Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs山口(A) ギャップを突いて〈J2 第34節〉

自ら難しいゲームにした大分だったが、終わってみればしっかりと勝ちきり3連勝。上手く行かなかった所を修正できるだけの選手層と監督の采配は流石だった。

 

この日のメンバーは以下のように。

レノファ山口FC
f:id:west242447:20180927122019j:image

序盤は好調で、前期での対戦では天王山となったが、6/16の徳島戦を最後に未勝利。後半戦も6分5敗と勝ち点を積み上げられなくなった山口。

大﨑淳矢が7試合ぶりに先発。中断期間に補強をしたジュリーニョやワシントン、高井和馬などもスタメンに。

 

大分トリニータ
f:id:west242447:20180927122730j:image

ここ数試合は3-4-2-1と3-1-4-2を併用して連勝と結果が出ている大分。この日は宮阪政樹が11試合ぶりに出場と、中盤に変化をつけてきた。

 

 

狙いはハマるも……

前半の大分は相手の弱点をしっかり分析できてはいたが、そこに至るまでの形を効率よく作れずに後手を踏んでしまった。

大分の狙いは前半の序盤で見られた高木駿からのロングボールで伊佐耕平が裏抜けをした場面が象徴的であった。90分を通して山口のワシントン、渡辺広大のCBコンビの幅が広く、チャレンジ&カバーが成り立たない。どちらかにFWをぶつけてピン止めをしてしまえば2人目がギャップに入ってシュートチャンスになるか、1対1を2人それぞれに仕掛ければ、それもまたシュートチャンスに、という形。ワシントンは対人には強いが、空中戦ではそれほどの驚異ではなく、ロングボールからのフィジカル勝負で伊佐をぶつけると広大なスペースができることが多々あった。

 

一方の山口は、大分の5-3-2ブロックの中盤3人の脇から斜め前に対角線にパスを出して背後を取り、ジュリーニョや前貴之から高井へという形でチャンスを作ったが得点には至らず。

 

大分はアンカー脇、山口は3センターの脇と互いにスペースの攻略からチャンスを作ってはいたが、山口は守備でもアグレッシブに仕掛ける。大分の3バック+GKのビルドアップに3トップ、中盤3人をそれぞれマンマーク気味について大分のボール回しを難しくしていた。

f:id:west242447:20180927143028j:image

後ろは守備で問題を抱えてはいたが、大分はまず裏ではなく、近くの人をみるため前からのプレスを優先的に行うことを選んだようだ。

DFライン+アンカー、小手川はプレス耐性があるためパスで相手をはずしたり、ボディフェイントで剥がす事に慣れていたこと、また高木からWBに浮き球での配給ができるため、多少蹴らされているとは感じたが、そこまで目立ったミスはなかった。

しかし、久々に先発をした宮阪がここで大きな穴になってしまった。ボールを受ける前に首を振っていないのか、パスを受け、相手のプレスに晒されるとバックパスしかできない。ボールを失ってからの被害を最小限にするためか、宮阪はサイドに流れるが、同サイドの星雄次の進路と被るだけでなく、3センターの逆サイドの小手川宏基が内側に絞らないとバランスが取れなくなり、バイタルエリアのアンカー脇を三平和司が下がって受けるしかない状態になる。バイタルエリアがポッカリと空いてしまい、サイドからサイドへと狭いスペースからの打開しか攻め手がなくなってしまうだけでなく、山口の前からのプレスがハマりやすい状態に陥ってしまう。

 

29分にはミスが重なり失点。

相手が5-3-2ブロックの左サイドから中央のオナイウ阿道を狙うもパスカット。小手川→丸谷、そして三平へ。

ここでの三平の役割は、相手アンカーかCBを釣り出すことなので、一度落として裏のスペースに伊佐がアタック!というのがこの日のハメ技なのでそれを狙って宮阪へバックパス。

f:id:west242447:20180927152611j:image

ここで宮阪はサイドの星、斜め後ろの福森直也が間接視野で見えてはいたはずだが、自分にボールと共に2枚寄せていたため圧力を感じて、ビルドアップをしてもらうために福森へ下げるが、角度がついていなかったためミスキックに。

f:id:west242447:20180927153012j:image

ポイーン(´・ω・`)
f:id:west242447:20180927153633j:image

浮き球になり処理が難しく、自陣ゴールに身体を向けるため、セーフティにボールを繋げるために利き脚の左足で処理しようとしてミス。
f:id:west242447:20180927153651j:image

これをオナイウがワンタッチでゴールに流し込む。下で見切れている片野坂監督も思わず\(^o^)/に。

f:id:west242447:20180927153927j:image

 

