヒヤもの。最後、フェアプレーポイント差になったときに一番カードをもらいそうな選手だった。他に比べれば悪くはないが……

そんなこんなでいびつな形になってしまう。

 

気持ちとしてはこんな形に。
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DFと中盤のラインはぐちゃぐちゃ、サイドの距離感は離れて分断とまさに地獄絵図だった。

 

監督の修正力

こんな無秩序な地獄が続くなかで、相手を見て西野さんは修正をするわけでもなく、難しい顔をして見るだけ。

もし自分が試合中で修正をかけるならけこの形にする。
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守備で穴になりつづける宇佐美を真ん中に回して守備の負担を下げて、武藤はパラグアイ戦のように右サイドに。酒井高徳を逆サイドに回して宇佐美の裏を突いていた相手に守備力の高さで対応。フリーダムなボランチにはボールに食いつきすぎないように指示を出して中を埋める。

これができればある程度は秩序が保たれ、ゲームも落ち着いて引き分け以上を狙える気がする。しかし、そもそもこんなに修正を施さないといけない状況にあるのが意味不明だし、この試合にそんなリスクを取る必要があるのかと言えばないだろう。

結局、頑なに4-4-2を使い機能不全のまま岡崎→大迫と攻撃のリンクマンを棄てて、宇佐美→乾で結局サイドに守備が必要と判断。いくらなんでもちぐはぐすぎやしないか、と思う次第。

 

選手選考自体の破綻

ここからわかるのは、主力とベンチメンバーの差が開きすぎており、代役になれていないということ。それはつまり、選手選考自体の破綻であり、戦力になりきれていない選手が主力のかわりを担う極めてリスクの大きいものであるということ。これは西野さんとJFAの失敗に他ならない。特に田嶋は許さん。

 

なぜか漏れるメンバー

 

 

何はともあれ

糞みたいな采配、糞みたいな内容でも、ベスト16進出という"最低限"の結果は掴んだ。結果論だが、主力を休ませての予選突破。最高ではないか。しかしそれはあくまでも「結果論」での話。もっと楽に勝ち点1を手にする采配ができたと感じるし、不要なリスクを背負ってまでビハインドでのボール回しをしなくて良かったと感じる。そこらへんをもっと詰めていければより代表はスキのないものになるのではないか。とも思う。

しかし、なんだかんだ言っても、日本が勝ち上がったのはホントの話。勝負に徹して負けを許容し、リスク上等のゲーム運びでも結果がすべてだ。勝ち負けに美しいもクソもない。最後に時間稼ぎができるくらいここまでの2試合で勝ち点を積み上げてきたのだから。

今日のベルギー戦でこのモヤモヤを晴らしてくれるでしょう!

歴史を塗り替えるまであと1つ。

 

【日本代表】vsセネガル 中央を制して〈ロシアW杯 グループH 第2節〉

1人少ないコロンビアに勝利したものの、守備での不安を抱えていた日本。しかしこの日は攻撃でのポストプレーが効いた事で相手に後手を踏ませ、自分たちの戦いに持ち込む事ができた。

 

この日のメンバーは以下のように。

日本代表
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コロンビア戦からの変更はなし!

 

セネガル代表
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ポーランド戦は4-4-2を採用していたが、この日は4-1-2-3で挑んだ。守備の中心はイタリアのナポリでプレーするクリバリからのロングフィード、攻撃の中心はリヴァプールでプレーするマネの運動量が注目された。

監督のアリウ・シセは大会最年少の42歳、唯一の黒人監督とそちらでも大きな注目を受けていた。

 

高く、コンパクトにすることで

どのようなゲームになるかを互いに伺っていた11分、セネガルが右サイドから作りファーサイドへクロス。原口が逸らすもサバリがトラップからシュート。川島が弾くも、目の前のマネにあたり、早くも先制を許す。

しかし日本は、時間と共にセネガルの3トップの前からのプレスをパス回しと球際の強さで対応していく。また、ラインを無闇に高くせず、後ろに最低でも3人を残して裏のスペースのリスク管理を行った。後ろに人数を置き、ライン設定を高くしない事により、日本は中盤での主導権の奪い合いに舵を切った。

中盤での主導権を握る上で、長谷部の動きがポイントとなった。長谷部がボランチからCBに下がり、SBを押し上げて、2列目の選手が流動的に相手のアンカー脇にポジションを取った。
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セネガルは、守備の際にA.エンディアイエをニアングの横に置き、左右のウイングがSHを務める4-4-2。日本の長谷部が1列下がったことにより、マッチアップにズレが生じた。
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日本は失点後も落ち着いてボールを回し、乾がボランチ(もしくはアンカー)脇に顔を出し、右SBのワゲを内よりに動かして、その大外を長友が突く形で攻略を目指す。

