Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vsC大阪(H) それぞれの現在地〈ルヴァン杯グループC 第1節〉

ひさびさの!ヤマザキナビスコカップ!じゃなくてルヴァンカップ!!!天皇杯以外のカップ戦をみると「あぁ、J1なんやなぁ~」とじんわり感じる。

ルヴァン杯の特徴はスタメンの1人は必ず21歳以下の選手を登録しなければならない事。そして、チームによりけりだが、リーグ戦に出場できていない多くの選手がみられる点が魅力だ。ルヴァン杯初戦に出場できるようにとU-18の矢野太一、西城響也、工藤大雅の3選手が2種登録でトップチームに登録もされた。

この日の大分は、選手のそれぞれの立ち位置、チームとして要求された役割をどれだけできるかの確認の場であった。

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
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先週末の松本戦から11人全員を入れ替えた大分。小島亨介と長谷川雄志はプロ初の出場。小林成豪も移籍後初の出場に、オナイウ阿道、高畑奎汰は初スタメンと初物づくし。

高畑奎汰はU-21でのスタメン枠としての扱いという側面もあっただろうが、先週末のプレーを見る限り、戦力として期待されてのスタメン起用だろう。

3バックは岩田智輝、鈴木義宜、福森直也の3人以外では三竿雄斗刀根亮輔は怪我、庄司朋乃也は契約の関係で出場できないこともあり、丸谷拓也が右のCBに入った。

 

セレッソ大阪
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昨年も手に汗握るひりひりした試合をしたロティーナ監督率いるセレッソ。開幕の神戸戦では左利きの舩木翔を右のWBに置いたりと、何か企んでる感じがビンビン。この日も右利きの松田陸を左WBに置いてきた。

セレッソもスタメンは木本恭生以外は全員ベンチやベンチ外の選手ばかり。それでこのメンツってやっぱりJ1やなぁ……とひしひしと感じた。

U-21枠ではCBの瀬古歩夢を起用。J3に参戦しているU-23チームで昨年も活躍していたらしいし、嫌な存在になるのかな、と感じていた。

スタメンに丹野研太、ベンチに清武弘嗣も居た。久しぶり!

 

基本の確認

この日の大分は、対戦相手のスカウティングをして想定した場面毎に選手がその日の任務を遂行するというよりは、「自分たちがやりたい事ってこんなだよね」という確認の意味合いが強かった印象。このような強度を弱めた中で選手がどう振る舞うのかが見られるのがカップ戦序盤の醍醐味かもしれない。そのため、個々の戦術理解度がどれくらいのものかや、攻守の決まり事を確認しながらのゲーム展開になった。

 

組み合わせの工夫

大分は基本の確認をしつつ、スタメンの選手にも「選手層の底上げ」を期待されていたと考えられる。

大分は基本的に3~4人の関係性を大切にしている。それは大分が「ボールを大切にするチーム」だからだ。近年ではバルセロナポゼッションサッカーの基礎として「三角形を作る」ことからフォーメーションとは違ったユニット論も重要視されるようになった。ボールホルダーは味方の一番近いポジションの選手の動きがわかれば、相手から多少の圧力を感じても選択肢を減らさないで済む。それだけでなく、フォーメーションとは違ったユニットでの大胆なポジションチェンジによって、相手を崩す意図もある。

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この日の大分のスタメンは、昨年からのメンバーが6人、新加入が5人とほぼ半々。昨年からのメンバーで公式戦で始めて見るのは岡野洵が右CBではなく中央だった事のみ。そしてどこで三角形を作っても必ず1人は既存のメンバーが居る配置であった。この狙いは、新加入選手がチームの約束事を守れなかった時の保険という意味合いと、ユニットで新加入の選手が機能できるようにするための配慮であったと思われる。

 

攻守の約束事

攻守でフォーメーションを変える事で、その日の狙いがぼんやり見えてくる大分。

攻撃ではWBを高くして幅を取ってボランチの背後にシャドウが落ちることによってサイドの攻略を第一に、外から中に揺さぶりをかけようとしていた。

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攻撃の時にWBを高くするため、背後は狙われやすい。そのケアを高畑奎汰と丸谷拓也が担い、中央では長谷川雄志が1列下がりプレーメーカーとして振る舞った。

 

守備では敵陣と自陣の2パターンで変化。

敵陣では5-3-2で前からプレスをかけてサイドに誘導。

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それを掻い潜られて自陣での守備では5-4-1でスペースを消す。

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基礎の基礎はこんなに感じ。

 

セレッソの狙い

今年からロティーナ監督を迎え、3バックを軸にするセレッソ。リーグ開幕戦で左利きの舩木翔を右WBに置いていたが、その狙いは全くわからなかったが、この日も「逆足WB」を採用。右利きの松田陸を左WBで起用してきた。

守備では5-4-1のブロックでボールサイドにボランチ2枚がコースを切って同サイドのシャドウがボールホルダーへ寄せるような形をメインにしていた。

 

主導権は握るが……

共にボールを持ちたがる傾向にあるチームの対戦。先にボールを持ったのは大分だった。

この日中盤と最終ラインの梯子役となった長谷川雄志が相手のプレスを受けない位置から長短の正確なパスでリズムを作った。また、丸谷拓也のCB起用も昨年はあまり上手くいかなかったが、攻撃参加のタイミングと積極性が増して小林成豪、オナイウ阿道とのトライアングルを形成し、押し込む事に成功。特に丸谷の攻撃参加により対面する高木俊幸を押し下げて被カウンターの予防にもなった。

しかし、先制をしたのはセレッソだった。23分に松田陸高木俊幸を使いワンツーでインナーラップをすると縦パス。抜け出したブルーノ・メンデスは岡野洵を引きずりながら冷静に流し込んだ。

チームファーストシュートがゴールになったセレッソ。この得点シーンではWBの逆足配置が見事にハマった。高木がやや開き気味の位置で小林成豪を引き付けて、後ろから松田陸がサポート。小林が高木に寄せたため、丸谷は高木のマークを引き受けるために前に出てカバーリングの準備。高木にボールが入ると松田は高木が開けたハーフスペースへと侵入して、小手川宏基の背後を取りつつ丸谷が高木と松田の2人を見なければならない状態に。そして丸谷が前に出た背後をメンデスが突いて大分の3バックの中央の岡野をサイドに引っ張り出すことに成功。後は岡野を千切ってしまえば大分の守備は高畑と長谷川だけになるのでマイナスの折り返しでも強引にシュートでも大チャンスになる。それをしっかりと決めきったのはJ1の質、といったところだろう。大胆な内側へのオーバーラップは岩田智輝がよくする大分の得意な形だっただけにやられた印象が凄く残った。

 

噛み合わない中で

ボールは保持したが、押し込めずに失点。大分は違和感を感じながらプレーをしていたように見えた。特に、右サイドの丸谷、小手川、小林のトライアングルは互いにポジションを移して変化をつけていたが、シャドウのオナイウを絡めてのプレーになると途端にギクシャクしていた印象があった。

失点の5分後に片野坂監督はそこを修正。シャドウのオナイウと馬場賢治を入れ替えた。

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これにより大分はパスワークの右サイド、スペースを活用する左サイドと左右非対称な攻撃の形に。

これにより、多少は整理されたかと思われたが、左サイドで星雄次と高畑が攻撃時に共に大外で引き付けようとしてポジションが丸かぶりになる場面が多々あった。

ギクシャクしながら、変えられる所は柔軟に対応をした大分。相手がどうこうというよりは自チームの動きの確認の方を大切にしていた印象。修正を行い、どう変化するか?と思っているところで前半を折り返す。

 

徐々に、徐々に

後半に入り、大分は昨年から所属する選手を中心に今できること、できないことを考えながら徐々に狙いを合わせていく。

前半の課題であった左サイド星、高畑丸かぶり問題は、星が内側のハーフスペースを埋めることで対応。ボールを持ったときにごちゃごちゃすることが少なくなった。

小島亨介は高木駿とは違い、DFラインに参加して積極的にビルドアップに参加することができなかった。これにより、3バックの左右を押し上げる機会が減ったが、岡野がメンデスにマンマークをすることで守備でメンデスに前を向かせないこと、向かれてもカバーリングをしやすくした。ビルドアップでは長谷川が上手くポジション取りをしてバランスを取った。

 

満足できたら?

60分を過ぎて両チームに動きが出てくる。

セレッソは61分に松田陸→舩木翔、64分に片山瑛一→山下達也、71分に高木俊幸→福満隆貴と交代。

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リーグ戦にも絡む松田と片山、起点になった高木が退く形になった。

 

大分も66分に小林成豪→岩田智輝、71分に馬場賢治→後藤優介、75分に長谷川雄志→前田凌佑と交代。

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それぞれの役割を果たした3選手から、松本戦で上手くいってなかった前田、リーグ戦の出場がない後藤、いつもとは違うポジションで出場した岩田と、コンディションの確認とプレー適正をチェックする意味合いが大きかったと考えられる交代だった。

 

激動のラスト15分+α

共に交代カードをすべて切り、残り15分。大分は攻勢に出るために、ボランチの動きを変化させる。

相手を押し下げてるために小手川が高い位置でプレーをして、前田が中盤とDFラインのどちらにも顔を出し相手シャドウを監視をし、高畑をプレッシャーから離して、高い位置でプレーさせる、といった形に。

これが功を奏したのか、89分に劇的な同点弾が生まれる。丸谷が相手からインターセプトをすると後藤と伊佐を使い、少ないタッチ数で崩してボックス内に入ると左足で巻いてシュート。綺麗に決まって追い付く。

90+2分には小島のゴールキックから伊佐が反らして裏のスペースを星が使いカットイン。ボックス内で木本恭生に当たりごちゃっとしたが、後藤が詰めて逆転!

大分が2009年の名古屋戦のような劇的な勝利でルヴァン杯初戦を飾った。

 

選手個人の印象

ルヴァン杯ではリーグ戦で見れない選手が多いため、トリニータの選手それぞれの印象を書いていく。

 

21.小島亨介
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U-23代表の正GKはこの日がプロデビュー。

最後列からビルドアップをする大分のサッカーにすぐにアジャストするなんて無理な話で、最初からDFラインまで上がってプレーなんて頭のネジが飛びきってる。だからすぐにできなくても……

頑張ってパスをつけていたが、解説の高松大樹議員にも指摘されていたように、パススピードが遅く、ビルドアップでリズムが作れない事が多かった。また、右足でのキックが苦手な様子。大分のサッカーでは、左右の蹴り分けやGK→WBへのロブパスができてやっとスタートラインという非常に要求の高いポジション。自分の成長のために来てくれた事はインタビューでも語ってくれてるしこれからが期待。

 

8.丸谷拓也
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昨年MVP級の活躍をした縁の下の力持ちは、今年のリーグ戦ではベンチに甘んじているもどかしい日々だろう。丸谷ですらクローザーって……とは思う。

この日は昨年ほんの数試合しかしなかった右のCBで出場。このポジションは岩田がハマるまで刀根亮輔岸田翔平も、そして丸谷も物足りないという評価だった。しかし、岩田のプレーを見てからか格段にプレーの質が高くなり、劇的な同点弾もゲット。新境地を開拓したかもしれない。

 

16.岡野洵
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リーグ戦では鈴木義宜が不動のCBなため、昨年は右のCBのクローザーに。しかしこの日、本職であろう真ん中で起用されると、持ち前の空中戦の強さとフィジカルを生かして安定したプレーを披露した。失点の場面では引きずられてしまったが、その前で半分詰みかけていたからしゃーなし。これからJ1の強さをつけてほしい。

そしてビルドアップがめちゃんこ上手くなってた。日々成長してるんだなぁ……!!

 

38.高畑奎太
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第2節で早くもリーグ戦デビューを果たしたルーキーはこの日も堂々としたプレー。試合後のラインダンスからもなんとなくメンタル強そうな印象。

オーバーラップの際に、自分の前に居るWBのポジショニングが大外なのかハーフスペースかを判断して自分がどこのスペースを攻略するかの判断が正確になれば面白い存在になりそう。守備では最終ラインの5枚ブロックを敷く時に対面するSTを意識しすぎてラインが整わない事が多かったのは課題。

まだまだ若いから……ではなくギラギラしてほしい。松本戦で見せたようなクロスをもっと見たい。

 

25.小林成豪(66'Out)
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てっきりシャドウでのプレーを期待しての加入と思っていたため、WB起用は意外であった。しかし、この日の狙いは攻撃時にWBが高い位置を取ることを目標にしていたためアタッキングサードでのプレーを期待されての起用だったのかな、と。松本怜は大外レーンを走るスプリンターという印象だが、小林は大外レーンだけでなくハーフスペースを使えるため、フィットすれば戦術的な幅が見込めるのではないだろうか。

ボールを持った際のヌルヌル感は守備でも生かされたが、3バックの特性上、大外レーンを一人でカバーしなければならない。走力がもっとつけば松本怜のスタメンも不動ではなくなるだろう。期待。

 

20.小手川宏基
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相変わらずサッカーセンスに溢れるというかバランスを取るのがめちゃめちゃ上手く、それもさりげなーくこなしちゃう天才肌。この日も右サイドの要としてプレー。

しかし昨年の甲府戦と同じく、攻撃から守備に変わった際に1プレー遅くなり、大きな穴になりかける所が散見された。失点のシーンも戻りきれておらず、本来はもう一列前の選手なのかも。今年は走れるプレーメーカーの小塚和季が居るため正念場の一年になるかもしれない。頑張れ……!

 

40.長谷川雄志(75'Out)
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この日最大の発見。大卒ルーキーながらチームのリズムを生み出す存在として一番目立っていた。

九州選抜には1度のみの選出ながら、めちゃんこ上手かった。これが他のスカウトにバレなくてよかった~!西山強化部長サンキュー!

