Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs松本(H) 層の違いを見せつけて〈J2 第39節〉

町田戦での悔しい敗戦から2週間。再び訪れた「天王山」は試合をコントロールし続け、1-0で勝利。点差は1しかなかったが、内容では大きく上回った大分。どう松本の攻撃を凌ぐかをしっかりデザインしており、会心の勝利となった。

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
f:id:west242447:20181031104528j:image

前節から1人の変更。國分伸太郎がベンチに下がり、キャプテンの馬場賢治がスタメンに。

この日で鈴木義宜がJ通算150試合出場。おめでとう。

 

松本山雅FC
f:id:west242447:20181031105100j:image

リーグ最小失点の松本は、橋内優也が怪我から復帰。左のストッパーに今井智基が入る。

試合の前から「前田大然とセルジーニョが怪我か?」とのウワサが出ており、またまたぁ~。反町さんのアジジ作戦か~?と思ったが、二人ともベンチ入りもせず。シャドウには石原崇兆岩上祐三が入った。

 

強みを生かして

キックオフ前から駆け引きは既に始まっていた。コイントスで松本のゲームキャプテンの橋内はエンドを変更。攻撃力のある大分が攻めた時にペナルティエリア辺りに日が射し込むように、という狙いがあったと思われる。

 

松本はボランチ藤田息吹が前に出ていき、ビルドアップの起点となる3バック+GKにプレスがかかるようにした守備。1トップの高崎寛之が鈴木にマークをするが、GKの高木駿にパスが渡されるとそのまま追いかける。それと同時に鈴木のマークを藤田に受け渡す。大分が焦れてロングボールを前線に放り込んでも松本のDFは高さと強さがあるため容易に跳ね返せる。また、大分がボールを持って押し込む時に左右のストッパーが前線に顔を出すため、それを制限する意味合いもあった。

それでは大分は3バックを飛ばしてWBにつける、という形を目指すが、両者共に3-4-2-1とミラーゲームになるためWBどうしがぶつかる。球際の強さは松本の方に分があるとして、大分の3バックへの制限を準備したのだろう。

大分のビルドアップが阻止できなければ、自陣で5-4-1でブロックを築き、スペースを潰す形で対応していた。

 

大分は3バック+GKの4枚での組み立てにマンマーク気味で対応されると、ボランチ丸谷拓也が最終ラインに入り、数的優位に立つと共に相手のプレスを剥がしつつ、松本は大分のビルドアップを許すか、前からハメていき強力な大分FWと自陣で1対1を作られるかを迫られる形となった。

 

松本は大分DFへのビルドアップの制限を緩めて、5-4-1の撤退守備でスペースを埋める。自陣で自由にボールを持てるようになった大分は、ボールを回してチャンスを伺う。

 

この日の大分は、敵陣でボールを奪取しても速攻は仕掛けずに味方の上がりを待ってじっくり攻めることを意識していた。

遅攻となるので松本にブロックを作る時間を与えてしまうが、大分はボールを動かして崩す事は今季、一貫して取り組んでいること。また、松本のカウンターの威力を殺す意味合いがあった。

松本のカウンター封じは攻守でのシャドウのポジションの違いを利用したもの。

守備ではシャドウの石原、岩上はサイドハーフとして振る舞う。

f:id:west242447:20181031151326j:image

そして攻撃に転じた際には高崎の近くでプレー。

f:id:west242447:20181031151417j:image

となる。

松本がボール奪取から全体を押し上げる際にボールを繋ぐ事ことよりもロングボールで高崎に当ててからセカンドボールを回収して一気に押し上げる形を取る。

もし大分が速攻を仕掛け、松本の守備に引っ掛かってカウンターを受けるとなると、シャドウは高崎の近くでプレーできるが、遅攻をすることで開いた位置でボールを受ける大分のストッパーについていかざるを得なくなり、カウンターに転じても高崎が孤立する。

大分がボールを持ってじっくり攻める時に、高崎は左右の繋ぎ役となる前田凌佑につく事で組み立ての邪魔をしていたが、出来ることはそれくらいしかなかった。

 

大分がボールを持って試合をコントロールしだした32分。ついに得点が生まれる。

右サイドを崩しにかかった大分は、三平和司パスミス。今井が回収するも果敢にプレスバックして三平が再びマイボールにすると、前田→丸谷→藤本憲明とテンポよく1タッチで繋ぎ、藤本はヒールでスペースにボールを置く。これに三平が利き脚とは逆の左で強烈なシュートを決めて、大分が先制。

三平は嬉しいシーズン10点目となった。

 

その後、スコアは動かずにリードして折り返す。

 

大人なゲーム展開

後半に入っても、松本は3バックからロングボールを高崎に当てて……という攻撃を目指すが、シャドウとの距離が変わらないため、バイタルエリアスクランブルを起こせないまま。ロングボールの出し手が角度をつけてサイドから放り込んでチャンスを作るが、波状攻撃とはいかない。

62分に松本は高崎を諦めて永井龍を投入。左右に流れてのプレーができる永井が入ったことにより、シャドウとの距離感が改善されてシュートに持ち込む形を作ることができた。しかし、CFとなる永井が左右に動くため、肝心な中央でのスクランブルは起こせない。波状攻撃ができずに単発での攻撃のままだった。

一方の大分は、ビルドアップの形を工夫して3バックに高木、丸谷、時には前田が絡んで前からハメてくる松本の網を掻い潜る。そうなると松本は撤退してスペースを埋める5-4-1に移行するので、ブロックを作らせてカウンターの威力を下げるというやり方を徹底。サイドからサイドへ、サイドの奥行き(CB↔️シャドウ)を使ってボールを動かし、相手がボールを奪いにくい、奪ってもカウンターがしづらい形を意図的につくる。

71分に大分は馬場、三平を下げて後藤優介、伊佐耕平を入れてシャドウのタイプを変える。同じタイミングで松本は岩間雄大岡本知剛。空中戦が少なく、パスが繋がらないためここを変えてきたのだろう。

 

その後、松本は3バックは固定しつつ、前線を増やして3-1-3-3気味にしたり

f:id:west242447:20181031154650j:image

下川陽太から三島康平へ変えて高さを増やして無理やりスクランブルを起こしにかかるが

f:id:west242447:20181031154946j:image

大分DFがしっかり対応。相手が前がかりになったのを見てカウンターから星雄次が惜しいシュートを放つなど、終始試合巧者ぶりを見せつけて1-0で勝利。天王山をモノにした。

 

松本の印象

力こそパワー、パワーこそ正義。

f:id:west242447:20181031155216j:image

キレイな京都みたいなサッカーだったが、セルジーニョと前田大然の不在が大きく響いた。上手さと早さがある両者がいないため前線でスクランブルが起こせない松本は次の策が全く見えないままただひたすらにボールを蹴り込む。ボコ蹴りサッカーで策を封じられるとしんどいなぁ、と。

フィジカル重視なサッカーのためか怪我人も警告も多く、終盤にベストな11人を組めない。J2でもこのサッカーは限界に近いとも感じるが、失点は少ないしなまじっか点が取れてしまう。それ故下手にカテゴリーが上がっても、強度の差でやられてしまう。J2では勝ち点が取れるためにカウンター、フィジカル重視のサッカーが続く。それはそれで楽しいならいいが、チームとしての積み上げがあるかと言われると、この日の試合をみると疑問符がつく。

天王山は落としたが、まだまだ自動昇格の可能性は充分にあるためここから踏ん張れるかは注目だろう。

 

層の違いを見せつけて

大分はこの天王山をモノにして、J2で単独首位に躍り出た。「準備不足」だったのは片野坂監督の喉くらいで(本人談)、今年は2桁得点が4人(後藤、藤本、三平、馬場)となり、岩田もスタメンに定着。選手層の厚さを1年を通して作り上げ、怪我も警告・退場も少なく、試合毎に様々なチャレンジをしての首位。感慨深い。だが、あくまでもこの試合も1/42でしかなく、まだ何も手にしたわけではない。混戦のJ2リーグで気を抜かずに残りの3試合、まずは上位対決の横浜FCを叩きたいところ。

 

また、この試合でトリニータJリーグ参入から20年で450万人を動員。大分市陸からビッグアイへと立地が変わるだけでなく、様々なカテゴリーで色んな試合を経験してきた。

明日の11/1でナビスコ杯戴冠からちょうど10年。2008年からは本当に激動につく激動だった。新たな10年を素晴らしい形でスタートさせるために、残り試合も全力で勝利に向かって取り組んでほしい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第39節 大分トリニータ vs 松本山雅FC - YouTube

