Nishida's diary

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【大分】vs京都(A) 虹の先に見るものは〈J2 第8節〉

冷たい雨の中、しっかりと狙いを持ち粘り強くプレーができた大分が2012年以来の4連勝を飾った。


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試合前は陽射しもあった西京極だったが、写真左にある雨雲が次第にピッチへと近づいてきていた。この雨雲によって両チームにとって難しい試合となった。

 

両チームのメンバーは以下の通り。

京都サンガF.C.
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2試合前の途中から「アンカー闘莉王」を採用する京都は1枚の変更。トップ下に前節、半年ぶりに復帰したエスクデロ競飛王が先発に復帰し、沼大希がベンチに下がった。GKの清水圭介はプロ生活を始めた大分との対決となる。

リーグ戦はここまで無失点は無し。10失点の内9つが前半に決められている。布部監督はサイドをいかにして制するかをポイントとして挙げた。

 

大分トリニータ
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これまでリーグ戦全試合に先発出場をしていた丸谷拓也が体調不良によりベンチにも入らず。変わりに姫野宥弥が初先発。ベンチには古巣対決となる三平和司も入る。

片野坂監督は球際が大切になってくると語っていた。

 

ミスマッチを狙う両者

この日、ミスマッチから生まれるスペースをいかに有効に使えるか、ということが両チームの狙いにみられた。

京都は大分のWBと左右のCBの間で湯澤洋介と小屋松知哉がボールを受けて、WBの攻撃を牽制したい。大分はアンカーの位置にはいる田中マルクス闘莉王の脇のスペースを生かして良い形で後藤、馬場が受けて攻撃にリズムを生み出したい。といったところだろう。

前半開始早々、京都はセットプレーからチャンスを作る。FKからレンゾロペスが合わせ、CKになるも決まらず。

序盤からチャンスを作った京都は、狙い通りSHが大分の3バックの横でボールを受け、WBがケアをしに戻ると、SBの石櫃洋祐本多勇喜が上がり押し込んでくる。高い位置でSBがフリーでボールを受ける場面からアーリークロスでCFのレンゾロペスを狙う場面が散見された。

一方の大分は、上がってきた京都のSBの裏を宮阪が左右へロングボールを入れてチャンスを伺う。特に右サイドの松本怜は足が速いため、多少押し込まれた場面で対面するSBとヨーイドンでボールへ向かわせると、スピードで勝るためチャンスを作ることができていた。そこからCFの林容平とSTの後藤優介、馬場賢次だけでなく、逆サイドの星雄次とボランチの姫野宥弥も長い距離を走り、カウンターから京都ゴールへ襲いかかる。

前半はボールを持つ京都と、カウンターから素早い仕掛けでチャンスを作る大分という構図に。

 

闘莉王包囲網

前半から、アンカーに入った闘莉王に気持ちよくプレーさせないために大分は2つの工夫を加えていた。

 

1つめはSTの切り替えの時のポジショニング。守備の時は普段通り、後藤と馬場は相手SBにチェックに行きコースを切る。攻撃の時はそこからナナメに走り、CFの林のポストプレーのレシーバーとして受けたり、相手SBとCBの間で受けて起点となる。しかしこの日は、守備→攻撃の際に、アンカーの闘莉王の左右のスペースに顔を出して楔を受ける事を重視していた。後藤や馬場がアンカー脇でボールを受けると、運動量のない闘莉王はカバーに入れず、SBが内側をケアしなければならない。内に寄ったSBの脇を松本、星がスピードで裏を取る事が狙いだったように思える。

 

2つめはこの日初先発だった姫野の役割だ。

大分のダブルボランチは、基本的には2人とも長短のパスで組み立てをすることが重視されている。だが、姫野はビルドアップに長けた選手ではなく、運動量で勝負をするボックストゥボックスな選手。その運動量を生かして、宮阪と横で並ばずに、縦でプレーするようにしていた。宮阪の前でプレーをしたために、闘莉王にプレスをより早くかけやすくしたことにより、守備の方向づけが定まり、多少の数的不利であっても守備が破綻することはなかった。

 

西京極ウェザー

両者にらみ合いが続いた前半途中から雨が降り始めた事により、流れがやや京都側に傾く。雨でボールが走るようになったため、大分のロングボールが流れる場面やパスミスが増えた。京都は普段から慣れているためか、雨によるミスはなく、大分のロストしたボールをシュートまで持ち込む場面が増えた。