また、ミスマッチにより、柴崎がフリーでボールを持てる場面が増え、攻撃の起点になれたのが徐々に効いてくる。柴崎が起点になり、セネガルボランチとDFラインの間でクサビを打つ回数が増える。セネガルボランチは柴崎にチェックに行くとボランチ脇のSBにパスを出されてしまう。前からの守備は連続性に欠く。となればセネガルは撤退をして、3列目とDFラインを圧縮して日本の2列目を消すしかなくなる。これにより、セネガルの1stDFはハーフラインよりやや自陣寄りになり、押し込まれてしまう。

結局、柴崎を捕まえきれないうちに日本が同点に追いつく。中盤で柴崎から左サイド深くに正確なロングボールを入れると、SBの外を走り込んだ長友がワントラップ。長友は乾とスイッチして、乾が右足で巻いてファーサイドへ流し込み同点に持ち込む。

その後日本は香川をやや下げてビルドアップに参加させ中央で1枚剥がすことによりセネガルの中盤に混乱を与えると、セネガルはたまらず5-4-1へと変更。前半はドローで良いという判断からだろう。しかし、ニアングが柴崎のチャージを受けてからイライラしだし、守備の参加を怠りがちになる。不完全な5+4の守備は結果として重心をただ下げるだけの悪手だったと思われる。

その後、前半終了間際にカウンターからFKを与えてしまうが、完璧なオフサイドトラップを成功させる。
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オフサイドトラップをかけながら、4人がカバーに入るという実に見事な出来だった。すごい。

そんなこんなで同点で折り返す。

 

逆向きの矢印を持って

 後半に入りメンバーは変わらなかったが、セネガルは中盤の形を変えた。4-2-1-3に変更し、中盤に人数をかけると共に4+4の守備をしやすくした。
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 しかし、日本の2列目の選手が代わる代わるハーフスペースに侵入することで、相手SBの対応を難しくさせ、後半も日本のペースで試合が進む。59分には相手のミスから原口がボールを奪い、右サイドの酒井宏樹へ。酒井のグラウンダーのクロスに大迫が反応するも届かず。その5分後には大迫のポストプレーからヒールで裏にパス。乾がファーサイドへ巻いてシュートを放つも枠に嫌われて追加点とはならない。

流れを引き寄せられないセネガルは、A.エンディアイエからクヤテに変える。より対人に強いクヤテの投入でショートカウンターを狙う。また、中央で主導権が握れないためロングボールでサイドの深くで位置の回復をしてから攻め手を伺った。

71分に、左サイド深くでマネからサバリにパス。サバリは低く速いクロスを上げると、ニアングがフリックして逆サイドから爆走してきたワゲが豪快に蹴り込んで勝ち越しに成功する。

日本は直後の72分、香川から本田を投入。突然素早さが上がるわけでもないので相変わらず渋滞するが、この日はそれでよかった。

本田が"渋滞"を起こすのは、あくまでタテに速い速攻や、相手の背後を取ることが必要な時だが、セネガルには本田のタメが効いていた。

前半から1トップの大迫がゴールに背を向けた、いわば逆向きの矢印でプレーしており、それにより2列目の押し上げを可能にしていた。セネガルは、守備の要であるクリバリでさえも大迫に手を焼いており、時間と共にポストプレーを選択した選手に1人2人と無闇に寄せる場面が増えて、本来居るべき場所に居ない事が増えてきた。大迫を残しての本田起用は、ポストプレーのポイントを増やし、マークのズレを突く意図があった。

その3分後には原口→岡崎。4-4-2に変えて2つのポイントに加えて前線でのアバウトなボールも回収する意図が見えた。

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そして79分、柴崎の縦パスから岡崎→大迫と繋がり、クロス。岡崎とGKが被ってサイドに流れて乾の足下へ。中へもう一度折り返すと岡崎が潰れて本田が押し込み、再び同点に。本田、持ってる。

再び同点にされたセネガルはその後、集中力を欠き、日本も攻め手を欠き試合終了。両チームとも勝ち点4でグループステージ突破に近づいた。

 

日本らしさを垣間見て

「自分たちの戦いがー」と念仏のように言い続け、惨敗をした4年前。結局、横パスサッカーが日本のサッカーなのか……と絶望をしたが、今回のW杯ではほんのりと「日本らしいサッカー」が見えてきたように思える。

では、日本らしさとは何か。それは「連続性」と「混沌の中の秩序」ではないか。

「連続性」とは今まで勤勉さなどと呼ばれていたもの。プレスバックの連続性や試合終盤でも安定して走れる気力。

「混沌の中の秩序」とは、戦術としての積み上げや整備があまりなされていなく、「混沌」とした試合の中でのゲームメイクやバランスを取るという「秩序」を保つ上手さがあるようにみえた。

