Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs町田(A) 天王山、落とす〈J2 第37節〉

ここ数年の大分にとって町田は忘れたくても忘れられない相手。2012年の昇格争いでのアウェイ、15年の入替戦……そして今年前期での対戦もまさに死闘と言える内容だった。

目の前に立ちはだかる「壁」、町田。暫定ながら首位に立った大分はまたしても難しい試合となった。

 

この日のメンバーは以下のように。

FC町田ゼルビア
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2試合未消化ながらも上位にいる町田。サイドを圧縮して狭いスペースを攻略すること、そして90分走りきるスタイルで勝ち点を積み重ねてきた。

この日は怪我人やコンディション不良の選手が多く、井上裕大、奥山政幸、森村昂太などがメンバー外。大谷尚輝は累積警告で出場停止。

ロメロ・フランクは前回の大分戦以来24試合ぶりのスタメン起用に。

 

大分トリニータ
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前節から三平和司をベンチに下げ、馬場賢治をひさびさに先発から使う。

ベンチには宮阪政樹が入り、状況によって大きな展開に持ち込める準備をしていた。

 

CBを釣り出して

大分は前回の対戦と同じく、シャドウがサイドに開きWBと近い距離感でプレーすることを重視。(前回の内容はコチラから)

横の圧縮をしてパスコースを狭めてくる相手に対してDFラインからの背後を狙ったパスや対角線への展開により圧縮されていない逆サイドへボールを持っていくことで一気に局面を変える事を目的としていた。

特に多かったのが右サイドからの展開。岩田智輝や松本怜、サイドに寄った鈴木義宜から対角線の星雄次、馬場賢治を狙ったり、ロングパス1本で伊佐耕平を狙ったりといった形に。
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ここで大分は特に対角線へのロングパスで町田を攻略しようとしていた。

星が大外の高い位置でロングパスを受けると、対面する小島雅也はボールへとチェックに。

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それに連動して4バックはスライドをしていくが、小島と酒井隆介の間は広くなってしまう。(小島はボール奪取、酒井は小島との連携と共に対面する馬場を見ないといけないため)

 

「SBにWBをぶつける事でCBを動かす」

これが大分の狙い。

大きな展開で対角線にボールを逃がしてしまえば相手のSB-CBにスペースが自ずとできる。あとは星と馬場の連携でワンツーで星がサイドの角を取ったり、馬場がSBの小島の背後を取ってボックス内に侵入したりできる。そうなった場合、対面するCBはリアクションをせざるを得ない。

 

これは単にこの局面だけのハメ技だはない。町田が大分のサイドチェンジ、ロングパスを嫌って逆サイドにマンマーク気味に付く事や、DFラインを下げる事をすれば町田のスタイルである圧縮して狭いスペースでのカオスを生み出すサッカーはできなくなるため、チームの秩序を乱すという面でも大きな意味があるものだった。

 

また、この対角線ないしDFラインの裏を取るための準備もしっかりとなされていた。

大分は町田がボールを持った際にいつもより低い位置までプレスに行かずリトリート、ディフェンシブサートに入ってからは人にマークをつけて前を向かせない事をした。コンパクトな町田の組織だったプレーを逆手に利用するための策だ。

これがスタートからハマり、前半序盤から伊佐が決定機を2度3度と迎え、大分ペースで試合が進む。

 

町田もSBにWBをぶつけられることは想定済みのようで、大外に振られたらダッシュで横スライドをしてディレイ。根本的な解決とはいかず走らされる形になったが、それは我慢。選手たちも「それが自分たちのやり方」というのをわかっているためか、強度自体は落ちなかったようだ。

 

町田は基本的に相手によってやり方を変えない、横スライドから速攻を防ぎSHを下げてブロックを作ることは片野坂監督も想定済み。町田のプレッシングが外された時に取るリアクションを考えていたため、次の策にもスムーズに入ることができた。

大分の用意した策は右サイドの組み合わせの変更。町田を自陣に押し込んでからの崩しは、シャドウを中→外に開き、相手のCBを外に誘い出す事だった。

普段の大分では、WBの松本怜、右ストッパーの岩田智輝が高い位置を取り、小手川宏基カバーリングをするというトライアングルが大きな武器。しかし、このユニットでは攻撃に転じた際に立ち位置の関係でどうしても深い位置からのスタートになる。そうなると町田の素早い寄せにあっぷあっぷしてしまい絶好の「ボールの狩り場」になる。

それを防ぐために、今季はじめてこのトライアングルから小手川を外し、カバーリングの役目をボランチ丸谷拓也が担った。これにより、小手川が外に流れて松本と縦関係になりやすくなったり裏抜けがしやすくなった。

 

そんなこんなで大分は町田の横圧縮を揺さぶりスライドをたくさんさせることで疲れさせる事と、スライドによって生じるスペースを使いCBを釣り出すことで町田の戦術的な骨格を殴り続けたが、先制点は町田だった。

16分に右からのCK。大分は町田の高さを気にして中に陣取る裏を取られてニアサイドのペナ角のロメロフランクをフリーにしてしまう。平戸太貴がゴロでそこに出すと右足一閃。高木駿に触れられるもニアサイドの角に決まり失点。

大分は失点してからもやり方を変えずに骨格を殴り続けると、25分に福森直也のロングパスに抜け出した小手川がGKとの1対1を交わしてカバーに入ったDFの股を抜くシュートで同点。32分にはまたしても大きな展開から小手川→伊佐→小手川と渡り、ニアに飛び込んだ馬場にクロス。馬場はバックヒールでファーサイドに流し込んで一気に逆転。

その後もWBとシャドウがサイドで縦関係になりフリックやワンツーでCB、SBを動かしながら崩す形に。

このままリードして折り返すかな~なんて思った43分、右サイドの低い位置からのクロスをニアでロメロフランクが反らして高木はキャッチできず。こぼれ球を中島裕希がしっかりと決めて再び試合は振り出しに。大分にとっては実に15試合振りの複数失点であった。

 

バレた「左」

えー、突然ですが。シーズン通しで試合をまとめていると、どうしても違和感に感じたり「あー、ここ穴だなぁ~」なんて思う事はあります。あんまり書いちゃうとどこかのクソメ……ゲフンゲフン

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(誰だろうなぁ~???)
から覗かれたらマズいことは極力書いてきませんでした。すんごい自惚れですが……

 

しかし、町田の相馬監督は前半の45分で左サイドからの速攻はないと見切っていた様子。

後半から横スライドで対面する小島雅也を大外の星にまでスライドせずに、パスの受け手となる馬場を捕まえるように。これでは星がサイドを抉って大変!枚数が足りない!となるが、星はボールを足元で受けると①カットイン②パス&ゴーの2択がメイン。深い位置からのクロスは選択肢としてはあるだろうが、ニアに早いクロスはまだしも、ファーサイドや中にクロスを上げるとことごとくワロスになることがバレていた。

また、町田は右サイドの守備で星を取りどころにするために土居柊太は下がりながら星を第一に捕まえず、前田へのパスコースを消しながらの守備へと変更した。

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(4バックの右脇に星が侵入できるが、そこに入られても問題はない。切り返して中と連携を取られた方がイヤなので中の強度は高くしたい。)

これにより、星にボールが入ってもパスの出しどころはなくなり、カットインをしても自ら網にかかるだけ。サイドを抉っても中は高さで勝る相手にFWは競り合いをしないといけないし、そもそも精度が低いためチャンスになりづらい。

また、大分も後半からシャドウを内側に留まらせてバイタルエリアから崩していきたい。全体を押し上げて相手を押し込みたい。という意図もあったようだ。

こうやって次第に大分はじわりじわりと攻め手を失っていくと58分、CKから深津康太のヘディングは枠に嫌われるがこぼれ球を鈴木孝司がトラップからシュート。ゴールネットを揺らし再逆転かと思われたが、鈴木のトラップがハンドと見なされてスコアは動かず。しかし、63分に左サイドのスローインをロメロフランクがボックス内で相手を背負いながら反転。それと同時につま先で蹴り、GKのタイミングを外しつつニアサイドに決めるというスーパーな一撃で再び町田がリード。

 

大分は69分に伊佐、馬場を下げて藤本憲明三平和司を投入。2トップにして攻勢に出る。

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すると直後の70分。三平のクロスに裏抜けマシーン藤本が背後を取ってヘディングシュートは枠に嫌われてしまう。