大分も10分後には濡れたピッチに慣れ始め、ショートコーナーから姫野が意表を突いたシュートを放つと、続くCKから刀根亮輔の折り返しを鈴木義宜が合わすもゴールならず。

前半はボールを保持した京都だったが、決定機では大分が上回った前半はスコアレスのまま後半へ。

 

多少の誤算はあれど

後半頭から京都はメンバーチェンジ。エスクデロ競飛王を下げて望月嶺臣が入る。前半の競り合いで痛めたであろうエスクデロは大事を取ってか、ベンチに下げた。

後半のキックオフから大分が仕掛ける。前線からハイプレスをかけてショートカウンターからゴールに迫る。京都がしっかりと守ったため、5分ほどでまた落ち着いたゲームになった。

京都は、運動量のない闘莉王の補助のためにトップ下の2枚が高い位置を取ることができず、攻撃に停滞感が漂う。これを感じ取ってか、大分は63分に馬場→清本拓己を投入。縦へ速くプレーをして圧力をかける。

その交代と同じくらいから大分は姫野と宮阪のポジションを入れ替える。起点になれる宮阪を一列上げて攻勢を強めたかったのだろうが、プレスを受けた宮阪は上手く前線に配球ができず、姫野も動き過ぎにより、守備に穴を空ける場面が増えた。

京都はこれを見てか、69分にレンゾロペスを下げて、大野耀平を投入。それと共に4-4-2に変更。
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闘莉王をトップに置くことにより、前線のポイントを増やして相手を押し上げさせないことと、ダブルボランチにすることでカウンターのリスク管理をしたのだろう。

この変更により大分も修正。73分に姫野を下げて川西翔太を投入。縦の関係を諦め、横に並びなおすことで守備の安定と、ビルドアップの位置を明確にすることで先制点を奪って勝ち点3を目指すとメッセージ。

京都は80分にここまで全試合フル出場だった闘莉王を諦めて岩崎悠人を投入。大分も83分に林を下げて開幕戦以来の出場となる三平和司を投入。両チーム共に攻撃的なカードを切り、勝ち点3を目指すと、試合終了間際の88分にゲームが動く。サイドを上がっていた小屋松からボールを奪い、右サイドから川西→松本→川西→後藤と流れるようなパス回しから最後は清本が決めて終盤に大分が先制。

清本の2試合連続の途中出場からの得点で大分が4連勝と、昇格した2012年以来の京都戦の勝利を飾った。

 

京都の印象

「点が決まればなにかが変わる」と布部監督を始め選手も話していたが、点を取るためにどうするか?というのは曖昧なままゲームが終わった印象。

大分のゴールキックの際に、3バックにFWとサイドハーフをぶつけていたが、ボランチのケアまではしておらず、間を抜かれたり、中→外の展開はあれど、逆では手詰まり感が見受けられた。また、フィジカルで勝るが、速さで劣る選手がセンターラインに多く、大分の切り替えの早さに後手を踏む場面が多くあった。

「アンカー闘莉王」は高さと配球といったメリットはあれど、運動量がないため介護のためにトップ下の仙頭啓矢が下がる場面が多くあり、それならダブルボランチの方が上手くいくように思えた。

選手で印象に残ったのは右SBの石櫃洋祐。攻守でサボらないし、アーリークロスなど意表を突いたプレーも臨機応変にできる選手。攻撃で彼のクロスは武器になるが、中の動きがイマイチなのが気がかり。

ボランチがいない、点が取れないと問題点が多い京都。しかし、大分を相手にミスマッチを生かしたプレーをしようという意思は見えた。これをやり続けるしかないのか……。難しいトコロ。そろそろ布部監督の首がスースーしてきたのかもしれない。

 

自分たちの強みを生かす

この試合を終えて、首位と勝ち点1差の2位に躍り出た。そして、ハーフタイムには西京極の空には虹が。
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DAZNより引用

 

そして西京極と虹についてはこんなジンクスもあるようだ。

このジンクスを叶えるためにもここから連勝街道を突っ走っていきたいところ。
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【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第8節 京都サンガF.C. vs 大分トリニータ - YouTube