W杯のたった2試合で「日本らしさ」などわかるわけないが、そのような傾向があるように見えた。

あと少しでポーランド戦。勝ち点を奪い、ベスト16に行くことで日本のアイデンティティを見つける手掛かりになってほしい。

 

【大分】vs福岡(H) 九州の誇り〈J2 第20節〉

2位の大分と4位の福岡。勝ち点差は僅かに「2」。今期最多の12058人の観客を前でトリニータは最高の結果で首位に返り咲いた。

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
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前節、怪我で途中交代をした後藤のかわりに國分伸太郎がスタメン。契約の関係でベンチ外だった宮阪も戻ってきた。そして前節に引き続き、丸谷が右のCBに入った。

 

アビスパ福岡
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前節の4-4-2からフォーメーションを変更し、3バックで挑んだ福岡。松田力が累積で出場停止。かわりに石津大介が6試合ぶりに出場ら、左サイドには輪湖直樹から平尾壮へと変わった。

 

偏った攻めに対応

前半、福岡は左サイドから攻勢を仕掛ける。鈴木惇が左に寄り、平尾壮が位置を取る。CFのドゥドゥが左サイドに流れて石津大介がバランスを取り、篠原弘次郎が高い位置を取るサイドのカバーリングをしていた。
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 このように左サイドに人数をかけていく。中盤から下でボールを持つと、左から平尾、ドゥドゥ、石津、森本、枝村が大分の3バック+両WBに圧力をかけることで攻撃を作る。

マッチアップでは、大分の後ろ5枚に対してアタッカー5人は1対1を仕掛けるのではない。
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 福岡の左サイド、大分から見て右サイドを攻めていくため、松本怜に平尾をぶつけ、その背後にドゥドゥが流れて3バックの網の目を拡げてサイドからのカットイン、もしくはクロスで大分の守備をこじ開けようとした。

大分は、ドゥドゥがサイドに流れることにより、そこから打開してくることを想定していたようにみえた。ボールを保持しても、星雄次と松本のWBは相手の5バックの端を担う相手WBにぶつけず、トップ下とWBの中間にポジションを取って、相手の2列目をサイドの守備へと誘っていた。
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これにより、大分のWBがボールを持った時は、相手WBが前に出てきたらその裏をシャドウが突き、2列目の選手がチェックに来れば、ボランチの宮阪がフリーでボールを受ける事ができるようになるため、中央からの攻めに転ずる事ができる。

以上のように両チーム共に明確な狙いを持ってゲームに挑んでいた。

 

大分ははじめて片方のサイドから攻めを受けたが、慌てることなくしっかりと対応。相手を引き込んで、やや攻撃で渋滞を起こさせてカウンターを狙った。

福岡は左サイドからの攻略を目指すも、なかなか守備が崩れない。すると前線に人数をかけて手数で上回ろうとする。前の5人が前のめりになり、3バックの左右を務める實藤友紀、篠原弘次郎も高い位置までボールを運んで厚みをもたらす。2列目の石津大介枝村匠馬も前目にポジション取りをしていたため、次第に中盤の中央が空になっていた。

 

そして19分。大分は自陣で松本がインターセプトをすると、國分が素早く前線へ。右サイドに流れていた藤本が持ち運び、PA前の馬場へパス。馬場はタメを作ってサイドの松本にボールを渡すと、ダイレクトでクロス。GKとDFの間に速いクロスが入ると、DFの死角から藤本がニアサイドで合わせて先制点を奪う。福岡の高くなった左サイドのウラを取っての得点となった。

24分にはCKのこぼれ球を小手川が1トラップからドライブシュート。これは枠に嫌われたが、カウンターから効率よく攻める。

先制を許した福岡は相変わらず左サイドからの攻めが多かったが、1ボランチ鈴木惇の左右がぽっかりと空き、トップ下の2人も前のめりになっていたためロングボールを放り込むか、サイドに預けるかしかなく、中央からの打開は難しくなる一方。これを見てか大分は守備の形を変化させる。

いつもは5-4-1でサイドにフタをして5+4で挟んで潰すが、この日は5+3で守り、相手の手薄になった中央で数的優位を作り出した。
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前線で國分、藤本が相手の背後を虎視眈々と狙い、速攻を意識していた。また、中央でボールを持たれると、ラインを上げてショートカウンターを狙いつつ相手をサイドへと引き込んでいく意識があった。

このように多くの駆け引きがあった前半は1点リードで折り返す事ができた。

 

耐えに耐えて

後半に入り、福岡は左サイドの偏重はそのままに、起点となる鈴木惇を中央からやや右寄りに配置。ボールの出し手と受け手の間に相手DFを置くような形にして、守りづらい形にマイナーチェンジをした。また、左サイドだけでなく、右サイドも使うようにしてサイドからシンプルに組み立てを行った。