 

 

 

 

【大分】vs千葉(A) 背後を突いて〈J2 第38節〉

運動の秋!ハイラインを引く千葉のDFは裏抜けマシーン藤本と楽しくかけっこ!みたいな試合。

何言ってるかわからないと思うけど、実際にそんな試合だった。この時期になんてサッカーをしてるんだ……ってのを見せられた。しかし、大分はそんな相手に付き合う事なく、大の苦手な千葉を粉砕。

 

この日のメンバーは以下のように

ジェフユナイテッド千葉

f:id:west242447:20181025152622j:image

予想は4-2-3-1だったが、実際は小島秀仁が2列目に入った4-1-2-3。それまではロドリゲスと佐藤優也がおよそ半分ずつスタメンをしていたが、9月からGKの大野哲煥が先発。怪我人が多発!というわけではないのにシーズンで3人のGKが出場と珍しいことに。

この日の結果次第でJ1参入PO圏内の6位以下になる可能性がある大事な試合に。

 

大分トリニータ
f:id:west242447:20181025153240j:image

前節は天王山を落とした大分も、これ以上の取りこぼしは許されない。

先発の3トップを総入れ替え。シャドウに入った國分伸太郎は第24節の栃木戦以来の出場となった。

 

ドタドタ、バタバタ

リーグ1位の67点を叩き出している大分と、65点でリーグ2位の千葉の戦いは、バタバタした入りに。

開始27秒でキックオフから鈴木義宜が前線にクリアしたボールを千葉DFが見送り、GKの大野がPAの外から中に入ってボールを取ろうとしているところで三平和司が押し込んで先制。

試合前に姫野宥弥から「ワンチャンアルデ」と言われていた予言が当たった。

 

珍しすぎる形で先制した大分だったが、その後は千葉のハイプレスに晒されてビルドアップがしにくい状態になると、11分。ゴールキックで高木駿から福森直也にボールを渡すが、少し浮いてしまい処理を誤る。慌てた福森は高木に戻すが指宿洋史がプレス。こぼれ球を町田也真人が奪いシュートを放つとこれが決まり、両チームとも全く崩しの形を見せないまま11分で2点も生まれるという世にも奇妙なゲームになった。

 

そこからもハイプレスでイケイケの千葉、それに慌ててバタつく大分、プレスを大分が外すとカウンターでバタつく千葉、というドタバタした、落ち着きの無いゲームは続く。

16分には矢田旭がドリブルでボックス内に入りキックフェイントでDFを剥がしてシュートに持ち込もうとした所で福森がクリア。中盤を大きく越えたボールは千葉のハイラインの裏に転がり、裏抜けをした藤本憲明が独走からGKを交わしてゴール。再びリードを奪った。

 

この日の千葉の大分対策は3トップが3バックに積極的にプレス、大分のWBを千葉のSB、ボランチにトップ下が付いて……とフルコートでハイプレスを仕掛けるための4-1-2-3の配置にしたのだろう。

f:id:west242447:20181025160116j:image

高い位置でプレスを仕掛け、奪ってショートカウンター!として、大分のパスの出し手、受け手両方にフタをしてきた。

しかし、大分のビルドアップではGKの高木も積極的にパス回しに関与するため、中央の指宿は鈴木だけでなく高木にもプレスをかけないといけない。

f:id:west242447:20181025160522j:image
どちらかにつけばどちらかが空くことはわかりきっているが、こうなったときの策を千葉は持ち合わせていなかった。

指宿が高木に寄せて、船山貴之下平匠が1つずつスライドして寄せるが、大分は中央に3枚いるため、近藤直也はゴールに近い中央を締めるのを優先しないといけないため大分のWB(この場合は松本怜)がフリーに。

f:id:west242447:20181025161152j:image

すると大分の速攻を遅らせるために中盤の選手はボールサイドにスライドしていくが、逆サイドの大外がフリーに。シャドウの選手がサイドに流れるだけでCBは簡単に釣り出されてしまうし、大分が攻めるだけのスペースも広大だ。守備をする千葉からするとその広すぎるスペースで3人で大分の4選手を捕まえないといけないためどうしても無理が生じてしまう。

f:id:west242447:20181025164550j:image

守備時のケアをしないといけないため上がれないアンカー、中央突破をされないようにするためマークを放す事ができないCB、広大なスペース。千葉の「第1の網」がかからなかったときの対策、リスク管理は全くといって良いほどなかった。

また、左右に揺さぶられてマークする人がスライドによって複数回入れ替わり、下がりながらの守備で千葉のDFはどうしてもボールウォッチャーとなってしまう。これでは守備は野ざらしと言っても差し支えないだろう。なんだこれ……

 

この構造的な欠陥を突いて大分は少ないタッチでボールを回し、37分には國分からサイドに流れた藤本のグラウンダーのクロスに三平が合わせて2点差に。GKを加えたビルドでプレスにズレを生じさせ、WBをフリーに。敵陣に入ってからも相手の背後を連続して突いての得点。まさに狙い通りだった。

 

43分にはまたしてもペナルティエリアの外で足下でボールを処理しようとした大野。藤本に身体を入れるも交わされてボールを奪われるとまさかのボックスの外でハンド!決定機阻止で退場も有り得たが、角度がなかったこと、中にDFが居たことから得点になる可能性は少ないとして警告で済んだ。もしこの軽率なプレーで千葉に退場者が出ていたらハイライン、ハイプレスがどうなったのかは見ることはできなかった。

 

落ち着かせて締める

後半に入り、千葉は指宿→為田大貴

f:id:west242447:20181025170626j:image

為田は左サイドに入り、船山が中央にポジションチェンジ。

大分は5-4-1でスペースを埋めてブロックを築き、2ラインの間で千葉の選手を捕まえる守備へ。なかなかチャンスは作れなかったが、相手にボールを持たせればハイプレスに晒される事はないので、ゲームを落ち着かせる事ができた。

その後大分は52分に三平→伊佐耕平、千葉は63分に小島→茶島雄介、71分に町田→ラリベイとお互い攻撃的なカードを切る。

攻めあぐねる千葉は締められた2ラインからボールを引き出しに下がってくるが、入れ替わって中を突く動きは全くなかったため大分のブロックの前でボールをぐるぐる回すのみ。71分からはなぜかダブルボランチに変更とちぐはぐな采配も響いた。

f:id:west242447:20181025171526j:image

80分にはじわじわと高くなった千葉DFの背後を突いて3バックの一角を務める岩田智輝が右サイドを駆け上がり、ボールを残してハーフスペースに侵入した伊佐へパス。伊佐は逆サイドでフリーの星雄次に低く速いクロスを送ると、星が冷静に押し込んで4点目。

その後、アディッショナルタイムに素早いリスタートで背後を取られ矢田のクロスをラリベイに押し込まれるも4-2で勝利を手にした。

 

千葉の印象

そもそもの策が欠陥だらけで、ハイプレス、ハイラインの裏を取れば簡単に失点。加えてGKの信じられないミスが2回もあったらそりゃ勝てないよ……と言いたくなる内容。これで可能性が僅かにあったPO進出もなくなる呆気なさ。

前節は勝利したものの、サポーターが居残りをしてクラブからこんな声明が出されたり、試合前にはこんなツイート

が流れていたりとゴタゴタしていた様子。

監督はほぼ無策、選手は連動性を欠き、サポーターは見えない未来に憤慨する。みんなどこか他人事のように感じた。チームに「ユナイテッド」と名があり、「WIN BY ALL」と掲げているがここまでバラバラだと最早皮肉でしかない。どうしたもんかね。

全てはマッドなサッカーモドキで昨期終盤に怒涛の7連勝でPOに滑り込んだ幻想の再現を夢見るフロントと、対戦相手の対策ができない、ボールを持っても策がないサッカーを1年通して続けているエスナイデル監督が元凶ではないか?このままではとても悲しい。

 

大一番を前に

初対戦から通算34回目の対戦でやっとのことで千葉にシーズンダブルを合計8-2という大差でやってのけた大分。とても感慨深いと思ったが、それ以上に千葉が弱かったなぁ……と感じるのはちょっと欲張りかもしれない。しかし、町田との天王山を落としたことを引きずらずに天敵から勝ち点3を奪えたのはとても大きい。西京極で虹を見て、千葉にシーズンダブル。これでJ2の御祓は済んだはず。直接対決で反町さんを泣かせてJ1まで突っ走ってほしい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第38節 ジェフユナイテッド千葉 vs 大分トリニータ - YouTube

