Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs大宮(H) 前から行けずに〈J2 第12節〉

GW3連戦の2試合目。大分は昨年J1だった大宮に対しての力試しとなるようなゲームにしたかったはず。「30人全員で戦う」と片野坂監督の言うように、多少のターンオーバーをした大分は前からスイッチを入れることができないまま逆転での敗戦となってしまった。

 

この日のメンバーは以下のように。

大分トリニータ
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前節から3人を入れ替え。これまでスタメンだった星と、前節で負傷交代をした後藤はベンチ外。前節はスタメンだった伊佐もベンチ外となった。変わりに先発出場を果たしたのは今季初の先発となった岸田翔平と清本拓己、そして開幕戦以来の先発で三平和司も名を連ねた。那須川、姫野、藤本がひさびさにベンチ入り。

 

大宮アルディージャ
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前節は10戦負け無しだった東京Vを破り、今季初の連勝。また2試合ともクリーンシートと守備が安定してきた大宮。

これまでスタメン器用が多かったシモビッチがベンチからのスタートとなった。

 

幸先よく先制するも

前半からボールを持たれた大分だったが、カウンターでロングボールを三平が落とすと、清本が抜け出して、ペナルティエリアに入ると強烈なシュート。相手GK笠原昂史が懸命に手を伸ばすも届かず。10分に先制点を奪う。

しかしそこから、大宮の「大分対策」がボディーブローのように効いてくることとなった。

大分がGKから繋いでくると、DF3人+ボランチ2人に対して大宮はFW2枚+中盤4枚で圧力をかけてくる。これは千葉や町田もやってきた事だったが、大宮はまずボランチの宮阪にボールが入らないように、入ったとしても前を向かせないように守備をする。この日の大分は、松本がいつもとは逆サイド、岸田が右サイドに入っていたが、推進力がもの足りずに、サイドからゴリゴリと上がる事ができなかった。

そうしていると、効果的に前線に送ることができずに、大分はボールを「持たされる」時間が多くなる。ボランチからの大きな展開を抑えられ、両WBが前を向けない。ここまで唯一の敗戦だった岡山戦を彷彿とさせる展開に。しかし、先制をしてからじわりじわりと大宮が、苦し紛れに蹴ったボールを回収して大分ゴールに迫ってくる。

大宮は両SBがSHと距離を詰めて、大分のWBを剥がしてCBを釣り出してチャンスを伺う。大分はサイドの深くでボールを奪う事ができていたため、波状攻撃は阻止できたが、徐々に押し込まれる。すると前半41分に右サイドから嶋田慎太郎がペナルティエリアの角から左足で巻いたシュートがファーサイドに吸い込まれて同点に。悪い流れのまま後半へ。

 

前からスイッチを入れられずに

後半も、支配率こそ大分45:55大宮ほどと、ややボールは持たれているがほぼ五分といったスタッツだった。しかし流れは大宮のまま。65分に大前元紀コーナーキックが直接決まり逆転を許す。GKの高木からすると、ニアサイドで相手選手と刀根がブラインドになって見えにくかった事もあり、事故みたいな失点だった。

この試合で気になったのはCFの位置に入った三平の動き。ここまでの11試合で上手くいった試合は、CFが相手DFに対して積極的にプレスに行き、パスコースを限定できていたためためシャドウも連動して守備をすることができた。それにより、前からプレスのスイッチを入れて、ボールを奪えば素早く切り替えて攻撃に転じていた。しかし、この日はまず三平は高い位置でプレスに行かずにハーフラインより下で、スペースを埋めることを優先。結果としてチームの重心が低くなってしまい、ボールを奪ってもシャドウがDFラインに吸収されていたりしてカウンターの鋭さも鈍ってしまった。

逆転をされて大分は71分に馬場→川西、その後の78分に2枚変えをする。宮阪→林と三平→藤本。林は手で2を作り4-4-2へと変更したことを伝える。
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前での起点を増やして、サイドの人数を増やして強度も上げることにより、攻撃に変化をつけたかったが、残り10分+ATでは時間は足りず。1-2で逆転での敗戦となった。

 

整理されていた大宮の"大分対策"

大宮は"広島式"の大分に対して数パターンに分けて対策を講じていたように思われる。

①大分のゴールキックなどの場面

大分は繋ぐサッカーをするため、ゴールキックでロングボールは蹴らずに、近くのDFにボールを預ける。その時の大分はDF3人+ボランチ2人で回すため、大宮は2トップ+中盤4人で圧力をかけて、ショートカウンターを狙う。

 

②大宮が低い位置でボールを奪った場合

自陣からのスローインやロングボールを大宮が回収すると、大分はまずリトリートをして5-4-1になる。チームによっては3-4-3から5-4-1へ可変し終わる前に攻め込むのも手段としてはあったが、それはしない。CB2枚+ダブルボランチの片方の3人でボールを持ち、大分の5バックに大宮はFWの2枚+両SH+両SBまで高い位置を取り、6人をぶつけて押し下げる事を優先。ダブルボランチのもう片方が中盤で楔を受けるためにフリーマンの役割を果たしたり、FWの大前が降りてくることにより、大分のDFラインとボランチの間で受ける準備をする。深い位置にボールが入り、そこから1人でも剥がせば一気に数的優位に立てるため、これに大分は一番手こずっていたと感じた。

 

③相手陣地でボールを奪った場合、GKのロングボールを高い位置で回収できた場合

これは大宮の同点にしたシーンでも見られた。高い位置でボールを奪えば人数に関係なく前へ。基本的にはFW2枚+両SH、もしくはSH+ボランチ1枚の4人でカウンター。大分の3バックに4人で仕掛けて幅を取りつつ、フリーになった選手が狙うような形。大分の両WBが上がっているため、数的優位、片方のWBが残っていても数的同数なので仕掛ける。同点になった場面では、大分の左WBの松本が戻りきれていなかったために、大宮は右サイドでボールを持ってコントロールシュートまで持ち込めた。

 

このように相手が引いた時、出てきた時、ボールを持った時でパターン分けができていたために大分はやりにくさを常に感じながらプレーする羽目になっていた。

 

大宮の印象

上記のように、しっかりとスカウティングができており、大分を構造的に殴れた大宮。それだけでなく、やはり個の力では数段上だなと感じた。大分が中盤でパスコースをサイドのみに限定していても、腰を捻って強引に前にボールを付けたり、落ち着いてボールを回せる所はJ1でやってきたからだろう。

選手では大山啓輔が中盤をしっかりと締めていたのが嫌らしかった。

 

骨格を殴られて

3-4-2-1の弱点を突かれて崩壊しかけた大分。しかし、最後までしっかりと我慢強く対応をして崩壊は免れた。元J1勢にしっかりと食らいつき、流れのなかからの失点を1で抑えられたのは大いに評価されるべきことだろう。このような後手を踏む試合で大切になるのは、セットプレーだろう。流れでいくらやられても、スコアで勝れば勝ち点3を獲られるのだから、できるに越したことはない。ゴールデンウィークの連戦の最後は、今節に続き元J1のチームだった新潟。ここで連敗をするかしないかで今期のこれからは大きく変わるだろう。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第12節 大分トリニータ vs 大宮アルディージャ - YouTube