Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs福岡(A) アイデア不足〈J2 第31節〉

朝ドラの『半分、青い。』の主題歌のアイデア。良い歌ですね。そのアイデアのサビ部分を少し。

続く日々の道の先を

塞ぐ影にアイデア

雨の音で歌を歌おう

すべて越えて響け

 

この日の大分はアイデア不足だった。こんなんじゃJ2なんて越えていけないぞ……と思ったり思わなかったり。うーん。

 

この日のメンバーは以下のように

アビスパ福岡
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おっ!柔道家の篠原やんけ!顎、短くなりました?

 

前半戦は相手に合わせてのミラーゲームを用意していたため3バックと4バックの併用をしていた福岡。しかし、ここ数試合で4-4-2で結果が伴ってかこの日も4バックを採用。台風などの影響で9月は7連戦。その初戦となる大分戦のモチベーションは高いようだった。

メンバーでは枝村匠馬が1ヶ月ぶりに先発。昨年は大分にいた鈴木惇はキャプテンを務めた。

 

大分トリニータ
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隣県の福岡は実質ホームであり、この日もアウェイジャック。通算2敗の福岡は旅行と勝ち点3をよくくれるカモネギだったのでこの日も気持ちよーく勝ちたかったトコロ。メンバーは左WBを那須川将大から星雄次に変更。実に5試合ぶりのスタメン復帰となった。

 

なにもできず

前半の大分はほぼなにもできなかった。と共に福岡がなにもさせなかった。

この日の福岡は主に横の圧縮をして大分のビルドアップからのパスコースを限定する事をベースに大分の岩田智輝、福森直也にボールが入るとハイプレスを仕掛けてショートカウンターを狙っていた。

大分はビルドアップの際に左右のCBが大きく開き幅を取る。そこにボールが入るとパスコースになるのは1列前にいるWBの松本怜か星雄次、アンカーの丸谷拓也、CBの鈴木義宜、GKの高木駿と4つがある。これに対して福岡は、サイドを圧縮しながらWBの前にSH、アンカーに鈴木惇、CBとGKに2トップをぶつける。

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(ビルドアップで福森にボールが入ると福岡は右サイドに圧縮。前4人でコースを消してハイプレスをかける)

これでは、小手川宏基、前田凌佑とクサビを受けにくる三平和司を含めた3枚に対して中盤が1枚と数的不利になるが、DFラインを押し上げて潰してしまえば問題ないという判断だろう。

このようにプレスを嵌め込んだらSHがボールホルダーに寄せていき、バックパスか横パスをさせる。中央の丸谷にボールを預ければボールをさらわれて即FWへ繋げられてのシュートとなるため基本は高木か鈴木に戻すことになる。するとSHはそのままボールへと寄せていきパスを出した選手にリターンパスをするコースを消す。

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(ユ インスは星のコースを消しながら福森へプレス。高木へのバックパスも追いかけ局面での数的優位を作る)

これにより高木、鈴木+岩田or丸谷と3人でプレスを剥がさなければならなくなるが、福岡は2トップ+ユ インス+鈴木惇or松田力となるので数的不利になる。

人数が少ないのままでのビルドアップは正確でないと即失点につながるため、セーフティにロングボールを入れるしかなくなる。結果として大分は効果的なビルドアップはできずにポゼッションを放棄しなければならなくなった。

福岡のサイドを基本とした「二度追い」は甲府戦と同じく大分を苦しめた。9分には高木までボールが戻り、そこから小手川へ繋いでプレスを剥がそうとしたところをドゥドゥにカットされてあわや失点というシーンも見られた。

 

前半頭からの効果的なハイプレスに対応できずにペースが掴めない大分は、ロングボールを使いつつ、ビルドアップで小手川、前田が顔を出して左右のWBを押し上げたり、伊佐耕平にシンプルに裏を狙わせてから速攻を狙ったりと工夫はすれど単発で終わる場面しかなくなる。それだけではなく、福岡はボールを「持たせて」の戦術だけでなく、ボールを持った際の形もしっかりと準備をしていたためサンドバッグ状態に。

 

福岡の準備したビルドアップでの準備は1stDFの無効化。大分の1stDFは2トップ+前田or小手川の3枚がいれば前からハメにいき、2トップのみならば撤退してブロックを作るというもの。これにより前からいくか構えるかが明確になり安定をしていたが、福岡はそのうちの前から来る形を消してしまった。

福岡はボールを持った際に、DFとボランチを敢えて間延びをさせて大きなスペースを作る。大分は3人でプレスに行くが、4バック+GKの福岡は数的優位なのでプレス回避は容易であり、裏の高い位置にいる鈴木惇や枝村に背後を取られてしまう。ビルドアップを多少阻害されてもサイドに1本入れてしまえば大分のWBを押し下げることができるため、大分がハイプレスに転じることは困難となった。

これに対して大分は星がサイドに張って牽制をするもそこを狙われてユ インスにぶち抜かれる場面が増えるという地獄のような展開に。我慢をしていた片野坂監督だったが、より顕著に押し込まれた35分ごろからたまらず4-4-2へと変更。マッチアップを明確にして安定化を図った。

