Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs千葉(A) 背後を突いて〈J2 第38節〉

運動の秋!ハイラインを引く千葉のDFは裏抜けマシーン藤本と楽しくかけっこ!みたいな試合。

何言ってるかわからないと思うけど、実際にそんな試合だった。この時期になんてサッカーをしてるんだ……ってのを見せられた。しかし、大分はそんな相手に付き合う事なく、大の苦手な千葉を粉砕。

 

この日のメンバーは以下のように

ジェフユナイテッド千葉

f:id:west242447:20181025152622j:image

予想は4-2-3-1だったが、実際は小島秀仁が2列目に入った4-1-2-3。それまではロドリゲスと佐藤優也がおよそ半分ずつスタメンをしていたが、9月からGKの大野哲煥が先発。怪我人が多発!というわけではないのにシーズンで3人のGKが出場と珍しいことに。

この日の結果次第でJ1参入PO圏内の6位以下になる可能性がある大事な試合に。

 

大分トリニータ
f:id:west242447:20181025153240j:image

前節は天王山を落とした大分も、これ以上の取りこぼしは許されない。

先発の3トップを総入れ替え。シャドウに入った國分伸太郎は第24節の栃木戦以来の出場となった。

 

ドタドタ、バタバタ

リーグ1位の67点を叩き出している大分と、65点でリーグ2位の千葉の戦いは、バタバタした入りに。

開始27秒でキックオフから鈴木義宜が前線にクリアしたボールを千葉DFが見送り、GKの大野がPAの外から中に入ってボールを取ろうとしているところで三平和司が押し込んで先制。

試合前に姫野宥弥から「ワンチャンアルデ」と言われていた予言が当たった。

 

珍しすぎる形で先制した大分だったが、その後は千葉のハイプレスに晒されてビルドアップがしにくい状態になると、11分。ゴールキックで高木駿から福森直也にボールを渡すが、少し浮いてしまい処理を誤る。慌てた福森は高木に戻すが指宿洋史がプレス。こぼれ球を町田也真人が奪いシュートを放つとこれが決まり、両チームとも全く崩しの形を見せないまま11分で2点も生まれるという世にも奇妙なゲームになった。

 

そこからもハイプレスでイケイケの千葉、それに慌ててバタつく大分、プレスを大分が外すとカウンターでバタつく千葉、というドタバタした、落ち着きの無いゲームは続く。

16分には矢田旭がドリブルでボックス内に入りキックフェイントでDFを剥がしてシュートに持ち込もうとした所で福森がクリア。中盤を大きく越えたボールは千葉のハイラインの裏に転がり、裏抜けをした藤本憲明が独走からGKを交わしてゴール。再びリードを奪った。

 

この日の千葉の大分対策は3トップが3バックに積極的にプレス、大分のWBを千葉のSB、ボランチにトップ下が付いて……とフルコートでハイプレスを仕掛けるための4-1-2-3の配置にしたのだろう。

f:id:west242447:20181025160116j:image

高い位置でプレスを仕掛け、奪ってショートカウンター!として、大分のパスの出し手、受け手両方にフタをしてきた。

しかし、大分のビルドアップではGKの高木も積極的にパス回しに関与するため、中央の指宿は鈴木だけでなく高木にもプレスをかけないといけない。

f:id:west242447:20181025160522j:image
どちらかにつけばどちらかが空くことはわかりきっているが、こうなったときの策を千葉は持ち合わせていなかった。

指宿が高木に寄せて、船山貴之下平匠が1つずつスライドして寄せるが、大分は中央に3枚いるため、近藤直也はゴールに近い中央を締めるのを優先しないといけないため大分のWB(この場合は松本怜)がフリーに。

f:id:west242447:20181025161152j:image

すると大分の速攻を遅らせるために中盤の選手はボールサイドにスライドしていくが、逆サイドの大外がフリーに。シャドウの選手がサイドに流れるだけでCBは簡単に釣り出されてしまうし、大分が攻めるだけのスペースも広大だ。守備をする千葉からするとその広すぎるスペースで3人で大分の4選手を捕まえないといけないためどうしても無理が生じてしまう。

f:id:west242447:20181025164550j:image

守備時のケアをしないといけないため上がれないアンカー、中央突破をされないようにするためマークを放す事ができないCB、広大なスペース。千葉の「第1の網」がかからなかったときの対策、リスク管理は全くといって良いほどなかった。