【大分】vs町田(A) 天王山、落とす〈J2 第37節〉

ここ数年の大分にとって町田は忘れたくても忘れられない相手。2012年の昇格争いでのアウェイ、15年の入替戦……そして今年前期での対戦もまさに死闘と言える内容だった。

目の前に立ちはだかる「壁」、町田。暫定ながら首位に立った大分はまたしても難しい試合となった。

 

この日のメンバーは以下のように。

FC町田ゼルビア
f:id:west242447:20181015143313j:image

2試合未消化ながらも上位にいる町田。サイドを圧縮して狭いスペースを攻略すること、そして90分走りきるスタイルで勝ち点を積み重ねてきた。

この日は怪我人やコンディション不良の選手が多く、井上裕大、奥山政幸、森村昂太などがメンバー外。大谷尚輝は累積警告で出場停止。

ロメロ・フランクは前回の大分戦以来24試合ぶりのスタメン起用に。

 

大分トリニータ
f:id:west242447:20181015144355j:image

前節から三平和司をベンチに下げ、馬場賢治をひさびさに先発から使う。

ベンチには宮阪政樹が入り、状況によって大きな展開に持ち込める準備をしていた。

 

CBを釣り出して

大分は前回の対戦と同じく、シャドウがサイドに開きWBと近い距離感でプレーすることを重視。(前回の内容はコチラから)

横の圧縮をしてパスコースを狭めてくる相手に対してDFラインからの背後を狙ったパスや対角線への展開により圧縮されていない逆サイドへボールを持っていくことで一気に局面を変える事を目的としていた。

特に多かったのが右サイドからの展開。岩田智輝や松本怜、サイドに寄った鈴木義宜から対角線の星雄次、馬場賢治を狙ったり、ロングパス1本で伊佐耕平を狙ったりといった形に。
f:id:west242447:20181015152720j:image

ここで大分は特に対角線へのロングパスで町田を攻略しようとしていた。

星が大外の高い位置でロングパスを受けると、対面する小島雅也はボールへとチェックに。

f:id:west242447:20181015153431j:image

それに連動して4バックはスライドをしていくが、小島と酒井隆介の間は広くなってしまう。(小島はボール奪取、酒井は小島との連携と共に対面する馬場を見ないといけないため)

 

「SBにWBをぶつける事でCBを動かす」

これが大分の狙い。

大きな展開で対角線にボールを逃がしてしまえば相手のSB-CBにスペースが自ずとできる。あとは星と馬場の連携でワンツーで星がサイドの角を取ったり、馬場がSBの小島の背後を取ってボックス内に侵入したりできる。そうなった場合、対面するCBはリアクションをせざるを得ない。

 

これは単にこの局面だけのハメ技だはない。町田が大分のサイドチェンジ、ロングパスを嫌って逆サイドにマンマーク気味に付く事や、DFラインを下げる事をすれば町田のスタイルである圧縮して狭いスペースでのカオスを生み出すサッカーはできなくなるため、チームの秩序を乱すという面でも大きな意味があるものだった。

 

また、この対角線ないしDFラインの裏を取るための準備もしっかりとなされていた。

大分は町田がボールを持った際にいつもより低い位置までプレスに行かずリトリート、ディフェンシブサートに入ってからは人にマークをつけて前を向かせない事をした。コンパクトな町田の組織だったプレーを逆手に利用するための策だ。

これがスタートからハマり、前半序盤から伊佐が決定機を2度3度と迎え、大分ペースで試合が進む。

 

町田もSBにWBをぶつけられることは想定済みのようで、大外に振られたらダッシュで横スライドをしてディレイ。根本的な解決とはいかず走らされる形になったが、それは我慢。選手たちも「それが自分たちのやり方」というのをわかっているためか、強度自体は落ちなかったようだ。

 

町田は基本的に相手によってやり方を変えない、横スライドから速攻を防ぎSHを下げてブロックを作ることは片野坂監督も想定済み。町田のプレッシングが外された時に取るリアクションを考えていたため、次の策にもスムーズに入ることができた。

大分の用意した策は右サイドの組み合わせの変更。町田を自陣に押し込んでからの崩しは、シャドウを中→外に開き、相手のCBを外に誘い出す事だった。

普段の大分では、WBの松本怜、右ストッパーの岩田智輝が高い位置を取り、小手川宏基カバーリングをするというトライアングルが大きな武器。しかし、このユニットでは攻撃に転じた際に立ち位置の関係でどうしても深い位置からのスタートになる。そうなると町田の素早い寄せにあっぷあっぷしてしまい絶好の「ボールの狩り場」になる。

それを防ぐために、今季はじめてこのトライアングルから小手川を外し、カバーリングの役目をボランチ丸谷拓也が担った。これにより、小手川が外に流れて松本と縦関係になりやすくなったり裏抜けがしやすくなった。

 

そんなこんなで大分は町田の横圧縮を揺さぶりスライドをたくさんさせることで疲れさせる事と、スライドによって生じるスペースを使いCBを釣り出すことで町田の戦術的な骨格を殴り続けたが、先制点は町田だった。

16分に右からのCK。大分は町田の高さを気にして中に陣取る裏を取られてニアサイドのペナ角のロメロフランクをフリーにしてしまう。平戸太貴がゴロでそこに出すと右足一閃。高木駿に触れられるもニアサイドの角に決まり失点。

大分は失点してからもやり方を変えずに骨格を殴り続けると、25分に福森直也のロングパスに抜け出した小手川がGKとの1対1を交わしてカバーに入ったDFの股を抜くシュートで同点。32分にはまたしても大きな展開から小手川→伊佐→小手川と渡り、ニアに飛び込んだ馬場にクロス。馬場はバックヒールでファーサイドに流し込んで一気に逆転。

その後もWBとシャドウがサイドで縦関係になりフリックやワンツーでCB、SBを動かしながら崩す形に。

このままリードして折り返すかな~なんて思った43分、右サイドの低い位置からのクロスをニアでロメロフランクが反らして高木はキャッチできず。こぼれ球を中島裕希がしっかりと決めて再び試合は振り出しに。大分にとっては実に15試合振りの複数失点であった。

 

バレた「左」

えー、突然ですが。シーズン通しで試合をまとめていると、どうしても違和感に感じたり「あー、ここ穴だなぁ~」なんて思う事はあります。あんまり書いちゃうとどこかのクソメ……ゲフンゲフン

f:id:west242447:20181017141010j:image

(誰だろうなぁ~???)
から覗かれたらマズいことは極力書いてきませんでした。すんごい自惚れですが……

 

しかし、町田の相馬監督は前半の45分で左サイドからの速攻はないと見切っていた様子。

後半から横スライドで対面する小島雅也を大外の星にまでスライドせずに、パスの受け手となる馬場を捕まえるように。これでは星がサイドを抉って大変!枚数が足りない!となるが、星はボールを足元で受けると①カットイン②パス&ゴーの2択がメイン。深い位置からのクロスは選択肢としてはあるだろうが、ニアに早いクロスはまだしも、ファーサイドや中にクロスを上げるとことごとくワロスになることがバレていた。

また、町田は右サイドの守備で星を取りどころにするために土居柊太は下がりながら星を第一に捕まえず、前田へのパスコースを消しながらの守備へと変更した。

f:id:west242447:20181017150511j:image

(4バックの右脇に星が侵入できるが、そこに入られても問題はない。切り返して中と連携を取られた方がイヤなので中の強度は高くしたい。)

これにより、星にボールが入ってもパスの出しどころはなくなり、カットインをしても自ら網にかかるだけ。サイドを抉っても中は高さで勝る相手にFWは競り合いをしないといけないし、そもそも精度が低いためチャンスになりづらい。

また、大分も後半からシャドウを内側に留まらせてバイタルエリアから崩していきたい。全体を押し上げて相手を押し込みたい。という意図もあったようだ。

こうやって次第に大分はじわりじわりと攻め手を失っていくと58分、CKから深津康太のヘディングは枠に嫌われるがこぼれ球を鈴木孝司がトラップからシュート。ゴールネットを揺らし再逆転かと思われたが、鈴木のトラップがハンドと見なされてスコアは動かず。しかし、63分に左サイドのスローインをロメロフランクがボックス内で相手を背負いながら反転。それと同時につま先で蹴り、GKのタイミングを外しつつニアサイドに決めるというスーパーな一撃で再び町田がリード。

