【大分】2019年シーズンレビュー Go!Forward!〈選手編② ~DF編~〉
さーて、新体制が発表されましたが!なんなら開幕戦とかルヴァン杯予選の日程も出ましたが! 選手振り返り第2弾、DF編!やるよ!!!
3.三竿雄斗
26試合 1831分(1G2A)
神出鬼没。
気づいたら三竿。振り返っても三竿。違ったそれは健斗さん……開幕には間に合わずともしっかり主力になってたり、いつの間にかゴール前に顔出したり、ロングスプリントからアシストしたり、累積警告たまってたり……神出鬼没だった。
今季、三竿的に悔しかった試合はホームの鹿島戦だろう。古巣との試合で相馬勇紀にカットインからぶっちぎられて失点。次のプレーでも相馬に抜かれて引っ張ってしまい警告ももらった。今年は鹿島絶対やっつけるマンとして頑張ってほしい。
三竿のすごいのは長い距離走ってもクロスが流れない。フォームが崩れない。だからこそのアウェイ浦和戦の決勝アシストとかできちゃう。また、クロスが上手いということはセットプレーも上手く、キッカーを務める場面も。あと意外にヘディングも強くてターゲットにもなった。
片野坂監督の求めるCB像にしっかり答えた三竿。サイドでのリスク管理とクロス、スプリントが本当に効いていて穴を作らせなかった。怪我がちといわれているが、今年は是非開幕からフルタイム出場を目指して頑張ってほしい。
5.鈴木義宜
34試合 3060分(1A)
最近Twitterはじめた人。
インスタのストーリーに蕎麦や和菓子の投稿をして渋さ全開だった義宜が(実は1年前には作ってた)Twitterでコミュニケーションを取ってるのをみるとそんな年寄りな感じではなかった。気持ちでいうとほうじ茶からほうじ茶ラテくらいになった。(は?)
SNSで堅実さを見せた義宜。ピッチ上でも空中戦で、シュートブロックで、カバーリングで総合力の高さを魅せてくれた。数字でも自陣パス数とかシュートブロック数とかリーグで1.2を争うくらい。それはそれは「義宜ナイスゥ!」と皆さん実感してるはず。
今年はその守備の総合デパート(トキハ)的な面だけではなく、攻撃面でも面白い試みがあった。それが見られたのがアウェイ神戸戦。やったことを勝手に名付けるなら「バルトラロール」だろう。
バルトラロールとは一昨年、キケ・セティエン率いるレアル・ベティスのCB、バルトラがやっていたビルドアップの形。
ベティスのサッカーは点はなかなか決まらないが再現性が高く、ビルドアップの手数が多いトリニータみたいなチーム。バルトラは義宜と同じ3バックの中央に位置していた。
バルトラロールとは、ビルドアップの際に3バックの左右が内側に絞り、中央のCBがアンカー、WBは前線に張らずにSBの位置まで下がる。
普段なら……
基本的には3-4-2-1から
4-1-5(ボランチを落とした場合)
4-2-5(GKがビルドアップに参加した場合)
に可変。
これを3-4-2-1からバルトラロールを行うと……
義宜がアンカー、WBがSBの位置まで下がる。前5枚はシャドウが開いてハーフスペースはボランチが埋める。
GKがDFラインに加わり、1つずつポジションを循環させると4-2-5にもなる。
アウェイ神戸戦では積極的にこのバルトラロールを使っていた。本家のバルトラは散らして良し競って良しと足下が滅茶苦茶あるのでDFラインから平気でドリブルしたりしており、だいぶ頭のネジが飛んでいた。一方我らの義宜にドリブルなんてイメージはないし、ボールを散らせるイメージもそんなになかったが、それなりにこなす。後半ATには小林成豪の決勝ゴールをアシスト。中央を綺麗に割いてみせた。
今年はより大分のビルドアップ対策がよりキツくなるはず。その打開案の1つとしてとても良いものを見せてくれたし、義宜の選手の幅も広がった一年だった。これからもっともっと期待したい。
6.福森直也 ※19年夏 完全移籍(→清水)
9試合 788分(1A)
学級委員長、旅に。
夏に清水へ完全移籍。足りなかったのはチャレンジする勇気だった。
開幕からスタメン。3節には決勝アシストをしたりと、フックも義宜といっしょにJ3からJ1まで来たんだよなぁ~、と感傷に浸っていたがそこから雲行きは怪しくなった。9節C大阪戦を最後にリーグ戦出場はなし。そこからルヴァン杯で2試合出場。その後は出場はなく、天皇杯鳥取戦で左WBで出場を果たすもそれが大分でのラストマッチになってしまった。
スタメン落ち、メンバー外になってしまった理由は、クラブの要求に応え切れなかったからだろう。
昨年の大分は、左右のCBに岩田智輝のようなダイナミックな攻撃参加を求めた。実際、福森は磐田戦での決勝アシストや一昨年の山口戦でのゴリブルなど、攻撃面でもキラリと光るものを持っている選手。加えて前年から引き続き片野坂監督のサッカーを知っているため、ビルドアップなどでもアドバンテージがあった。
それでも、"継続して"攻撃面で自分の色を出せなければ使わない、使えない、と判断されたのだろう。実際、福森の後の左CBはサイドの選手と触れ込みのあった高畑奎汰。守備力では福森に劣ったが、積極的に前線に顔を出してチャンスに絡んでいた。福森の良さは守備で計算が立つ所だが、そこからもう一歩が踏み出せなかった。