前線の枚数を増やした大分。ただ単に前に人数を増やしたということではなく、中盤に5人を横並びにすることでサイドチェンジを容易にすることと星を直接小島にぶつけずに少し低い位置で土居を食いつかせて前田をフリーにする意図としての意味合いが強かったように思われる。

しかし、落ちると思った町田の強度は落ちず、サイドで詰まって逆サイドに逃がすことを繰り返してしまった。

83分に狙われていた星を下げて清本拓己を投入して局面の打破を試みたが、時間が少なすぎた。町田は85分にロメロフランク→李漢宰、90+1分に中村→藤井航大、90+5分には鈴木→山内寛史と守備的な交代で4-1-4-1に変更。

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そのまま試合をクローズさせて試合終了。注目の上位対決で勝ち点3を落とす形になってしまった。

 

町田の印象

しっかりと走りきるし、骨格を殴られても我慢。流れが悪くても平戸太貴の精度の高いキックから得点が取れる。実に嫌らしいチームだった。シーズン終盤に差し掛かり、さすがにどこかでガクッと強度が落ちるだろうと踏んでいたが、そんな素振りは全く見えず。

–後半のほうが戦い方が整理されたことは現象を見れば分かるのですが、球際の攻防の部分は守備が整理された上でもインテンシティーが落ちませんでした。これは日本サッカーの共通の課題でもあると思いますが、65分過ぎぐらいからは間延びしてインテンシティーが落ちるものです。それでも町田は終盤までインテンシティーを落とさないゲームをできているという印象です。それはチームの自負として、強みとしているという認識でよろしいでしょうか?
「90分落ちないようにしようとチームを作ってきていますが、普段から我々の試合を見ている方は分かると思いますが、ウチのチームでも後半の60分過ぎや前半の30分過ぎにインテンシティーが落ちるということは当然あります。

ただインテンシティーを落としたまま、90分のゲームを終えようという話を選手たちにはしていません。90分もつようにしようという戦いをしてもらっています。その中で選手たちが努力をしてくれていますし、もしそう言っていただけるのであれば、それは選手の努力の積み重ねでもあります。僕からすると欲深いので、もっとと言ってしまうのですが、今日も選手たちが戦い続けて、やり続けて、難しい場面も何度も破かれても戻ってと、本当によく戦ってくれたなと思っています」

町田公式HPより

 

うーん。強かった。

選手で印象に残ったのは深津康太とロメロフランク。

2人とも前回の対戦で深津は12分に退場、ロメロフランクは後半に負傷退場と苦い試合になったが、深津はエアバトルに強く、セットプレーで脅威であり続けた。ロメロフランクは全得点に絡む大活躍。別の試合で活躍くれ……

出た選手全員が走りに手を抜かない。こんなに強度が落ちないチームはなかなか無いとつくづく感じた。強い!

 

躓いたが

大事な大事な1戦を落とすと共に首位を明け渡してしまった。痛恨の極みである……

前半で伊佐のハットトリック未遂や後半の藤本のヘディングなどタラレバを言ってしまえばキリはないが、全く正反対のサッカーを志す両チームがどんなリアクションをするのかとても楽しく、充実したゲーム内容だったと心から思う。たかが辺境の2部リーグでこれだけ最先端の解釈を取り入れた試合を繰り広げてくれたことがとても嬉しく、それが我が愛するトリニータが1年を通してやってくれているのがとてもありがたいと感じる試合になった。

この敗戦で終わりではなく、残り5試合でまだまだ優勝、自動昇格の道が途絶えたわけではない。今を楽しみ、逆境に立ち向かう。いつだって「修羅場上等」だったじゃないか。このチームでひとつでも上に行きたい。

 

 

 

サッカーの「今」を見る

現在のサッカーを読み解くには「カウンター」と「ポゼッション」という二項対立はもう古くなっている。様々な局面を想定した上でどう立ち振る舞うのか。そのためには「カウンター」と「ポゼッション」のたった2つの言葉ではとても囲いきれない。進む時代に我々見る側も取り残されないようにしないといけない。

 

奇しくも今月号のfootballistaのテーマは

「ポジショナルプレーVSストーミング
欧州サッカー2大戦術潮流の最前線」

内容はコチラ

ポジショナルプレーの大分とストーミングの町田。わからないことだらけのサッカーだが、これを読めばなんとなーくは読み解けるはず。たぶん。

 

ポジショナルな3バックという意味ではベティスサッスオーロあたりが大分に似ているチームだと感じた。大分から世界へ。我々見る側もちょっと世界を覗きませんか?

 

かなーり最後は逸れた気がするけどとりあえず今回はこんなところで。

 

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第37節 FC町田ゼルビア vs 大分トリニータ - YouTube

 

 

【大分】vs京都(H) マンオブザマッチコテガーワー‼〈J2 第36節〉

 

 

古都のつまらぬ蹴鞠では、豊後のハイカラなふっとぼぉるには太刀打ちできぬ。

終始バラバラで、個の力でゴリ押しする京都を大分はしっかりと往なして勝ち点3を手にした。

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
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いつものメンバー。ボランチ兼アンカーの前田凌佑がスタメンなので3-4-2-1、3-1-4-2、4-1-2-3と相手の出方によって後出しジャンケンができるように。

4戦6発と大爆発の「PAが実家」こと藤本憲明スーパーサブとしてベンチからスタート。

 

京都サンガF.C.
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布部体制2年目は、積み上げがほぼ見られずに途中解任。ボスコ・ジュロヴスキー監督に変え、夏場に大量補強をしてドーピングをした京都。春先に小島社長から「落ちひん!」というパワーワードも飛び出し、バドゥらへんから千葉と共にネタクラブの最先端になった印象。

小屋松知哉がこの試合でJ通算100試合の出場。めでたい。

 

アクシデント

互いに思ってもみなかった形から失点をしてしまう。前半6分に京都は中央を田中マルクス闘莉王→重廣卓也→仙頭啓矢と繋がりクロス。中央で大分DFが弾くが、こぼれ球をカイオがボックスの外からダイレクトボレーで決めて京都が先制。大分からするとしっかり人数もかけていたし、スーパーなゴールだったためまさにアクシデント、といった形の失点だった。

しかし大分も13分に同点に追い付く。京都自陣でのスローインからGKの清水圭介にバックパス。タッチライン際からライナー性のキックをすると味方の本多勇喜にあたり、ボールは小手川宏基の前に転がると、冷静に無人のゴールに流し込み同点に。

 

ここから試合は、京都が攻守での意図がバラバラだったこともあり、大分が押し込んでいく。

試合後に重廣が

--積極的にプレッシャーにいくのは持ち味だが、今日は食い付いた後ろのスペースを狙われていた?

特に前半は狙われましたね。僕の独断の動きにみんなが付いてこられていないと捉えるべきなのか……。トゥーさんからは「上げてこい」、後ろからは「ディレイだ。コースだけ切っておけ」という指示が出ていた中で、僕自身も(プレスに)行くなら取らないといけなかったですし、もっとコースを限定しないといけなかったです。

大分-京都 選手コメントより

 

とあった様に、大分のビルドアップに対してのリアクションはまちまちで、3バッグ+ダブルボランチに対して京都は前線の6人がコースの限定に行くが、運動量のない闘莉王が中央で守備の方向づけができないため鈴木義宜と高木駿が容易に縦パスを入れたり、左右のストッパーにボールが入ると、仙頭、小屋松が長い距離を走ってプレスに行くが、その背後を取られて簡単にWBに繋がる。京都は前プレが全くハマらないだけでなく、人数をかけているため、大分が丁寧にボールを繋ぐだけで疑似カウンターみたいな形になり、左右を大きく使って相手を揺さぶる事ができた。

 

京都はブロックを作った守備でも明確な決まり事は「SHが相手WBをマークする」の1点のみの様で、両WBが上がる大分に対して最終ラインに6人ないし7人が居る有り様に。ペナ幅に4人、WBにマンマークを敷いていたためハーフスペースは人海戦術により埋められ、大分のシャドウが背後を取る形は起きにくくなっていたが、いかんせん守備に人数を掛けすぎているためカウンターにすらならないという地獄。前から仕掛けて裏を取られ、後ろで構えて攻められない。なんだこれ……

 

