Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs水戸(A) 鬼門撃破!〈J2 第35節〉

K'sスタ。なーんかいつも忘れがちにはなるが、いつの間にか負けている事が多い。通算1勝1分4敗とやっぱり勝ててない。まさに鬼門。

そんな大分だったが、フラグクラッシャー片野坂監督が浅田飴の力も借りつつ?勝利した。

 

この日のメンバーは以下のように。

水戸ホーリーホック
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仙台からレンタル加入の茂木駿佑が右SHに入り、逆サイドには大分にも在籍した木村祐志。見た目が厳つすぎて23歳にみえないジェフェルソン バイアーノが前線に。

念願だったJ1ライセンス取得後初の試合となり、気合い入ってるかも……

 

大分トリニータ
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前期での対戦で実に6年ぶりに!水戸に勝利した大分。前田凌佑が久々に先発し、3センターなのか3-4-2-1なのかが分かりにくい形に。スタートでのポジションでなんとなく3-4-2-1っぽい雰囲気だった。

最近はこの2パターンをうまく使い分けて後出しじゃんけんができるようになった。

 

試合前に鈴木義宜キャプテンがフェアプレー宣言。マイクが入らずにちょっと焦るもはにかむキャプテン。かわいい。

 

サイドの裏を攻略

前半開始から、水戸はサイドを圧縮してハイプレス。大分のビルドアップを邪魔しながら、攻め込まれると伊藤涼太郎が下がった4-4-1-1でセットをしての守備。とオーソドックスな前と後ろで守備のやり方を変えていた。

それに対して大分は、ビルドアップの形を変えて、相手のサイドの裏の攻略を目指し、それが上手くハマった。

この日の大分は、GKの高木駿がビルドアップに参加は積極的にはせず、丸谷拓也が1列落ちての組み立てをした。それに伴い前田、三平和司が1列ずつ下がり、左右のWBに高い位置を取らせた4-1-2-3のような形に。

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守備では浅い位置ではボールサイドに寄った4-4-2気味、

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(大分が左サイドで取られたら三平が、右サイドでは小手川が伊佐と横並びに近い位置でボールの即時回収を狙う。逆サイドのシャドウは下がってリスク管理を行う)

 

深い位置では5-4-1でセットをして弾く事をしていく。

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この変形の意図として、相手のSBの攻撃参加の阻止が挙げられる。

水戸の攻撃は、4-4-2を採用しているので2トップと両サイド+1枚の5人で幅を取っていく必要がある。水戸ボランチが上がってくれば、カウンターから中央を崩す事を比較的得意とする大分は、サイドの攻撃参加を阻止して機能不全に陥らせることを試みた。特に、左サイドのジエゴは攻撃での推進力があるだけでなくロングスローもあるため、ジエゴを守備に追い込む事で、水戸の縦の圧縮を分断して、間延びを起こさせてスペースを突く事をしていた。

 

このサイドの攻略がハマり、水戸のハイプレスは徐々に影を潜めだした35分に得点が動く。

右サイドのCK。キッカーは松本怜が左足で入れる……と見せかけてショートコーナーですねーわかりますわかります、と思っていたら松本は素直に左足でセンタリング。一度は跳ね返されるが、セカンドボールを前田が拾い、PA内の三平へ。三平は角度のないところから折り返すと、DFの足に当たって浮き球になった所を伊佐が頭で押し込んでゴール。伊佐の14節、岐阜戦以来4ヶ月ぶりとなる今季4点目は貴重な先制点だった。

前半は終始圧倒した大分。40分には浅田飴を2粒口に入れる片野坂監督が見れたりと「今日、なんかいけるんじゃね……?」な雰囲気で折り返す。

 

逆襲の水戸

そんな甘くない戦国J2はやっぱりそんな余裕で勝てるなんて事もなく、水戸の逆襲によって展開は大きく変わる。

(そういえばホームで水戸に同じような雰囲気から大逆転負けをした覚えが……ウッ)

 

水戸の後半での修正は、押し込まれたジエゴに高い位置まで上がりやすいように、それまでのヨコの圧縮からタテの圧縮へと変えた。

タテの圧縮はハイラインになりやすく、裏に広大なスペースができるため、どこからインテンシティを上げるかが問題になるが、大分がビルドアップでDFからミドルサードにいる味方に縦パスが入った時にグッと強度を強めて大分のパスの受け手に前を向かせなかった。

