Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs山口(H) 共に狙いをもって〈J2 第15節〉

J2はもう15節。でもまだ15節。J2で一足早く勝ち点を大台の30に乗せた大分は、勝ち点3差で2位の山口との対戦。互いに狙いをもったゲームは、締まったものとなった。

 

この日のメンバーは以下のように

大分トリニータ
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前節の4バックから3バックに戻した大分。3バックの右に黄誠秀がスタメンに入る。

星は古巣山口とはじめての対戦になった。

 

レノファ山口FC
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前節のヴェルディ戦は0-2の71分から得点を重ねて、4-3で勝利。そんな前節から2人の入れ替え。契約上出場できなかった高木大輔が戻り、大﨑淳矢もスタメンに。

 

相手の形に惑わされずに

試合は、どちらが主導権を掴むかわからない状況の中、大分が幸先よく先制をする。

丸谷からサイドの松本にパスを送るが、ボールが伸びてしまう。これを渡辺広大が頭で触り、コーナーキックを獲得。宮阪はニアに低いボールを入れると、馬場が右足でワンタッチ。DFにあたり微妙に角度が変わり、ファーサイドのネットに吸い込まれて先制。

前半の大分は、山口の4-1-2-3の対策をほぼ完璧に出来ていたと感じた。 山口の特徴は、守備の際に2枚のトップ下(シャドウ)を前後に動かして大﨑とオナイウ阿道が2トップ、池上丈二と三幸秀稔がダブルボランチになって4-4-2を形成。
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対大分戦の工夫として3バックに3トップをぶつけて、大﨑がボランチのケアをしつつも基本的にはこの形で守っていたように思われる。特徴的だったのが、GKの高木とDFラインでのパス回し。鈴木をオナイウがマークして降りてくる宮坂を大﨑が見る。しかし宮阪はいつもDFラインに戻るわけではないため、そこでの駆け引きが多くあった。

大分は中盤までフリックなどを使い、マークを剥がすと、そこから大きくサイドへ展開。相手DFの裏をWBの松本と星が積極的に狙い、ソンスと福森がサポートをする。

山口は前から嵌める事を狙いにしつつも、サイドの浅い位置からのクロスや、アンカーの三幸のロングボールも使い、チャンスを伺う。これに対して大分は後ろに5枚並べての守備を基本としていたので、跳ね返す事を意識してチャンスを作らせない。それでも三幸のロングパスからオナイウのとんでもトラップで前を向いたり、裏抜けをされてあわやPKという場面もあったりと、緊張感のあるまま前半を終える。

 

網の目を拡げられて

リードしつつもどこか落ち着かない前半を終えて、後半が始まってすぐの47分に試合は振り出しに戻る。右サイドで池上が粘り、ボールを残すと、小野瀬康介がサイドからカットイン。ゴール前で待つオナイウにパスを送るとワンタッチでこれを決めて同点に。オナイウはリーグで一番乗りの10得点目となった。

しかし、ここで尻込みをしないのが今季の大分。 失点から6分後の53分。左サイドの低い位置でボールを奪うと、星からのリターンパスを後藤を中継して逆サイドの松本へ。松本のマイナスのクロスを後藤は触れなかったが、長い距離を走っていた馬場がダイレクトでシュート。これがポストに当たってゴール。再びリードを奪う。

リードをした直後に大分は馬場と林を下げて、清本と伊佐を投入。もう1点取るぞというメッセージか。

山口も64分に2枚替え。大﨑と鳥養祐也を下げて高橋壱晟と岸田和人を投入。前線の枚数を増やしてフォーメーションを弄ってきた。
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DFを1枚削り、2トップに。三幸の前に4枚を並べた3-1-4-2としたことにより、カウンターを受けると数的不利に陥りやすくなるが、前から仕掛けるのを明確にして押し込むことを優先した。大分の5バックに対して6人をぶつける事で大分DFは多少の混乱が起きた。5人でブロックを作っているのに1人はフリーになる。マークにつけばDFラインに6人も並ぶ事になり、より押し込まれてしまう……

そんな状態になっているうちに同点とされてしまう。クロスは弾くかれたが、ペナルティエリアの外から高木大輔ミドルシュート。これが左角に決まり再び同点に。

その後も一進一退の攻防が続くが試合終了。2-2の痛み分けとなった。

 

山口の印象

選手ではやはり、小野瀬康介高木大輔オナイウ阿道の前線のトリデンテが印象に残った。これまでリーグ戦27点のうち19点を叩き出しており、この日もオナイウと高木が得点をして強烈だった。だが、それよりも印象に残ったのはトップ下の一角に入った池上丈二だ。大阪体育大時代にもプレーを観たことがあるが、セットプレーのキッカーとしてだけでなく、攻守の繋ぎ役としての役割が上手い。この日も三幸の組み立てをサポートしたり、サイドのサポートをしたりとリンクマンとして非常に効いていた。彼にについてはジェイさんのnoteで熱く語られているので是非。

チームとしては特に攻撃で渋滞が起こらないようにプレーエリアをある程度決めていたように思われる。高木、小野瀬はサイドで張って、オナイウは真ん中。その間をシャドウが埋めての前線5人のため、数的には同数、もしくは勝っているがポジション取りを味方どうしで行い結果として渋滞が起きるチームが多い中、ここまで整理できているチームは少ないのではないか?

また、前から仕掛けるのがハマると一気に来る山口。この勢いは脅威だし、これを実行できる走力やポジションの整理など、細かいところも詰めている好チームだな、と感じた。

 

難しいゲーム

両チーム共にリーグトップの得点数を誇る天王山は、互いに2点を奪い、さらに点を取る意識をした攻撃的なゲームとなった。そこにはDFのリスク管理や中盤のケアや組み立てなど、攻撃の為の下支えがあった。両チーム共にここのバランスを最後まで保ち続けた事が結果として「難しい」ゲームになった要因だと考える。互いに「勝てた」「いや、やられていた」など賛否が別れるのはそれだけ拮抗していたからこその意見だろう。

しかし、先手を取り続けたのは大分。課題のセットプレーから得点が生まれ、ポストを叩く惜しいシーンもあるなど改善されつつある。また、強力な3トップに対して、これまであまり出場のなかった黄誠秀が成長した姿でスタメン出場をし、フルで闘えた事は好材料。これからも「30人」で頂を目指す。この積み重ねは必ず終盤戦に役立つはずだ。

 

【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第15節 大分トリニータ vs レノファ山口FC - YouTube