京都の攻撃はロングボールをメインにビルドアップで庄司悦大が左CBに落ちて両SBを上げる。それと共にSHを中に絞らせて……とリヴァプールみたいな事を試みる。

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しかし、闘莉王がフリーダムなため中央で渋滞を起こしたり、ロングカウンターで走れずに重廣がかわりに飛び出してなんとか体裁を保とうとするが、ロングカウンターでは大分DFに簡単に処理をされ、ショートカウンターでは闘莉王と重廣がごちゃごちゃしてカイオが下がってよりゴチャゴチャして奪われる。なんだこの地獄……

 

大分は京都の惨状を横目にロングカウンターをしっかりとケアすれば失点になるような場面はあまりない。ビルドアップでしっかりと相手を釣りだして、後手を踏ませ続ければチャンスはあると焦らずにゲームメイク。押し込めば最終ラインに6~7人置く京都の1列前で岩田智輝、前田、丸谷がフリーでボールを回して揺さぶりをかけ……というのがずーっと続きドローで後半へ。

 

相手の変更にも焦らず

後半に入ると京都が修正を加える。後ろに6~7人いたブロックの人数を減らしてバランスをよくするため、ボールサイドのSHのみDFラインに下がり逆サイドはスライドして5枚で守る!と。この時期でやる修正としてはとても稚拙としか言いようがないが……

60分には闘莉王の介護で大分の右CBとWBの間を馬車馬のごとく走りまくった仙頭を下げてジュニーニョを投入。解説できない解説でお馴染みの増田は「左右の位置を変えてきましたねぇ~」や「5バッグは考えづらいんですが~」と根拠の無いことを話していたが、3バックという名の5バック。前節のプレーとの比較すらできない解説者モドキ()に小屋松が今季左WBでプレーしたことがあるなんてわからないでしょう。

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小屋松を左WBにして守備では5バック。スライドをさせないことでDFラインの体力のセーブを行うこととマッチアップを明確にすることが目的だろう。

 

動いてきた京都。しかし大分のビルドアップにフタが出来ていないために大分は自由にプレーでき、その結果逆転という結果に繋がる。岩田からのクサビのパスを伊佐がヒールでDFラインの裏のスペースに落とす。走りこんだ小手川が冷静に流し込んで逆転!

喜ぶ三平の「マンオブザマッチコテガーワー!」が聞こえたりと待望のゴールだった。【ゴール動画

 

大分は京都の変更直後にリードを奪い、焦らずにボール回し。相手のプレスもあまりないため、3バックが広がり、その前のダブルボランチの5枚で回して攻撃に人数をかける。京都は変更直後の失点でプランが崩れたか、ボードを使って監督とコーチが話をする。

78分に小屋松→レンゾ・ロペス、80分に庄司→岩崎悠人と攻撃的なカードを切って4-4-2に戻し得点を狙う。

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同じタイミングで大分は松本→岡野洵、三平→藤本憲明とし、高さで跳ね返す事と高くなった相手のバックライン裏を狙う。

岡野がボックス内で岩崎を倒したのはPKのようにも見えたが、流されるという運も味方し?勝ち点3を大分が手にした。

 

京都の印象

関西在住で度々サンガを見ることはあるが、昨年からの進歩が全くなく、なにをしたかったのかが全く見えず、終始選手が判断してプレー!と、連動した動きは皆無であった。途中で慌てて3バック、失点からの4トップ、闘莉王の気ままさでトリプルタワーのファイヤーアタック。あまりにも自チームに過信があるか単にスカウティング不足ではないか。あまりにもサポーターが可哀想である。

闘莉王は高さや上手さがあるため局面で優位に立てることはある。先制点の場面でも重廣へのリターンパスは上手かったし、後半アタマのFKではドンピシャで合わせたりと見せ場はあったが、それ以上にデメリットが大きかった。基本的に機動力・体力がないため1stDFの役割が果たせない。そしてその皺寄せが大きすぎる。闘莉王が守備の方向づけができないため仙頭、小屋松はCB-WBを長い距離を走らないといけなくなり、闘莉王が組み立てに参加するため、庄司、重廣、カイオがバランスを取るためにポジション移動をしなければならない。あまりにも闘莉王の介護に負担がかかるのは歪という他ない。大野耀平のように走れるFWの方が収支はプラスになるのではないか?とも思う。「精神的支柱」として獲得した闘莉王がピッチにいないとサンガは成り立たないのか?そうであればもう宗教の世界だ。

たとえ「落ちひん!」かったとしても、今のサンガに魅力はあるのか?どんな意図を持っているのかが全く見えない現状で明るい未来はあるのか。

選手で印象に残ったのは重廣卓也。闘莉王の介護をしつつ中盤に穴を開けないようにプレー。よかった。

 

ここにきて

大分は第5節水戸戦~第8節京都戦までの4連勝を超える今季初の5連勝。この時期に調子があがって結果がついてくることは実力がついてきたこと、チャレンジ&エラーがしっかりと出来ていることの証左だと感じる。

次節は町田との天王山。この時期にこの順位である幸せを噛み締めながら大分のこれからも追っていきたい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第36節 大分トリニータ vs 京都サンガF.C. - YouTube

【大分】vs水戸(A) 鬼門撃破!〈J2 第35節〉

K'sスタ。なーんかいつも忘れがちにはなるが、いつの間にか負けている事が多い。通算1勝1分4敗とやっぱり勝ててない。まさに鬼門。

そんな大分だったが、フラグクラッシャー片野坂監督が浅田飴の力も借りつつ?勝利した。

 

この日のメンバーは以下のように。

水戸ホーリーホック
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仙台からレンタル加入の茂木駿佑が右SHに入り、逆サイドには大分にも在籍した木村祐志。見た目が厳つすぎて23歳にみえないジェフェルソン バイアーノが前線に。

念願だったJ1ライセンス取得後初の試合となり、気合い入ってるかも……

 

大分トリニータ
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前期での対戦で実に6年ぶりに!水戸に勝利した大分。前田凌佑が久々に先発し、3センターなのか3-4-2-1なのかが分かりにくい形に。スタートでのポジションでなんとなく3-4-2-1っぽい雰囲気だった。

最近はこの2パターンをうまく使い分けて後出しじゃんけんができるようになった。

 

試合前に鈴木義宜キャプテンがフェアプレー宣言。マイクが入らずにちょっと焦るもはにかむキャプテン。かわいい。

 

サイドの裏を攻略

前半開始から、水戸はサイドを圧縮してハイプレス。大分のビルドアップを邪魔しながら、攻め込まれると伊藤涼太郎が下がった4-4-1-1でセットをしての守備。とオーソドックスな前と後ろで守備のやり方を変えていた。

それに対して大分は、ビルドアップの形を変えて、相手のサイドの裏の攻略を目指し、それが上手くハマった。

この日の大分は、GKの高木駿がビルドアップに参加は積極的にはせず、丸谷拓也が1列落ちての組み立てをした。それに伴い前田、三平和司が1列ずつ下がり、左右のWBに高い位置を取らせた4-1-2-3のような形に。

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守備では浅い位置ではボールサイドに寄った4-4-2気味、

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(大分が左サイドで取られたら三平が、右サイドでは小手川が伊佐と横並びに近い位置でボールの即時回収を狙う。逆サイドのシャドウは下がってリスク管理を行う)

 

深い位置では5-4-1でセットをして弾く事をしていく。

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この変形の意図として、相手のSBの攻撃参加の阻止が挙げられる。

水戸の攻撃は、4-4-2を採用しているので2トップと両サイド+1枚の5人で幅を取っていく必要がある。水戸ボランチが上がってくれば、カウンターから中央を崩す事を比較的得意とする大分は、サイドの攻撃参加を阻止して機能不全に陥らせることを試みた。特に、左サイドのジエゴは攻撃での推進力があるだけでなくロングスローもあるため、ジエゴを守備に追い込む事で、水戸の縦の圧縮を分断して、間延びを起こさせてスペースを突く事をしていた。

 

このサイドの攻略がハマり、水戸のハイプレスは徐々に影を潜めだした35分に得点が動く。

右サイドのCK。キッカーは松本怜が左足で入れる……と見せかけてショートコーナーですねーわかりますわかります、と思っていたら松本は素直に左足でセンタリング。一度は跳ね返されるが、セカンドボールを前田が拾い、PA内の三平へ。三平は角度のないところから折り返すと、DFの足に当たって浮き球になった所を伊佐が頭で押し込んでゴール。伊佐の14節、岐阜戦以来4ヶ月ぶりとなる今季4点目は貴重な先制点だった。

前半は終始圧倒した大分。40分には浅田飴を2粒口に入れる片野坂監督が見れたりと「今日、なんかいけるんじゃね……?」な雰囲気で折り返す。

 