片野坂監督はリーグ戦からルヴァン杯、天皇杯で試合の強度を下げて「リスクを恐れるな!」とメッセージを込めたのだろう。天皇杯鳥取戦では1つ前のWBでもプレーさせた。そこまでしても攻撃面で個性が出せなければ、いくら守備力で計算が立つ選手で、ビルドアップができて、左利きという希少性の高い、重宝されやすい選手であっても戦力として見合わないと判断されても仕方がなかった。
ポテンシャルは充分。J1でも通用する。しかし、そこからの一歩が踏み出せなかった。最後に自分を信じてチャレンジできなければ居場所はない。大分トリニータでの福森直也はここまで。最後に自分を信じなきゃ。
しかし、まだプロ生活は続く。次は対戦相手としてスタメンでプレーしている姿をみたい。それだけの力はあるのだから。
16.岡野洵
4試合 261分
"映え"のジュン
2019シーズン、最も成長を感じられた選手。
1つのチームを継続して見る者として、チームの、選手の成長を見守ることができるのは本当に幸せな事。ありがとう岡野洵。
昨年初頭はルヴァン杯で主力としてプレー。CBとしてフィジカルの強さ、高さは加入時から見てとれたが、昨年は攻撃面での魅力がグッと増した。GKからボールを受け、相手のプレッシャーがなければ迷わず前進。プレスにさらされても近くの味方だけでなく、1つ飛ばしたサイドの選手にボールを付けることも上手くなった。
ルヴァン杯敗退後は主力の壁が高く、なかなか試合に絡めなかったが、盟友、岩田智輝の怪我でチャンスを掴む。9月の市陸開催だった湘南戦から3試合、スタメンとしてピッチに立った。ここでは右CBとして不器用ながらも果敢に前線に顔を出してプレー。タイミングがわからないのか湘南戦では特にガチャガチャしていた印象があったが、名古屋戦では田中達也にブチギレられながらも一生懸命プレーしていた。
左右のCBに対しての要求は高く、チームの攻撃の肝にもなるため超重視されているが、及第点が与えられるどころか、智輝にはない"高さ"という色を付け加えてくれた。
最初に見たスクランブルでの出場だった熊本戦では裏取られる→タックル=長い足で削る!!くらいの超粗削りだった選手が攻撃の組み立てをしてカバーリングもして……本当にたくさん努力したんだろう。今季も青いユニフォームを着てプレーしている姿を見たかったが、本人のふるさとである千葉を昇格させるために帰還していった。イケメンでオシャレでプレーは泥臭い。そんな洵にときめいたシーズンでした。ありがとう。
19.星雄次
11試合 528分(1A)
あざとかわいいほっしゃん
11試合に出場も、フル出場は1度のみ。主に対札幌での戦術兵器だったが、本人にとっては不本意なシーズンだった。
札幌戦ではサイド張っとけおじさんとして相手のWBをピン止めするというタスクを担ってシーズンダブルに貢献。サイドでの単騎での突破はそんなにないが、積極性でアピール。だが、左WBは同じ質より量なタイプの高山薫に立場を奪われたが、ルヴァン杯で右WBとして好プレーを何度か見せる。
リーグ戦では途中出場したりしなかったりで長期間ボッコリ居なくなってざわついたりもなく、かといって主力とは言えず。もどかしい年だった。そんな今年の星のトピックスと言えば、相変わらず顔が良いこと、はにかんだらあざとさがチラ見しちゃうこと……だけでなく、新たなポジションをやった事だろう。
それまでは左右(主に左)のサイドでのプレイヤーだったが、20節川崎F戦で途中出場をすると左シャドウをやった。サイドからのカットイン→シュート(枠外)は相変わらずだったが、田中達也との相性が良く、チャレンジ&カバーがスムーズだった。それだけでなく、内側でも上手い。スペースに入り込んでターン→シュート(枠外)やボールを受けて引き付けてサイドへ出したりと違和感なくプレーできていた。また、元々サイドのプレイヤーなためか、様々な場所に顔を出して掴みづらい選手として振る舞う一面も見れた。
今年もサイドには田中、高山、松本と強力なメンバーが居る。そこに食い込む事ができるかも楽しみだが、シャドウで新たなオプションとしてより機能する姿をみてみたい。
29.岩田智輝
27試合 2403分(4G3A)
柴犬
にへ~っとしてる柴犬っぽい智輝。かわいい。が、プレーは逞しかった。
2種登録の時からアデミウソンを完封したりと対人の強さがあったが、J1でもそれは遺憾なく発揮。攻撃面でも重要なタスクを担って多くの勝利に貢献した。惜しむらくは怪我で度々離脱をしてしまったこと。今のところ智輝の替えは実質的に居らず、誰かが代役を果たしても、どうしても異物感が残ってしまう。活躍したらブッコ抜かれる無慈悲なJリーグで戦うカネのない地方クラブ。次の手は常に考えなければならない。
昨年、アウェイに行った際に智輝が対人で勝つ度に「さすが智輝や!」といった声や拍手が多くてニヤケた。みんなわかってる。それだけでなく昨年はチーム3位タイの4ゴール。意外に取るやん?今季も守備から攻撃でチームの主軸として、大分の、日本の代表として世界と戦ってほしい。イニエスタにメンチ切れる強心臓を「世界に」見せつけるシーズンに!