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三平と伊佐を逆にして左サイドでボール回しを円滑にしていく意図もあったと思われる。

結果、輪湖直樹のミドルも枠に嫌われるなど福岡が決めきらなかったことによりなんとか前半をスコアレスで折り返す事ができた。

 

守備の安定

押し込まれた大分は後半、頭から前半戦に取り組んだ3-4-2-1に変更。

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これによりビルドアップで2度追いをされても中央でボランチが2枚居る形になったため、バックパスを減らしてハイプレスの背後を取りやすくなっただけでなく、守備でも撤退守備の5-3-2からサイドにフタをした5-4-1に変わったため、低い位置でのビルドアップをあまりしない福岡はロングボールで裏を狙う事が増えた。

また、ボランチを増やしてサイドが高い位置を取れるようになったため、幅を使えるようになった大分。横の圧縮をしてくる福岡の背後をつきやすくなったため、次第に大分ペースでゲームが進む。

福岡は4-4-2が基本だが、攻撃では3トップ気味になる。

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ドゥドゥは中央、ユ インスは右のウイング気味にするのは固定だが、松田と石津大介鈴木惇と枝村は流れによって流動的に動いていた。ここで重要なのが中盤の3枚の作り方。基本はネガティブトランジッション(攻→守)ではハイプレスを仕掛けての即時回収を第一に仕掛けていくが、ミドルゾーンからは4-4-2(4-4-1-1)でセットをする。上の画像では3枚居る中盤中央だが、守備では松田が下がり、鈴木、枝村、ユ インスが4枚のブロックになる。つまり中央の枚数が3枚から2枚へと変わる。大分は小手川が下がって受けたり、ハイプレスを前田が剥がしたりとネガティブトランジッションの意識が高くあったと考えられる。また、前田はボランチの一角でありながら、リンクマンとして攻守を繋げ続けた。前田はボールを持った際に相手に見せる、隠すのが上手く、脚を出させた裏を狙うことの出来る選手。ヌルッと一枚剥がせるので持ち上がっての攻撃参加、ビルドアップへの関与とスーパーな働きをしていた。

3-4-2-1移行後は大分のペースになり、5試合ぶりに出場した清本拓己や、後藤優介が巻いてシュートをしたりと途中出場の選手が積極的に攻撃に絡むも、圍謙太朗の好守に阻まれ得点には至らない。そしてアディッショナルタイムの最後の最後だった。

リスクを負って攻め続けた大分は、最終盤の90+3分。ペナルティエリア近くで丸谷のパスが奪われるとカウンター。大分は中盤3枚全員が攻めていたためポッカリと空いた背後を付かれて3vs4の状況になると、ペナルティエリア左でレオ ミネイロが巻いて放ったシュートはゴールに吸い込まれ、まさかまさかの失点を喫してしまい、試合終了。九州ダービーで痛い敗戦となった大分は、7位にまで転落をしてしまった。

 

福岡の印象

荒い。ハイプレスに2度追いと球際の強さが必須となる試合だっただけに選手たちも前を向かせない意識はあっただろうが荒かった。福岡は10人のサッカー選手に柔道家の篠原まで居て、カウンターの際に三平へファール覚悟の後ろからのスライディングや襟元を掴んだホールディングなどダーティーさ全開の守備は守備でなく、選手生命に関わる怪我をいつさせるかわからないプレーは不快でしかなかった。松田力ラグビータックルもクソ。そこを含めて残念だった。

そんな中でもユ インスはこの日のキーマンだった。サイドで守備の仕掛け役として積極的にプレスにいきくだけでなく、サイドからの仕掛けからタッチラインギリギリでもクロスをしっかりあげたりと良い選手であった。

 

イデア不足

徳島戦に引き続き、良い形を作っているが良いトコ止まり。これはただ単に攻撃陣が不調なのではなく、そこに至るまでの手数が限られているからではないか?と考える。

大分は中央から崩せるのがストロングポイントだが、ゴール前にバスを止められると攻めあぐねてしまう。この日もボックスの外をうろちょろするが前田の後藤へのDFを抉るようなパスは通らずにリスクを負いすぎて失点をしてしまった。

現状で中央での構成力は十分にある。が、左右が心許ない。基本はタテしかなく、クロスの精度は低い。また、サイドの高い位置まで引き込んでしまえば3バックしか居らずカウンターの格好の餌食になってしまう。

今さらサイドに技術力の向上を求めても早急な対策にはならない。ならばどうするか?サイドの人数を増やして量とパターンを増やせば良いと考える。そのうち4-1-2-3を採用すればちょっとは変わるのではないかなぁ~なんて考えるが、片野坂監督の手腕を信じていきたいと思う。

 

試合終了後に前田が見せた涙。この日一番の活躍をみせた彼が泣く姿はもうみたくない。我々ができる微力を尽くしてもう一度J1へ行きたい。あー!悔しい!

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第31節 アビスパ福岡 vs 大分トリニータ - YouTube