 

大分は69分に伊佐、馬場を下げて藤本憲明三平和司を投入。2トップにして攻勢に出る。

f:id:west242447:20181017153233j:image

すると直後の70分。三平のクロスに裏抜けマシーン藤本が背後を取ってヘディングシュートは枠に嫌われてしまう。

前線の枚数を増やした大分。ただ単に前に人数を増やしたということではなく、中盤に5人を横並びにすることでサイドチェンジを容易にすることと星を直接小島にぶつけずに少し低い位置で土居を食いつかせて前田をフリーにする意図としての意味合いが強かったように思われる。

しかし、落ちると思った町田の強度は落ちず、サイドで詰まって逆サイドに逃がすことを繰り返してしまった。

83分に狙われていた星を下げて清本拓己を投入して局面の打破を試みたが、時間が少なすぎた。町田は85分にロメロフランク→李漢宰、90+1分に中村→藤井航大、90+5分には鈴木→山内寛史と守備的な交代で4-1-4-1に変更。

f:id:west242447:20181017154614j:image

そのまま試合をクローズさせて試合終了。注目の上位対決で勝ち点3を落とす形になってしまった。

 

町田の印象

しっかりと走りきるし、骨格を殴られても我慢。流れが悪くても平戸太貴の精度の高いキックから得点が取れる。実に嫌らしいチームだった。シーズン終盤に差し掛かり、さすがにどこかでガクッと強度が落ちるだろうと踏んでいたが、そんな素振りは全く見えず。

–後半のほうが戦い方が整理されたことは現象を見れば分かるのですが、球際の攻防の部分は守備が整理された上でもインテンシティーが落ちませんでした。これは日本サッカーの共通の課題でもあると思いますが、65分過ぎぐらいからは間延びしてインテンシティーが落ちるものです。それでも町田は終盤までインテンシティーを落とさないゲームをできているという印象です。それはチームの自負として、強みとしているという認識でよろしいでしょうか?
「90分落ちないようにしようとチームを作ってきていますが、普段から我々の試合を見ている方は分かると思いますが、ウチのチームでも後半の60分過ぎや前半の30分過ぎにインテンシティーが落ちるということは当然あります。

ただインテンシティーを落としたまま、90分のゲームを終えようという話を選手たちにはしていません。90分もつようにしようという戦いをしてもらっています。その中で選手たちが努力をしてくれていますし、もしそう言っていただけるのであれば、それは選手の努力の積み重ねでもあります。僕からすると欲深いので、もっとと言ってしまうのですが、今日も選手たちが戦い続けて、やり続けて、難しい場面も何度も破かれても戻ってと、本当によく戦ってくれたなと思っています」

町田公式HPより

 

うーん。強かった。

選手で印象に残ったのは深津康太とロメロフランク。

2人とも前回の対戦で深津は12分に退場、ロメロフランクは後半に負傷退場と苦い試合になったが、深津はエアバトルに強く、セットプレーで脅威であり続けた。ロメロフランクは全得点に絡む大活躍。別の試合で活躍くれ……

出た選手全員が走りに手を抜かない。こんなに強度が落ちないチームはなかなか無いとつくづく感じた。強い!

 

躓いたが

大事な大事な1戦を落とすと共に首位を明け渡してしまった。痛恨の極みである……

前半で伊佐のハットトリック未遂や後半の藤本のヘディングなどタラレバを言ってしまえばキリはないが、全く正反対のサッカーを志す両チームがどんなリアクションをするのかとても楽しく、充実したゲーム内容だったと心から思う。たかが辺境の2部リーグでこれだけ最先端の解釈を取り入れた試合を繰り広げてくれたことがとても嬉しく、それが我が愛するトリニータが1年を通してやってくれているのがとてもありがたいと感じる試合になった。

この敗戦で終わりではなく、残り5試合でまだまだ優勝、自動昇格の道が途絶えたわけではない。今を楽しみ、逆境に立ち向かう。いつだって「修羅場上等」だったじゃないか。このチームでひとつでも上に行きたい。

 

 

 

サッカーの「今」を見る

現在のサッカーを読み解くには「カウンター」と「ポゼッション」という二項対立はもう古くなっている。様々な局面を想定した上でどう立ち振る舞うのか。そのためには「カウンター」と「ポゼッション」のたった2つの言葉ではとても囲いきれない。進む時代に我々見る側も取り残されないようにしないといけない。

 

奇しくも今月号のfootballistaのテーマは

「ポジショナルプレーVSストーミング
欧州サッカー2大戦術潮流の最前線」

内容はコチラ

ポジショナルプレーの大分とストーミングの町田。わからないことだらけのサッカーだが、これを読めばなんとなーくは読み解けるはず。たぶん。

 

ポジショナルな3バックという意味ではベティスサッスオーロあたりが大分に似ているチームだと感じた。大分から世界へ。我々見る側もちょっと世界を覗きませんか?

 

かなーり最後は逸れた気がするけどとりあえず今回はこんなところで。

 

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第37節 FC町田ゼルビア vs 大分トリニータ - YouTube

 

 

【大分】vs京都(H) マンオブザマッチコテガーワー‼〈J2 第36節〉

 

 

古都のつまらぬ蹴鞠では、豊後のハイカラなふっとぼぉるには太刀打ちできぬ。

終始バラバラで、個の力でゴリ押しする京都を大分はしっかりと往なして勝ち点3を手にした。

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
f:id:west242447:20181008163826j:image

いつものメンバー。ボランチ兼アンカーの前田凌佑がスタメンなので3-4-2-1、3-1-4-2、4-1-2-3と相手の出方によって後出しジャンケンができるように。

4戦6発と大爆発の「PAが実家」こと藤本憲明スーパーサブとしてベンチからスタート。

 

京都サンガF.C.
f:id:west242447:20181008164328j:image

布部体制2年目は、積み上げがほぼ見られずに途中解任。ボスコ・ジュロヴスキー監督に変え、夏場に大量補強をしてドーピングをした京都。春先に小島社長から「落ちひん!」というパワーワードも飛び出し、バドゥらへんから千葉と共にネタクラブの最先端になった印象。

小屋松知哉がこの試合でJ通算100試合の出場。めでたい。

 

アクシデント

互いに思ってもみなかった形から失点をしてしまう。前半6分に京都は中央を田中マルクス闘莉王→重廣卓也→仙頭啓矢と繋がりクロス。中央で大分DFが弾くが、こぼれ球をカイオがボックスの外からダイレクトボレーで決めて京都が先制。大分からするとしっかり人数もかけていたし、スーパーなゴールだったためまさにアクシデント、といった形の失点だった。

しかし大分も13分に同点に追い付く。京都自陣でのスローインからGKの清水圭介にバックパス。タッチライン際からライナー性のキックをすると味方の本多勇喜にあたり、ボールは小手川宏基の前に転がると、冷静に無人のゴールに流し込み同点に。

 

ここから試合は、京都が攻守での意図がバラバラだったこともあり、大分が押し込んでいく。

試合後に重廣が

--積極的にプレッシャーにいくのは持ち味だが、今日は食い付いた後ろのスペースを狙われていた?