39.庄司朋乃也
6試合 334分(1A)
ほのや(・8・)チュン
庄司をはじめて見たのはユースの時。ヘディングの強さと正確なロングフィード。その場にいたどの選手たちよりも印象に残った選手だった。そんな彼もプロになり、J2オールスターズと呼ばれるまでに成長。加入が決まった時は本当に嬉しかった。
しかし、鈴木義宜の牙城は崩せず。3バックの中央の選手なイメージだったが、出場した試合では左CBが多かった印象。持ち味のロングフィードをするより前にプレッシャーにさらされて近くの味方に慌ててパス、という場面が多かった。
原因としては、一言。アングル。
ボールを受ける際にはパスの出し手側に身体を向けてしまい、受けてからのプレーが窮屈になる。パスを出す際にもちゃんと相手の方向を向いてパスを出すため、パスコースが読まれやすい。実際、神戸戦では特に狙われ続けてしまい、ビジャにまんまとやられていた。ボールを大事にするチームなため、丁寧にプレーしようとすると読まれるという悪循環に陥っていた。真面目なんだろうなぁ……
そんな庄司だったが、浦和戦で魅せてくれた。智輝の負傷離脱によりスクランブルで出場をすると、被カウンターの場面でインターセプト。奪ったボールから小林成豪のスーぺルゴラッソに繋がった。
プレスに慌てず対処できれば、持ち前のロングフィードやインターセプトなどがより活きる。今年はレンタル元のセレッソに復帰するが、ロティーナ監督のもとでまた一回り成長することだろう。
41.刀根亮輔
1試合 45分
戻ってきた男
前十字靭帯損傷の大ケガから復帰。それよりもデカかったスーパーオウンゴール。まぁそんな日もある。
今季のリーグ戦は神戸戦での45分のみ。しかし、その神戸戦で智輝の穴を埋めるようなプレーを見せてくれた。チンピラな見た目で恫喝して対人守備をしたり(してない)、攻め上がりも滞りなく、ビルドアップも積極的に。様々なポジションやってたからかそつなくプレーしていた印象。
今年は怪我なく、ルヴァン杯から厳つさをみせてほしい。復活の年に。
42.矢野太一 ※2種登録
0試合 0分
秘めたポテンシャル
ユースっ子。リーグ・カップ戦共に出場がないため知る人はあまり居ない。
自分は鳥栖戦前日に行われたプリンスリーグvs日章学園を観に行っていた時にチェック。ポジションは義宜と同じCB。ビルドアップでGKの木戸雄登と共に中央での落ち着いたボール回しを披露。逆足も器用に使っていた。プリンスリーグ後期では怪我をしていた様子。トップ昇格とはならなかったが、継続して追う価値のある選手だと感じた。どこの大学に行くんだろ?進路も楽しみだ。
49.羽田健人 ※特別指定
1試合 83分
経験を積んだ人。
33節仙台戦で初出場を果たした選手。三竿の出場停止で左CBどうするよ???での答えが彼だった。プロでの試合では結構狙われていた様子。まぁはじめてだからしゃーない。
今年は関西学生サッカーリーグにちらほらと行ってたので、関西大学もチェック。桃山学院大学との試合をメモってたからそれを参考に。
羽田の他には関西大にG大阪内定の黒川圭介、桃山大には長崎内定の毎熊晟矢、大分高出身の佐藤碧もスタメン出場をしていた。
この試合での羽田の印象はボール奪取からの前への意識の高さ。この日の関西大のボランチにボールが収まらなかったためかGKからボールを受けると、まずは前線を見て配球。ロングフィードには自信がありそうだ。また、対人が上手く、インターセプトからロングスルーパスをしたりと、攻守の切り替えも速かった。
大学の、それも1試合だけの印象のため、ここからさらに強度が上がったプロの試合でどんなプレーを見せてくれるか非常に気になる。
次回はMF編!強い気持ちで!
写真は大分トリニータ公式HPより