長短の配給が正確で、パススピードも申し分なし。特にゴロパスはしっかり転がして味方がトラップしやすい優しさもあるし、左右両利き。ピルロみたいなプレイヤー。早速FKも任されていたし、とんだバケモンが入ったな、と。フィジカルもそこそこ強そうで、ある程度完成されたプレイヤーっぽく見えた。

トップチームの選手との違いは剥がせるかどうかかな、という印象。ボールを受ける、渡すをフリーな状態で正確にプレーできるのはとても貴重だが、相手がプレスに来たときにフリックやワンツーで剥がすとうプレーはそこまで見られなかった。前を向くための引き出しが増えれば、ボランチのスタメン争いはより激化するだろう。

 

19.星雄次
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今年は高山薫が開幕スタメンを勝ち取り、ベンチに。この試合では大外で高畑と被る場面が多くあったが、後半からは整理された。

ボールを持つとカットインからワロスで昨年最終盤は詰まった印象だったが、CBに高畑のようなクロッサーが居ればそこまで悪目立ちはしなかった。

90分を越えてもさすがの走力で、劇的な逆転弾を呼び込んだ。ほっしゃんのカットインからハーフスペース攻略は左サイドの肝になるはず。こっからこっから。

 

45.オナイウ阿道
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昨年山口でブレイクするも、開幕スタメンは奪えずに1.5軍的な位置付けに。

この日は攻撃時に2シャドウの一角としてプレーしたが、ポジショニングと状況判断が甘く、停滞する原因に。守備でも前から制限をかけるのか引いて守るのかがハッキリせずに浮いていた印象。激戦区のシャドウではちょっとフィットしてない印象だった。

ただいま絶賛大注目の藤本憲明も、最初はトリニータの戦術にフィットできずに夏場までスタメン奪取はできなかった。周りの理解もあって生きるポジションなため、もう少し我慢して使うのかな、と。バレないまま浦和から借りパクもしたいけど、多分うちにそんな余裕はないため、結果を残して評価をあげてほしい。やってやれ!

 

11.馬場賢治(71'Out)
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一番ギラギラしてる最年長。この日も対面するU-23枠の瀬古歩夢にバチバチ当たりにいき、喰ってやろう!くらいの気概を感じた。

そして相変わらず状況判断が良く、オナイウが戸惑ってるのを感じてプレーエリアをやや下げたり、ポジションチェンジ後はサイドとの関係性を築き、手本としてチームがやりたい事を見せていたと感じた。リーグ戦でも熱いプレーで魅せてほしい。

 

18.伊佐耕平
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今年は藤本が1トップとして不動になりつつある中で、オナイウも加入。正念場の一年になりそうだが、やはり片野坂監督の求めていることはJ3の時からやっているだけに、新加入選手にはまだまだ負けていない。この日は前から制限をかけるのか引いて守るのかを身ぶり手振りでオナイウにレッスン。

逆転弾の場面ではロングボールを繋げるために下がって相手に一瞬、だれが伊佐につくのか?と迷いを生じさせたと思う。そこから逆転弾に繋がったし、できることはやれた。

あとは得点が取れれば、欲を言えば年間7点は計算できる選手になればもっと上へ行けるはず。バモス!伊佐!

 

29.岩田智輝(66'~)
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この日はCBでなくWBで途中出場。そういえば去年のはじめは松本怜岸田翔平に次ぐ右WBの3番手だっただけに、刀根亮輔の怪我から右CBのスタメンになるところをみると持ってるなぁ、と。この日は最初のプレーでチャンスが来たが決めきれず。雰囲気だけのクロスの精度があがればこのポジションでもやっていけるはず。

 

9.後藤優介(71'~)
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やっぱり俺らのゴレアドール。嗅覚ある。

スピードとスペースへの動き出しが上手く、J2では2年連続で2ケタ得点。J3で自信をつけてJ2で伸びた印象。そんな選手がたとえカップ戦であってもJ1の舞台で躍動する姿はやっぱり来るものがある。しゅき。J1でも初ゴールを早くしてできれば3年連続2ケタ得点を目指してほしい。楽しみにしてる。

 

32.前田凌佑(75'~)
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松本戦では全体をコンパクトにする役割を遂行できなかった前田。この日の途中出場は、「危機感を持ってやらんとすぐにスタメンはなくなるぞ!」という意味合いがあったはず。それはどの選手でもそうだけど。

ビハインドで迎えた残り15分からのミッションは重心を前にするためにリスク管理をすることと、DFラインからボールを引き出してコンパクトな陣形を保つことだった。直接的な得点の要因は相手のビルドアップでのミスとGKからのロングボールだったが、どちらもコンパクトにしていたからこそ前からプレスに行けたし、伊佐がロングボールの落下点に入ることができた。たぶん。スタメン組の意地を見た気がする。上出来。

 

内側に向けた矢印を

勝敗にあまりシビアにならなくてよい、と言っては失礼だが、試合の強度が落ちる試合でサブ組が「トリニータのコンセプト」をどれだけできるかの確認の場になった。

GKを使ったビルドアップができないときにサポートをどうするか?パスの各駅停車でWBに入った時にどう動くか?シャドウがボールサイドに寄った時にバイタルエリアを誰が埋めるのか?など問題点を炙り出すための試合だった。それはただ単に選手が戦術に合わせられていないというヒューマンエラーという訳ではなく、今のやってるトリニータのサッカーの構造的な問題にもなっているため、チーム全体の底上げとしてとても有意義な90分だったと思う。そんな課題も見つかりつつ勝利で終えられたのは幸運だ。

次は、この内側に向けた矢印をリーグ戦や選手たちにどう還元していくか。こういった面にも注目していきたい。

 

選手の写真は大分トリニータ公式HPより

 

 

 

【大分】vs松本(H) 裏目に出た工夫〈J1 第2節〉

開幕戦で鹿島に勝って勢いに乗りたかったトリニータ。しかし、この日のトリニータは全くといって良いほど良さを出せずに、反町監督の罠にまんまとかかってしまった。

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
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開幕戦と全く同じ11人を起用。唯一の変化はベンチに今年ユースから昇格した高畑奎汰がメンバー入りを果たした。

前回のJ1での戦い(2013年)では年間2勝、ホーム勝ち無しという不名誉な記録を持つ大分は、ホームでの10年ぶりの勝利が欲しいところ。そして大分銀行ドームから昭和電工ドームへと名称が変わり、2014~2016年までの激動の3年間を共に戦ったダニエルに勝利を捧げたかった。

 

松本山雅FC
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こちらも開幕戦からの変更はなし。最終ラインにエドゥアルド、服部康平と高さ強さが魅力の選手を補強し、パウリーニョも怪我から復帰。J1仕様のフィジカルへとアップデートした印象になった。そしてベンチには大分県出身の安東輝が入った。

 

松本のビルドアップ対策

昨年も対戦経験のある両チーム。2試合で4-1、1-0で共に大分が勝利。松本にとっては嫌な印象があったのだろう。反町監督は、大分の特色であるビルドアップの制限をエリア毎に設定をしていた。

ビルドアップは基本的に自陣から中盤までどうやってボールを運ぶか、相手をどう動かしたいかが重要なことだと考える。ただボールを持っていても効果的な攻撃に繋がらなければ意味がない。大分のビルドアップの特色はGKの高木を含めた形とボランチを1枚下ろした形の2つを主に行う。そしてどちらがDFラインに加わるかによって、そのときのビルドアップが自陣寄りなのか中盤寄りなのかの基準になっているように思われる。

松本はまず、大分の自陣寄りでのビルドアップには、1トップ2シャドウの3人が対面するDFを見る5-2-3で蓋をする。

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自陣深くで1on1を3つ作られると、大分はGKの高木をDFラインに上げて数的優位を用いて、プレスから逃れるようにする。しかし、松本はボールホルダーに対して1stプレスをかけて横パスを誘導。1stプレスをかけた選手はカバーシャドウをかけて選択肢をひとつ消す。大分のGK+DF2人に松本の3トップがハマる形になれば、前田大然の脚力を生かして猛烈にプレスをかける。

 

次に中盤が落ちて行うビルドアップの対応だ。

この日の大分は、開幕の鹿島戦と同じく前田凌佑を下げてティティパンをアンカーにしたビルドアップをメインに行っていた。それに対して松本は、セルジーニョを中盤に下げた5-3-2をベースに、パウリーニョが中央に構えて藤田息吹が前田凌佑を監視。

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藤田がマンマーク気味に前田凌佑を見ることで前を向かせないことを第一に、藤田が剥がされた際にDFラインが剥き出しにならないようにセルジーニョを下げてリスク管理も同時に行っていた。

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大分は小塚和季を中盤に下げて伊藤涼太郎を前線に上げて中盤のスペース、特に前線と中盤を繋ぐセルジーニョの背後を狙い、タスクオーバーに持ち込みたかったが、パスコースがなかったため、小塚が中盤中央で効果的に受ける場面は少なかった。

 

狙いは「蹴らせる」事

サイドを有効に使いつつ、中央からのパスワークでの突破を狙う大分に対して、ビルドアップに蓋をしてまずは内側のケアをしてきた松本。上記の大分のGKを含めたビルドと、ボランチが下がったビルドのそれぞれに対して松本はそれぞれにアクションを起こしていたが、その狙いは「蹴らせる」事だった。

大分はビルドアップで相手を食いつかせて、意図的に相手の中盤-DFラインに間延びを起こさせたり、DFラインの裏を狙うが、その際には長いクサビやロングボールを放り込む事になる。松本の3バックはフィジカルに長けた選手が並び、空中戦で持ち味が出るタイプ。一方の大分は、藤本、小塚、伊藤とポストプレーが得意かというとそんなでもない。大分の細かい繋ぎを封じてしまえば、焦れてロングボールを放り込むから、松本はこのロングボールを絶対に回収することでボールの取りどころをハッキリと決めていた。

 

見えた綻びを突けず

5-2-3と5-3-2を併用も、松本に全く綻びがなかったかと言われるとそうでもなかった。大分が中盤より前までボールを運ぶと、松本は永井龍をトップにした5-4-1に可変。

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5+4のブロックを作り、リトリートをして構える形になるが、中盤中央のダブルボランチの前でフリーに近い形でボールを回し、どちらかが食いつくと途端にDFラインと中盤にエアポケットができる。バイタルエリアでスペースができると、大分のシャドウがよい状態でボールを受けられると共に、DFラインが剥き出しになるため大きなチャンスになる。

実際、15分の場面でもバイタルのケアやスペースを埋める意識はめちゃくちゃ敏感、というよりは人数は揃っているから大丈夫、というように見えた。

大分はビルドアップを焦れずに続けて、ボールを持ち上がって相手が5-4-1のリトリートをするまで持ち上がる機会が増えれば、持ち味を生かして突破を試みる機会が増えると感じたが、まだチームは未熟でやり続ける意識よりどう工夫するかに重点を置いてしまい、本来の"らしさ"すら見失ってしまった。

 

大分の迷走

大分は相手のDFラインと中盤の間で1トップ2シャドウが受ける中央突破と、両WBを高くしてサイド突破から逆サイドへのプレーが強み。しかしこの日は、2シャドウの所でボールが上手く収まらずに、ズルズルとポジションを下げてしまうことで次第に攻撃の手が少なくなってしまった。

開幕の鹿島戦では2シャドウの片方が中盤に顔を出すと、もう片方はCFに近い位置取りをして強制的にバイタルエリアにスペースを作る事をすることで多くのチャンスを作ったが、2シャドウが共に中盤に下がったことにより2つの大きな問題が発生してしまった。

 

問題①:サイドの間延び

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大分のシャドウが共に下がると、擬似的な4-1-2-3のような形になる。これはマッチアップをずらしてマークを外すために昨年も行っていたが、福森-高山と岩田-松本の位置が間延びをしてしまう。この状態でボールを奪われると、WBの帰陣に時間がかかるため、前田が中央で構える事になり、中央でミスマッチが起こりやすくなる。

 

問題②:壁が2つ

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このマッチアップを見てもわかるように、シャドウが下がりすぎると、相手ボランチの前に居る形になり対応がされやすい。もし、伊藤や小塚が上手く対面するボランチを剥がせたとしても、松本の3バックがカバーリングに回るだけなので、シャドウは常に2人を相手にプレーをする形に。守りやすく崩しづらいので、大分からすると切羽詰まった状態に。

2枚を剥がす労力は広いピッチなので相当なもの。それゆえシャドウは工夫をしてなんとか状況を打開しようとするが、それがまた状況を悪くしてしまった。

 

更なる悪手

中央突破ができずに、「ボールを大切にしながら攻める!」というミッションをこなそうとした2シャドウ。次の1手は「開く」事だった。

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松本はブロックを作る際には5-4-1でリトリートをする。この並びをずらして中央に穴を作りたかったと見えた。

シャドウが中盤で開くと、大分はサイドで数的優位に立ち、深い位置で構える相手WBを引っ張り出そうとした。もし松本がこれを嫌がってシャドウにマンマーク気味にボランチを付けてしまえば中央で藤本とボールと逆のシャドウが内側に絞ってバイタルエリアを攻略しようとした。が、これも失敗。

松本のボランチは中央を空けない事を共通意識として持っていたため、中央にスペースはできないばかりか高山、松本怜は大外レーンの上下動には長けるがカットインの選択はそんなにしないし、チームの決まり事としてカットインは敵陣深くまで押し込んでからの選択肢としての意識が強いために、サイドでWBとシャドウが被ってボールは運べないわ、奪われたら誰が誰に付くかがハッキリしないわでより混乱をしてしまった。

32分の場面は象徴的で、松本怜セルジーニョを監視して、大外から来る高橋諒がフリーになってしまい簡単にクロスが上げられるような問題を抱えていた。

 

状況の整理と相手のストロングポイントを消す

この日の片野坂監督は、全くの無策!では全くなく、相手2シャドウの良さを消しにかかっていた。

浮いたポジショニングを取るセルジーニョの動きを逆手に取って、小塚・松本怜・岩田の動きを変えて松本の左サイドの攻略を試みた。

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前田を最終ラインに下げて疑似4バックを作り、右にスライド。小塚が下がってセルジーニョに姿を見せてカバーリングの意識を持たせてピン止めをする。次に岩田を高い位置から内側に走らせて左WBの高橋を内側に引き付けて5-4-1の「5」の隅をつつく。最後に、岩田が高橋を引き付けてできたスペースに松本怜が走り込んで3バック左のエドゥアルドをサイドに引っ張り出そうとした。

 