大分は55分、宮阪から川西へ交代。中央で相手のバランスを崩す意味合いを持っていた。

福岡は63分に2枚替え。森本と枝村を下げて木戸皓貴と城後寿を投入。ここからゲームが激しくなる。

直後の64分、左サイド深くでドゥドゥが前を向くと馬場の肘が入り倒れるもノーファール。1分後には高木駿からのボールを受けようとした藤本が篠原に足払いをされて倒れる。悪質なファールだったが、審判団も見ておらずに流される。プレーが止まり立ち上がれない藤本を篠原が無理矢理起こそうとしてスタジアムは騒然とした。

70分からはオープンな展開になるが、大分はビルドアップでのミスから福岡を勢いづかせてしまう。木戸のシュート、CK崩れからのユインスのミドルシュートは高木が防ぐも、岩下と木戸のロングスローを含め守る時間帯が増えた。79分にはスルーパスを受けたドゥドゥからの折り返しをフリーで木戸が狙うも空振り。なんとか凌ぎきる。

最後20分は手に汗握る展開が続くも、守備陣がしっかりシャットアウト。1-0で上位対決の九州ダービーを制した。

 

福岡の印象

「大分対策」で大分のビルドアップでの対応を工夫をしてくるチームは多々あれど、福岡のように片方のサイドから攻めてバランスを崩そうというのは今季初。見ていてとても面白かった。中盤でボールを持つと、前線の5人がウェーブをして3枚が前に出て、2枚が受けに下がる形をしており、ゾーンかマークかでの対応で後手を踏ませる意図があったはず。しかしこの日はそちらに執心している間に中盤の空洞化を起こし、そこを突かれてしまったか。スペースの取捨選択は悩ましいところかもしれない。

選手で気になったのは、鈴木惇と木戸皓貴。

鈴木惇はさすがのゲームセンス。ロングフィードは一級品だと改めて感じた。彼にミドルシュートをもっと打たれていたら危なかったかもしれない。

木戸はゴリゴリ系のストライカーの印象だったが、ポジショニングが上手く、ワンタッチゴーラーっぽさを感じた。また、ロングスローをもっていたりと引き出しの多さも魅力だった。

そしてこの日もっとも目立っていたドゥドゥ。前半はスタンドにボールを蹴り込み、ハッと気づいてか平謝りしたり、馬場との接触でイラついてか終了後の握手で馬場の手をグーパンしたり……なんというか瞬間湯沸し器のような性格だな、と。考えるよりさきに動くタイプでパッション!な選手はあまりいないから観ていて面白かった。手を出しちゃダメだがシュートレンジも広く、福岡のキーマンとして厄介だなぁ、と。

 

 

越えたその先へ

試合後のインタビューで片野坂監督は髪は乱れ、喉は枯れながらも応対をしていて、この試合の激しさ、難しさを感じた。そして全身全霊で大分の為にやってくれていることも。

上位対決を制した大分は、再び首位に返り咲いた。そして、昨年のホーム勝利数に早くも並んだ。昨年は「鬼門はホーム」と言われて、どこかため息の多い大銀ドームだったが、今年は違う。昨年を越えたその先に見るのは「昇格」の二文字だ。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第20節 大分トリニータ vs アビスパ福岡 - YouTube

【日本代表】vsコロンビア 不要なリスクを抱えつつ〈ロシアW杯 グループH 第1節〉

 まさかまさかのワールドカップ初戦で勝利。4年前にボッコボコにされたコロンビアにリベンジを果たした。しかし、なぜだろう。手放しで喜べない。どこかで「次のない戦いをみている」気分である。

再現性のない成功。それを素直には喜べない。だがしかし、日本代表の底力、尻に火がついてから何とかしようという気迫が感じられた。「気持ち」での勝利なのかもしれない。

 

この日のメンバーは以下のように。

日本代表
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西野さんに変わってからの3試合。最後の最後で出た「トップ下、香川」を軸にしたメンバー構成となった。そして最後まで隠していた酒井宏樹の先発。多分こっちはバレてたとは思う。紆余曲折あったが最後に最適解を導きだしてくれたことで一先ずはメンツを保った。

 

コロンビア代表
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こちらも日本と同じ4-2-3-1。4年前にトラウマになったハメス・ロドリゲスはベンチスタート。試合前のアップでも軽めにしか調整しておらず、コンディションの悪さが伺えた。

しかし、ハメス以外にも右サイドのクアドラード、FWのファルカオと強力な前線に日本はどう対処するのかが問題になるだろう、というのが試合前の見立てだった。

 

いきなりのカミカゼ

日本代表は4-4-1-1で守り、中からやられない事を意識していたと思われる。一方のコロンビアはサイドに幅を取らせてそこからの打開を考えていたようだ。2分にコロンビアは左サイドからクロスを送るが、ブロックをされて香川がクリア。これに大迫がウラに抜けてコロンビアGK、オスピナと1対1になりシュート。これはブロックされるが、こぼれ球に香川が詰めてシュート。これをペナルティエリアカルロス・サンチェスが手をだしてしまい、サンチェスは決定機阻止で退場。日本はPKを獲得する。これを香川がしっかりと決めて、日本は6分に先制をする。