特に前半は狙われましたね。僕の独断の動きにみんなが付いてこられていないと捉えるべきなのか……。トゥーさんからは「上げてこい」、後ろからは「ディレイだ。コースだけ切っておけ」という指示が出ていた中で、僕自身も(プレスに)行くなら取らないといけなかったですし、もっとコースを限定しないといけなかったです。

大分-京都 選手コメントより

 

とあった様に、大分のビルドアップに対してのリアクションはまちまちで、3バッグ+ダブルボランチに対して京都は前線の6人がコースの限定に行くが、運動量のない闘莉王が中央で守備の方向づけができないため鈴木義宜と高木駿が容易に縦パスを入れたり、左右のストッパーにボールが入ると、仙頭、小屋松が長い距離を走ってプレスに行くが、その背後を取られて簡単にWBに繋がる。京都は前プレが全くハマらないだけでなく、人数をかけているため、大分が丁寧にボールを繋ぐだけで疑似カウンターみたいな形になり、左右を大きく使って相手を揺さぶる事ができた。

 

京都はブロックを作った守備でも明確な決まり事は「SHが相手WBをマークする」の1点のみの様で、両WBが上がる大分に対して最終ラインに6人ないし7人が居る有り様に。ペナ幅に4人、WBにマンマークを敷いていたためハーフスペースは人海戦術により埋められ、大分のシャドウが背後を取る形は起きにくくなっていたが、いかんせん守備に人数を掛けすぎているためカウンターにすらならないという地獄。前から仕掛けて裏を取られ、後ろで構えて攻められない。なんだこれ……

 

京都の攻撃はロングボールをメインにビルドアップで庄司悦大が左CBに落ちて両SBを上げる。それと共にSHを中に絞らせて……とリヴァプールみたいな事を試みる。

f:id:west242447:20181010152419j:image

しかし、闘莉王がフリーダムなため中央で渋滞を起こしたり、ロングカウンターで走れずに重廣がかわりに飛び出してなんとか体裁を保とうとするが、ロングカウンターでは大分DFに簡単に処理をされ、ショートカウンターでは闘莉王と重廣がごちゃごちゃしてカイオが下がってよりゴチャゴチャして奪われる。なんだこの地獄……

 

大分は京都の惨状を横目にロングカウンターをしっかりとケアすれば失点になるような場面はあまりない。ビルドアップでしっかりと相手を釣りだして、後手を踏ませ続ければチャンスはあると焦らずにゲームメイク。押し込めば最終ラインに6~7人置く京都の1列前で岩田智輝、前田、丸谷がフリーでボールを回して揺さぶりをかけ……というのがずーっと続きドローで後半へ。

 

相手の変更にも焦らず

後半に入ると京都が修正を加える。後ろに6~7人いたブロックの人数を減らしてバランスをよくするため、ボールサイドのSHのみDFラインに下がり逆サイドはスライドして5枚で守る!と。この時期でやる修正としてはとても稚拙としか言いようがないが……

60分には闘莉王の介護で大分の右CBとWBの間を馬車馬のごとく走りまくった仙頭を下げてジュニーニョを投入。解説できない解説でお馴染みの増田は「左右の位置を変えてきましたねぇ~」や「5バッグは考えづらいんですが~」と根拠の無いことを話していたが、3バックという名の5バック。前節のプレーとの比較すらできない解説者モドキ()に小屋松が今季左WBでプレーしたことがあるなんてわからないでしょう。

f:id:west242447:20181010154323j:image

小屋松を左WBにして守備では5バック。スライドをさせないことでDFラインの体力のセーブを行うこととマッチアップを明確にすることが目的だろう。

 

動いてきた京都。しかし大分のビルドアップにフタが出来ていないために大分は自由にプレーでき、その結果逆転という結果に繋がる。岩田からのクサビのパスを伊佐がヒールでDFラインの裏のスペースに落とす。走りこんだ小手川が冷静に流し込んで逆転!

喜ぶ三平の「マンオブザマッチコテガーワー!」が聞こえたりと待望のゴールだった。【ゴール動画

 

大分は京都の変更直後にリードを奪い、焦らずにボール回し。相手のプレスもあまりないため、3バックが広がり、その前のダブルボランチの5枚で回して攻撃に人数をかける。京都は変更直後の失点でプランが崩れたか、ボードを使って監督とコーチが話をする。

78分に小屋松→レンゾ・ロペス、80分に庄司→岩崎悠人と攻撃的なカードを切って4-4-2に戻し得点を狙う。

f:id:west242447:20181010160443j:image

同じタイミングで大分は松本→岡野洵、三平→藤本憲明とし、高さで跳ね返す事と高くなった相手のバックライン裏を狙う。

岡野がボックス内で岩崎を倒したのはPKのようにも見えたが、流されるという運も味方し?勝ち点3を大分が手にした。

 

京都の印象

関西在住で度々サンガを見ることはあるが、昨年からの進歩が全くなく、なにをしたかったのかが全く見えず、終始選手が判断してプレー!と、連動した動きは皆無であった。途中で慌てて3バック、失点からの4トップ、闘莉王の気ままさでトリプルタワーのファイヤーアタック。あまりにも自チームに過信があるか単にスカウティング不足ではないか。あまりにもサポーターが可哀想である。

闘莉王は高さや上手さがあるため局面で優位に立てることはある。先制点の場面でも重廣へのリターンパスは上手かったし、後半アタマのFKではドンピシャで合わせたりと見せ場はあったが、それ以上にデメリットが大きかった。基本的に機動力・体力がないため1stDFの役割が果たせない。そしてその皺寄せが大きすぎる。闘莉王が守備の方向づけができないため仙頭、小屋松はCB-WBを長い距離を走らないといけなくなり、闘莉王が組み立てに参加するため、庄司、重廣、カイオがバランスを取るためにポジション移動をしなければならない。あまりにも闘莉王の介護に負担がかかるのは歪という他ない。大野耀平のように走れるFWの方が収支はプラスになるのではないか?とも思う。「精神的支柱」として獲得した闘莉王がピッチにいないとサンガは成り立たないのか?そうであればもう宗教の世界だ。

たとえ「落ちひん!」かったとしても、今のサンガに魅力はあるのか?どんな意図を持っているのかが全く見えない現状で明るい未来はあるのか。

選手で印象に残ったのは重廣卓也。闘莉王の介護をしつつ中盤に穴を開けないようにプレー。よかった。

 

ここにきて

大分は第5節水戸戦~第8節京都戦までの4連勝を超える今季初の5連勝。この時期に調子があがって結果がついてくることは実力がついてきたこと、チャレンジ&エラーがしっかりと出来ていることの証左だと感じる。

次節は町田との天王山。この時期にこの順位である幸せを噛み締めながら大分のこれからも追っていきたい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第36節 大分トリニータ vs 京都サンガF.C. - YouTube

【大分】vs水戸(A) 鬼門撃破!〈J2 第35節〉

K'sスタ。なーんかいつも忘れがちにはなるが、いつの間にか負けている事が多い。通算1勝1分4敗とやっぱり勝ててない。まさに鬼門。

そんな大分だったが、フラグクラッシャー片野坂監督が浅田飴の力も借りつつ?勝利した。

 

この日のメンバーは以下のように。

水戸ホーリーホック
f:id:west242447:20181001163243j:image

仙台からレンタル加入の茂木駿佑が右SHに入り、逆サイドには大分にも在籍した木村祐志。見た目が厳つすぎて23歳にみえないジェフェルソン バイアーノが前線に。

念願だったJ1ライセンス取得後初の試合となり、気合い入ってるかも……

 

大分トリニータ
f:id:west242447:20181001163637j:image

前期での対戦で実に6年ぶりに!水戸に勝利した大分。前田凌佑が久々に先発し、3センターなのか3-4-2-1なのかが分かりにくい形に。スタートでのポジションでなんとなく3-4-2-1っぽい雰囲気だった。

最近はこの2パターンをうまく使い分けて後出しじゃんけんができるようになった。

 

試合前に鈴木義宜キャプテンがフェアプレー宣言。マイクが入らずにちょっと焦るもはにかむキャプテン。かわいい。

 

サイドの裏を攻略

前半開始から、水戸はサイドを圧縮してハイプレス。大分のビルドアップを邪魔しながら、攻め込まれると伊藤涼太郎が下がった4-4-1-1でセットをしての守備。とオーソドックスな前と後ろで守備のやり方を変えていた。

それに対して大分は、ビルドアップの形を変えて、相手のサイドの裏の攻略を目指し、それが上手くハマった。

この日の大分は、GKの高木駿がビルドアップに参加は積極的にはせず、丸谷拓也が1列落ちての組み立てをした。それに伴い前田、三平和司が1列ずつ下がり、左右のWBに高い位置を取らせた4-1-2-3のような形に。

f:id:west242447:20181001172336j:image

守備では浅い位置ではボールサイドに寄った4-4-2気味、

f:id:west242447:20181001172717j:image

(大分が左サイドで取られたら三平が、右サイドでは小手川が伊佐と横並びに近い位置でボールの即時回収を狙う。逆サイドのシャドウは下がってリスク管理を行う)

 

深い位置では5-4-1でセットをして弾く事をしていく。

f:id:west242447:20181001172944j:image

 

この変形の意図として、相手のSBの攻撃参加の阻止が挙げられる。

水戸の攻撃は、4-4-2を採用しているので2トップと両サイド+1枚の5人で幅を取っていく必要がある。水戸ボランチが上がってくれば、カウンターから中央を崩す事を比較的得意とする大分は、サイドの攻撃参加を阻止して機能不全に陥らせることを試みた。特に、左サイドのジエゴは攻撃での推進力があるだけでなくロングスローもあるため、ジエゴを守備に追い込む事で、水戸の縦の圧縮を分断して、間延びを起こさせてスペースを突く事をしていた。