逆サイドのシャドウの快速海坊主前田大然の対策は、前田が5-4-1ブロックのサイドを担当することから、ボールをしっかり持って松本の5-3-2ブロックの「3」の脇をしっかり使って5-4-1へと押し込む事でゴールから遠いところに追い込むというシンプルなものだった。

 

前半途中でこの2つの確認を行っていたようだが、前線にいい形でボールが入る場面はほとんどないまま、前半が終了した。

 

片野坂監督の調整

ハーフタイムに大分は、攻撃時のポジショニングをもう一度整理。前半と同じくWBを高くした4-1-2-3を採用したが細かい所を修正をして建て直しを図る。

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問題になっていたサイドの間延びについてはラインを高くして福森、岩田を高山、松本怜に近づける事で対応。

シャドウは鹿島戦とは違い、どちらかが藤本と並んで2トップ気味に見せることはせずに、中盤的な役割を求めてセカンドボールの回収を意識しつつ、サイドに流れない事を目標に。

 

アクシデントと想定外

大分はポジションを整理してさあ!これから!という場面で大分は失点をしてしまう。

カウンターからシュートブロック。こぼれ球を左サイドの高橋がフリー受けると、インスイングのクロス。鈴木が頭でクリアを試みるが、それが枠に当たり、跳ね返りを永井龍に押し込まれた。

おそらく、大分が想定した松本のカウンターで一番やられたくない形での失点だったはず。まずは中央からの早いカウンターで大分はシュートコースを消しながら、DFが5枚セットして押し込まれた際の強度を高くしたい。5枚揃えるということは両WBが構える事になり、ミドルサードでプレッシャーがかからない。また、被カウンターの場面で大分のシャドウが的確な守備位置に付けない。

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WB-シャドウ間にスペースができて、中盤の大外で相手WBがフリーになってしまうのだ。

 

次に、しっかりとディレイをした大分に焦れた前田大然が強引にミドルシュートを放ったが、運悪くフリーの高橋にこぼれてしまう。ミドルシュートを打った前田含め、前線の3人が勢いそのままに突っ込んできていてパスの出し手の高橋にはチェックにいけない。大分からすると非常に守りづらい形で一番嫌なインスイングで大分DFとGKの間にクロスが放り込まれた。インスイングのクロスは守備者からすると触らなければファーサイドに転がってしまい、相手に先に触られてしまうと反射神経で勝負!になるため分が悪い。鈴木はなんとか頭でクリアをしてCKでもいいから一旦守備を整えようとしたが、運悪く枠に当たってしまった。高木も反応をしたが、ボールに触れられずにこぼれ球がボックス内でスクランブルに。失点してもしなくても最悪な形で、いち早く反応したのが永井。松本からしたらしてやったりの得点であった。

 

悪かったのは失点の形だけではない。後半開始から5分での失点は、これから修正をして先制点を!という気持ちで入ってすぐの出来事。これからまだ40分も時間があるなかでどう立ち振る舞うか、どうゲームを組み立てるかがボヤけてしまった。積極的にアクションを仕掛ける大分が、この失点により受け身に回ってしまった瞬間だったのかなぁ、と。

 

混乱に乗じて

失点により大分が動揺したとみると、反町監督はさらにダメ押しの策に出る。

前田を1列上げてセルジーニョをサイドに。服部もサイドに流れて4-4-2へと変更。

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大分に対して松本は、ビルドアップの制限を積極的に行う5-2-3をキッパリ止めて1stDFのラインをハーフラインまで下げた。これにより前線の選手の体力を温存しつつも前田大然をトップに置くことによりカウンターの威力は落とさない策に。

また、細心の注意を払っていた大分のビルドアップに対しても、ただラインを下げて引きこもるわけでなく、藤田息吹を前田凌佑にマンマーク気味につかせてミスマッチを作らないようにしていた。

 

大分は前田→丸谷拓也、伊藤→オナイウ阿道とカードを切り打開を試みる。

2トップにして前線のポイントを増やして丸谷をアンカーにして小塚とティティパンを横並びに置いた。

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前線の形を変えてバイタルエリアを攻略しようとする大分だったが、松本ボランチパウリーニョが良いフィルター役になっていたため、大分は松本の最終ラインと勝負ができない状態になっていた。

上手くいかない大分だったが、61分のオナイウ投入から20分後の81分にようやくチャンスを作る。オナイウが中央からサイドに流れて、松本怜がインナーラップ。ボックス内で受け、藤本に合わせるも枠に飛ばず。

 

最後に見えた光明

中央で崩せずサイドからもなかなか崩せない大分。切羽詰まりに詰まったゲームとなったが、最終盤に光明が見えた。

84分に福森を下げて投入をされたのは、ルーキーで初のベンチ入りを果たした高畑奎汰。3バックの左である福森を下げて、サイドな選手との触れ込みであった高畑の投入は驚きであったが、決してこの試合を捨てて若手に経験を積ませるというネガティブな意味合いの投入ではなく、戦力として状況を変えるために投入されていた。

昨年の第2節山形戦(だったと記憶している)で3-4-2-1で押し込めなかった際に、福森を下げて、WBの星雄次を左CBとして投入したことがあった。この時と同じように、サイドに厚みを持たせてリトリートした松本にパワープレーで押し込む意味合いでの高畑の投入。

5レーンの左の大外を高山がカバーをして、高畑をハーフスペース(HS)で縦突破をさせる狙いがあった。高畑がHSで低い位置からボールを運べると、相手のシャドウを押し込めるだけでなく、相手WBを釣りだすことにも繋がるため、大分は敵陣深くでサイドの角を取れるようになった。

高畑は守備ではマーカーを見るべきかスペースの管理をするべきかの判断が曖昧で非常に不安定だったが、高山と小塚、丸谷がしっかりとサポートをして守備に穴を空けなかった。そして大分ボールになると、積極的にボールに絡み前線に顔を出していった。

最終盤にはその高畑のクロスからオナイウのヘディングで得点か!?という場面も作ったが、無念のタイムアップ。昇格組どうしの戦いは松本に軍配が上がった。

 

「松本戦動き悪っ!」の真意を探る

執筆にだいぶ時間が掛かってしまったため、この記事を書くまでに数試合が過ぎてしまったが、松本戦の4日後に行われたルヴァン杯vsC大阪戦後のイサスタグラムにて、撮影者の伊佐耕平が前田凌佑に対して「松本戦動き悪っ!」と言っていたのはちょっと印象的な出来事であった。普段は選手の素の姿が人気を博すイサスタグラムだが、それまでは前節について遡ってのイジりはなかった様に記憶している。そんな中での前田に対してのこのドキツいイジりはなんだったのか?それは多分、この松本戦での「ベンチがやってほしかった工夫」と関係しているのではないか?と邪推をしてみた。

松本戦で大分が切羽詰まってしまったのは「シャドウがバイタルエリアで気持ちよくプレーができない事」に起因していたと思う。それが負の連鎖を引き起こしてやられた。ならば、その対策はなんだったのか?どうすればもっと上手くやれていたのか?はたくさんの原因があると思われるが、ボランチのプレーはシャドウの動きに大きく関係していると考える。

シャドウがプレーエリアを下げて押し上げられない問題を手っ取り早く解決するのはボランチや最終ラインが勇気をもってボールを持ち運び、最終ラインを押し上げてしまえばよい。そうすれば相手ボランチはボールのチェックに行かなければならなくなるし、シャドウはバイタルでプレーがしやすくなる。

実際、この日の最後の交代カードは高畑と縦への意識を強める采配であった。しかし、「この日の」前田は最終ラインに下がってのビルドアップの関与はしていたが、持ち上がりは少なく、パスが主な仕事になっていた。「フリーな選手は持ち上がる」。これができないといつまでたってもボールを効果的に前に運べないし、相手のラインを押し下げることもできない。そういった意味で、前田とティティパンにはもっとフリーな場面では持ち上がる事を試合後に要求されていたのではないか。というのがなんとなーく感じられた。

 

松本の印象

いけ好かないメガネにまんまとしてやられた。本当に本当に悔しい。やっぱり前田大然は相変わらず速いしカバーシャドウ上手いしで守りにくいし攻めにくかった。パウリーニョに中央でボールは回収されまくるしストレスしかなかった。

今年の松本は、ただ単に補強をしてJ1でも5-4-1でソリボールや!というのは全くなく、守備ではセルジーニョを中盤に下げた5-3-2を織り混ぜたりとボールの位置に合わせて前から奪う意識をより持つようになった。これにより確実にJ1仕様に変わってきている印象だ。当面の問題はこの戦術の刷新にどれだけの選手がアジャストできるか。主にセルジーニョの動きを他の選手ができるか、前田のカバーシャドウのように1人で2人分守れるような守備ができる選手の代役探しにはこれからも大きな悩み所になるだろう。それでも相手の長所を徹底的に潰して力こそパワー!なゲームができれば残留が見えてくるはずだ。

とりあえずニヤニヤしてたメガネを皮脂でベタベタにしてやりたい。とても悔しい。

 

まだ、そして、もう2試合。

開幕から2試合目で早速、去年の夏場に見たようなストレスの溜まるボールは回せるがゴールに近づけないサッカーをしてしまったのは残念であったが、まだチームを作っている段階。これからチームで競争がしっかり行われて戦術理解が深まれば、多分きっとひょっとしたら上位も目指せるかもしれない。一方で、開幕2試合目で残留争いをするであろう昨年J2の1位2位の対戦を落としたのは痛恨の極みであるのも確か。次を見据えるのも大切だが、ここで叩けなかった事が、後々大きく響く……なんてことがないようにしていってもらいたい。

一寸先は闇。それは勝負事の常である。そのもっと先にあるであろう光をしっかりと掴むためには、目の前の90分を全身全霊で戦うのみだ。

 

【ハイライト】2019明治安田生命J1リーグ第2節 大分トリニータ vs 松本山雅FC - YouTube

【大分】vs鹿島(A) 片野坂サッカーVer.4.0〈J1 第1節〉

物語はハッピーエンドがいい。それは誰しも思うこと。しかし、サッカーで、スポーツで、人生で、全てが上手く行く事なんてそうそうない。Jリーグでそれを一番知ってるのは多分、トリニータだ。だからこそ、このJ1という晴れ舞台での久しぶりの勝利は格別だった。

 

ひさびさのJ1。順位予想は軒並み最下位か降格が占め、開幕はACL王者の鹿島。そして対戦成績では7連敗中と、さすがに開幕は引き分けられれば上々のスタートかなぁ、なんて思ったが、トリニータは継続してきたやり方で見事に鹿島を圧倒してみせた。

 

この日のメンバーは以下のように。

鹿島アントラーズ
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J1……ビッグネームが多く、町田でめっちゃアシストしてた平戸太貴もベンチ!?層が厚いなぁ、これが1部の上位か……といった面子。

それでも鈴木優磨や伊東幸敏、小田逸稀、中村充孝白崎凌兵が離脱と、昨年から怪我人が多い印象。

開幕前にACLプレーオフに出場。そこから先発は2枚変更をして町田浩樹から犬飼智也土居聖真から遠藤康になった。大分からするとプレースキッカーの遠藤と高さの犬飼が来るからセットプレーが怖いなぁ、と。そしてプレーオフって聞くと胃がキリキリする……

 

大分トリニータ
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大分は開幕がもちろん今年初の公式戦。

昨年からGK、3バックはそのままに開幕からティティパン!?それも丸谷拓也外すかぁ~!と。左右は予想通りの馬力のある2人。シャドウは新加入の伊藤涼太郎と小塚和季。伊藤も結構ビックリした。1トップは藤本憲明

「J2オールスター」と呼ばれた補強により層が厚くなり、庄司朋乃也、オナイウ阿道馬場賢治でもベンチスタート。伊佐耕平や小林成豪、三平和司はベンチにも入れなかった。

 

 

慣れるまで、慣れてから

開始から10分の大分は、これまで続けていたGKを含めたビルドアップはそのままに、「受け身にならないこと」に重点を置いていた。

そのため、ボールへの寄せの速さ、強度を重視。攻守の切り替え、特に奪われてすぐ(ネガティブトランジッション)でのボール狩りを行ってメンタル面で呑まれない事に重きを置く。しかし、相手はJ1の鹿島。競技レベルも上がれば判断や技術も高く、大分のサイドで鹿島がボール奪取をするとティティパン、前田凌佑のダブルボランチがボール狩りを行い、バイタルエリアがガラ空きになる場面も散見された。

また、ビルドアップでもGK→CB→ボランチorWBと各駅停車が多く、鹿島の網を張ったボランチやWBの位置で前が向けない、剥がせないという窮屈さも感じ取れた。

しかし、1つのプレーで大分は自信を持ってプレーができるようになった。この日最初のビッグチャンス、11分の高木駿のロングフィードから藤本が裏抜け→GKと1対1を作った場面だ。この後、何度か見られる藤本のDFに競らせて背後を狙うパターンは、昨年にも多く見られた形。対峙する相手DFは藤本が競る事を前提に身体を預けるが、藤本は一歩下がったり、身体を先に入れたりして相手を往なして広大なスペースを使う。

去年にも似たような形が。こりゃやらしいわ……

 

鹿島の狙い、誤算

この日の鹿島の守備の狙いは明確で、大分のビルドアップに制限をかけて横圧縮。ショートカウンターで仕留めたい、というものだったと思われる。

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まずはビルドアップの起点となる3バックに2トップの伊藤翔セルジーニョで制限をかけて前のパスコースを消す。そしてセルジーニョの逆サイドを遠藤康(この図では大分の右サイド、鈴木・岩田・高木でボールを回していることを想定)がフタをして3バックに3枚ぶつける。これにより、大分は最終ラインから無理にボランチにつけても対面する鹿島のボランチが質的に上回り、サイドに浮き球を配球してもタッチラインを割ったり、横にスライドをして対応ができるため、大分のビルドアップを封鎖できると考えたのだろう。

ここまでの鹿島の想定は、1stDFが上手い伊藤翔を起点にマンマーク気味に。選手の質で上回ることができるので優位性が保たれる。逆サイドに展開されても危険度は低く、横スライドで対応をすればOKといったものだ。