1人少なくなったコロンビアは、選手交代はせずにキンテーロを1列下げて4-4-1へと変更。
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数的優位になった日本だが、ここから稚拙なプレーで流れを引き寄せられない。ボールを持つと縦に仕掛けたり、やや難しい縦パスを入れて簡単にボールを奪われてカウンターを受けてしまう。相手が自陣にブロックを作って待ち構えているのに、それを何度も繰り返し、ピンチを招いてしまう悪循環に陥ってしまう。

リードを奪って数的優位なのに浮き足だった日本が落ち着きだしたのは20分を過ぎてから。この時間になってやっと相手が高い位置から仕掛けてこないと気づいてボールを回し始める。

日本が無理に仕掛けてこないと気づいたコロンビアは、31分にクアドラードを下げて、ボランチバリオスを投入。サイドにキンテーロが回った。
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この交代から、コロンビアにボールを回される。ジリジリと日本サイドに入ると、37分に長友のクリアが真上に上がり、落下点に長谷部とファルカオが競ると、ファルカオが倒れてファールの判定。日本は抗議するも判定は覆らずにペナルティエリアの外でFKを与えてしまう。このFKをキンテーロが壁の下にゴロのシュートを放つ。川島はボールを掻き出すもゴール。日本は不用意な形から不覚にも同点にされてしまう。

同点になり、パニックになった日本はより前へ前へと攻め急ぐ。バタついて、数的優位なのを忘れたかのような振る舞いのまま前半終了。

 

相手にも助けられて

パニックを起こした日本だったが、ハーフタイムで落ち着きを取り戻し、後半はじっくりと攻めるようになった。

4+4で引いて守るコロンビアに対して、日本は原口、乾が積極的にDFラインと中盤の間でボールを受ける動きを見せる。また、そこでボールを奪われてもすぐにプレスに行くことで相手SHに高い位置を取らせない。
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これにより、日本はSBの酒井宏樹と長友がフリーでボールを持つことができるようになった。

試合がやや日本ペースのまま膠着しはじめた59分、コロンビアはキンテーロを下げてエースのハメスを投入。これにより主導権を奪い、2点目を狙う姿勢を見せた。しかし、この采配が大きな誤算となってしまった。

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ハメスはキンテーロと同じ右サイドに入ったが、コンディション不良のせいか動きが重く守備がほぼできない。これにより長友が高い位置で自由に攻撃に絡むことができ、乾も高い位置でカバーリングを受けられるので積極的にカットインに持ち込めた。

70分に日本は香川→本田、コロンビアはイスキエルド→バッカと両チームとも攻撃的なカードを切る。

バッカは右サイドに入り、ハメスが逆サイドにスイッチ。
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本田は投入時に、ベンチからの指示で大迫に「左右に流れず真ん中で受けろ!」と伝え、あくまでも勝ち点3を狙うために中央から打開をしたい考えがあったようだ。

本田は出場から僅か3分後にCKのキッカーを務め、大迫のゴールをアシスト。守備の貢献はできないが、「数字」で結果を出した。その後はふらふらと右サイドに流れて原口の邪魔になり、高い位置で奪われた酒井宏樹カバーリングもせずに散歩。これをコロンビアが見逃すわけもなく、連続のCKでピンチを招くも、大迫がハメスのシュートをギリギリで足に当ててブロックをしたりして失点にはならなかった。最後は柴崎→山口でボール狩りをしてるうちに2-1で試合終了!数的優位が生きた日本が、開幕戦を最高の結果で終えた。

 

監督の交代カードの意図を探る

開始早々の退場により大きくゲームプランが狂ったコロンビア。数的優位ながら慌てて主導権をなかなか握れなかった日本。そんな両チームの選手交代の意図を探る。

 

31'クアドラードバリオス(COL)

前半の最序盤に退場したC.サンチェス。彼の役目はおそらく、日本の「トップ下番」であったはずだ。日本の攻撃の中心はトップ下の香川か本田。この日は香川がトップ下で出場をしたので、前を向かせない、狭いスペースでの打開をさせないことがC.サンチェスの役割であった。しかし前半早々に退場。守備のキーマンを失ったコロンビアはキンテーロを下げて「トップ下番」をさせたが、本来は1列前の選手なのでどうしても守備が軽く、日本がボールキープをしはじめたタイミングで、ボランチに本職の選手が居ないと失点をしてしまうと感じての交代であったように思えた。交代で入ったバリオスは「トップ下番」として香川をゲームから消し、低い位置やサイドに追いやることができたので、「傷口をこれ以上広げないため」のこの交代でコロンビアは落ち着きを持てたはずだ。