逆襲の水戸

そんな甘くない戦国J2はやっぱりそんな余裕で勝てるなんて事もなく、水戸の逆襲によって展開は大きく変わる。

(そういえばホームで水戸に同じような雰囲気から大逆転負けをした覚えが……ウッ)

 

水戸の後半での修正は、押し込まれたジエゴに高い位置まで上がりやすいように、それまでのヨコの圧縮からタテの圧縮へと変えた。

タテの圧縮はハイラインになりやすく、裏に広大なスペースができるため、どこからインテンシティを上げるかが問題になるが、大分がビルドアップでDFからミドルサードにいる味方に縦パスが入った時にグッと強度を強めて大分のパスの受け手に前を向かせなかった。

ビルドアップが上手くいかない大分は、DFラインからシンプルに背後を狙うが、両サイドは中盤ほどに居るため三平、伊佐をターゲットマンにするがなかなかボールが収まらずに攻め手を失ってしまう。チームの重心が下がった大分を水戸が押し込み、木村があわや!という絶妙な巻いたシュートを放つが高木駿がファインセーブ。時間と共に水戸から得点の匂いが漂ってくる。

この状況を踏まえてか、63分に水戸が2枚替え。バイアーノと木村を下げて夏に加入したバティスタと、怪我から2ヶ月ぶりに復帰した黒川淳史が入る。

前線に192㎝の長身FWのバティスタを入れてのポストプレーで大分を押し下げ、より動けるタイプの黒川を入れる事で質を保ちつつも数を増やすことを狙っていたようだ。

押し込まれて窒素気味の大分は、69分に三平から裏抜けマシーン藤本憲明を入れてDFラインを押し下げたいという気持ちは伝わった。

しかし大分は、5-4-1でセットをして弾く事と、中盤のスライドをして4-4-2でコンパクトに守っていくのかが曖昧で、なかなかプレスがハマらずにジエゴもフリーにしてしまい、そこを起点にバティスタに当ててから展開と水戸に押し込まれる時間が続く。

75分にはバティスタの背後を茂木が使いシュートも高木がまたまたビッグセーブで凌ぐ。

その2分後に大分は前田から馬場賢治を投入。3-1-4-2を基軸にもう一度整理をしようとしていたと思われる。

馬場の投入でゲームが落ち着きだした80分。相手のパスミスを伊佐が見逃さずにゴール前へ。藤本は伊佐とスイッチをして冷静にGKの逆を突いて追加点。淡白なゴールパフォーマンスはストライカーっぽくて痺れた。ノッてる男は違う!

その後は5-3-2の守備をする大分と、3センターの脇をSBが上手く使った水戸、という構図で攻め込まれるが失点はせず。アディッショナルタイムに浜崎拓磨のCKをジエゴに決められてクリーンシートとはならなかったが逃げ切った大分。これで今季2度目の4連勝となった。

 

水戸の印象

前半とはガラリと変わって攻勢に出た水戸。やっぱり策を持ってて変化をつけられる監督同士の戦いは見応えがあった。

前線、特に2列目の選手はそれぞれ特徴が違い、相手によって狙いを持ってゲームに臨める。黒川の復帰は大きいと感じた。

選手ではやはりジエゴ。大分が一番気にしていただけあって、縦への推進力とテクニック、飛び道具のロングスローと多彩だなぁという印象。最後の得点では打点の高さも見せており、やられた……と感じた。そこに運動量のある2列目、高さと強さのある外国人FWとバラエティーに富んだ選手層。怪我さえなければもっと上位に絡めただろう。

そして、初のJ1ライセンス取得。本間幸司と共にJ1を目指していくのはステキだなと。報われてほしい。

 

積み上げと成長

この試合で感じたのは、残り試合が少なくなるにつれて、チームとしての戦術的な積み上げに選手の成長がたくさん見てとれた。この日久々にスタメン起用となった前田は3センターとアンカーを共にこなしたり、馬場はシャドウと3センター、伊佐はトップとシャドウ、岩田はストッパーとシャドウなど、1stポジションに加えて1つは別のポジションで違和感なくプレーができてきた。GKの高木やDFラインはポジションの変化こそ少ないが、それぞれの細かい技術やコントロールが上がり、安定感が増してきた。

この積み上げに結果がついてきて4連勝。伊佐は久々に得点とそれぞれの頑張りが報われているのをみると嬉しいし、もっと上の舞台でみたいな、と願うばかり。

川西翔太や後藤優介、林容平など特に前目の選手もそういった1stポジション以外での挑戦をしていると思われる。残り試合は7試合。大分は30人全員でJ2の頂を目指していく。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第35節 水戸ホーリーホック vs 大分トリニータ - YouTube

【大分】vs山口(A) ギャップを突いて〈J2 第34節〉

自ら難しいゲームにした大分だったが、終わってみればしっかりと勝ちきり3連勝。上手く行かなかった所を修正できるだけの選手層と監督の采配は流石だった。

 

この日のメンバーは以下のように。

レノファ山口FC
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序盤は好調で、前期での対戦では天王山となったが、6/16の徳島戦を最後に未勝利。後半戦も6分5敗と勝ち点を積み上げられなくなった山口。

大﨑淳矢が7試合ぶりに先発。中断期間に補強をしたジュリーニョやワシントン、高井和馬などもスタメンに。

 

大分トリニータ
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ここ数試合は3-4-2-1と3-1-4-2を併用して連勝と結果が出ている大分。この日は宮阪政樹が11試合ぶりに出場と、中盤に変化をつけてきた。

 

 

狙いはハマるも……

前半の大分は相手の弱点をしっかり分析できてはいたが、そこに至るまでの形を効率よく作れずに後手を踏んでしまった。

大分の狙いは前半の序盤で見られた高木駿からのロングボールで伊佐耕平が裏抜けをした場面が象徴的であった。90分を通して山口のワシントン、渡辺広大のCBコンビの幅が広く、チャレンジ&カバーが成り立たない。どちらかにFWをぶつけてピン止めをしてしまえば2人目がギャップに入ってシュートチャンスになるか、1対1を2人それぞれに仕掛ければ、それもまたシュートチャンスに、という形。ワシントンは対人には強いが、空中戦ではそれほどの驚異ではなく、ロングボールからのフィジカル勝負で伊佐をぶつけると広大なスペースができることが多々あった。

 

一方の山口は、大分の5-3-2ブロックの中盤3人の脇から斜め前に対角線にパスを出して背後を取り、ジュリーニョや前貴之から高井へという形でチャンスを作ったが得点には至らず。

 

大分はアンカー脇、山口は3センターの脇と互いにスペースの攻略からチャンスを作ってはいたが、山口は守備でもアグレッシブに仕掛ける。大分の3バック+GKのビルドアップに3トップ、中盤3人をそれぞれマンマーク気味について大分のボール回しを難しくしていた。

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後ろは守備で問題を抱えてはいたが、大分はまず裏ではなく、近くの人をみるため前からのプレスを優先的に行うことを選んだようだ。

DFライン+アンカー、小手川はプレス耐性があるためパスで相手をはずしたり、ボディフェイントで剥がす事に慣れていたこと、また高木からWBに浮き球での配給ができるため、多少蹴らされているとは感じたが、そこまで目立ったミスはなかった。

しかし、久々に先発をした宮阪がここで大きな穴になってしまった。ボールを受ける前に首を振っていないのか、パスを受け、相手のプレスに晒されるとバックパスしかできない。ボールを失ってからの被害を最小限にするためか、宮阪はサイドに流れるが、同サイドの星雄次の進路と被るだけでなく、3センターの逆サイドの小手川宏基が内側に絞らないとバランスが取れなくなり、バイタルエリアのアンカー脇を三平和司が下がって受けるしかない状態になる。バイタルエリアがポッカリと空いてしまい、サイドからサイドへと狭いスペースからの打開しか攻め手がなくなってしまうだけでなく、山口の前からのプレスがハマりやすい状態に陥ってしまう。

 

29分にはミスが重なり失点。

相手が5-3-2ブロックの左サイドから中央のオナイウ阿道を狙うもパスカット。小手川→丸谷、そして三平へ。

ここでの三平の役割は、相手アンカーかCBを釣り出すことなので、一度落として裏のスペースに伊佐がアタック!というのがこの日のハメ技なのでそれを狙って宮阪へバックパス。