 

このサイドの攻略がハマり、水戸のハイプレスは徐々に影を潜めだした35分に得点が動く。

右サイドのCK。キッカーは松本怜が左足で入れる……と見せかけてショートコーナーですねーわかりますわかります、と思っていたら松本は素直に左足でセンタリング。一度は跳ね返されるが、セカンドボールを前田が拾い、PA内の三平へ。三平は角度のないところから折り返すと、DFの足に当たって浮き球になった所を伊佐が頭で押し込んでゴール。伊佐の14節、岐阜戦以来4ヶ月ぶりとなる今季4点目は貴重な先制点だった。

前半は終始圧倒した大分。40分には浅田飴を2粒口に入れる片野坂監督が見れたりと「今日、なんかいけるんじゃね……?」な雰囲気で折り返す。

 

逆襲の水戸

そんな甘くない戦国J2はやっぱりそんな余裕で勝てるなんて事もなく、水戸の逆襲によって展開は大きく変わる。

(そういえばホームで水戸に同じような雰囲気から大逆転負けをした覚えが……ウッ)

 

水戸の後半での修正は、押し込まれたジエゴに高い位置まで上がりやすいように、それまでのヨコの圧縮からタテの圧縮へと変えた。

タテの圧縮はハイラインになりやすく、裏に広大なスペースができるため、どこからインテンシティを上げるかが問題になるが、大分がビルドアップでDFからミドルサードにいる味方に縦パスが入った時にグッと強度を強めて大分のパスの受け手に前を向かせなかった。

ビルドアップが上手くいかない大分は、DFラインからシンプルに背後を狙うが、両サイドは中盤ほどに居るため三平、伊佐をターゲットマンにするがなかなかボールが収まらずに攻め手を失ってしまう。チームの重心が下がった大分を水戸が押し込み、木村があわや!という絶妙な巻いたシュートを放つが高木駿がファインセーブ。時間と共に水戸から得点の匂いが漂ってくる。

この状況を踏まえてか、63分に水戸が2枚替え。バイアーノと木村を下げて夏に加入したバティスタと、怪我から2ヶ月ぶりに復帰した黒川淳史が入る。

前線に192㎝の長身FWのバティスタを入れてのポストプレーで大分を押し下げ、より動けるタイプの黒川を入れる事で質を保ちつつも数を増やすことを狙っていたようだ。

押し込まれて窒素気味の大分は、69分に三平から裏抜けマシーン藤本憲明を入れてDFラインを押し下げたいという気持ちは伝わった。

しかし大分は、5-4-1でセットをして弾く事と、中盤のスライドをして4-4-2でコンパクトに守っていくのかが曖昧で、なかなかプレスがハマらずにジエゴもフリーにしてしまい、そこを起点にバティスタに当ててから展開と水戸に押し込まれる時間が続く。

75分にはバティスタの背後を茂木が使いシュートも高木がまたまたビッグセーブで凌ぐ。

その2分後に大分は前田から馬場賢治を投入。3-1-4-2を基軸にもう一度整理をしようとしていたと思われる。

馬場の投入でゲームが落ち着きだした80分。相手のパスミスを伊佐が見逃さずにゴール前へ。藤本は伊佐とスイッチをして冷静にGKの逆を突いて追加点。淡白なゴールパフォーマンスはストライカーっぽくて痺れた。ノッてる男は違う!

その後は5-3-2の守備をする大分と、3センターの脇をSBが上手く使った水戸、という構図で攻め込まれるが失点はせず。アディッショナルタイムに浜崎拓磨のCKをジエゴに決められてクリーンシートとはならなかったが逃げ切った大分。これで今季2度目の4連勝となった。

 

水戸の印象

前半とはガラリと変わって攻勢に出た水戸。やっぱり策を持ってて変化をつけられる監督同士の戦いは見応えがあった。

前線、特に2列目の選手はそれぞれ特徴が違い、相手によって狙いを持ってゲームに臨める。黒川の復帰は大きいと感じた。

選手ではやはりジエゴ。大分が一番気にしていただけあって、縦への推進力とテクニック、飛び道具のロングスローと多彩だなぁという印象。最後の得点では打点の高さも見せており、やられた……と感じた。そこに運動量のある2列目、高さと強さのある外国人FWとバラエティーに富んだ選手層。怪我さえなければもっと上位に絡めただろう。

そして、初のJ1ライセンス取得。本間幸司と共にJ1を目指していくのはステキだなと。報われてほしい。

 

積み上げと成長

この試合で感じたのは、残り試合が少なくなるにつれて、チームとしての戦術的な積み上げに選手の成長がたくさん見てとれた。この日久々にスタメン起用となった前田は3センターとアンカーを共にこなしたり、馬場はシャドウと3センター、伊佐はトップとシャドウ、岩田はストッパーとシャドウなど、1stポジションに加えて1つは別のポジションで違和感なくプレーができてきた。GKの高木やDFラインはポジションの変化こそ少ないが、それぞれの細かい技術やコントロールが上がり、安定感が増してきた。

この積み上げに結果がついてきて4連勝。伊佐は久々に得点とそれぞれの頑張りが報われているのをみると嬉しいし、もっと上の舞台でみたいな、と願うばかり。

川西翔太や後藤優介、林容平など特に前目の選手もそういった1stポジション以外での挑戦をしていると思われる。残り試合は7試合。大分は30人全員でJ2の頂を目指していく。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第35節 水戸ホーリーホック vs 大分トリニータ - YouTube

【大分】vs山口(A) ギャップを突いて〈J2 第34節〉

自ら難しいゲームにした大分だったが、終わってみればしっかりと勝ちきり3連勝。上手く行かなかった所を修正できるだけの選手層と監督の采配は流石だった。

 

この日のメンバーは以下のように。

レノファ山口FC
f:id:west242447:20180927122019j:image

序盤は好調で、前期での対戦では天王山となったが、6/16の徳島戦を最後に未勝利。後半戦も6分5敗と勝ち点を積み上げられなくなった山口。

大﨑淳矢が7試合ぶりに先発。中断期間に補強をしたジュリーニョやワシントン、高井和馬などもスタメンに。

 

大分トリニータ
f:id:west242447:20180927122730j:image

ここ数試合は3-4-2-1と3-1-4-2を併用して連勝と結果が出ている大分。この日は宮阪政樹が11試合ぶりに出場と、中盤に変化をつけてきた。

 

 

狙いはハマるも……

前半の大分は相手の弱点をしっかり分析できてはいたが、そこに至るまでの形を効率よく作れずに後手を踏んでしまった。

大分の狙いは前半の序盤で見られた高木駿からのロングボールで伊佐耕平が裏抜けをした場面が象徴的であった。90分を通して山口のワシントン、渡辺広大のCBコンビの幅が広く、チャレンジ&カバーが成り立たない。どちらかにFWをぶつけてピン止めをしてしまえば2人目がギャップに入ってシュートチャンスになるか、1対1を2人それぞれに仕掛ければ、それもまたシュートチャンスに、という形。ワシントンは対人には強いが、空中戦ではそれほどの驚異ではなく、ロングボールからのフィジカル勝負で伊佐をぶつけると広大なスペースができることが多々あった。

 

一方の山口は、大分の5-3-2ブロックの中盤3人の脇から斜め前に対角線にパスを出して背後を取り、ジュリーニョや前貴之から高井へという形でチャンスを作ったが得点には至らず。

 

大分はアンカー脇、山口は3センターの脇と互いにスペースの攻略からチャンスを作ってはいたが、山口は守備でもアグレッシブに仕掛ける。大分の3バック+GKのビルドアップに3トップ、中盤3人をそれぞれマンマーク気味について大分のボール回しを難しくしていた。

f:id:west242447:20180927143028j:image

後ろは守備で問題を抱えてはいたが、大分はまず裏ではなく、近くの人をみるため前からのプレスを優先的に行うことを選んだようだ。

DFライン+アンカー、小手川はプレス耐性があるためパスで相手をはずしたり、ボディフェイントで剥がす事に慣れていたこと、また高木からWBに浮き球での配給ができるため、多少蹴らされているとは感じたが、そこまで目立ったミスはなかった。

