Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【日本代表】vsガーナ 3バック!やってみました!〈5/30 キリン杯〉

ブンブン!ハローユーチューブ!

今回は「日本代表、3バックやってみました!」です。どうせウイイレでしょ!って?違う違う!(ここで変顔)実際の!日本代表でやっちゃうんです!クーッ!

 

えー、にっちもさっちも行かなかった昨日の代表戦。感想としては3バックでどんな感じになるかが見られたことのみが収穫ではないか。「美は細部に宿る」なんてステキな言葉があるが、ホントは「神は細部に宿る」らしい。しかし、そんな細部を詰める段階に日本代表は入っているべきはずなのに、一度更地にしてしまった。そんなところに神など宿らない……そんな苦しい内容だった。

 

この日のメンバーは以下のように。

日本代表
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西野ジャパンの初陣は、3バックでスタート。吉田、槙野の間に長谷部が構え、右WBには原口。シャドウの位置に本田と宇佐美が入るなど、独自性がみてとれた。

 

ガーナ代表
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こちらは4-3-3のシステム。トップ下のトーマス・パーテイはアトレティコマドリード(ESP)でプレーする大型選手。数年前の鳥栖との親善試合でボールを刈り取りまくってパスをズバズバ通していたボランチが1列前で起用。トップにはレバンテ(ESP)でプレーするボアテングバルセロナの無敗記録を止めるハットトリックをして一躍有名に。

ボアテングってたくさんいる……

 

 

3バックは!攻撃的ですからねぇ!

実況が前半何度も話していたこのフレーズ。守備を4人→3人で少ない!攻撃に人数が割ける!みたいな理屈で話していたが、そんな超単純な算数なわけがない。日本の3バックに対してガーナは3トップをぶつけてパスコースを限定。逃げどころとして左右のWBが降りて5バックのような形に終始していた。

ハリルホジッチ前監督では、縦への速さを基盤に高い位置での守備の嵌め方や、ビルドアップのやり方など様々な試みがなされていたが、この日の代表の3バックでは、重心が後ろになりすぎて、実質は5バックの5-4-1でのプレーに終始していた。
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5バック気味でもやり方さえ上手く工夫すれば全く問題がないが、今の代表では選手の良さを消していた。

 

選手は距離感を意識してのプレーをして、ベタ引きにならないようにしていたが、そもそも守備の時には後ろに5人も置くのだから、なかなか全体の押し上げに苦労していた。ショートパスで繋ぐにしても、パスの受け手が低い位置なので、遅攻にしかならない。ロングボールで位置の回復を試みても、前線のターゲットは少なく、相手にすぐに回収されてしまう。そうなると、長い距離をドリブルで運ぶか、走ってボールを呼び込みDFラインを押し下げるかをしないといけないが、本田や宇佐美は長い距離を走れるタイプではないため、攻守の繋ぎ目が左右の長友と原口しかなかった。過労死認定モノだ。

 

日本の最初のチャンス。長友が左サイドの深くから大迫を狙ったクロスは、相手DFが下がりながらのプレーで守備の対応が難しい事もあるが、被カウンターのリスク回避のために早くクロスを上げた印象もあった。

 

ちぐはぐしていた前半の入りにFKを与えてしまい、パーテイに直接決められてしまう。そこから建て直しに時間がかかり、形が見えだしたのは前半の30分を過ぎたあたりからだった。

ボランチの位置を少し上げて、WBを持ち上げる。これにより高い位置を取るガーナのSBの背後をWBが取ることによりチャンスを創る事ができた。攻守の繋ぎ目の補強ができたため、単発ではない攻撃が見え始めた中で前半が終わる。

 

時間ばかりが過ぎる

後半に入り、日本は3人を入れ替える。

大迫、宇佐美、原口を下げて、武藤、香川、酒井高徳を投入。

前半の良い形を保ちつつ、WBからFWにワンタッチで繋ぐ場面も増えたことにより全体の押し上げに成功。ボックスの近くでプレーできたことにより、香川も生きるようになった。

しかし、相手のゴールキックから前線にボールが行くと、PA内で川島が相手を倒してしまいPKに。これをボアテングに決められて0-2に。

日本は59分から本田、山口を下げて岡崎、柴崎を投入。香川をトップ下に置いた3-5-2へと変更。
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76分には長谷部→井手口で4バックに。
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様々な形を試した代表だったが、有効な攻め手は見つからないまま時計の針ばかりが進み、試合終了。メンバー発表を翌日に控えたゲームの収穫はなにもなく、ネガティブな疑問ばかりが浮き彫りになるものとなった。

 