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ここで宮阪はサイドの星、斜め後ろの福森直也が間接視野で見えてはいたはずだが、自分にボールと共に2枚寄せていたため圧力を感じて、ビルドアップをしてもらうために福森へ下げるが、角度がついていなかったためミスキックに。

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ポイーン(´・ω・`)
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浮き球になり処理が難しく、自陣ゴールに身体を向けるため、セーフティにボールを繋げるために利き脚の左足で処理しようとしてミス。
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これをオナイウがワンタッチでゴールに流し込む。下で見切れている片野坂監督も思わず\(^o^)/に。

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自分たちのミスが連続すると共に、山口のプレスの矢印が連動して2度追い、3度追いとできたために生まれた失点。擬似的に甲府や福岡がした連動プレスの形にはなってトラウマが甦るが、山口はそこまでチームとしてできてはいなかったのは救いだった。

 

大分は前線に縦ポンでしか良いボールが入らなく、サイドからサイドへ。バックパスがメインになって悪くなった流れで自分たちのミスから失点、と最悪な状況で前半を折り返す。

 

 

外で優位に立ち、中で仕留める

後半に入り、大分はプレースキック以外ほぼ良いところを見せられなかった宮阪を下げて清本拓己を投入。これにより3-4-2-1へと変化をしたが、ここで片野坂監督は一工夫を加えた。いつもならば、伊佐をトップ、三平と清本がシャドウだが、この日は伊佐がシャドウに入った。

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伊佐が相手のアンカー脇に入ってポストプレーを行うことにより、対面する前をピン止めすることとアンカーの佐藤健太郎をボールサイドに引き付ける事でスペースを作り、間で受ける動きに長ける三平、清本を生かす意図を持っていた。

 

すると、59分に高木→星と繋がり、伊佐がフィジカル勝負で競り勝ちボールを持ち上がり、中へパス。清本のシュートはDFに当たるが、ボールは星の前にこぼれて折り返すと松本怜が詰めて同点に。

同点になって焦った山口はGKにもプレスをかけるが時間と共に連動性がなくなり、次第に中盤とDFが間延びをしてくる。それをみて大分は三平を下げて裏抜けマシーン藤本憲明を投入。山口も直後に大﨑から高木大輔へと変更。

藤本は投入直後からDFのギャップを見逃さず、オフサイドの判定にはなったが綺麗な裏抜けをみせると、72分。左サイドを伊佐が上がり、カットインから松本にパス。松本は出て来たGKを見て中に折り返すと藤本が詰めて逆転。3分後には自陣からの松本のロングボールに藤本が抜け出してバッジョ並の柔らかなトラップからGKをかわしてゴール。一気に逆転を果たす。

その後はクロスを高木駿がファンブルして高木大輔に詰められるが、ギリギリで掻き出して失点を防ぐと、79分に伊佐→岡野洵とチェンジをして岩田智輝がシャドウに。果敢に追加点を狙うがタイムアップ。

大分は逆転勝利で連勝を3に伸ばした。

 

山口の印象

解説の小林伸二さんが散々話して(最後らへんは怒っていたような……)いたCBの関係性は裏抜けマシーン藤本に上手くやられて2失点。高い位置からのプレスは前期からの魅力だったが、守備の網を前に設定しすぎているにも関わらず、GKにもプレスにいってロングボールからやられる場面があまりにも多かった。大分は伊佐をサイドに置いてロングボールからの仕掛けを意図的にやっていたが、広大な裏のスペースに出された場合の対応は最後まで見られなかった。3ヶ月も勝ちがないのは裏のスペースのリスク管理ができていないからではないか?と思ったりした。

選手で印象に残ったのは前貴之。スペースがどこにできるかを考えてプレーしているようで、相手がどこに出されたら嫌かを見てるなぁと感じた。戦術が前がかりなのでリスク管理やバランスをみたプレーも求められるが、そこも頑張ってる印象をうけた。

 

宮阪ァ!

逆転での3連勝と勢いがついてきてるような大分。だが、そんな中で一人だけ試合後の伊佐スタグラムで暗い雰囲気だった宮阪。プレーで酷かったのは確かだったが、前期から戦術が少しずつ変わるなかで立場が無くなってきている事。それにより自分らしいプレーができなかったのは悔やまれる所。自慢のプレースキックロングフィードの精度は言うことなくチーム唯一の武器だが、良い状態でしかそのプレーができないのであれば、立場は自ずと難しくなる。彼にとってはそんな試合だったと感じる。

しかし。しかしだ。もし宮阪がプレス耐性がついて丸谷のように相手を往なしてプレーできたら、小手川のようにバランスをみたポジショニングを身に付けることができたら……。宮阪政樹はもっと輝ける。代表の青山敏弘のようなプレースタイルに近づけると感じる。残りのシーズンで彼がもう一度チャンスを得られるかは疑問だが、新たなチャレンジを身に付けることができれば、もう一歩先に進める事ができればもっと楽しみな選手になるはず。頑張れ宮阪。超頑張れ。俺らは頑張ってる宮阪を見てるぞ!

 

酸いも甘いも噛み分けて、選手もチームも育っていくもの。勝ち点3を積み上げるなかで、こういった経験もできたんだから良いゲームだった、と言えると思う。残り試合は少ないが、30人全員でもっと高みへ。レッツ!自動昇格!!

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第34節 レノファ山口FC vs 大分トリニータ - YouTube

 

 

【大分】vs讃岐(H) 完璧!完勝!〈J2 第33節〉

今月唯一のホームゲームはゲームプラン通り、どころか「良すぎた」くらいのデキに。前半に3点、後半に2点とタコ殴りにして無失点。大変良い結果となった。

 

この日のメンバーは以下のように

大分トリニータ
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試合前は馬場賢治がシャドウに入った3-4-2-1の予想だったが、蓋を開けると馬場は3センターの一角に入っていた。FWに藤本憲明がスタメンで出場し、國分伸太郎、姫野宥弥、林容平が久々にベンチ入りを果たした。

 

カマタマーレ讃岐
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ここまで勝ち点25と最下位に甘んじている讃岐。前節で連敗を5でストップさせたが、ここまで6試合無得点と苦しい状態が続く。この日は契約の関係で大分から期限付きで加入の竹内彬はメンバー外に。岡村和哉がCBを務めた。

 

理想的な形で

大分は前半頭から讃岐陣内でプレー。これは讃岐も想定内であったが、馬場のプレーエリアに関しては北野監督はやや慌てたか。

この日の大分は3-4-2-1ではなく3-3-2-2だった理由は、讃岐がカウンター主体でラインが高くなく、押し込むことも挙げられるが、一番はマッチアップの面だろう。

3-4-2-1では相手をおびき寄せて裏へドカーンというのがハメ技だが、相手はその誘いに乗ってこない。前に5人を並べて4バックに対して数的優位を作れないのならば、4バックに2トップと両WBをぶつけて讃岐の最終ラインを押し下げ、中盤のスペースを3センターが攻略をして中を崩す算段だったのだろう。

 

これに対して讃岐は、4+4のブロックを準備し、左右の距離をペナ幅に設定。中を締めて大分の得意とする間受けやフリックといった攻撃をしっかりと受けて、前がかりになった大分の広大な背後を取ることを目論んでいた。実際、大分は押し込めど押し込めど得点が奪えない展開が徳島、福岡戦と続いていたためスカウティングは理に敵っていた。

しかし讃岐はサイドでの対応で大きなミスを犯してしまう。

讃岐の4バックに対して大分は2トップ+両WBをぶつけ、1対1を意識させると共に両WBはできるだけ幅を取って対面するSBを釣り出すというのをスタートからしていた。大分のWBの守備をSBがしてしまうとCB-SBの距離が離れてしまい、自陣深くでスペースを作ってしまう。先制点の場面に象徴されるようにここを有効に使われてのものだった。

 

 

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右WBの松本怜にボールが入り、対面する麻田将吾がチェックに向かう。ここで麻田-岡村間が間延びをしてしまう。


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麻田は松本のクロスをブロックしてスローイン。大分は三平和司がボールサイドに寄ってCBを釣り出し、それに伴い三平の位置にポジションチェンジをしていた松本が中央のスペースへ侵入。


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深い位置でのワンツーで讃岐の守備は完全にボールウォッチャーとなり


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三平のカットインで右SHの西弘則がボールへチェック。


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三平は相手を引き付けてフリーになった馬場へパスをし、これをアウトサイドで引っかけてGKから離れるボールで先制点。

 

動画はこちらで

 