しかし鹿島はこの質的優位を過信していたのが大きなアダとなる。それは高木駿という個の上手さだった。

この日の高木は本当にスーパーで、自身が常にフリーマンであることを生かした配球が冴え渡っていた。鹿島は3バックに3枚をぶつけたが、大分はビルドアップの出口を2つ準備。1つはボランチの片方が落ちて数的優位を作ること。鹿島のボランチがこれに釣られて前に出ようものなら大分の2シャドウに背後を取られるため迂闊に寄せられない。しかし、これもよくあるビルドアップの形なので鹿島もそんな単純な誘いにはもちろん乗らない。が、鹿島にとって一番厄介だったのがもう1つの形、GKの高木駿のビルドアップの参加だ。

3バックに3枚がそれぞれ監視をする鹿島だが、さすがにGKにまでマンマークはつけられない。なぜなら、それをしてしまうとフルコートの1on1になってしまい、走力!体力!気持ち!が重要になってしまうため、質的優位を保てない。どうしても横スライドだけでは選手を追えず視線を切られてしまう。高木にプレスに行きたいが、全体で意識の共有をしないといけず、細かいDFラインの調整も必要になるため、高木は絶対的なフリーマンになる。そして大分は、高木にフリーマンとしての明確な役割が与えられていた。

高木の役割は「1つ外の選択をする」事だ。GKから1つ外のWB、1つ前のボランチ。そして鈴木と横並びになり1つ外の岩田……といったように、ボールの逃げ道を作る役割だ。この日の高木がスーパーだったのは、ワンタッチでボールを逃がす事ができたこと。DFからバックパスをもらって、鹿島の前線が詰めてくる。それでもどこにフリーな選手が居るかを正確に見極めて少ないタッチで配球をする。それにより鹿島の網を崩してしまったのだ。

絶対的なフリーマンが正確に配球をする。これにより、鹿島は前線での質的優位はあるが常に1人多く見ないといけなくなるばかりか、1つ外のパスをされるために、目線も切らないといけなくなった。

 

誤算続きの鹿島、慣れた大分の次の策

「高木駿が捕まえられない」

これにより鹿島は前線からのプレスからミドルサード敵陣寄りに1stDFの位置を下げる。それにより大分のDFラインは解放され、低い位置でのビルドアップでは高木が左CBとしてプレーすることができた。

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15分まではアグレッシブさで相手に息をさせない守備を心掛けた大分は、ビルドアップが高い位置でできるようになることで、次の手を打つ。

この試合、解説の岩政大樹さんが話していた「伊藤涼太郎のポジショニングが低い」と指摘していた所がミソだったように思われる。ビルドアップの位置取りができた大分は、ボールの位置によってミスマッチを生かすだけでなく、ポジションを動かして中央での数的優位を確保していた。

 

最終ライン~ミドルサード自陣寄り

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高木が1列上がり前線で数的優位に立つ事を目標にする。前田とティティパンは高木の動きに合わせて関係を縦横で使い分けていた。

 

ミドルサード敵陣寄り~

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カウンター対策のため高木は下がり、鈴木義宜と福森直也の間に前田orティティパンが入って守備の強度を確保しつつ、中盤には伊藤が落ちて、左右のWBを高くする。小塚は2列目でボールの繋ぎ役としてバイタルエリアで浮いたポジショニングをする。

このときに、鹿島は4-4-2なのでミスマッチは起きないが、大分のポジションチェンジについていけず、アタフタしていた印象。

鹿島DFからしたらCBが見るはずの伊藤涼太郎が自分のテリトリーから外れてわざわざ鹿島ボランチの網にかかっているように、鹿島のボランチは自分たちのコース切りによって大分のボランチをDFラインまで下げさせた、と錯覚をしてしまう。が、鹿島のSHは福森、岩田にプレスをかけられず、「自分は今、福森(岩田)を見るべきか、下がってSBのケアをするべきか」の判断を迫られ、いつの間にかサイドで数的不利に陥る、という具合に。鹿島の永木亮太は異変を感じてややサイドに寄っての守備をしたが、そうすると中央でレオ・シルバ伊藤涼太郎とティティパン(or前田)の2枚を見なければならなくなり、鹿島はチームとしてどう守備をするのか、整理が全くできていなかった。

大分はビルドアップの確保からミスマッチをスタートとするポジション移動により鹿島の守備を混乱させることができた。

 

アタッキングサード

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アタッキングサードに入ってからは、伊藤は再び前線にアタック。サイドは高く、左右のCBのどちらかが攻撃にも関わる。

守備の混乱を起こしている鹿島は、時間差で上がる伊藤涼太郎を誰が見るかが明確でなく、DFラインがガタガタになっていた。大体の場面でアタッキングサードに侵入した後でもボランチが伊藤にチェックに行けていたのでそこまでの問題にはならなかったが、これにより大分は鹿島のボランチの片方のピン止めに成功。ボール奪取の上手い厄介なレオ・シルバを大分のダブルボランチが監視することにより、被カウンターの準備もできた。

被カウンターの準備は以下のような形で行われていたように思われる。

 

伊藤涼太郎が永木をピン止め

②中盤でレオ・シルバに奪取されると大分ボランチがアタック

③そこで刈り取れなくても近いポジションの選手(ボランチの片方、WB、CB)が再びボール回収を目指す

(④)逆サイドのWBは急いでカバーリングに入る

 

後ろから作り前まで運ぶ。前で奪われても即時回収を目標にできたことにより、守備の強度を保つ事ができ、結果として先制点も奪う事ができた。

 

18分の先制点の形は、鹿島のプレスを受けない位置から福森が前線へパス。一度はチョン・スンヒョンに弾かれるが、こぼれ球を前田→伊藤→小塚と繋ぎ藤本が逆足ながら冷静に決めて……というもの。チョン・スンヒョンが弾いたあとの永木のポジショニングが外に寄っており、前田はフリーに。伊藤も1列前で浮いたポジションに居る。伊藤にボールが入った時点でチョン・スンヒョンは藤本と伊藤を見なければならなかったため、ラインが上がることを信じてボールにチャレンジも、少ないタッチ数で藤本がエアポケットに侵入。鹿島の右SBの安西幸輝が慌てて寄せるも藤本は冷静にフィニッシュ。準備したものが上手くハマり、持ち前のパスワークを生かしてのフィニッシュ。完璧な先制点だった。

 

藤本はこれでJFLJ3、J2、J1で開幕ゴール。念願のやべっちF.C.にも解説するっちで出演もできた。J1ってすごい。藤本はもっとすごい!

 

先制後の大分、鹿島のアクション

先制後の大分はボール喪失後の即時回収からラインを下げて守備では5-4-1を敷いた。この5-4-1は、今までのような5+4ブロックの構えての守備、というよりはボールホルダーには強く行き、空いたスペースをスライドで埋める様な形であった。これにより構えたままでの5+4ブロックではフリーにさせてしまう相手のSBにも強く行く事ができた。

一方の鹿島は、スタートからSHに逆足になる選手を配置。右サイドに左利きの遠藤康、左サイドに右利きの安部裕葵を起用して、そこにボールが入ると逆サイドの選手が絞って3バックに3枚をぶつける。

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この場合では左サイドの安部にボールが入った場面を想定。サイドに逆足の選手を配置することによって対面する大分のWBを抜かずともカットインからニアサイドのFWに足下に出す、インスイングのクロスで飛び込ませる、自らカットインをして大分のWBを内側にずらして大外からSBを上げる、といったように様々な選択肢を持てる。実際、カウンターから高山薫が千切られてあわや失点!な場面もあった。そして5+4ブロックでは、WBが抜かれてしまうとCBがサイドに引っ張り出され、ファーサイドでミスマッチが起こりやすくなる。そういった狙いが鹿島にあった。

これにより大分の先制後は落ち着かせるつもりが押し込まれる流れになってしまった。

これに対して大分もリアクション。

ボールと逆サイドのシャドウを内側に寄せて3センターに近い形に。鹿島の前3枚の前に大分の中盤が3人でコースを消すことで、ニアサイドへのクサビを封じた。

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また、明確な3センターにはせず、シャドウの選手は少し遅れても良い、という判断にしたことにより、攻撃に転じた際に重心が重くなり、鹿島のプレッシャーに圧されることを事前に防いだ。

その後、鹿島も35分ほどからSHをスイッチさせてSBとのタテの関係で崩しにかかるも、最後のところで大分が踏ん張り、前半を大分が1点リードで折り返す。

 

生かされた高さ

後半に入り、変化を見ていきたいな……と思っていた矢先に試合は振り出しに戻る。48分にハーフライン近くからのFK。ゾーンで守る大分だったが、永木が山なりのボールをファーサイドへ。大外から犬飼智也が頭で落とすと、伊藤翔がしっかりと詰めて同点に。鹿島は「高さ」という絶対的な優位性を生かした。

 

後半からの変更点

鹿島は後半から、カウンターで幅を使うことを意識。ボールに対して強く来る大分の中盤の背後を取って位置を確保したかったのだろう。しかし、みえたのはそれだけ。サイドに振っても、中の動きが整理されているわけではなかったこともあり、あくまでも個々の裁量に任せる、といったスタンスか。

 

一方の大分は、藤本の裏抜けが思いの外ハマったため、GKを含めた最終ラインから1発を狙いつつ、じっくりとボールを回して鹿島の陣形を崩す、というゲームプラン自体の変更はなし。前半との違いは、中盤と前線の繋ぎ役としてプレーをした伊藤涼太郎の役割を、小塚和季にも求めた。大分は前半からWBを高くして押し込む事はできたが、WBがビルドアップに関わると中盤で鹿島の選手たちに奪われる場面が見られた。そこで、WBにボールが入った際には、同サイドのシャドウが近づいてパスコースを作り、逆サイドのシャドウはFWとしてプレー。2トップ気味にしたことで鹿島のCBをピン止めしつつ、サイドで数的優位を作ることを求めていたようだ。

 

先手先手で主導権を奪う

ボールの位置によって入れ替わり立ち替わり選手が目まぐるしく動いていた大分。選手交代でも先手を打って勝ち点3を奪いに行く。

62分に伊藤涼太郎を下げてオナイウ阿道を投入。オナイウは藤本と2トップを組んで3-1-4-2へとシステムを変更した。

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2トップにしたことにより、相手のCBと1対1が2つできることになったが、相手のSBがフリーになりやすくもなった。そのため、守備ではチーム全体が下がってプレー。5-3-2でブロックを作った。

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高さに優位性のある鹿島に対して、引いて守るという選択は危ないのでは?とも感じたが、鹿島のSBからシンプルに前線へ放り込む事はそれほどなく、SH-SBが連携をして大分のサイドの深い位置を狙う事を第一目標にしていたようだ。SBがフリーになった鹿島は、引いた大分を押し込んでいく。大分にとってもオナイウ投入からの5分間はセカンドボールを回収されてボールを持てない我慢の時間が続いた。

押し込む鹿島は、SBが高い位置でプレーをすると、SHはハーフスペースに絞り、FWは下がってのポストプレーで大分のDFラインを崩しにかかる。鹿島が優勢に見えたが、それこそが大きな狙いであった。

鹿島のSBが高い位置を取るということは、必然的にDFラインも高くなる。鹿島の2CBは共に高さはあるが速さはそこまでない。そして、広大なスペースを生かしたロングカウンターができる藤本、オナイウが2トップ。どちらかが対面するDFを抜いてしまえば広いスペースで2対1を作れる。そして大分の最終ラインがビルドアップを阻害されても高木のロングフィード1本で状況をひっくり返せる、と踏んだ。

69分にこの狙いは得点という最高の結果で実を結ぶ。高くなった鹿島の最終ラインを引っ張り出すために高木が1タッチでサイドにボールを入れる。オナイウはチョン・スンヒョンを背負うと、ボールはチョン・スンヒョンの頭上を越えてオナイウは一気に裏へ。目測を誤り背後を取られたチョン・スンヒョンのカバーに犬飼が入り、なんとかディレイを試みるが、オナイウはアウトサイドでGKとDFの間にスルーパス。あとは裏抜け大好き藤本がワンタッチで冷静に決めて再びリードを奪う。

 

これまた似たような形が去年にもあった。

ハイライトでは映っていないが、GKの高木からロングフィード1本で抜け出して2対1を作ってゴール。必殺の疑似カウンター!