ビルドアップが上手くいかない大分は、DFラインからシンプルに背後を狙うが、両サイドは中盤ほどに居るため三平、伊佐をターゲットマンにするがなかなかボールが収まらずに攻め手を失ってしまう。チームの重心が下がった大分を水戸が押し込み、木村があわや!という絶妙な巻いたシュートを放つが高木駿がファインセーブ。時間と共に水戸から得点の匂いが漂ってくる。

この状況を踏まえてか、63分に水戸が2枚替え。バイアーノと木村を下げて夏に加入したバティスタと、怪我から2ヶ月ぶりに復帰した黒川淳史が入る。

前線に192㎝の長身FWのバティスタを入れてのポストプレーで大分を押し下げ、より動けるタイプの黒川を入れる事で質を保ちつつも数を増やすことを狙っていたようだ。

押し込まれて窒素気味の大分は、69分に三平から裏抜けマシーン藤本憲明を入れてDFラインを押し下げたいという気持ちは伝わった。

しかし大分は、5-4-1でセットをして弾く事と、中盤のスライドをして4-4-2でコンパクトに守っていくのかが曖昧で、なかなかプレスがハマらずにジエゴもフリーにしてしまい、そこを起点にバティスタに当ててから展開と水戸に押し込まれる時間が続く。

75分にはバティスタの背後を茂木が使いシュートも高木がまたまたビッグセーブで凌ぐ。

その2分後に大分は前田から馬場賢治を投入。3-1-4-2を基軸にもう一度整理をしようとしていたと思われる。

馬場の投入でゲームが落ち着きだした80分。相手のパスミスを伊佐が見逃さずにゴール前へ。藤本は伊佐とスイッチをして冷静にGKの逆を突いて追加点。淡白なゴールパフォーマンスはストライカーっぽくて痺れた。ノッてる男は違う!

その後は5-3-2の守備をする大分と、3センターの脇をSBが上手く使った水戸、という構図で攻め込まれるが失点はせず。アディッショナルタイムに浜崎拓磨のCKをジエゴに決められてクリーンシートとはならなかったが逃げ切った大分。これで今季2度目の4連勝となった。

 

水戸の印象

前半とはガラリと変わって攻勢に出た水戸。やっぱり策を持ってて変化をつけられる監督同士の戦いは見応えがあった。

前線、特に2列目の選手はそれぞれ特徴が違い、相手によって狙いを持ってゲームに臨める。黒川の復帰は大きいと感じた。

選手ではやはりジエゴ。大分が一番気にしていただけあって、縦への推進力とテクニック、飛び道具のロングスローと多彩だなぁという印象。最後の得点では打点の高さも見せており、やられた……と感じた。そこに運動量のある2列目、高さと強さのある外国人FWとバラエティーに富んだ選手層。怪我さえなければもっと上位に絡めただろう。

そして、初のJ1ライセンス取得。本間幸司と共にJ1を目指していくのはステキだなと。報われてほしい。

 

積み上げと成長

この試合で感じたのは、残り試合が少なくなるにつれて、チームとしての戦術的な積み上げに選手の成長がたくさん見てとれた。この日久々にスタメン起用となった前田は3センターとアンカーを共にこなしたり、馬場はシャドウと3センター、伊佐はトップとシャドウ、岩田はストッパーとシャドウなど、1stポジションに加えて1つは別のポジションで違和感なくプレーができてきた。GKの高木やDFラインはポジションの変化こそ少ないが、それぞれの細かい技術やコントロールが上がり、安定感が増してきた。

この積み上げに結果がついてきて4連勝。伊佐は久々に得点とそれぞれの頑張りが報われているのをみると嬉しいし、もっと上の舞台でみたいな、と願うばかり。

川西翔太や後藤優介、林容平など特に前目の選手もそういった1stポジション以外での挑戦をしていると思われる。残り試合は7試合。大分は30人全員でJ2の頂を目指していく。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第35節 水戸ホーリーホック vs 大分トリニータ - YouTube