 

59'キンテーロ→ハメス・ロドリゲス(COL)

前半の内に同点にしたコロンビア。しかし後半に入り、日本が落ち着きを取り戻し、守勢に回る時間が増えた。速攻はクアドラードがその前にベンチに下がっているため難しい。となればまずは日本からボールを奪取してから攻撃に転じる必要がある。ボールを持てば違いを魅せる事ができるハメスは、コンディション不良であっても使わないという手はない。また、4年前に日本はコートジボワール相手にリードをしながら、ドログバというスター選手が投入されるとメンタル的に受け身になってしまい逆転を許してしまう。それを見越しての交代だったかもしれない。しかし、これが大誤算。ボールは回ってこないし、守備はできない。コロンビアは9人+本田みたいになってしまい、より攻め手を欠く結果になった。

 

70'香川→本田(JPN)

前半から楔を受けて前を向ける香川はコロンビアにとって無視できないものであり、日本の攻撃の中心としてプレーができた。しかし、バリオスの投入により中で香川が消されたため、攻撃はサイドからの形が増え、中央からの打開はボランチがリスクを負って前に出ることが多くなっていた。しかし、それではカウンターを受けた際に守備に大きな問題を抱えてしまう。となればボランチの上がりの抑制(リスク管理)と中盤中央でのクオリティーの維持が求められ、それができるのは、本田か宇佐美というチョイスが考えられた。

宇佐美はドリブルを好むタイプなので彼が突っ掛けたあとの対応まで詰められていないので難が残る。守備に大きな問題を抱えてでも本田を起用することで、中盤でのタメとミドルシュートで牽制しよう、という意図を感じた。実際はヘロヘロのミドルシュートに始まり、サイドにふらふらと流れたり、ボールロストの鬼。フィジカルもそんなに強くないという苦行だったが、そこは本田圭佑。出場から僅か2分後に起点になり、その後のCKでアシストと「持ってる」所を見せてくれた。

 

70'イスキエルド→バッカ(COL)

守備できない、ボール触れないとイライラした兄ちゃんになってたハメス。繋ぐにしても高い位置まで持っていくのはしんどく、ロングカウンターもできないので、まずは位置の回復をしてそこから崩すしかなくなっていたコロンビア。それならばサイドに攻撃的な選手(できればシュートの上手いヤツ)を入れてどさくさに紛れて得点を奪おう!という半ばヤケクソ感のある采配のように思えた。最初から縦に速いクアドラードをなぜ下げた!?ってのはナゾだが、そこらでも多分カミカゼが吹いたんだろう。コロンビアは3強1弱の1弱からまさか勝ち点を落とすなんてのは想定してないだろう。そこらへんの関係で正常な判断ができなかったかもしれない。

 

80'柴崎→山口(JPN)

試合も終盤に入り、1点リード。相手はなりふり構わず前線にボールを入れて得点を奪いに来る。と、なればゲームメーカーの柴崎の頭上をボールが行き交い、起点となる彼は、相手からするとボールを奪えばチャンス!と考える。それならば多少パスには難ありでもボールは他の所で落ち着かせてもらって中盤に狂犬山口を放し飼いしてボール狩りをしてもらう。疲れてきた時間にフレッシュな狂犬。ボールを奪うチャンスはたくさん。相手は1人少ないのでたとえ動きすぎて居るべきポジションを空けても数的に優位に立っているので大丈夫。という考えでの起用だったように思えた。

 

 85'大迫→岡崎(JPN)

前線でボールを収めに収めまくって決勝点まで決めた半端ない功労者も、時間と共に体力を消耗。最後らへんは足がつっていた様であった。CFは控えに武藤と岡崎が居たが、運動量が多く、ルーズなボールでも回収できる岡崎が選ばれた。また、怪我とウワサのあった岡崎のコンディション調整としての意味合いも大きかったはずだ。

 

 選手交代から見ても、日本は前半は浮き足だったが、ハーフタイムで修正ができたことにより相手の状況を見ながら臨機応変に対応できたように思われる。コロンビアは先に動かざるを得なかったこと、日本の中盤をリスペクトしすぎたために有効な攻め手を自ら削ってしまった印象だ。ワールドカップ初戦の難しさが如実に表れたのではないだろうか。

  

11人の「個」での勝利

 退場者に加え、適切なベンチワークができなかったコロンビア。それに対してPKとFKとセットプレーから確実に得点を挙げて勝利を手にした日本は、きっかけこそカミカゼだったかもしれないが、勝ち点3という結果を手にしたことは評価されて然るべきだろう。