しかし、久々に先発をした宮阪がここで大きな穴になってしまった。ボールを受ける前に首を振っていないのか、パスを受け、相手のプレスに晒されるとバックパスしかできない。ボールを失ってからの被害を最小限にするためか、宮阪はサイドに流れるが、同サイドの星雄次の進路と被るだけでなく、3センターの逆サイドの小手川宏基が内側に絞らないとバランスが取れなくなり、バイタルエリアのアンカー脇を三平和司が下がって受けるしかない状態になる。バイタルエリアがポッカリと空いてしまい、サイドからサイドへと狭いスペースからの打開しか攻め手がなくなってしまうだけでなく、山口の前からのプレスがハマりやすい状態に陥ってしまう。

 

29分にはミスが重なり失点。

相手が5-3-2ブロックの左サイドから中央のオナイウ阿道を狙うもパスカット。小手川→丸谷、そして三平へ。

ここでの三平の役割は、相手アンカーかCBを釣り出すことなので、一度落として裏のスペースに伊佐がアタック!というのがこの日のハメ技なのでそれを狙って宮阪へバックパス。

f:id:west242447:20180927152611j:image

ここで宮阪はサイドの星、斜め後ろの福森直也が間接視野で見えてはいたはずだが、自分にボールと共に2枚寄せていたため圧力を感じて、ビルドアップをしてもらうために福森へ下げるが、角度がついていなかったためミスキックに。

f:id:west242447:20180927153012j:image

ポイーン(´・ω・`)
f:id:west242447:20180927153633j:image

浮き球になり処理が難しく、自陣ゴールに身体を向けるため、セーフティにボールを繋げるために利き脚の左足で処理しようとしてミス。
f:id:west242447:20180927153651j:image

これをオナイウがワンタッチでゴールに流し込む。下で見切れている片野坂監督も思わず\(^o^)/に。

f:id:west242447:20180927153927j:image

 

自分たちのミスが連続すると共に、山口のプレスの矢印が連動して2度追い、3度追いとできたために生まれた失点。擬似的に甲府や福岡がした連動プレスの形にはなってトラウマが甦るが、山口はそこまでチームとしてできてはいなかったのは救いだった。

 

大分は前線に縦ポンでしか良いボールが入らなく、サイドからサイドへ。バックパスがメインになって悪くなった流れで自分たちのミスから失点、と最悪な状況で前半を折り返す。

 

 

外で優位に立ち、中で仕留める

後半に入り、大分はプレースキック以外ほぼ良いところを見せられなかった宮阪を下げて清本拓己を投入。これにより3-4-2-1へと変化をしたが、ここで片野坂監督は一工夫を加えた。いつもならば、伊佐をトップ、三平と清本がシャドウだが、この日は伊佐がシャドウに入った。

f:id:west242447:20180927155243j:image

伊佐が相手のアンカー脇に入ってポストプレーを行うことにより、対面する前をピン止めすることとアンカーの佐藤健太郎をボールサイドに引き付ける事でスペースを作り、間で受ける動きに長ける三平、清本を生かす意図を持っていた。

 

すると、59分に高木→星と繋がり、伊佐がフィジカル勝負で競り勝ちボールを持ち上がり、中へパス。清本のシュートはDFに当たるが、ボールは星の前にこぼれて折り返すと松本怜が詰めて同点に。

同点になって焦った山口はGKにもプレスをかけるが時間と共に連動性がなくなり、次第に中盤とDFが間延びをしてくる。それをみて大分は三平を下げて裏抜けマシーン藤本憲明を投入。山口も直後に大﨑から高木大輔へと変更。

藤本は投入直後からDFのギャップを見逃さず、オフサイドの判定にはなったが綺麗な裏抜けをみせると、72分。左サイドを伊佐が上がり、カットインから松本にパス。松本は出て来たGKを見て中に折り返すと藤本が詰めて逆転。3分後には自陣からの松本のロングボールに藤本が抜け出してバッジョ並の柔らかなトラップからGKをかわしてゴール。一気に逆転を果たす。

その後はクロスを高木駿がファンブルして高木大輔に詰められるが、ギリギリで掻き出して失点を防ぐと、79分に伊佐→岡野洵とチェンジをして岩田智輝がシャドウに。果敢に追加点を狙うがタイムアップ。

大分は逆転勝利で連勝を3に伸ばした。

 

山口の印象

解説の小林伸二さんが散々話して(最後らへんは怒っていたような……)いたCBの関係性は裏抜けマシーン藤本に上手くやられて2失点。高い位置からのプレスは前期からの魅力だったが、守備の網を前に設定しすぎているにも関わらず、GKにもプレスにいってロングボールからやられる場面があまりにも多かった。大分は伊佐をサイドに置いてロングボールからの仕掛けを意図的にやっていたが、広大な裏のスペースに出された場合の対応は最後まで見られなかった。3ヶ月も勝ちがないのは裏のスペースのリスク管理ができていないからではないか?と思ったりした。

選手で印象に残ったのは前貴之。スペースがどこにできるかを考えてプレーしているようで、相手がどこに出されたら嫌かを見てるなぁと感じた。戦術が前がかりなのでリスク管理やバランスをみたプレーも求められるが、そこも頑張ってる印象をうけた。

 

宮阪ァ!

逆転での3連勝と勢いがついてきてるような大分。だが、そんな中で一人だけ試合後の伊佐スタグラムで暗い雰囲気だった宮阪。プレーで酷かったのは確かだったが、前期から戦術が少しずつ変わるなかで立場が無くなってきている事。それにより自分らしいプレーができなかったのは悔やまれる所。自慢のプレースキックロングフィードの精度は言うことなくチーム唯一の武器だが、良い状態でしかそのプレーができないのであれば、立場は自ずと難しくなる。彼にとってはそんな試合だったと感じる。

しかし。しかしだ。もし宮阪がプレス耐性がついて丸谷のように相手を往なしてプレーできたら、小手川のようにバランスをみたポジショニングを身に付けることができたら……。宮阪政樹はもっと輝ける。代表の青山敏弘のようなプレースタイルに近づけると感じる。残りのシーズンで彼がもう一度チャンスを得られるかは疑問だが、新たなチャレンジを身に付けることができれば、もう一歩先に進める事ができればもっと楽しみな選手になるはず。頑張れ宮阪。超頑張れ。俺らは頑張ってる宮阪を見てるぞ!

 

酸いも甘いも噛み分けて、選手もチームも育っていくもの。勝ち点3を積み上げるなかで、こういった経験もできたんだから良いゲームだった、と言えると思う。残り試合は少ないが、30人全員でもっと高みへ。レッツ!自動昇格!!

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第34節 レノファ山口FC vs 大分トリニータ - YouTube

 

 

【大分】vs讃岐(H) 完璧!完勝!〈J2 第33節〉

今月唯一のホームゲームはゲームプラン通り、どころか「良すぎた」くらいのデキに。前半に3点、後半に2点とタコ殴りにして無失点。大変良い結果となった。

 

この日のメンバーは以下のように

大分トリニータ
f:id:west242447:20180915212539j:image

試合前は馬場賢治がシャドウに入った3-4-2-1の予想だったが、蓋を開けると馬場は3センターの一角に入っていた。FWに藤本憲明がスタメンで出場し、國分伸太郎、姫野宥弥、林容平が久々にベンチ入りを果たした。

 

カマタマーレ讃岐
f:id:west242447:20180915213012j:image

ここまで勝ち点25と最下位に甘んじている讃岐。前節で連敗を5でストップさせたが、ここまで6試合無得点と苦しい状態が続く。この日は契約の関係で大分から期限付きで加入の竹内彬はメンバー外に。岡村和哉がCBを務めた。

 

理想的な形で

大分は前半頭から讃岐陣内でプレー。これは讃岐も想定内であったが、馬場のプレーエリアに関しては北野監督はやや慌てたか。

この日の大分は3-4-2-1ではなく3-3-2-2だった理由は、讃岐がカウンター主体でラインが高くなく、押し込むことも挙げられるが、一番はマッチアップの面だろう。

3-4-2-1では相手をおびき寄せて裏へドカーンというのがハメ技だが、相手はその誘いに乗ってこない。前に5人を並べて4バックに対して数的優位を作れないのならば、4バックに2トップと両WBをぶつけて讃岐の最終ラインを押し下げ、中盤のスペースを3センターが攻略をして中を崩す算段だったのだろう。

 