適材適所とは程遠く

ハリルホジッチ監督を解任して、選手の経験にしか拠り所がない代表だが、西野監督の選手起用には多くの疑問があった。

 

なぜ3バックだったのか。

長谷部をCBに置いて、吉田と槙野がフリーマンとして高い位置取りをすることで起点を作ろうとしていたが、そこで起点になる配球をする場面が乏しかった。ボランチも、ボールを積極的に刈り取るタイプの山口はほぼゲームから消えていた。ボランチは怪我で離脱した青山のような長短織り混ぜたパスができる選手が好ましく思えた。選手の良さを消して、チームとして機能しない。それならばせめて選手の良さ、個性が生きるように出来ないのか……

 

原口のWB起用について

これもよくわからない。前線にいるからこそ、あのスプリントや球際の強さが生きる選手なのに、サイドで守備に追いやっては凡庸な選手になってしまう。また、もともと攻撃的な選手なため、ポジション取りが高く、3バックの脇のスペースを狙われる場面が多々あった。

 

香川のSH起用

香川が「10番」としての良さが生きるのはゴールに近い位置だ。この日も後半から投入されて最初の場面でのペナルティエリア内での仕掛けは他の選手にない大きな武器だ。しかし、後半30分過ぎのフォーメーションの変更によりサイドに追いやられると、味方との距離も遠く、1人剥がしてクロスしかできていなかった。切羽詰まって、前線に放り込む場面の想定するのならば、それこそ3バックでシャドウの2枚がハイプレスを仕掛けて押し上げるべきではないか?

 

結果として、3-4-2-1では重心が下がりすぎること、今までの4-2-1-3を捨ててまでも採用するに値しないし、それができるメンバーではないことがわかった。今の人選のまま3バックでワールドカップに挑むなら、それこそ南アフリカ大会より守備的で攻撃の糸口がない最悪の形になってしまう気がしてならない。

 

自由人、ケイスケ・ホンダ

あまり名指しでの批判はしたくないが、この日の本田はチームにとって異物でしかなく、「チームよりも自分」といったプレーが多くあった。

 

まずは守備のタスクを全うできない。

3-4-2-1の「2」にあたるシャドウの位置の選手は守備の際に、以下のように相手のSBをマークしなければならない。 
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しかし、実際は対面する左SBをフリーにしていたため、原口が前に上がってチェックをするか、カットインをされないために山口がサイドに出る必要がある。
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するとどうなるか。原口が上がってチェックをすれば、3バックの脇にボールを入れられて、日本がボールサイドにスライドしている間に中の相手選手がフリーになってしまう。

山口がサイドに出ると、中を開ける事になるので、トップ下のパーテイが自由にボールが受けやすくなるというジレンマ。

本田が守備をしないと、ズレが生じてしまい失点の素になってしまう。原口や山口が1.5人を見るのはどうしても無理があるのだ。

 

守備を「しない」と上では書いたが、実際には守備が「できない」のではないか、とも感じる。攻撃ではペナルティエリアの近くでプレーをし、守備ではサイドまで動いてフタをする。このタスクをこなすには体力とスプリント回数がどうしても必要になるが、足も速くない、スプリントも少ない本田にこれを求めるのは筋違いかもしれない。ここは起用した西野監督に非があるだろう。

本田自身もそれを感じていたようで、守備から攻撃に転じる際に違いを見せようとしていたようだ。守備をしないかわりに、前線で相手CBとSBの間で構えて、ロングカウンターを受ける準備をしていた。これを90分続けてできれば1~2度はチャンスがあるかもしれないが、途中でこれもやめてしまう。

闇雲にボールサイドに寄って、逆サイドまでうろちょろしてボールに関与できない。ふら~っと中盤まで降りてたまたまカウンターになりボールを受けるも、足下に入りすぎて相手にカットされるなど、守備の穴をより広げ、チャンスをより潰していた。自由人、ケイスケ・ホンダ。本当に彼はプロフェッショナルなのだろうか?
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来るW杯に向けて

この試合の終了の笛とともに、ブーイングが響いた。消極的でちぐはぐな内容に終始したゲームに対してもそうだが、日本サッカー協会の判断に対してのものだろう。

我らの川平慈英も怒ってる。ムムッ!流石にW杯1ヶ月前を過ぎてノー問題です!なんて到底言える内容ではない。この虚しさを抱えたまま迎えるW杯に夢はあるのか。希望はあるのか。

 

本日発表されたロシアワールドカップ最終メンバー23人。 不安が期待を大きく上回る中で選手たちがどう戦っていくのか。そこにこれからの未来を見出だしたい。