しかし、10人の相手に対しての稚拙なゲーム運びからも感じられたように、日本は大きな問題を抱えているように感じたのも確かだ。

特に問題だと思ったのは、マークの受け渡し。両チームのマッチアップはある程度は想定できるが、現代のサッカーでは攻守によってフォーメーションが分かれたり、複雑になりつつある。そうなれば、マークを受け渡す場面が多くなるが、日本は2ヶ月で3試合+W杯本戦の1試合、計4試合しかしていないせいか、マークの受け渡しが上手くいかない場面が多くあった。

特に目立ったのはクアドラードのカットインに対しての日本のアクション。対峙する長友から中央にマークを受け渡すも、CB、ボランチ、SHと3人も食い付く場面があったり、失点シーンの長友のクリアミスに対して落下点に味方同士が被ったりと、ワールドカップの初戦ということを差し引いても守備が整っていない印象が強かった。

グループHの残り2試合、相手が早々に退場者を出すことなどほぼないだろう。11人どうしで試合をしたときに、このマークの受け渡しの曖昧さ、ボールに食い付きすぎるのは大きな問題である。

個々で戦い、対峙する選手に対して球際で気迫のこもったプレーをみせて勝利に持ち込んだ日本代表。これは11人の「個」での勝利だ。これからの2試合は「個」だけでなく、チームとして連動しなければ苦しくなる。今からしっかりと準備することは難しいが、コミュニケーションでなんとかしていくしかない。

 

 

最後に。この勝利は「JFA」の勝利ではないことはハッキリと記しておきたい。。田嶋やTwitterハリルホジッチ監督に対して敬意を欠く川淵三郎の手柄ではない。この勝利は、西野さんをはじめとするスタッフと、23人の選手たちによってもたらされたものだ。

次はセネガル戦。連勝で予選を勝ち抜けたい。

 

 

【大分】vs松本(A) 手堅く、最後まで〈J2 第19節〉

勝ち点差は僅かに「3」。得失点差はなし。松本が勝てば順位が入れ替わり、大分が勝てば勝ち点差がまた開く。まさに「6ポイント」のゲームは大分が手堅く勝利した。

 

この日のメンバーは以下のように

松本山雅FC
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ここまでホーム負け無し。そして最近のホーム5試合は無失点。怪我人がちらほら出ており、この日はFWの高崎寛之がベンチスタート。

 

大分トリニータ
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前節は21位の愛媛に敗戦し、首位陥落。そこから4人の変更をした。契約の関係で宮阪政樹がベンチ入りできず、岸田翔平、伊佐耕平はベンチスタート。黄誠秀はベンチ外に。

3バックの右に丸谷拓也を下げて、 ボランチ小手川宏基川西翔太が組む。左のWBに星雄次がはいり、松本怜は右サイドに戻った。FWには藤本憲明が3/17東京V戦以来の先発に復帰と大きく入れ替えを行った。

 

 前節の修正をしっかりとできた前半

大分は前半早くの7分に失点をしてしまう。

左右を揺さぶり、左サイドからの星のクロスが流れて逆サイドの松本がボックス内の深い位置でクロス。これが松本DFにあたると、前田大然が自陣深くでボールを回収してドリブルを開始。松本の援護のために高い位置にいた丸谷がぶち抜かれ、カバーに鈴木義宜と刀根亮輔、小手川が行き、逆サイドがポッカリと空いたところに前田直輝に決められて失点。前田大然の速さで守備が完全に後手を踏まされた形になってしまった。

しかし大分はボールを持たれる、奪われると前線から球際に激しく寄せ、ボールを保持すると中盤から下でボールを落ち着かせて、バタつかない。

前節はボールを持っても相手DFラインに5人をぶつけることができずに攻めあぐねたが、この日は両サイドを直接5人ぶつけずに、WBには幅を取らせることと、ボランチとの距離を離れすぎないようにすることを意識していた。

いつもならこのようにDFラインに5人を直接ぶつけるが、
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この日はWBを低い位置で起用。
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これに対して松本山雅FCは、まずはシャドウの後藤優介、馬場賢治にチェックにいくのを第一にしており、左右のスペースはそこまで気にしない。松本山雅FCの3バックは空中戦に強いので、中でしっかり締めればよい。という考えだったのだろう。実際、大分のサイドからのクロスは精度が高くなく、それほど脅威に感じていなかっただろう。大分もこれは折り込み済みであったようで、ウラ抜けを得意とする藤本を起用することで相手DFラインを下げる意図を持って、シャドウが死なないようにしていた。

そして前半22分。DFラインからウラへのボールに藤本が飛び出してトラップしようとしたところで岩間雄大に倒されてしまう。岩間のこのプレーを決定機の阻止に当たるとしてレッドカード。松本山雅FCは残り70分を10人で戦うことになる。

 1人少なくなった松本山雅FCは、先制点を挙げた前田直輝を下げでDFの浦田延尚を投入。3-4-2の形でFWを1枚削った。
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33分に大分のCK。後藤がショートコーナーを選択し、一旦ボールが松本怜に預けられている間に混戦のボックス内で浦田が刀根を倒したとしてPKを獲得。後藤がしっかりと決めて同点に。