また、左右に揺さぶられてマークする人がスライドによって複数回入れ替わり、下がりながらの守備で千葉のDFはどうしてもボールウォッチャーとなってしまう。これでは守備は野ざらしと言っても差し支えないだろう。なんだこれ……

 

この構造的な欠陥を突いて大分は少ないタッチでボールを回し、37分には國分からサイドに流れた藤本のグラウンダーのクロスに三平が合わせて2点差に。GKを加えたビルドでプレスにズレを生じさせ、WBをフリーに。敵陣に入ってからも相手の背後を連続して突いての得点。まさに狙い通りだった。

 

43分にはまたしてもペナルティエリアの外で足下でボールを処理しようとした大野。藤本に身体を入れるも交わされてボールを奪われるとまさかのボックスの外でハンド!決定機阻止で退場も有り得たが、角度がなかったこと、中にDFが居たことから得点になる可能性は少ないとして警告で済んだ。もしこの軽率なプレーで千葉に退場者が出ていたらハイライン、ハイプレスがどうなったのかは見ることはできなかった。

 

落ち着かせて締める

後半に入り、千葉は指宿→為田大貴

f:id:west242447:20181025170626j:image

為田は左サイドに入り、船山が中央にポジションチェンジ。

大分は5-4-1でスペースを埋めてブロックを築き、2ラインの間で千葉の選手を捕まえる守備へ。なかなかチャンスは作れなかったが、相手にボールを持たせればハイプレスに晒される事はないので、ゲームを落ち着かせる事ができた。

その後大分は52分に三平→伊佐耕平、千葉は63分に小島→茶島雄介、71分に町田→ラリベイとお互い攻撃的なカードを切る。

攻めあぐねる千葉は締められた2ラインからボールを引き出しに下がってくるが、入れ替わって中を突く動きは全くなかったため大分のブロックの前でボールをぐるぐる回すのみ。71分からはなぜかダブルボランチに変更とちぐはぐな采配も響いた。

f:id:west242447:20181025171526j:image

80分にはじわじわと高くなった千葉DFの背後を突いて3バックの一角を務める岩田智輝が右サイドを駆け上がり、ボールを残してハーフスペースに侵入した伊佐へパス。伊佐は逆サイドでフリーの星雄次に低く速いクロスを送ると、星が冷静に押し込んで4点目。

その後、アディッショナルタイムに素早いリスタートで背後を取られ矢田のクロスをラリベイに押し込まれるも4-2で勝利を手にした。

 

千葉の印象

そもそもの策が欠陥だらけで、ハイプレス、ハイラインの裏を取れば簡単に失点。加えてGKの信じられないミスが2回もあったらそりゃ勝てないよ……と言いたくなる内容。これで可能性が僅かにあったPO進出もなくなる呆気なさ。

前節は勝利したものの、サポーターが居残りをしてクラブからこんな声明が出されたり、試合前にはこんなツイート

が流れていたりとゴタゴタしていた様子。

監督はほぼ無策、選手は連動性を欠き、サポーターは見えない未来に憤慨する。みんなどこか他人事のように感じた。チームに「ユナイテッド」と名があり、「WIN BY ALL」と掲げているがここまでバラバラだと最早皮肉でしかない。どうしたもんかね。

全てはマッドなサッカーモドキで昨期終盤に怒涛の7連勝でPOに滑り込んだ幻想の再現を夢見るフロントと、対戦相手の対策ができない、ボールを持っても策がないサッカーを1年通して続けているエスナイデル監督が元凶ではないか?このままではとても悲しい。

 

大一番を前に

初対戦から通算34回目の対戦でやっとのことで千葉にシーズンダブルを合計8-2という大差でやってのけた大分。とても感慨深いと思ったが、それ以上に千葉が弱かったなぁ……と感じるのはちょっと欲張りかもしれない。しかし、町田との天王山を落としたことを引きずらずに天敵から勝ち点3を奪えたのはとても大きい。西京極で虹を見て、千葉にシーズンダブル。これでJ2の御祓は済んだはず。直接対決で反町さんを泣かせてJ1まで突っ走ってほしい。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第38節 ジェフユナイテッド千葉 vs 大分トリニータ - YouTube