 

試合の閉め方

失点直後に鹿島は安部裕葵から土居聖真を投入。大分もその2分後にティティパンから丸谷拓也を入れた。

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大分は丸谷をアンカーに据えてGK+3バック+3センターでビルドアップを行い、WBを高くして前線で幅を取りつつ鹿島SBのピン止めを、守備では5+3ブロックで中を閉めて、オナイウを遊軍としてプレーさせた。中を閉められた鹿島は外→外と前進はできてもゴールまでは迫れなかった。

苦しくなった鹿島は、76分に遠藤康→山口一真、89分に永木亮太レアンドロと相次いで攻撃的なカードを切ってパワープレーに。

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5分というなっがーいアディッショナルタイムを大分はなんとか凌ぎつつ、90+3分に警告を受けていた前田凌佑から馬場賢治を投入。あくまでも最後までアグレッシブさを要求した。

そして、試合終了。大分は2006年以来の鹿島からの勝利。そして県立カシマスタジアムで通算2回目の勝ち点3を手に入れた。

 

鹿島の印象

決してノープランではなかったが、横圧縮が効かなかった時の次の策が「幅を使う」のみだったのは苦しかった。しかし、選手の個の能力の高さ、判断の正確さはやはりJ1クラスで、非常に厄介。悉く最終ラインをぶち抜かれ、決定的な場面がたくさんあったが、クォン・スンテが最後の砦となり守備の崩壊を防いだ。FWからしたら最後まで動かないGKってとてもやりづらい……。永木亮太も上手くプレスがハマらない中で全体のバランスを見ながらなんとか中盤で奪いきろうと頑張っていた印象。レアンドロがあと10分早く出てきていたらサイドをゴリゴリと抉られて劣勢になっていたかもと思う。ゾッとする。

 

片野坂サッカーVer.4.0

4年目となった片野坂サッカー。この試合は昨年のサッカーをベースにしつつ、ボールの位置を基準にした細かな決まり事を設定。選手交代でフォーメーションを変えるなど、どの采配をとっても意味があり、90分を通して「主導権を握る」「常に能動的に、先手を打つ」事を徹底。そのチャレンジが久しぶりのJ1、それもアウェイの鹿島戦で、開幕から魅せてくれた事。そして、J3から共に駆け上がってきた選手たちがJ1の舞台で堂々とプレーをし、勝ちきった事がとても痛快であった。

 

3-4-2-1をベースに、昨年の夏ごろの躓きから導入された3-1-4-2(3-3-2-2)も織り混ぜて戦術的な幅を広げつつ、構えての守備からアグレッシブな守備へと形を変えた事は、開幕からの大きなサプライズであった。

この日の大活躍でメディアにも大きく取り上げられた藤本憲明。そんな彼でも、次節もスタメンである保証は全くない。片野坂監督は狙いによって選手起用も大きく変わるからだ。「次は何をやってくれるのか」という楽しみに、今年は「J1でどこまでやれるのか」という新たな、そして大きな期待感がある片野坂サッカー。その変化をこれからも追っていきたい。

 

【大分】 新たなる舞台の先に見るものは〈2019年 シーズンプレビュー〉

6年ぶりとなるJ1に挑戦するトリニータ。久しぶりのJ1、今からとても楽しみです。

 

J3からJ1へ。V字回復の裏にはたくさんの過ちと迷走があった。怪我人が続出し地獄の14連敗。痺れを切らしてちゃんとまとまってたのかを問いただした2009年。その年の末には債務超過によりチームはバラバラに。そこから「おい!ファンボ!」な1年を挟んで田坂さんたちと共にPOを勝ち抜いて、資金面は募金によりなんとか工面。しかし戦力は充分とは言えず、翌13年はホーム未勝利&ダントツ最下位でJ2に戻り、柳田の大迷走によりJ3まで落ちた。

J3では苦しい闘いになったが、なんとか掴んだJ2復帰。片野坂監督と駆け抜けた3年もとても印象に残るが、本当に本当に激動の10年だった。

10年ぶりに「勝負ができる」状態でJ1に挑めるのは実に感慨深い。

 

そんな今年、片野坂体制4年目は大きなチャレンジの1年になる。開幕からどうなるかの予想を含めながら、今季の展望を見ていこう。

 

2019年 ポジション一覧(仮)

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とりあえずシーズン開幕前のポジション争いは多分こんな感じに。昨年ベースだとやっぱり前線の選択肢が多いなぁ、と感じる。

現状でのポジション別に細かく見ていこう。

 

GK

1stチョイスは昨期と同じく高木駿。やっぱり足元の上手さは頭ひとつ抜けてる印象。

サブにはムン・キョンゴンと小島亨介がほぼ同列。触れ込みの少なさからポープ・ウィリアムはちょっと落ちる印象。今季はルヴァン杯もあるので、そこでのGKの起用にも注目したい。

 

DF

昨年の主な並びは右から岩田・鈴木・福森。

右CBは岩田智輝の他に高さの岡野洵、怪我で離脱中の刀根亮輔に中盤が本職の丸谷拓也が昨年は起用された。

真ん中は不動の鈴木義宜だが、昨年、金沢でプレーをした庄司朋乃也も加入。一昨年の様に真ん中に竹内彬(現讃岐)、右に鈴木を起用したように、庄司を3バックの真ん中で起用しつつ鈴木との併用も考えられる。また、こちらも中盤が本職だが島川俊郎もできるらしい。

左CBは福森直也か。新加入の三竿雄斗は左利きということもあるが、怪我が多く実戦から離れている事もあり序列は下がるとみられる。三竿が復調しないまま福森も怪我などで離脱をしてしまい右利きのCBがこのポジションを務めると、ファーストタッチで前を向けないためかビルドアップの際にJ2でもわりとロストをしていたため結構重要なポジションだと思われる。

 

MF

RWB

右のWBは昨年と同じく松本怜が主力となる予想。高山薫は昨年、逆サイドでプレー。岩田は昨年序盤に途中出場で少しと天皇杯でRWBでプレーしたが、後に右CBでハマったため松本と同じポジションで争う選手はちょっと居ないような。

 

ボランチ(DH)

ダブルボランチの右を守備的(ビルドアップに主に関与)、左を攻撃的(シャドウとの関係性重視)とざっくり分けると、昨年と同様に右に丸谷拓也、左に前田凌佑がメインになる、かなぁ……

ボランチの筆頭、というか中盤の軸は丸谷。昨年、ビルドアップの受け方、ターンや配給、ポジショニングと五臓六腑の働きをした彼は不動に近いだろう。同ポジションと同じ役割を担うことを期待されているであろう選手は島川と坂井大将。頑張って丸谷を脅かす存在になってほしい。

ボランチは昨年主力だったからという理由で前田を選んだが、ここは激戦区の予感。

ほぼ両利きに近いとウワサの長谷川雄志にアジアカップから合流したティティパンもいる。が、二人とも新加入で実際のプレーを見てないからなんとも。丸谷と競合かも。

本職以外では小塚和季と小手川宏基ボランチ、できるでぇ~と言うことで書いたが、小塚は昨年、シャドウがメインポジションだったこととフィジカル的に不安があるような気がしている。小手川は昨年の甲府戦(トラウマ)でハイプレスに晒されてリズムが出せなかった事からちょっと不安。二人とも3-4-2-1なら2列目、3-3-2-2なら3センターの左右どちらかがメインポジションになるタイプだと思っているためダブルボランチの一角での起用は難しいと見ている。

 

LWB

左サイドで昨期主力だった星雄次だったが、昨年チーム3番目にシュート打ってた割りに決まらず、カットインができなくなると一気にプレーの幅が狭くなっていたため、J1でプレーをしていた高山薫が主力になるのかなぁ、と。そしてユース上がりの高畑奎太。ここ数年、ユースから昇格も半年で武者修行に出されるケースが多い。頑張って食らいついてほしい。

左右のWBでちらほらと伊藤涼太郎、小林成豪の予想が見られる。が、個人としては両選手共にサイドハーフの印象はあるが、より走力が必要なWBのタイプとは違うと考える。スクランブルでのWB起用はあるかもしれないが、片野坂監督はあまりコンバートをしたがらないタイプなのでよっぽど適正がある!とならないと実践で使わないかなぁ、と。ルヴァン杯天皇杯を実験場として使うかもしれない。そこでトリニータがどんな目的を持ってカップ戦に挑むのか、という1つの指標になるだろう。

 

FW

大激戦区の1トップ2シャドウ。昨年はゴールを決めていても、調子がいかに良くても相手を見ながら組み合わせを変更していたため、今季も様々な組み合わせを試しながら、柔軟に対応をしていくはずだ。昨年はこの柔軟な起用によって4選手もが2桁得点を記録。今季も攻撃的なサッカーを目指すため、FW陣の奮起はめっちゃ大切になると思っている。

 

ST(シャドウ)

シャドウもボランチと同様に左右で役割が微妙に異なる。右STは中盤との関係性、右サイドとの連携を重視し、左STは1トップに近い前プレを重視。多分昨期はこんな役割だったと記憶している。

右STは昨年やってたから!という理由で大分の元気印である三平和司を持ってきたが、小塚、小手川もプレーしていたし、中盤色の濃い選手をとりあえず競合とした。

左STはこれまた昨年、結構試合に出てたから!という理由で馬場賢治を一番上に。後藤優介も伊藤、小林もみーんな昨年2桁を記録ってどんな恐ろしいポジション争いかよ……と思う。誰がJ1で通用するのかが本当に楽しみ。みんな通用すると嬉しい。

そして左のSTには伊佐耕平も加えた。本職はCFだが、昨年終盤、途中出場でSTとして起用されるとサイドから馬力のあるドリブルで運んだり、飛び込んだりと意外にハマっていた。そして何より収まる。他の選手とは違ったプレーでSTの幅を広げた伊佐はここをメインで起用されるかもしれない。

 

CF

1トップの主軸は伊佐。最前線で収めるプレーは効いていたが、昨年の天王山であるアウェイ町田戦の様に1対1を結構外していた印象。やっぱりFWは点取ってナンボだし、藤本憲明が主軸になるのでは、と予想。そして新加入のオナイウ阿道がどのタイミングでフィットするか。レンタルから復帰した吉平翼は正念場。J1でもルヴァン杯でもいいから得点を取って泥臭さに結果をつける1年にしてほしい。

 

 

様々な組み合わせが試されるであろう1トップ2シャドウ。今のところの印象を、ポジションを縦軸に、攻守(中盤寄りかFW寄りか)を横軸にして表を作るとこんな感じに。

イメージよイメージ。
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新加入選手は曖昧な印象だが、この中で被りにくい3人を使ったり、似たような3人を使ったり、もしくは2トップだったり。起用の仕方によって片野坂監督が考えている試合の意図が見えてくるかもしれない。

 

 

開幕スタメン予想

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わからん!けど当たってたらすごい!(当たらないけど)

願望込み込みでこんなのかなぁ~って妄想を書いていく。あくまで予想。あくまで願望。

 

GK、3バック、ダブルボランチはビルドアップを重視して昨年と同様の並びに。高さを意識して岩田→庄司はあるかも。RWBも不動の松本。逆のLWBには馬力のある高山を使うと予想。

さて、問題は1トップ2シャドウ。鹿島DFは高くてヘディング強いイメージ。となるとオナイウや伊佐をぶつけていきたいが、彼らの所で収まらないと地獄になりそうなので、バリエーションを増やすために1トップは背後を取れる藤本を、シャドウには相手DFより前でポイントを作るために伊佐を起用すると予想。そして右シャドウには小塚。彼を先発予想したのは守備面で昨年と違う形を作るかもしれないと考えたからだ。

 

今季の序盤戦で一番注目したいのは守備。ここまで前3人の組み合わせについて結構書いてきたが、守れなければもちろん勝てない。今となってはほぼ死語になっている「カメナチオ」とまではならずとも、ある程度の強度は残留には必須である。

昨年は5-4-1のブロックを作っていたが、リトリートの際にバイタルの処理どうするか問題、ベタ引きWBが千切られたときどうするか問題が発生。人はいるけど思ったより脆かった。夏場からは5-3-2に変更をしたりしたが、ベースは5-4-1のまま。

今季も昨年同様に5-4-1にするのか、欧州リーグの3バックの様に5-3-1-1で守るのかは非常に気になる。開幕ではひょっとしたらシャドウの一角を中盤的な選手を起用して、守備時に3センターの様に守るのかもしれない。

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そうなると、小塚って結構なキーマンになりうる存在になると考える。3センターの一角だと馬場や小手川もできるが、なんかやってくれそう感が強く、一番適正ポジションっぽい小塚を予想。シンプルにプレーを見たい選手でもあるし。

 

…………と、今季の開幕前のポジション一覧の考察?と開幕スタメンを予想を書いてみましたが、やっぱりJ1、華やかだなぁ~。色んな媒体で大きく取り上げられたりして受かれちゃいます。しかし、まだ、なにもトリニータは成し遂げていない。これから先を拓く一年にしてほしい。

 

今季はまず残留を第一の目標に。そしてシーズンを終えた後にたくさんの選手が飛躍した、実りの多い一年だったと言えるようにするために、まずはスタートダッシュを!

信じてるぞ!絶対勝ってくれよー!!

 

【大分】2018年シーズンレビュー 掴んだもの、足りなかったもの〈選手編④〉

シーズンレビュー、選手編の④です!

FW登録の選手!

 

第1弾(GK編)はこちら

第2弾(DF編)はこちら

第3弾(MF編)はこちら

 


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※詳細ポジションはフットボールラボJリーグ公式を基準(先発出場時のポジション)に、得点はJリーグ公式、アシストはゴールの2つ前のパスまでとしてます。大体の数ですので悪しからず……

 

 

FW

9.後藤優介

Pos:OH,CF,RH

10G7A

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昨年は42試合中41試合に出場し、2度のハットトリックを含む17ゴールと飛躍。「大分のエース」となった後藤だっただけに、今年は物足りないシーズンとなった。

開幕スタメンを勝ち取り、2ゴール。第25節愛媛戦までで19試合に先発も、そこからはベンチスタートしかなかった。得点も第25節までで8ゴールと順調だったが、ベンチスタートが増えた後半戦は第28節岡山戦の2ゴールのみ。

後半戦からは好調な選手が増えたことによりFWの選択肢が増えたことや怪我も影響をしたが、守備面での課題があった。前半戦では3-4-2-1をベースに守備では5-4-1に可変。シャドウの守備での役割はリトリートをしてサイドに開く事が求められた。しかし、後藤がベンチスタートになった第26節岐阜戦からは3-3-2-2へと基本のポジションが変わり、守備のやり方も「まずはサイド」ありきではなく、全体を見ながら5-3-1-1で中を固めたり、全員が自陣に戻り5-3-2で守り、ロングカウンターを狙う形も増えるなかで、コースの限定やポジショニングが課題になったのだろう。

シーズンを通しては10ゴールと2ケタ得点を記録。技術の高いコントロールショットアクロバティックなゴールがあっただけに、物足りないシーズンになってしまった。守備の改善ができれば、来年も得点数を重ねることができるだろう。

 

10.藤本憲明

Pos:CF

12G7A

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J3で2年連続で得点王に輝いた藤本は開幕から1ゴール1アシストと確実に結果を残すも、第4節東京V戦を最後にベンチとメンバー外が続く。第19節松本戦で久々に先発に復帰すると早速ゴール。そこからは伊佐、三平、馬場などと熾烈なFWスタメン争いを繰り広げた。

シーズンで12ゴール、7アシストとカテゴリーを1つ上げたがしっかりと2ケタ得点。すごい。

チームとしても彼のプレーを理解できたことが大きかった。開幕からの数試合ではCFの役割は相手を背負ってのポストプレーがメイン。シャドウを助ける動きを求められていた。しかし、第17節松本戦からはポストプレーよりも裏抜けやスペースに飛び込むタイプのFWとして松本からのロングスルーパスなど、相手の背後を突くパスが増えた事により、藤本の長所が出やすくなった。

藤本の凄さは引き出しの多さと抜け目のなさ。ポストプレーは得意ではないが、いつも最終ラインとGKのスペースを見ており、そこにボールを引き出すためのポジショニングは秀逸の一言。第32節熊本戦でのゴールでは攻守の切り替え→ボールを呼ぶ→裏抜け→GK交わしつつ身体入れてボールを隠す→体勢を崩しつつもゴールとたくさんの要素が含まれた得点をしたり、第34節山口戦では後ろ向きのボールむっちゃトラップするもん!そんなんできる?できひんやん普通!な半端ないゴールをしたり、第22節甲府戦では百発百中の落ち着いたPKをやったりとたくさんの引き出し持ってる。これがストライカーなんだなぁ~!と日々感心するばかり。来期はJ1の舞台。JFLから駆け上がってきたストライカーがどこまで通用するかとても楽しみ。

 

 

11.林容平

Pos:CF

2G1A

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2014年に途中加入ながら7得点と最多得点を上げインパクトを残して惜しまれつつFC東京に復帰。昨年に完全移籍で加入し、開幕スタメンを勝ち取るが怪我に泣いた。復活を期する今季は第5節水戸戦でスタメンを獲得すると1ゴール1アシストと活躍。特に得点は微妙に浮き球でGKからも近かったが、脚を振らずに当ててニア上に決める。器用。そこからはCFとして出場も、第15節山口戦での先発を最後にベンチ外がほとんどに。前線からのバタバタプレスと伊佐スタグラムでやったコチュジャンマンが印象に残ったが、ハイレベルなFW争いに敗れる形となった。

馬場との熱い会話を交わしたり、第7節千葉戦では得点後になんか「ッシャオラー!」みたいなアクションと結構ギラギラしてた。この冬にJFAの自由交渉リストには掲載されてはいなかったが、トライアウトに参加していたことから多分退団になりそう。頑張れる選手でCFができる選手だから勿体ない気はするが、選手は出場してナンボでもあると思う。頑張って!