自分たちのミスが連続すると共に、山口のプレスの矢印が連動して2度追い、3度追いとできたために生まれた失点。擬似的に甲府や福岡がした連動プレスの形にはなってトラウマが甦るが、山口はそこまでチームとしてできてはいなかったのは救いだった。

 

大分は前線に縦ポンでしか良いボールが入らなく、サイドからサイドへ。バックパスがメインになって悪くなった流れで自分たちのミスから失点、と最悪な状況で前半を折り返す。

 

 

外で優位に立ち、中で仕留める

後半に入り、大分はプレースキック以外ほぼ良いところを見せられなかった宮阪を下げて清本拓己を投入。これにより3-4-2-1へと変化をしたが、ここで片野坂監督は一工夫を加えた。いつもならば、伊佐をトップ、三平と清本がシャドウだが、この日は伊佐がシャドウに入った。

f:id:west242447:20180927155243j:image

伊佐が相手のアンカー脇に入ってポストプレーを行うことにより、対面する前をピン止めすることとアンカーの佐藤健太郎をボールサイドに引き付ける事でスペースを作り、間で受ける動きに長ける三平、清本を生かす意図を持っていた。

 

すると、59分に高木→星と繋がり、伊佐がフィジカル勝負で競り勝ちボールを持ち上がり、中へパス。清本のシュートはDFに当たるが、ボールは星の前にこぼれて折り返すと松本怜が詰めて同点に。

同点になって焦った山口はGKにもプレスをかけるが時間と共に連動性がなくなり、次第に中盤とDFが間延びをしてくる。それをみて大分は三平を下げて裏抜けマシーン藤本憲明を投入。山口も直後に大﨑から高木大輔へと変更。

藤本は投入直後からDFのギャップを見逃さず、オフサイドの判定にはなったが綺麗な裏抜けをみせると、72分。左サイドを伊佐が上がり、カットインから松本にパス。松本は出て来たGKを見て中に折り返すと藤本が詰めて逆転。3分後には自陣からの松本のロングボールに藤本が抜け出してバッジョ並の柔らかなトラップからGKをかわしてゴール。一気に逆転を果たす。

その後はクロスを高木駿がファンブルして高木大輔に詰められるが、ギリギリで掻き出して失点を防ぐと、79分に伊佐→岡野洵とチェンジをして岩田智輝がシャドウに。果敢に追加点を狙うがタイムアップ。

大分は逆転勝利で連勝を3に伸ばした。

 

山口の印象

解説の小林伸二さんが散々話して(最後らへんは怒っていたような……)いたCBの関係性は裏抜けマシーン藤本に上手くやられて2失点。高い位置からのプレスは前期からの魅力だったが、守備の網を前に設定しすぎているにも関わらず、GKにもプレスにいってロングボールからやられる場面があまりにも多かった。大分は伊佐をサイドに置いてロングボールからの仕掛けを意図的にやっていたが、広大な裏のスペースに出された場合の対応は最後まで見られなかった。3ヶ月も勝ちがないのは裏のスペースのリスク管理ができていないからではないか?と思ったりした。

選手で印象に残ったのは前貴之。スペースがどこにできるかを考えてプレーしているようで、相手がどこに出されたら嫌かを見てるなぁと感じた。戦術が前がかりなのでリスク管理やバランスをみたプレーも求められるが、そこも頑張ってる印象をうけた。

 

宮阪ァ!

逆転での3連勝と勢いがついてきてるような大分。だが、そんな中で一人だけ試合後の伊佐スタグラムで暗い雰囲気だった宮阪。プレーで酷かったのは確かだったが、前期から戦術が少しずつ変わるなかで立場が無くなってきている事。それにより自分らしいプレーができなかったのは悔やまれる所。自慢のプレースキックロングフィードの精度は言うことなくチーム唯一の武器だが、良い状態でしかそのプレーができないのであれば、立場は自ずと難しくなる。彼にとってはそんな試合だったと感じる。

しかし。しかしだ。もし宮阪がプレス耐性がついて丸谷のように相手を往なしてプレーできたら、小手川のようにバランスをみたポジショニングを身に付けることができたら……。宮阪政樹はもっと輝ける。代表の青山敏弘のようなプレースタイルに近づけると感じる。残りのシーズンで彼がもう一度チャンスを得られるかは疑問だが、新たなチャレンジを身に付けることができれば、もう一歩先に進める事ができればもっと楽しみな選手になるはず。頑張れ宮阪。超頑張れ。俺らは頑張ってる宮阪を見てるぞ!

 

酸いも甘いも噛み分けて、選手もチームも育っていくもの。勝ち点3を積み上げるなかで、こういった経験もできたんだから良いゲームだった、と言えると思う。残り試合は少ないが、30人全員でもっと高みへ。レッツ!自動昇格!!

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第34節 レノファ山口FC vs 大分トリニータ - YouTube