40分には中盤で馬場が右足アウトサイドでDFラインのウラにボールを出すと後藤がボールを残して藤本にマイナスのパス。これを藤本がしっかりと決めて逆転に成功。

よい形で、また数的優位を生かして前半の内にリードを保って折り返す。

 

数的優位を生かして

後半に入り、松本が多少形を変更。

攻撃では3-3-2-1とボランチを1枚削り、
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守備では5-3-2、もしくは永井龍がサイドに流れて5-4の形でブロックを形成。
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前田大然を内側からサイドに張らせて、パウリーニョが前後に動いて攻守を繋ぐ。

 

49分に丸谷から藤本へロングボールが渡ると、今度は當間建文が手を掛て倒してしまいイエローカード。同じような形から大分はいい位置でFKを獲得。このFKはクリアされ、続くCKも中でファールがあったとして松本山雅FCボールに。このときに、立ち上がった守田達弥に藤本の肩が当たる大袈裟に倒れてファールをアピール。結局カードは無かったが、ボールがないところでも様々な駆け引きがあった。ホームの大声援を背に、異様な雰囲気の中でゲームが進む。

66分に大分が動く。前線で精力的に動き回った藤本からボールがより収まり機動力のある伊佐を投入。この時間から大分のチェックが緩くなり、前田大然の速さを受け身で対応する形になった。

これを見て両チーム共に動く。大分は馬場から三平和司に変えてゲームを落ち着かせようと試み、松本はパウリーニョと永井を下げて工藤浩平高崎寛之を投入。2枚変えで同点にするため攻撃面でフレッシュな選手を入れた。

それでも松本山雅FCは攻めあぐねると、パワープレーを選択。
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これに対して大分は、チームの重心を下げてロングボールでチャンスを伺い、松本は工藤を起点に高崎のポストプレーから攻める。

83分に、高木駿からのボールをを川西がトラップミスから相手に奪われたのを再び奪い返してドリブルで運び伊佐へパス。ボックスの外から放ったシュートは守田に弾かれるが、三平がこぼれ球を押し込んでリードを離すと、その2分後にも川西のスルーパスに後藤が抜け出して4点目。その後もパワープレーに晒されるが、後藤から竹内彬を投入して守備を補強。これ以上失点を増やすことなく4-1でゲームをモノにした。

 

松本の印象

前半で退場者が出てしまい、ガッツリ組み合ってのゲームにはならなかったのは心残りだった。松本の選手たちの当たりの強さは脅威であったが、この日はその強さが裏目に出てしまったようだ。

選手では前田大然と高崎寛之が印象に残った。前田大然は脚の速さを生かしての裏抜けだけでなく、守備で連続したプレスができるので、大分のように後ろで繋ぐチームにとっては脅威であり続けた。高崎は高さ、強さとポストプレーで周りを生かした。この日のようなコンタクトの激しい試合での駆け引きで嫌な選手であり続けた。

 

試合後のDAZNのインタビューで反町監督は審判の判定について腸が煮えくり返っていると、不満を露に。昨年は20試合で8度の退場者を出し、1試合あたり0.4人の退場者が出る審判で、松本山雅FCも3試合中2試合で退場者が出た。アセッサー、マッチコミッショナーが正確なレポートを書いてくれないと日本のサッカーは良くならない。1試合あたり0.4枚、JFLでも0.3枚も退場者を出す審判はいかがなものか。このままではサッカーではないし、スポーツでなくなってしまうと話していた。選手を守るために審判を槍玉に上げるのは度々みられる事だが、果たしてそれは好ましい事なのかは大いに疑問に感じた。

ファールで流れが大きく変わってしまったのは間違いないが、その原因を審判に擦り付けるのは違うと感じる。1試合あたりの退場者なんて、ゲームの内容や個々の退場の場面を観なければフェアに語れない。「よく退場者を出す審判だぞ」というのを知っておきながら「どのような場面でカードを提示するか」について話していないから退場者が出るのではないか。それなのに自分たちは判定で恵まれてない!と不満を言うのではお門違いであるし、クラブのイメージにも大きく関わるのではないか?1国のプロの監督が公の場でレフェリーを批判するのがまかり通ってしまうなら、それこそスポーツではなくなってしまう。負け惜しみとしても見苦しい限りだ。

 

悪い流れは作らずに

判定によって大きく流れが来た大分は、連敗をせず、よい形で福岡との九州ダービーを迎える。ビルドアップの変化のために丸谷のCB起用したり、WBの動きの工夫、微調整など挑戦をしつつ勝ちが多い充実した今、迎えるダービーはとても楽しみだ。前半戦ももう残り2試合。よい形で後半戦に臨みたい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第19節 松本山雅FC vs 大分トリニータ - YouTube