 

18.伊佐耕平

Pos:CF

4G9A

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大分の広報兼FW。今季は4得点と2ケタ得点カルテットが居た分数字面でのインパクトには欠けたが、後期からの戦術では大きな役割を担っていた。前期(第25節愛媛戦)までは途中出場が大半で、後藤、林、三平、そして伊佐の4人で回していた印象。しかし後期(第26節岐阜戦)から2トップの一角、そして3-4-2-1のトップとして機能した。伊佐が後期で重宝されたのは前線からのハードワークに加え、自陣に引いてからカウンターの際に馬力があること、攻め残りで攻撃の起点になり時間を作る役割が果たせたから。明確にポストプレーができるタイプが居なかったというチーム事情でフィジカル面が強い伊佐がその役割を果たした、という事だろう。どちらかと言えば適正はシャドウなのだろうが、その機動力を生かして左右に流れてボールを収める事ができるというのはチームにとってはビルドアップの逃げ所としての役割も果たしていたため、大きな意味があったと考える。試合の流れの中、交代で藤本をトップ、伊佐がシャドウをする場面も見られたがボールキープで時間を作り全体を押し上げたり逆サイドからのボールに飛び込んだりと迫力あるプレーは1トップでなくても存分に見ることができた。

一方で、決定力は課題。第37節町田戦ではしっかりとデザインされた攻撃でGKと1対1の場面を前半早々に2度も作ったが、得点ならず。ゴール前での落ち着きが必要だろう。

ピッチ外でも活躍した伊佐。伊佐スタグラムでは勝ち試合の後のバス内の選手やスタッフの様子、練習後の悪ガキたち(藤本、岩田、岡野)を連れて喫茶モンテに行ったりと選手の素の顔も伊佐から知ることができた。クラブ広報とは違う形で選手やチームのことを知るコンテンツとしてとても楽しかった。来年も楽しみにしてる。

ピッチ外の個人の出来事では肉食獣だった伊佐が、野菜も多く摂取。野菜たっぷりの豚汁を作るなど好き嫌いも克服した模様。

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伊佐スタのストーリーをよくTwitterでスクショしたものが流れているけど、それってどうなんだろ?と思ったり。24時間で消えるからこそ書いてくれる側面も大いにあると個人的に思うから、サポーターがそれを無闇に広めて伊佐本人が思ってない形で広まる事は怖いな、考えものだな、と要らん心配はある。が、伊佐の伝え方が上手く、賢いから気苦労で済む気もするからなんとも言えない。クラブ、選手とサポーターが共に楽しめるコンテンツとして大きな役割を果たしている「伊佐スタ」とサポーターの関わりはちょっと考えるべきなんかもなぁ~って思ったり。

 

27.三平和司

Pos:OH,CF

10G6A

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大分のムードメーカー。お調子者っぽいイメージがあるかも知れないが、根は真面目。DAZNのプレビューインタビューで「全部勝ーつ!!!」的な発言を元気に言って躓いたのは良い思い出。多分気にしてたんだろうなぁ~なんて思ってる。

今季は30試合に出場。第2節から約1ヶ月ほど離脱をしたが、そこからは主力として定着。意外にもフル出場はなく、55~75分程で退くのがほとんどであった。京都で大木監督(現岐阜監督)と出会い技術力が向上し、器用な選手になった三平は3-1-4-2と3-4-2-1のトップとシャドウを行き来して、臨機応変なシステム変更を可能とした。技術力の高さがうかがえるのは第26節岐阜戦だ。丸谷のミドルシュートをワントラップでDFとGKの間に置いてシュート。あの強さのボールはコントロールから難しいのでめちゃくちゃ上手かった。シーズン後半につれてコンディションが上がっており、天王山の第39節松本戦では切り替えの早さ、スペースを見つけてのシュートをしたり、第41節金沢戦では得点こそならなかったが左サイドをヌルヌル抜けてシュートと足下の上手さが光った。

今季末に契約を更新。前回の昇格時は京都に移籍をしたためはじめてのJ1挑戦となる。三平と共にJ1行けるのが嬉しい。来年、まずはデジっちからトリニータを魅せてほしいな……!

 

48.川西翔太

Pos:CH

2G2A

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取れそうで取れない独特のドリブルで異彩を放つボランチ。山形時代にFWからコンバートされて中盤の選手となったが、常にボールを自分の真下に置いて左右どちらにも動けるようにしており、対峙する選手にとっては非常に間合いの詰めにくい選手だったはずだ。

昨年は鈴木惇(現福岡)と共にダブルボランチの一角として主力だったが、今季は先発4試合、途中出場が19試合と出場機会が激減。夏場からはベンチ外になる機会も多くなったいた。それでもシーズン最終盤の第41節金沢戦では約2ヶ月ぶりに出場をして価千金の決勝ゴール。川西らしさがよく出たヌルヌルドリブルからの巻いたシュート。本当にエロかった。

ドリブルで運べること、決定的なチャンスになるスルーパスなど得点の匂いがする選手だっただけに、川西がベンチ外で負けると決まって川西待望論が出ていた印象。しかし、「まずは守備から」と考える片野坂監督からしてみると、運べる川西よりも球際で戦える前田、というチョイスだったと思う。チームの調子に関係なく懐の深いドリブルで相手を剥がせる川西は、チームの重心が低い時には持ち上げる起点になるが、チームの調子が良い時は球離れの悪さが目立ち、持ちすぎるという風にみえた。

ボールを触ってリズムを作るタイプ。それ故に彼が中心から外れると非常に難しい立ち位置になってしまうのだろう。チームとしては残ってほしいがあくまでもオプションのひとつ、となりそうな事を考えると来年は大分に居ない気もする。またドスケベなドリブルで抜いていく姿をみたいが……

 

レンタル組
吉平翼

→秋田(loan)

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(※写真は2017年のもの)

今季はJ3の秋田へ武者修行中のFW。プロ入り3年でJ2で8試合、J3で13試合2ゴールと伸び悩んだ中での移籍となったが、今季は17試合出場で得点なし。数字の面での結果は残せなかった。

しかし、前半戦は途中出場しか無かったが、シーズン途中に監督交代や、夏場での1ヶ月間の中断期間で3-4-2-1から4-1-2-3へと大幅な戦術変更を経験。ラスト4試合ではトップ下としてフル出場を果たした。選手としての幅を広げること、途中出場が多かったがシーズンの過半数に出場と成長できたのではないだろうか。

来期の更新はまだ発表されていない。ルヴァン杯などを見越しての復帰をしてほしいなぁ……

 

 

総評

ST(シャドウ)

ゲームによって馬場、後藤、三平、國分、清本、(小手川)と様々なタイプが居たポジション。小手川以外は主戦場をこのポジション。馬場、後藤、三平が2ケタ得点を記録した事により清本と國分はなかなかスタメン出場は叶わなかった。

非常に高いレベルで行われたポジション争い。夏場からは2トップとの併用により守り方をはじめとするポジショニングが変わる中で、トップと中盤の繋ぎ役としての役割が強くなる。その上で2ケタ得点を記録した馬場と三平の評価は高いものだった。

チームの中で一番充実しているこのポジションがどこまでJ1で通用するかにより明暗は大きく別れるだろう。来期もコンスタントに得点を重ねていく事を期待する。

 

CF

ゲームの狙いによって裏抜けの藤本、フィジカルの伊佐と使い分ける事ができたが、いかんせんこの2人に林の3人では心許ない。一応、三平や馬場、後藤もできるがポストプレーができるタイプが伊佐以外居ない所は大いに気になる所。Jリーグ全体としてもポストプレイヤーが居なくなっている印象なのでもう1人居れば違ってくるかもなぁ~とか高松が若返ってくれれば……なんて思うが、ポストプレイヤーを生かせないのもJリーグの課題な気もする。片野坂監督なら上手いことやりくりしてくれるだろうが……

来年、このポジションにどんな役割を求めていくかも注目していきたい。

 

写真はトリニータ公式HPより

 

 

今年中にもう1つ頑張って記事書きたい「気持ちは」あることを記してとりあえず選手のまとめを終わります。

【大分】2018年シーズンレビュー 掴んだもの、足りなかったもの〈選手編③〉

シーズンレビュー、選手編の③です!

MF登録の選手!

 

第1弾(GK編)はこちら

第2弾(DF編)はこちら

 


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※詳細ポジションはフットボールラボJリーグ公式を基準(先発出場時のポジション)に、得点はJリーグ公式、アシストはゴールの2つ前のパスまでとしてます。大体の数ですので悪しからず……

 

 

MF

7.松本怜

Pos:RWB,LWB,RH,RB

4G11A

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カッコいい……

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可愛い……

……完璧じゃん!

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昨季はチーム事情により逆サイドをする機会が多かったが、今季でLWBになったのは第12節大宮戦のみ。得意の右サイドでプレーできたこと、健康面に気をつけたと語っていたように怪我もコンディション不良もなく全試合に先発出場。途中交代も2試合と欠かせない存在になった。

これまでは足は速いがクソクロスに年イチゴーラーと言われており、昨季は3ゴールをあげて「大分に雪が降るんじゃ……!?」ってちょっとザワついた記憶だったが、今季は4ゴール。逆サイドで作っている間にファーに飛び込んだり、相手をかわしてシュートができるようになった。これまでの課題であったクロス精度の低さは100のスピードでぶち抜いてその勢いのままクロス!だったためボールにうまくミートせずにアウトスピンがかかってラインを割ったりミートしすぎて誰も居ないファーサイドへのハイクロスだったりしていたが、今季は100でぶち抜いてから減速して丁寧にボールを蹴るようになった印象に。この減速によりクロスの精度という根本的な課題の解決だけでなく、昨季やった逆サイドでのプレーを生かした左足からのミドルシュートやインスイングのクロスという選択肢も相手にちらつかせる事ができた。結果として、相手は用意に飛び込めないし、飛び込んでも初速の速さでぶち抜く事ができ、アシスト数を2ケタに乗せることができた。

また、今季終盤ではそれまでほぼ機能しなかったセットプレーからの形をショートコーナーで松本に預けてクロス、松本がCKを蹴る、松本が逆足の左足でCKを蹴るという3段活用で多少の揺さぶりをかけることもできた。

加入当初は田坂さんの魔改造という名のコンバートを受け、FW登録なのにWBに回されてキック精度が低く、これはちょっと……なんて思ったりしたが、2年目はレンタル延長、3年目からは完全移籍、そしてJ3降格でも男気残留をした爽やかイケメンのJ1昇格決定後の涙にはグッと来るものがあった。

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(泣いても男前なの、ホントズルいわー!)

今となっては在籍年数は後藤に次ぐ2番目に。大分トリニータの顔となる存在になった。大分と共に育ち、大分のために熱く戦ってくれる松本怜。本当に本当にカッコいい。来年はJ1の舞台で快足を見せつけてほしい。

 

8.黄誠秀

Pos:CB,RB

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J3降格時に加入したミスターポリバレント

今季の初出場となった第2節山形戦でスタートではRB、試合途中で右CBを務めたが、ビルドアップの距離感に手こずりフィジカル面でも優位に立てないままチームの「穴」として狙われ続けた。そこからベンチ外が続いたが、第13節新潟戦で右CBに入ると、相手に競り負けない、ビルドアップでも距離感を保って相手を剥がしたりと、見事に順応して見せた。その後、第15節山口戦、第18節愛媛戦でも同ポジションで出場し、刀根とポジションを争う形になったが、福森の復帰、岩田の台頭により第24節栃木戦を最後に出場が無くなってしまった。

加入から3年で出場機会は8,5,6試合と決して序列が高いわけではなく、来期の更新は不透明と言ったところだろうか。しかし、プロキャリアのスタートはFW、その後はボランチやSB、CBと様々なポジションをこなせる貴重な存在。どうなるんだろ……

 

15.清本拓己

Pos:OH

4G2A

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昨季は長期離脱でシーズンのほとんどを棒に振ったが、復帰戦となった昨年最終節熊本戦で残り5分ほどで途中出場をすると、直後にライダーキックのようなジャンピングボレーで得点と華麗なる復活。

再起を期す今季は、ベンチスタートがほとんどだったが、第7節千葉戦、第8節京都戦で途中出場→ゴールと結果を出して信用を得ると、ほとんどの試合でベンチ入りを果たし、スーパーサブとして後半から流れを変える役割を果たした。相手が疲れてからの縦突破やドリブルは脅威の一言。しかし、今季で契約満了となってしまった。

印象では結構得点に絡んでいる印象ではあったが、最後にゴールをしたのは第33節讃岐戦。シーズンを通して4ゴールとあまり数字を残せなかった。また、同ポジションには12Gの馬場、10Gの後藤、三平が居り数字の面で物足りなかったこと、小手川や宮阪とは違い、中盤のプレイヤーではないこと、清本は2列目以外ではSHではプレーできるが、チームはWBを採用しているためポリバレントさに欠ける事。同じような立ち位置で國分がいたが、ユースっ子が相手で年も1つだが若いとなるとやむを得ないのかもしれない。

J3ではアウェイ藤枝戦での強烈なミドルや昨年の熊本戦、今季では第8節京都戦での劇的な決勝点とたくさんの印象に残るゴールをしてくれた清本。来期、どこ行っても応援するよ。

 

17.國分信太郎

Pos:OH

1A

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ユース→大学→トップチーム第1号となった國分。結構弄られキャラっぽい。

今季初出場は第13節新潟戦。それまでベンチ入りもなかったが、いきなりスタメンに大抜擢。そこからはベンチ入りやスタメンをふらふらしながら10試合に出場。特に第20節福岡戦から第24節栃木戦まで5試合連続でのスタメン出場。第22節甲府戦ではプロ初のフル出場を果たすなど、少しずつプレー時間を増やしている。前線からのプレスやスペースを見つけるのが上手く、自らスペースで受けたり第38節千葉戦でのアシストのような光る場面もあった。しかし、今季でのプロ初ゴールはお預け。現在は甲府所属、関西学生サッカーリーグで共にしのぎを削った曽根田穣はゴールという結果が出てから一気にブレイクしたのを見ると、来期点取ってブレイクする國分が見れたらなぁ~と思う。頑張ってほしい。

 

20.小手川宏基

Pos:OH,CH,LH

4G3A

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Mr.フォトジェニック。今年の写真を見てみると、カッコいい写真が多分一番多かった。

これとか!