サイドでのマーキングを誰がどこまでやるかが甘く、そこのズレ、スペースを大分がしっかりと突いて崩しきった完璧な形。讃岐は大分のWBにSHをぶつけて最終ラインの4枚は動かさないのを理想なのだろうが、岩田智輝が高い位置を取るためそちらにピン止めをされてしまい、サイドで数的同数、もしくは数的不利な状態で守備をどうするのかが明確でなかった。そこをしっかりと見逃さずに開始15分で先制点を奪えたのはとても大きかった。

 

21分にもCKからのショートパスで、同じようにサイドにスペースを意図的に創り出し、裏抜けマシーン藤本憲明がしっかりと背後を取って追加点を奪った。

 

早い時間で2失点を喰らった讃岐は、FWの木島徹也、佐々木匠も自陣のミドルサード入り口に構えての守備に変更。これはこれ以上傷口を広げないための消極的なものでなく、佐々木匠は左サイドの守備の補強で岩田のチェックができるようにするため、木島は配球役の丸谷拓也に付いてサイドチェンジの阻害を目的としていたようだ。

これによりサイドの深い位置から作り直す大分のバックパスを奪って両SHが一気に押し上げて高い位置に多くの人数を割いた大分の背後を狙うことができ、決定機を2つ作った。

 

大分は讃岐のカウンターを受けて面食らったようで30分辺りから中盤が間延びをしてしまい、効果的なポゼッションができにくくなっていた。残り15分を守って後半に繋げるか、攻め込んだまま讃岐を守備に追いやるかで曖昧になっていたように思える。

そんな悪い状態に陥った大分だったが、追加点を奪った。西のシュートのリプレイが流れていたためわからないが、恐らくロングボールで左サイドに展開をして馬場→三平→星雄次と繋がり逆足の右で放ったシュートは相手に当たりGKの裏を突く形になり3点目。これでゲームは完全に決まってしまった。

 

容赦なく

後半に入り、讃岐は2枚替え。左右のSBである武田有祐、麻田将吾を下げてアレックスと重松健太郎を投入。

西が1列下がり渡邉大剛が右へ周り重松とアレックスが左サイドで組む形に。
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チームとしても後半はライン設定を高くして前から、という形に変えてきた。

その中でも一番の変化はSBに高い位置を取らせるための可変だろう。ベースは上記の4-4-2だが、攻撃に転じると重松が1列前に上がり、中盤3人が横にスライドして4-3-3に。

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中盤を3枚にしてその脇をSBが上がっていくスペースを作ると共に大分の3センターの脇を突く意図があったと考えられる。SBが高い位置を取るためその分守備が薄くなるが、3失点なのだから構ってられない!ということかもしれない。

また、前半は4+4のブロックの強度を保つためにペナ幅での守備だったが、選手の間隔を広くして大分のサイドチェンジに対応していくことも想定しており、決して全裸特攻ではなかった。

 

しっかりと修正をした讃岐だったが、次の得点も大分だった。またしても右から崩して岩田の浅い位置からの正確なクロスを藤本がヘディングで合わせて4点目。岩田のクロスは同郷の先輩、松原健(現横浜FM)を思い起こさせるようなものだった。

 

大分は4点目を奪ったが、その1分後にピンチ。3センターの脇を使われ、サイドの佐々木匠からクロス。中央で中島大貴がヘディングで合わせるも高木駿がビッグセーブ。

マンオブザマッチタカーギーにはならなかったがこの週末のベストセーブに選出された。

 

3センター脇を狙われだした大分は三平が様子を見ながら中盤に下りて5-4-1に変更。これにより守備も安定できた。

その後、讃岐は西→市村篤司、大分は三平→清本拓己。

大分は馬場が一列上がり3-4-2-1へ。

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点差が大きかったこと、警告を受けていた事もあり75分には岩田から岡野洵へと交代。

もうこれで試合も終わるだろうなー、という83分。ビルドアップで讃岐を誘きだして高木がロングフィード。中島の背後を取った藤本が持ち込んでアレックスを引き付けて清本へパス。清本はGKとの1対1をしっかりと落ち着いて決めて5点目。

その後は馬場→姫野宥弥で試合をクローズさせつつ藤本が裏抜けからハットトリック未遂で試合終了。今季最多の5得点、そして無失点という最高な形で勝ち点3を手にした。

 

讃岐の印象

この日の終了後のインタビューで北野監督が話していたように「ブロックを組んで安心しちゃってる。ボールに行けていないんで……」というのが全てだろう。ブロックはシュートブロックにあらず。シュートを打たせないためにどうするか、があまり見られなかったのが残念だった。

チームとして成長をするため、今季はカウンター一本槍からの脱却を目指し、SBを起点にしたビルドアップを試しているようだが、なかなか難しい様子。未だに最下位だが報われてほしい。

選手で印象に残ったのは西弘則と佐々木匠。カウンターの場面ではナナメに走り渡邉大剛からのパスを引き出したり、ヌルヌルのドリブルだったりと、怖さがあった。相変わらずのシュート精度だったがそれはご愛嬌ということで……。

佐々木匠は前期での対戦では線の細い選手だなぁ、と思ったがちょっとがっちりした印象。守備もサボらず、長い距離を走ってのカウンターもできて、今の讃岐の希望なんだろうなと感じた。

 

出来すぎ

ゲーム展開は攻めあぐねる前に点が取れ、悪い時間にゲームを終わらせる追加点にゴールラッシュ。他会場では上位が軒並み足踏みとちょっと怖いくらい出来すぎであった。(解説がいつも以上に酷すぎたからそれでバランスが取れたのかも?) 増田忠俊氏の解説()は中身がない、分析もできない、リスペクトもないとハットトリック。もう結構なので自ら身を引いてほしい。マジで。

 

この試合で馬場は自身のキャリアハイの10得点を記録。相手が苦しむ古巣だっただけに思うところがあるだろうが立派な成績。残り試合でもモリモリ点取ってほしい。藤本もハットトリック未遂とFW陣が好調。林容平もベンチにひょっこりはんしていたのでこれからのスタメン争いも楽しみだ。

 

そしてこの日から本格的に?3-1-4-2と3-4-2-1の併用をはじめた様子。馬場が3センターの1角を務めることでゲーム内での選択肢が増えたのは本当に大きい。上位との対戦も残っているためこれからどう戦うかも楽しみで仕方がない。

残り試合、この勢いをもってJ1へと突き抜けていきたい。

 

そしてこの試合から、浅田飴さんがトリニータのスポンサーになっていただきました。

 

堀内社長が大分を楽しんでいただけたようで何よりです!

 

サポーターからも歓迎のダンマクだったりと

 

 

これからもいい関係が築ければいいなぁ……

 

戦うのどに浅田飴!!!!

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第33節 大分トリニータ vs カマタマーレ讃岐 - YouTube

 

 

 

【大分】vs熊本(A) 理想と現実の狭間で 〈J2 第32節〉

悔しい敗戦から1週間。2週連続の九州ダービーはまさに「絶対に負けられない闘い」となった。この試合を含めて残り11節となったJ2で大分は勝つために理想の現実の狭間で揺れるなかで価値のある3ポイントを手にした。

 

この日のメンバーは以下のように。

ロアッソ熊本
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ここ数試合は3-3-2-2だったが、この日は3-4-2-1でスタート。安柄俊が累積警告で出場停止、皆川佑介(ウンチョコ皆川)はベンチからGO。ここ最近の特徴としてチームのアシスト王の田中達也が左サイドに回り、GKの佐藤昭大がベンチ外(怪我?)に。なかなかDFの固定ができないまま苦しいシーズンとなっている。

 

大分トリニータ
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久々の3-4-2-1。ここ3試合無得点と、補強しろおじさんがギャーギャー言い出すような苦しい結果に(補強するカネはない)。無得点で勝ち点は落としているが内容としては理不尽!なゲームが続いているためそんなに酷くはないと感じるが3週間も焦らされると悶々とする。

メンバーは前節で涙した前田凌佑がベンチにも入らず、清本拓己が第12節以来のスタメンとのこと。

 

ビルドアップの変化とサイド攻略

この試合での大分はパターン化されつつあったビルドアップに変化をつけることと、3バックの泣き所である敵陣深くの脇を攻略することが大きな目的であった。

まずはビルドアップから。

この日はまず、ダブルボランチ小手川宏基丸谷拓也の役割を逆にしていた。理由としては熊本のマークのズレを作ることと、丸谷をゴールに近い所でプレーをさせることで引いた相手をミドルシュートで押し込む意図があった。つまりはこの日も片野坂監督はシバキ倒すドSな展開にしたいんだな、と。