これに対して讃岐は、4+4のブロックを準備し、左右の距離をペナ幅に設定。中を締めて大分の得意とする間受けやフリックといった攻撃をしっかりと受けて、前がかりになった大分の広大な背後を取ることを目論んでいた。実際、大分は押し込めど押し込めど得点が奪えない展開が徳島、福岡戦と続いていたためスカウティングは理に敵っていた。

しかし讃岐はサイドでの対応で大きなミスを犯してしまう。

讃岐の4バックに対して大分は2トップ+両WBをぶつけ、1対1を意識させると共に両WBはできるだけ幅を取って対面するSBを釣り出すというのをスタートからしていた。大分のWBの守備をSBがしてしまうとCB-SBの距離が離れてしまい、自陣深くでスペースを作ってしまう。先制点の場面に象徴されるようにここを有効に使われてのものだった。

 

 

f:id:west242447:20180920152614j:image

右WBの松本怜にボールが入り、対面する麻田将吾がチェックに向かう。ここで麻田-岡村間が間延びをしてしまう。


f:id:west242447:20180920153635j:image

麻田は松本のクロスをブロックしてスローイン。大分は三平和司がボールサイドに寄ってCBを釣り出し、それに伴い三平の位置にポジションチェンジをしていた松本が中央のスペースへ侵入。


f:id:west242447:20180920154007j:image

深い位置でのワンツーで讃岐の守備は完全にボールウォッチャーとなり


f:id:west242447:20180920154413j:image

三平のカットインで右SHの西弘則がボールへチェック。


f:id:west242447:20180920154558j:image

三平は相手を引き付けてフリーになった馬場へパスをし、これをアウトサイドで引っかけてGKから離れるボールで先制点。

 

動画はこちらで

 

サイドでのマーキングを誰がどこまでやるかが甘く、そこのズレ、スペースを大分がしっかりと突いて崩しきった完璧な形。讃岐は大分のWBにSHをぶつけて最終ラインの4枚は動かさないのを理想なのだろうが、岩田智輝が高い位置を取るためそちらにピン止めをされてしまい、サイドで数的同数、もしくは数的不利な状態で守備をどうするのかが明確でなかった。そこをしっかりと見逃さずに開始15分で先制点を奪えたのはとても大きかった。

 

21分にもCKからのショートパスで、同じようにサイドにスペースを意図的に創り出し、裏抜けマシーン藤本憲明がしっかりと背後を取って追加点を奪った。

 

早い時間で2失点を喰らった讃岐は、FWの木島徹也、佐々木匠も自陣のミドルサード入り口に構えての守備に変更。これはこれ以上傷口を広げないための消極的なものでなく、佐々木匠は左サイドの守備の補強で岩田のチェックができるようにするため、木島は配球役の丸谷拓也に付いてサイドチェンジの阻害を目的としていたようだ。

これによりサイドの深い位置から作り直す大分のバックパスを奪って両SHが一気に押し上げて高い位置に多くの人数を割いた大分の背後を狙うことができ、決定機を2つ作った。

 

大分は讃岐のカウンターを受けて面食らったようで30分辺りから中盤が間延びをしてしまい、効果的なポゼッションができにくくなっていた。残り15分を守って後半に繋げるか、攻め込んだまま讃岐を守備に追いやるかで曖昧になっていたように思える。

そんな悪い状態に陥った大分だったが、追加点を奪った。西のシュートのリプレイが流れていたためわからないが、恐らくロングボールで左サイドに展開をして馬場→三平→星雄次と繋がり逆足の右で放ったシュートは相手に当たりGKの裏を突く形になり3点目。これでゲームは完全に決まってしまった。

 

容赦なく

後半に入り、讃岐は2枚替え。左右のSBである武田有祐、麻田将吾を下げてアレックスと重松健太郎を投入。

西が1列下がり渡邉大剛が右へ周り重松とアレックスが左サイドで組む形に。
f:id:west242447:20180920163710j:image

チームとしても後半はライン設定を高くして前から、という形に変えてきた。

その中でも一番の変化はSBに高い位置を取らせるための可変だろう。ベースは上記の4-4-2だが、攻撃に転じると重松が1列前に上がり、中盤3人が横にスライドして4-3-3に。

f:id:west242447:20180920164245j:image

中盤を3枚にしてその脇をSBが上がっていくスペースを作ると共に大分の3センターの脇を突く意図があったと考えられる。SBが高い位置を取るためその分守備が薄くなるが、3失点なのだから構ってられない!ということかもしれない。

また、前半は4+4のブロックの強度を保つためにペナ幅での守備だったが、選手の間隔を広くして大分のサイドチェンジに対応していくことも想定しており、決して全裸特攻ではなかった。

 

しっかりと修正をした讃岐だったが、次の得点も大分だった。またしても右から崩して岩田の浅い位置からの正確なクロスを藤本がヘディングで合わせて4点目。岩田のクロスは同郷の先輩、松原健(現横浜FM)を思い起こさせるようなものだった。

 

大分は4点目を奪ったが、その1分後にピンチ。3センターの脇を使われ、サイドの佐々木匠からクロス。中央で中島大貴がヘディングで合わせるも高木駿がビッグセーブ。

マンオブザマッチタカーギーにはならなかったがこの週末のベストセーブに選出された。

 

3センター脇を狙われだした大分は三平が様子を見ながら中盤に下りて5-4-1に変更。これにより守備も安定できた。

その後、讃岐は西→市村篤司、大分は三平→清本拓己。

大分は馬場が一列上がり3-4-2-1へ。

f:id:west242447:20180920170609j:image

点差が大きかったこと、警告を受けていた事もあり75分には岩田から岡野洵へと交代。

もうこれで試合も終わるだろうなー、という83分。ビルドアップで讃岐を誘きだして高木がロングフィード。中島の背後を取った藤本が持ち込んでアレックスを引き付けて清本へパス。清本はGKとの1対1をしっかりと落ち着いて決めて5点目。

その後は馬場→姫野宥弥で試合をクローズさせつつ藤本が裏抜けからハットトリック未遂で試合終了。今季最多の5得点、そして無失点という最高な形で勝ち点3を手にした。

 

讃岐の印象

この日の終了後のインタビューで北野監督が話していたように「ブロックを組んで安心しちゃってる。ボールに行けていないんで……」というのが全てだろう。ブロックはシュートブロックにあらず。シュートを打たせないためにどうするか、があまり見られなかったのが残念だった。

チームとして成長をするため、今季はカウンター一本槍からの脱却を目指し、SBを起点にしたビルドアップを試しているようだが、なかなか難しい様子。未だに最下位だが報われてほしい。

選手で印象に残ったのは西弘則と佐々木匠。カウンターの場面ではナナメに走り渡邉大剛からのパスを引き出したり、ヌルヌルのドリブルだったりと、怖さがあった。相変わらずのシュート精度だったがそれはご愛嬌ということで……。

佐々木匠は前期での対戦では線の細い選手だなぁ、と思ったがちょっとがっちりした印象。守備もサボらず、長い距離を走ってのカウンターもできて、今の讃岐の希望なんだろうなと感じた。

 

出来すぎ

ゲーム展開は攻めあぐねる前に点が取れ、悪い時間にゲームを終わらせる追加点にゴールラッシュ。他会場では上位が軒並み足踏みとちょっと怖いくらい出来すぎであった。(解説がいつも以上に酷すぎたからそれでバランスが取れたのかも?) 増田忠俊氏の解説()は中身がない、分析もできない、リスペクトもないとハットトリック。もう結構なので自ら身を引いてほしい。マジで。

 

この試合で馬場は自身のキャリアハイの10得点を記録。相手が苦しむ古巣だっただけに思うところがあるだろうが立派な成績。残り試合でもモリモリ点取ってほしい。藤本もハットトリック未遂とFW陣が好調。林容平もベンチにひょっこりはんしていたのでこれからのスタメン争いも楽しみだ。

 

そしてこの日から本格的に?3-1-4-2と3-4-2-1の併用をはじめた様子。馬場が3センターの1角を務めることでゲーム内での選択肢が増えたのは本当に大きい。上位との対戦も残っているためこれからどう戦うかも楽しみで仕方がない。

残り試合、この勢いをもってJ1へと突き抜けていきたい。

 

そしてこの試合から、浅田飴さんがトリニータのスポンサーになっていただきました。

 

堀内社長が大分を楽しんでいただけたようで何よりです!

 

サポーターからも歓迎のダンマクだったりと

 

 

これからもいい関係が築ければいいなぁ……

 

戦うのどに浅田飴!!!!

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第33節 大分トリニータ vs カマタマーレ讃岐 - YouTube