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これとかも!

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キャプテンマーク見えながらってのが個人的にポイント高いです!

今季序盤戦は相手を見ながら宮阪と入れ替えて使われていた印象だったが、第26節岐阜戦からは主力となった。その岐阜戦ではこれまでの3-4-2-1から3-3-2-2へと変更し、小手川は今季の大きな転換期のキーマンとなる。2トップ2シャドウとなる3-3-2-2で右のシャドウに入ると、サイドの松本とオーバーラップする岩田のカバーリングをしつつ、隙があれば自らも積極的に攻めるという難しい役割を見事にこなして見せた。試合の流れを見てビルドアップに顔を出したりボランチとシャドウを行き来して相手を惑わせたりとサッカー脳の良さを見せてくれた。多分、夏場の失速後にこの3-3-2-2というオプションが機能しなければ、今年の昇格は無かったと思う。

契約を更新し、来期もトリニータでプレーをすることが決まった。来期もよろしく!コテ!

 

24.姫野宥弥 

Pos:CH

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大分の狂犬。163㎝と小柄ながら、豊富な運動量で掻き回す事のできる選手。昨年から取り組むミシャ式をベースにした今のサッカーでは、選手のポジショニングが重要であるため、中盤の底で動き回るタイプの姫野にとっては窮屈かもしれない。

今季は3試合に先発出場をするも、内2試合で前半の内に交代となり、いまいちハマってない印象。豊富な運動量で動き回るのは、裏を返せば適切なポジショニングを取らずとも走力でなんとかする、ということ。ここで適切なポジション取りやボールの配球を身につければ選手としての幅は大きく広がると思う。一方で、今の運動量を生かして町田のようなストーミングを基本戦術としたチームに行って個性を生かすのも手かな、とは思う。が、やっぱりユース育ちだし、うちでプレーをして活躍してほしい。来年は勝負の一年だ。

 

32.前田凌佑

Pos:CH,OH

3A

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大分のモドリッチ。夏場の戦術変更で出場機会を得るとそのまま不動の存在に。丸谷、小手川と組んだ3センターでは互いにバランスを見つつ飛び出したり戻ったりとチームを安定させた。特に印象に残ったのは第31節福岡戦。攻めども攻めどもあと一歩が足りずスコアレスで迎えた後半アディッショナルタイム。大分はバランスを崩して前田、丸谷も高い位置を取ると、そこからカウンターをくらい失点。劇的な敗戦後に涙した前田の姿は、バランスを崩してしまった後悔、ダービーに負けたこと、夏場での連敗と様々な事が溢れてきたのだろう。そこからは中盤のチャレンジ&カバーが徹底されて、終盤戦では丸谷と役割を逆にして、流れのなかでアンカーをこなすなど大きく成長した。f:id:west242447:20181213013400j:image

すーぐ泣く~!

 

福岡戦や昇格決定後に涙するほどアツい男だが、熱くなりすぎてアフター気味に削る場面がちょいちょい見られたのは気になった。しかし、ギラギラした選手が近年では少なくなっているのでカードをもらわない程度にガシガシいってほしい。

そして、神戸からのレンタルから大分へ完全移籍。来年は真の意味でのトリニータの選手になった。いつも熱いプレーで1試合にかける思いがある選手は見ていて気持ちがいいもの。来期もよろしく!

 

33.丸谷拓也

Pos:CH,CB

2G5A

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前回のJ1昇格を知る男が5年ぶりに大分に復帰。今季はコンディション不良の2試合と出場停止1試合以外の39試合に出場。中盤の要となった。

序盤戦はビルドアップに多少あたふたして、プレスを受けると失う場面もあったり、3バックの右で使われて3試合目の第21節徳島戦で今季唯一の退場処分を食らったりしたが、夏場からは安定。DFラインからボールを引き出すためのポジションを取って、相手がプレスに来ても往なして前を向いて剥がす、無理しないで戻してやり直す、DFラインに下がってサイドを高くするなど、ベースとなったミシャ式の重要事項をこなす、まさにチームの軸として機能した。夏場の3センターを採用してから3-4-2-1へと戻した際に、小手川がやっていた松本、岩田のカバーリングをこなして、攻撃力を保ちつつ、シャドウにより攻撃的な選手を入れる事ができる余地を作るなど、器用さとさりげなさも見せた。できる人だ……

来期の契約も早々に更新。来期はJ1の舞台。さりげなく気配りができる丸谷に注目してほしい。

 

35.宮阪政樹

Pos:CH,OH

1G2A

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今季最も前期と後期で評価が別れる選手となったバズこと宮阪。

前期はボランチの配球役として鈴木惇(現福岡)の変わりを完璧にこなす。持ち前のデカケツから繰り出される左足からの正確なロングフィードで左右に大きな展開をもたらす。第6節讃岐戦ではセンターサークル自陣寄りからのFKをズドン。約60㍍の距離からほぼワンステップで決めちゃうケツ筋、すごかった。

しかし、5月末辺りから雲行きは怪しくなっていく。第16節甲府戦から途中交代が増え、第23節大宮戦を最後にベンチ外が続く。2ヶ月後の第34節山口戦でスタメン出場を果たすが、前半で交代となり、その後はシーズン終了まで出場機会がなかった。

なぜ、これほどまでに評価が下がってしまったのか。それは第20節福岡戦で解説に来ていた小林伸二さんの指摘にもあったように、相手のプレスがないにも関わらず、1列下がってプレーをするから。ビルドアップはあくまでもボールを持つためにするのではなくて、良い状態で攻撃をするための準備だ。相手が前から仕掛けてこないなら、こちらからラインを高くして相手を押し込めるのに、ボランチが1列下がってしまうと、DFからのパスに奥行きが出ないばかりか、ボールを失うとバイタルエリアが晒されてしまうためボランチの相方も高い位置を取ることができない。そういった理由から次第に先発を外れることになったが、2回汚名返上をするチャンスはあった。

1回目は第23節大宮戦。この日はWBをサイドからインナーラップさせて、サイドの高い位置にOHの國分が流れて、國分が空けたスペースに飛び込む事が求められた。しかし、チームがボールを持っても攻撃よりも守備側に多く顔を出してしまい、重心を下げてしまった。

2回目は第34節山口戦。3-4-2-1ながらシャドウの1枚に小手川を入れて押し込んだ際には3-3-2-2へと可変ができるように準備をした試合だったが、3センターの左でプレーをする宮阪は相手のマンマーク気味のプレスにあたふたしてしまい、なかなか前を向けない。自らのミスから失点もしてしまい、前半で無念の交代となってしまった。

後期では決められたプレー位置でプレーができなかったこと、相手のプレスに晒されるとボールロストが増えてしまいカウンターの起点にされてしまうという悪い面が出てしまい、出場機会が激減してしまった。

年齢的に中堅の立場になって中盤でプレスを往なせないとなると、大分での契約更新は難しいだろう。プレス耐性がつけば一気に青山敏弘(現広島)のようなプレーができる気がするが……

 

38.馬場賢治

Pos:OH,LH,CF

12G4A

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えっ!?ババケンってMF登録なの!?

今季加入の馬場は開幕スタメンこそ逃すも、第5節水戸戦から先発に。第11節町田戦でプロ入り後初のハットトリック、第33節讃岐戦でプロ入り後初の2ケタ得点を含む12得点で、藤本と並びチーム内得点王になった。33歳にして初のハットトリック、2ケタ得点と大きく飛躍した1年になった。

特筆すべきはゲームの流れを読む力に長けることだ。今季、3トップのシャドウとしてプレー。攻撃時はバイタルエリアに入り味方と近い距離でパス&ムーブをして、守備時には5-4-1のSHとして守備の方向づけとプレッシングをこなす。しかし、攻撃時でWBに蓋をされたとなるとサイドに流れて組み立てに関与したり、間延びしている時にはボランチの前でプレーをしたりと、居てほしい所に居る選手であった。それはゲームの流れがわからないとバランスを崩しかねないし、運動量がないとできない事だったが、見事にこなしてみせた。また、チームの役割として気が利くだけでなく、負けん気の強さで流れを引き寄せる事も。第19節松本戦で藤本の獲得した正当なPKジャッジ以降、ボディコンタクトが増える展開。松本の選手が一人倒れて、ボールは生きているが大分側はプレーを止めるようなジェスチャーをしたが、ボールを持っていた岩上祐三はプレーを切るふりをして持ち上がりチャンスを伺うも、味方の指示でサイドにボールを出してプレー切る。大分ボールのリスタートで再開されると、普通なら暗黙の了解でGKに返すが、馬場はアウトサイドに回転をかけて松本ボールのスローインにした。

たったこれだけの事だが、個人的には凄く印象に残るプレーであった。多分岩上がすぐにプレーを切っていれば馬場もGKにボールを返していただろうが、岩上はプレーを止めようとしなかった。恐らく岩上は、隙あらば得点に繋がるチャンスを伺っていたのだろう。馬場はそのプレーで大分の選手がストレスを感じないように、そして松本の選手に「好きにはさせないぞ」という意図を含んだプレーだった気がする。アルウィンであのプレーをするのは相当なプレッシャーになると思うが、勝負へのこだわりが感じ取れる、痺れるプレーだった。

竹内の移籍後はキャプテンマークをつけるなど、チームを引っ張る存在に。難しい試合後に自身のブログで発信など、気持ちを知る機会も多かった。来年はJ1の舞台でトリニータを引っ張る漢、馬場賢治をみたい。

 

 

レンタル組

坂井大将

→新潟(loan)

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(※写真は2017年のもの)

昨年夏にベルギーのAFCテュビズに期限付き移籍をするも、ビザの関係で出場ができなくなり半年でテュビズと契約を解消し、新潟へ期限付き移籍。新潟では鈴木政一監督の下、開幕スタメンを勝ち取り第10節までで8試合もスタメンに起用されるも、5月からはルヴァン杯天皇杯カップ戦の出場に留まった。大分ではプレー時間が短かったためどんなプレイヤーかはわからないが、U-19などではボランチとして使われていた。が、SBやSHなどでも使われていたためどんな選手かが全く掴めていない。来期、大分に復帰すればルヴァン杯などで見る機会があるとは思うのでそこで見てみたい。

 

江頭一輝

→盛岡(loan)

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(※写真は2016年のもの)

エガちゃん。一昨年にトップ昇格も、プロ入り1年目は天皇杯の出場のみ。昨年は鈴鹿アンリミテッド、今年はJ3の盛岡へそれぞれ期限付き移籍をしていた。

盛岡では20試合に出場。本職のボランチだけでなく、左右のWBもこなすなど選手としての幅を広げた。第29節北九州戦では強烈なミドルシュートでJ初ゴール。スーパーゴールだからみんなみて!

江頭がトップ昇格してからトリニータJ3からJ1へと飛躍した。来年、彼の処遇はどうなるか……

 

野上拓哉

ヴェルスパ大分(loan)

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(※写真は2017年のもの)

昨年トップ昇格も、半年でヴェルスパ大分へレンタル。今季もレンタルを延長した。

ヴェルスパでは左利きのアタッカーとして昨年は13試合2ゴールも、今季は4試合の出場に留まる。今年は夏場以降の出場がないのが気がかり。いかんせん情報量が少な過ぎてなんとも言えない。

 

総評

ポジション別総評をば。

ボランチ

丸谷を軸に小手川、前田が頑張って3センターとダブルボランチの使い分けというオプションを増やすことに成功。一方で宮阪は評価を下げる形になってしまった。今季のボランチに求められたのは、ビルドアップのコースを増やしてプレスを回避すること、相手が寄せてきても無理をしないで戻す、前を向いて剥がす、の判断。ボールを持って主導権を握る上でボランチがいかに時間を作れるか、いかに良い体勢でプレーできるかが大切になったが、試合を重ねるごとにプレス耐性を身につけていった。来期はより高いレベルになるため、踏ん張りどころ。頑張ってほしい。

・WB

右WBでは、一年を通じて松本が安定。岸田、岩田はバックアップとなったが岩田は右CBとして開花。岸田にはより奮起が期待される。

左WBは一大補強となり、シキーニョ、山岸智が放出、新たに那須川、星、山口でポジションを争うと、星が豊富な運動量でスタメンを獲得したが引き出しが多くなく、停滞する場面も見られた。シーズン末に那須川、山口が放出されたことにより、また新たな競争が生まれるだろう。

 

写真はトリニータ公式HPより

 

次回はFW編です!