しかし、カバーリングには長ける小手川だが、丸谷のようにプレスを往なしながらのプレーには疑問符がつき、寄せが甘いために中盤を安易に抜かれてしまうというのがホームの甲府戦でバレてしまった。そのため、3バックが右サイドにスライドし、星雄次が下がってビルドアップの起点に加わる形でボール回しの人数を増やしてバランスを取った。

 

サイドの攻略についてはビルドアップをしていくなかで右WBの松本怜を前線に上げて、清本が逆のワイドに開くことで幅を取り、中盤からシンプルにサイドのスペースを狙う事を第一にし、シャドウの三平和司が中盤でクサビを受けに下がることで、熊本がサイドをケアすれば中から攻めるというのがプランであった。

これをまとめると4-1-2-3でビルドアップ、攻撃をしていくことがベースとして見てとれた。

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この3-4-2-1からの4-1-2-3の可変は前期での熊本が大分戦の後半でやっており、サイドのスペースを田中達也が攻略して黒木晃平がヘディングでシュート、という場面の再現を大分が狙っていたようだ。

 

なぜこの日の大分は相手を押し込める3-3-2-2ではなく3-4-2-1を採用し、可変でサイドを狙っていたのか。それは熊本のビルドアップの特徴を掴んでいたこととサイド攻撃を抑制をするためだろう。

熊本のビルドアップは3バック+ダブルボランチの形。シャドウが中盤に下がり、両WBをウイングまで押し上げた形を取る。

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そして、攻撃に入ると上村周平が最終ラインに入り、上里一将とタテ関係になって4-1-2-3の様な形に。

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このビルドアップ→攻撃ではスムーズにいけるが、そこからの守備ではどちらかのサイドは攻撃のサポートを行っているため実質3枚しか後ろに残っていない。それを踏まえてのサイド攻略ということだろう。

そして、熊本は守備ではハイプレスをかけずにミドルゾーンにまず引いてブロックを作る形に。

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こうなってしまうと熊本としては強みであるWBを守備に専念させなければならず強みを生かせない。そうならないためにボールと逆サイドのWBを残してボランチを落とす形もしていたが、ボール奪取後も大きな展開ができずに押し込まれていた。

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(大分の右サイドからの攻撃が多かったため、田中はSBまで押し下げられる。逆サイドの高瀬優孝が攻め残り、シャドウの坂本広大、ボランチの上村が1列ずつ下がる。)

 

大分は第一に熊本を引き込んでカウンターから4バックのサイド、もしくはアンカー脇のスペースの攻略を第一に押し込む際には右サイドから攻め、被カウンター時の対策もしつつ押し込む、というプランだった。

 

サイドのスペースの攻略を第一にしていたため、ロングボールを使い速さのある松本、清本を走らせることを優先した大分。すると30分に相手を押し込むとボックス内で三平がシュートを放つと熊本の園田拓也がハンドを誘発し、PKを獲得。これをしっかりと三平が決めて分娩室でできなかった活躍を果たす。試合後の伊佐スタグラムにて「プロ初のPKキッカー」だったことを告白。なんか意外だった。

大分は喉から手が出るほど欲しかった先制点を奪い前半を折り返す。

 

悪い流れも……

前半終了間際に自陣ボックス内でヘディングでクリアしようとした岩田智輝の顔面に八久保颯のスパイクが入り流血。大事には至らなかったようで一安心だったが、後半の頭から岡野洵がピッチへ。

後半から熊本も変更。メンバーは変えずに、WBとシャドウを逆に。

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大分に押し込まれたとしてもカウンターから田中の快速を使い得点機を伺う。後半開始から15分ではこれがハマり、田中のクロスからチャンスは作るが得点には至らない。

60分から大分も修正。伊佐耕平を下げて久々にベンチ入りをし川西翔太を投入。三平がトップ、川西がシャドウの位置に入った。

ここから攻勢に出たかった大分だったが直後の61分。ボックス内で福森直也が八久保を倒してPKに。前を向いた時には八久保の体勢は崩れかかっていたため帳尻PKにも見えたが、審判の位置と福森があそこで利き脚の左足でチャレンジをしたのが悪い印象だった。そこよりも直前の自陣でのスローインでかっさらわれる方を問題視してほしい。このPKを八久保に決められて同点に。悪い流れでの失点は痛かった。

熊本は68分に高瀬から黒木に変更をし、逆転に向けて攻勢に出ると、74分には伊東俊から皆川佑介とし、高さも加える。大分はミドルサードから前を向けないため、小手川と川西をポジションチェンジ。オープンな展開になりかけたが、中盤の底で川西がタメを作って落ち着きをもたらす。

そして79分。右サイド深くを松本が抉り、後方でサポートをしていた岡野へ。岡野はワンタッチでハイクロス(多分ミスキック)を入れるとGKの畑実がパンチング。これを丸谷がワンタッチでループシュート。ボックス外からの難しい距離、ワンタッチでのコントロールとめちゃくちゃ難しいシュートだったが綺麗にゴールに吸い込まれて再びリードを奪う。

直後に三平から裏抜けゴールマシーン藤本憲明を投入すると、ファーストプレーで松本からのスルーパスを裏抜けをしてGKをかわしてゴール。GKを交わしながら身体でブロックしたプレーは細かいけれど上手さが光った。

このまま試合終了。大分は上位争いに踏みとどまる大きな勝ち点3を奪った。

 

熊本の印象

現在21位と残留争いに巻き込まれている熊本。その原因はリーグワーストの61失点を記録する守備陣だろう。今季ここまでスタメンでCBをしたのは10人となかなかに多い。3バックを継続してはいるが、守備陣が固定できないために難しい時期が続く。

この日も左右のCBには攻撃参加をさせたり起点になるようにはしていたが、展開力に乏しく切羽詰まった状況に。渋谷監督は3バックに大分のようなことを要求しているようだが、そろそろ現実を見なければいけないだろう。J2に残って九州を盛り上げてほしい。

話が変わるが、強い気持ちで皆川佑介のウンチョコ皆川呼びを広めて行きたい。

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ウンチョコチョコチョコピーーーーッ!

 

理想と現実の狭間で

この日の大分は中盤から前でのフリックを多用した流動的なパスワークやCBの積極的な攻め上がりは影を潜め、サイドへのロングボールからの展開をするなど現実路線に変えてきた。これはやりたいことをして勝てなかった徳島戦、福岡戦を踏まえての判断だろう。前半からやや大味な試合展開だったが、勝てば良かろうなのです。これから年末まで勝ち点3をたくさん積んでいかなければならないときに理想なんて言ってられない。理想も大切だが…… そのなかでこの試合はとても意味のある勝ち点3になったはず。シーズン終了まで駆け抜けてほしい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第32節 ロアッソ熊本 vs 大分トリニータ - YouTube

 

 

【大分】vs福岡(A) アイデア不足〈J2 第31節〉

朝ドラの『半分、青い。』の主題歌のアイデア。良い歌ですね。そのアイデアのサビ部分を少し。

続く日々の道の先を

塞ぐ影にアイデア

雨の音で歌を歌おう

すべて越えて響け

 

この日の大分はアイデア不足だった。こんなんじゃJ2なんて越えていけないぞ……と思ったり思わなかったり。うーん。

 

この日のメンバーは以下のように

アビスパ福岡
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おっ!柔道家の篠原やんけ!顎、短くなりました?

 

前半戦は相手に合わせてのミラーゲームを用意していたため3バックと4バックの併用をしていた福岡。しかし、ここ数試合で4-4-2で結果が伴ってかこの日も4バックを採用。台風などの影響で9月は7連戦。その初戦となる大分戦のモチベーションは高いようだった。

メンバーでは枝村匠馬が1ヶ月ぶりに先発。昨年は大分にいた鈴木惇はキャプテンを務めた。

 

大分トリニータ
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隣県の福岡は実質ホームであり、この日もアウェイジャック。通算2敗の福岡は旅行と勝ち点3をよくくれるカモネギだったのでこの日も気持ちよーく勝ちたかったトコロ。メンバーは左WBを那須川将大から星雄次に変更。実に5試合ぶりのスタメン復帰となった。

 

なにもできず

前半の大分はほぼなにもできなかった。と共に福岡がなにもさせなかった。

この日の福岡は主に横の圧縮をして大分のビルドアップからのパスコースを限定する事をベースに大分の岩田智輝、福森直也にボールが入るとハイプレスを仕掛けてショートカウンターを狙っていた。

大分はビルドアップの際に左右のCBが大きく開き幅を取る。そこにボールが入るとパスコースになるのは1列前にいるWBの松本怜か星雄次、アンカーの丸谷拓也、CBの鈴木義宜、GKの高木駿と4つがある。これに対して福岡は、サイドを圧縮しながらWBの前にSH、アンカーに鈴木惇、CBとGKに2トップをぶつける。

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(ビルドアップで福森にボールが入ると福岡は右サイドに圧縮。前4人でコースを消してハイプレスをかける)

これでは、小手川宏基、前田凌佑とクサビを受けにくる三平和司を含めた3枚に対して中盤が1枚と数的不利になるが、DFラインを押し上げて潰してしまえば問題ないという判断だろう。

このようにプレスを嵌め込んだらSHがボールホルダーに寄せていき、バックパスか横パスをさせる。中央の丸谷にボールを預ければボールをさらわれて即FWへ繋げられてのシュートとなるため基本は高木か鈴木に戻すことになる。するとSHはそのままボールへと寄せていきパスを出した選手にリターンパスをするコースを消す。

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(ユ インスは星のコースを消しながら福森へプレス。高木へのバックパスも追いかけ局面での数的優位を作る)

これにより高木、鈴木+岩田or丸谷と3人でプレスを剥がさなければならなくなるが、福岡は2トップ+ユ インス+鈴木惇or松田力となるので数的不利になる。

人数が少ないのままでのビルドアップは正確でないと即失点につながるため、セーフティにロングボールを入れるしかなくなる。結果として大分は効果的なビルドアップはできずにポゼッションを放棄しなければならなくなった。

福岡のサイドを基本とした「二度追い」は甲府戦と同じく大分を苦しめた。9分には高木までボールが戻り、そこから小手川へ繋いでプレスを剥がそうとしたところをドゥドゥにカットされてあわや失点というシーンも見られた。

 

前半頭からの効果的なハイプレスに対応できずにペースが掴めない大分は、ロングボールを使いつつ、ビルドアップで小手川、前田が顔を出して左右のWBを押し上げたり、伊佐耕平にシンプルに裏を狙わせてから速攻を狙ったりと工夫はすれど単発で終わる場面しかなくなる。それだけではなく、福岡はボールを「持たせて」の戦術だけでなく、ボールを持った際の形もしっかりと準備をしていたためサンドバッグ状態に。

 

福岡の準備したビルドアップでの準備は1stDFの無効化。大分の1stDFは2トップ+前田or小手川の3枚がいれば前からハメにいき、2トップのみならば撤退してブロックを作るというもの。これにより前からいくか構えるかが明確になり安定をしていたが、福岡はそのうちの前から来る形を消してしまった。

福岡はボールを持った際に、DFとボランチを敢えて間延びをさせて大きなスペースを作る。大分は3人でプレスに行くが、4バック+GKの福岡は数的優位なのでプレス回避は容易であり、裏の高い位置にいる鈴木惇や枝村に背後を取られてしまう。ビルドアップを多少阻害されてもサイドに1本入れてしまえば大分のWBを押し下げることができるため、大分がハイプレスに転じることは困難となった。

これに対して大分は星がサイドに張って牽制をするもそこを狙われてユ インスにぶち抜かれる場面が増えるという地獄のような展開に。我慢をしていた片野坂監督だったが、より顕著に押し込まれた35分ごろからたまらず4-4-2へと変更。マッチアップを明確にして安定化を図った。

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三平と伊佐を逆にして左サイドでボール回しを円滑にしていく意図もあったと思われる。

結果、輪湖直樹のミドルも枠に嫌われるなど福岡が決めきらなかったことによりなんとか前半をスコアレスで折り返す事ができた。

 

守備の安定

押し込まれた大分は後半、頭から前半戦に取り組んだ3-4-2-1に変更。

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これによりビルドアップで2度追いをされても中央でボランチが2枚居る形になったため、バックパスを減らしてハイプレスの背後を取りやすくなっただけでなく、守備でも撤退守備の5-3-2からサイドにフタをした5-4-1に変わったため、低い位置でのビルドアップをあまりしない福岡はロングボールで裏を狙う事が増えた。

また、ボランチを増やしてサイドが高い位置を取れるようになったため、幅を使えるようになった大分。横の圧縮をしてくる福岡の背後をつきやすくなったため、次第に大分ペースでゲームが進む。

福岡は4-4-2が基本だが、攻撃では3トップ気味になる。

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ドゥドゥは中央、ユ インスは右のウイング気味にするのは固定だが、松田と石津大介鈴木惇と枝村は流れによって流動的に動いていた。ここで重要なのが中盤の3枚の作り方。基本はネガティブトランジッション(攻→守)ではハイプレスを仕掛けての即時回収を第一に仕掛けていくが、ミドルゾーンからは4-4-2(4-4-1-1)でセットをする。上の画像では3枚居る中盤中央だが、守備では松田が下がり、鈴木、枝村、ユ インスが4枚のブロックになる。つまり中央の枚数が3枚から2枚へと変わる。大分は小手川が下がって受けたり、ハイプレスを前田が剥がしたりとネガティブトランジッションの意識が高くあったと考えられる。また、前田はボランチの一角でありながら、リンクマンとして攻守を繋げ続けた。前田はボールを持った際に相手に見せる、隠すのが上手く、脚を出させた裏を狙うことの出来る選手。ヌルッと一枚剥がせるので持ち上がっての攻撃参加、ビルドアップへの関与とスーパーな働きをしていた。

3-4-2-1移行後は大分のペースになり、5試合ぶりに出場した清本拓己や、後藤優介が巻いてシュートをしたりと途中出場の選手が積極的に攻撃に絡むも、圍謙太朗の好守に阻まれ得点には至らない。そしてアディッショナルタイムの最後の最後だった。

リスクを負って攻め続けた大分は、最終盤の90+3分。ペナルティエリア近くで丸谷のパスが奪われるとカウンター。大分は中盤3枚全員が攻めていたためポッカリと空いた背後を付かれて3vs4の状況になると、ペナルティエリア左でレオ ミネイロが巻いて放ったシュートはゴールに吸い込まれ、まさかまさかの失点を喫してしまい、試合終了。九州ダービーで痛い敗戦となった大分は、7位にまで転落をしてしまった。

 

福岡の印象

荒い。ハイプレスに2度追いと球際の強さが必須となる試合だっただけに選手たちも前を向かせない意識はあっただろうが荒かった。福岡は10人のサッカー選手に柔道家の篠原まで居て、カウンターの際に三平へファール覚悟の後ろからのスライディングや襟元を掴んだホールディングなどダーティーさ全開の守備は守備でなく、選手生命に関わる怪我をいつさせるかわからないプレーは不快でしかなかった。松田力ラグビータックルもクソ。そこを含めて残念だった。

そんな中でもユ インスはこの日のキーマンだった。サイドで守備の仕掛け役として積極的にプレスにいきくだけでなく、サイドからの仕掛けからタッチラインギリギリでもクロスをしっかりあげたりと良い選手であった。

 

イデア不足

徳島戦に引き続き、良い形を作っているが良いトコ止まり。これはただ単に攻撃陣が不調なのではなく、そこに至るまでの手数が限られているからではないか?と考える。

大分は中央から崩せるのがストロングポイントだが、ゴール前にバスを止められると攻めあぐねてしまう。この日もボックスの外をうろちょろするが前田の後藤へのDFを抉るようなパスは通らずにリスクを負いすぎて失点をしてしまった。

現状で中央での構成力は十分にある。が、左右が心許ない。基本はタテしかなく、クロスの精度は低い。また、サイドの高い位置まで引き込んでしまえば3バックしか居らずカウンターの格好の餌食になってしまう。

今さらサイドに技術力の向上を求めても早急な対策にはならない。ならばどうするか?サイドの人数を増やして量とパターンを増やせば良いと考える。そのうち4-1-2-3を採用すればちょっとは変わるのではないかなぁ~なんて考えるが、片野坂監督の手腕を信じていきたいと思う。

 

試合終了後に前田が見せた涙。この日一番の活躍をみせた彼が泣く姿はもうみたくない。我々ができる微力を尽くしてもう一度J1へ行きたい。あー!悔しい!

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第31節 アビスパ福岡 vs 大分トリニータ - YouTube