 

 

【大分】2018年シーズンレビュー 掴んだもの、足りなかったもの〈選手編②〉

シーズンレビュー、選手編の②です!

DF登録の選手!

 

第1弾(GK編)はコチラ


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※詳細ポジションはフットボールラボJリーグ公式を基準(先発出場時のポジション)に、得点はJリーグ公式、アシストはゴールの2つ前のパスまでとしてます。大体の数ですので悪しからず……

 

DF

2.ウイリアン
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今年の夏に加入のブラジル人DF。登録された時に「ウイリアン・エンリケ・アントゥネス」と結構長い名前で話題になる。ネマニャ・ヴチチェヴィッチ(元FC東京)や長谷川アーリアジャスール(名古屋)などと比較されていた記憶。うちの長い選手名だとジュニオールマラニョンくらいしか思い付かなかったので最長の登録名に。結局、Jリーグでの登録はウイリアンに。(みんなウィリアンって結構誤字ってたな……)

190㎝と長身のCBだったが、純粋なCBタイプは鉄人鈴木が居た。おそらく夏にレンタル移籍をした竹内の代わりとして鈴木のバックアップとしての加入だったのだろう。大分加入後1ヶ月ほどで肉離れで離脱。ゲキサカの写真はチェルシーのウィリアンだったりと結局、謎外人枠として終わってしまった。

「謎は謎のままがいい」とは大分の土産物、謎のとり天せんべいのCMで言われたりしてるが、最近は謎の東ティモール国籍の選手たち()やパッとしなかったエヴァンドロ、パウリーニョ、キム・ドンウクなど外国籍選手は軒並み助っ人にはなり得てないケースが多い。ポルトガル語が話せる(はずの)我らの西山強化部長にはもうちょっと頑張ってほしい。

話は逸れてしまったが、ウイリアンは補強というよりは補充の意味合いが強かった。怪我で離脱と練習からも離れる事もあったがメキシコから大分までわざわざ来てくれてありがたかった。今季で契約満了ということだが、また何かの機会に大分に来てほしいなぁ、なんて。アディオス。

 

3.那須川将大

Pos:LWB,LB

1G2A

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今季加入の職人っぽいLWB。シーズン開幕前は同ポジションに星と山口がいたためひょっとして福森とポジションを争うかなー、なんて思ってたが、LWBの2番手に収まった。

第2節山形戦で4-4-2のLBとして出場もその後はベンチ外に。久々にGWの第13節新潟戦で出場すると低い位置からの高精度のクロスを供給して逆サイドの松本にアシストをするもまたしてもメンバー外に。そして8月に入り、久々に来た出番をシュータリングで決めてから4試合連続で出場。しかし8月最後のゲームとなった第30節徳島戦での敗戦を最後に先発はなし。ベンチには居るが出番が回ってきたのは第36節京都戦のみだった。

浅い位置からのピンポイントのクロス、深い所でボールを受けてのグラウンダーのパスなど技術で魅せてくれたが、絶対的な存在にはなることができずに、1年で契約満了となった。J1では厳しいという判断だろうか……

30歳を越えてベテランの域に入ってはいるが、最近では珍しいクロッサー。デカイFWがいるクラブやサイドの選手が不足するチームならまだまだ主力としてやれる。頑張ってほしい。

 

5.鈴木義宜

Pos:CB

1G1A

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今年も元気にフル出場。これで3シーズン連続のフルタイムでの出場となった。フィールドプレイヤーでこれってしゅごい。ほんまの鉄人。真ん中には必ず鈴木が居るだけで安心だし、居ないのが想像できない。大卒1年目の入替戦で退場という苦い経験をしてから年に1枚ペースの警告と怪我をしない丈夫な身体って。マァ~ヤダワァ~!これ、うちの子なんよ!って本当に自慢できる息子(違う)。

これだけ丈夫な身体で試合に継続して出場できるんだからたぶん、厄除けとか家内安全、学業成就くらい願っても良いと思うの。

今季はセットプレーがなかなか上手くいかずに得点もないな~なんて思ってたらホーム最終戦で得点。痺れたなぁ……

今年上がれなかったら即J1に引き抜かれていただろうし、今もオファーは来てるはず。できれば来年も大分のユニでプレーする姿をみたい。

 

6.福森直也

Pos:CB

4A

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鈴木義宜によく似てるといわれるCB。鈴木とは同期、ポジションも隣、数字も1桁となんだかんだで似てるらしい。知らんけど。

今季もCBの左の主力として37試合に出場。第18節愛媛戦から第22節甲府戦まで約1ヶ月出場がなく、その前後でセレッソ大阪大熊清さんが大銀に来ていたらしく関西学院大出身……セレッソジュニアユース……あっ!引き抜き!と謎に脅えたが、その後はまたスタメンに名を連ねてホッとしたおもひで。

現状では3バックの左は福森オンリー。左利きでCBってだけでも希少なのに「ちょっとLBも噛ってました」みたいなタイプはなかなか居ない。攻め上がりのタイミング、ロングフィードのタイミングなど攻撃面で特徴がある福森は替えが居ない。

そんな彼だが、ビルドアップでのショートパスがやや弱かったり、高木にやや弾んだバックパスをしたりと詰めの甘さが目立つ。「福森そんなよくない」おじさんには、そんなことねぇから!と言いたいが、ちょくちょく「気ぃ抜いてたやろ!」ってパス出すのはちょっと怖い。改善できれば一番良いけど可愛いから許す。

 

14.岸田翔平

Pos:RWB,CB

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加入2年目のカバさん(弟)。昨年はLWBがあまりハマらなかったため、RWBの松本が逆サイドに回ったということもあり主力に。今季はそのLWBに星、那須川、山口と補強をしたこともあり、松本とポジションを争うことに。結果はコンディションが絶好調だった松本のサブという役回りになり、4試合の出場に留まった。第22節甲府戦ではじめてCBの右に入り攻撃力を生かすのかな、と思ったが上手くハマらず。その試合を最後にベンチ入りもなかった。立場としては有力なRWBの獲得があれば放出されるかも、といった立ち位置か。ユースっ子だし大切にしたいけど編成次第かなぁ……といった感じだと思われる。頑張ってくれ!!

 

16.岡野洵
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夏に千葉からレンタルで加入した喫茶モンテの主。明るいキャラクターで伊佐や藤本、同い年の岩田らとよくご飯に行ってたCB。先発での出場はなく、クローザーとしての投入が多かった。一番長い時間見れたのは第32節熊本戦。前半で岩田が怪我で退き45分間プレー。積極的な攻撃参加と負けん気の強さを見せたが、それと同時に若さも見られた。被カウンターで相手との1対1、味方DFはまだ戻りきれていない。ここでの判断でベストなのは相手を遅らせる事だが、岡野は結構迷いなく突っ込む場面が多かった。もし交わされてウラを取られたら……もし突っ掛けてカードをもらったら……と考えると冷や汗モノ。それは守備と言うよりはギャンブルに近い、伸るか反るか!みたいな対応だった。まぁ普段慣れ親しんでいた千葉のハイライン・ハイプレスの犠牲者かもしれない。攻撃のセンスや積極性に判断の良さが加わればもっと良い選手になってくれそう。千葉も良いけど大分で成長、しよ?

 

19.星雄次

Pos:LWB,LB

5G6A

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可愛っ!

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今季加入のLWB。伊佐曰く「ぶりっ子おじさん」らしい。可愛いから許す。

開幕の栃木戦から惜しいシュートをしたと思ったら、第5節水戸戦でカットイン→シュートで綺麗なゴールを決めるなど、いつの間にか点決めてる印象。天敵の千葉にホーム、アウェイの両方でゴールしてくれたのもメンタル的に非常にありがたかった。

右利きの左サイドという事で、結構カットインが好きな様子。リーグ戦序盤ではカットインとファーサイドに詰める形で得点の雰囲気がよくあった。しかし、厄介なカットインは次第に対策されてしまう。第37節町田戦ではハーフスペースに人を置かれてカットインに持ち込めずに縦突破からクロスをするも精度の低さを露呈した。足の速さとWBに必要な運動量は文句ないが、中を切られた時の引き出しの少なさ、特にミドルレンジでのプレーの選択肢が少ない(縦ぶち抜きorカットイン)ため浅い位置からクロスを入れたりできるとより厄介な存在になれるのかなー、とは思う。

伊佐スタグラムをみてるとシャイなタイプっぽい。笑って何かをごまかしてそう。まぁ可愛いからなんでも良いんやけど。

 

29.岩田智輝 

Pos:CB

5A

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シーズン開幕当初はRWBの控えとしてたまーに出てくる程度であったが、刀根の長期離脱によってCBの右として第25節愛媛戦から出場すると、持ち前の攻撃力を生かして積極的に前線に顔を出していき、岩田、小手川、松本のコンビは後半戦のキーマンになった。

試合を重ねる毎に攻め上がりのタイミングやクロス、相手を抜くドリブルをしたりと今年一番伸びた選手と言っても過言ではないだろう。また、試合の流れによってシャドウでプレーをしたりと器用な一面も見せてくれた。

今季のアシスト「5」はCBとして立派な数字。ただのロングフィードだけでなく前線にたくさん顔を出せたからこその結果だろう。

ただ、今季13本のシュートを放つも得点はゼロ。惜しいミドルシュートはたくさんあっただけに1つは決めたかった。

来期は東京オリンピックを目指すためにもJ1でしっかりと活躍してもらいたい。オフのニヘーっとした笑顔をゴールでみたいぞ!

 

41.刀根亮輔

Pos:CB

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厳つい見た目のCB。伊佐スタグラムでは「チィーーッス!」の一本槍で突き通す丸坊主オネエ。

今季、久々に大分に復帰すると第4節から右のCBとして先発を掴み取る。第18節からは福森の失踪により左のCBとしてもプレー。対人の強さと厳つい見た目で相手選手を恐喝するのが得意な選手(語弊ありまくり)。結構際どいプレーでもしっかり身体を入れて奪ったり跳ね返してくれるからとても頼りになる選手だ。

しかし、第22節甲府戦後の練習で前十字靭帯の損傷により8ヶ月の離脱と発表された。自分も前十字靭帯の断絶を経験したことがあるが、受傷日よりも手術後の方が痛い。そして膝を捻ると違和感があったりする。前十字を切った後にスピードキュンキュン系のFWが全く別のプレイヤーになるのをみると膝やるとやべぇ、って思う。が、先月には練習場でランニングをしたりと確実にリハビリは進んでいるので復帰が今から楽しみ。

 

50.山口真司
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(※画像は2016年のもの)

J2復帰の際に最終盤でLBのスタメンを勝ち取った山口だったが、今季は星、那須川の壁を破ることはできずにのリーグ戦と天皇杯でフィールドプレイヤーでは唯一ベンチ入りもなかった。

シュッとしたイケメンだけど結構、無精髭を生やしがち。せっかくのイケメンも小汚なく見えるのが残念だった。

本日、神戸と大分から契約満了が発表された。これからどうなるのか……

 

レンタル・途中移籍組

4.竹内彬

カマタマーレ讃岐(loan)

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昨年の主力だったキャプテンの竹内だったが、今季は3バックの真ん中から右に回されると、フル出場は開幕の栃木戦のみ。先発が1試合、途中出場が2試合、合計154分と出場機会が激減。

チームとして最終ラインからよりつなぐ事を大切にしたことにより、空中戦で強い竹内よりもパスを回せる鈴木を真ん中に据えた。右に回った竹内は攻撃面での物足りなさが浮き彫りとなる結果となってしまった。そしてシーズン中盤の8/15に讃岐へと期限付き移籍

移籍の際に異例となる監督と社長からのコメントがついており、あー、多分こりゃ片道切符なんだな、と思った。年齢的にも試合に出られるクラブにいた方が幸せだろうしなぁ……

去年のアウェイ名古屋戦の竹内彬チャントしまくったのは良い思い出。サンキュー。

 

25.佐藤昂洋

ラインメール青森(loan)

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(※写真は2016年のもの)

地元大分出身でスクール→U-12→U15→U18と駆け上がってきた純トリニータ産の選手。駄の原グラウンドでボールを蹴ってたらしく、地元感がすごい。今季は新体制発表時には在籍していたが、1/19にJFLラインメール青森期限付き移籍

プロ入り4年目となったが怪我が多く、試合にあまり絡めなかったが、今年は青森で夏場からスタメンを勝ち取り、11試合に出身。

来期はカテゴリーが上がること、プロ5年目となるため結果を残したい所。動向はわからないためなんとも言えないが、できればトリニータのユニを着ててほしいけど、どこ行っても応援するぞ。

 

16.イム・スンギョム

→(名古屋)→木浦市庁FC(KOR)

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今季、名古屋から期限付きで加入した選手。

天皇杯2回戦の山口戦でフル出場もそれっきり。天皇杯の放送が無かったため、どんな選手かわからないまま7/12に名古屋との契約も切り韓国へと戻っていった。

昨年の出場記録を見る限り、福森のバックアッパー的な立ち位置だったのかも知れない。

唯一の思い出は名古屋公式が夜中にレンタル移籍を発表するお漏らしがあったことくらいかなぁ……

ちょっと前に帰省中のムン・キョンゴンのストーリーに讃岐のソン・ヨンミンと一緒に写ってた。韓国でもがんばれ!

 

 

総評

DF登録の選手、でまとめるとポジションがまとまらないため、とりあえず3バックの総評を。

今季は3バックにはビルドアップの能力が強く求められるだけでなく、左右のCBは攻撃にも積極性を求められた。その結果、SBとCBの中間的な役割が必要となったために、シーズン開幕から右CBの模索、福森の離脱後は両サイドのCBが試される事になった。右CBに刀根がハマるかなぁという時期に長期離脱をしてしまったが、岩田がその穴を上手く埋めてくれた。

一方で、CBにハマらなかった岸田、竹内、イム、ウイリアンは厳しい立場に。手薄な左CB、鈴木の控えとなる真ん中、岩田と張り合える右CBとJ1を戦う上で3バックの実力の向上は至上命題かもしれない。

 

写真はトリニータ公式HPトリニータ公式Twitterより

 

次回はMF編!

強い気持ちで!