Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【日本代表】vsスイス 自分たちの"壁ドン"サッカー〈国際親善試合〉

W杯初戦のコロンビア戦まであと2試合。FIFAランク6位のスイスと対戦をしたが、ゴール前では"壁ドン"続きにエースの介護で全くサッカーですらなかった。クーデターを起こしてこの内容、この結果では到底納得はできないが、もう、どうしようもない。虚しさだけが残る90分であった。

 

この日のメンバー

日本代表
f:id:west242447:20180611001404j:image

ちぐはぐだった3バックをやめて4年前は慣れ親しんでいた4-2-3-1を採用。先発メンバーはシステム変更により山口蛍が外れ、かわりに酒井高徳が入った。

 

スイス代表
f:id:west242447:20180611001613j:image

こちらも4-2-3-1。W杯初戦の相手がブラジルということもあり、結構本気でどれくらいできるかのテストとしての日本戦だったはずだが、練習にすらならなかったようだ。ごめん。

右SBのリヒトシュタイナーはこの日が代表100試合目。

 

30分間のみのサッカー

前半のスイスはボールを持つと、ボランチの11番ベーラミが下がりSBに高い位置を取らせると共に、8番のフロイラーが連動して下がり、長谷部を釣り出してスペースを創る。長谷部が出てきたらそのウラを狙う意図を持っていた。また、日本のボランチに激しくデュエルを仕掛けて中を締めると共にショートカウンターを狙っていた。

一方の日本は1トップの大迫と2列目の宇佐美、本田、原口が流動的に動き相手に的を絞らせないようにする。守備では前から積極的にプレスにいくが、連動した動きは皆無であった。それが顕著だったのは、スイスのボランチに対してのプレスであった。本田はコースは切るがボディコンタクトは一切なし。左右の宇佐美、原口もボランチにプレスをかけてがら空きのサイドに回される。どこで奪うかがハッキリしないため、守備陣は撤退しかなく、サイドに回ったボールをSBが飛び出してそのウラを取られる無限地獄だった。

無計画な前線からのプレスは明らかにオーバーペースで、30分過ぎには運動量が下がり、11人全員が自陣に撤退することでしか守備の強度をあげることができなかった。自陣に撤退をしていざボールを奪ってロングカウンターでも、浅野のような裏抜けのスペシャリストがいるわけでもなし、すでに体力を使いきっており走れないのでボールを回収されて再び守備を繰り返す。38分にはその前のプレーで接触があった大迫が座り込み40分に武藤と交代。自陣に押し込まれたまま、その直後にサイドから仕掛けたエンボロがペナルティエリア内で吉田に倒されてPK。これをしっかりロドリゲスに決められて先制を許す。そのまま攻め手を欠いたまま前半を終える。

 

単調に次ぐ単調

 30分でガス欠を起こした日本代表。ハーフタイムで多少の体力の回復はできただろうが、相変わらず前線からのコースの限定ができない。56分に宇佐美と酒井高徳を下げて乾と酒井宏樹を投入するも守備の改善はなし。相手にズレを作られてサイドに吉田を釣り出せば中で長友がミスマッチを作られる苦しい展開。74分には川島のスローがシャキリにカットされてループシュート。これは枠に飛ばなかったが致命的なミスになりかけた。

60分に大島→柴崎、75分に本田を下げて香川を投入する。相手がゲームを流してプレーをして、プレスが緩くなってやっとボールを保持できるようになった。両SBを押し上げて相手陣にてボールは持てども相手DFの前でしかプレーができずに、守備陣に対応されたりパスミスを奪われてカウンターなど単調なプレーに終始した日本。その後は日本のCKからカウンターをドルミッチに決められて0-2で敗戦となった。

 

プロフェッショナルの介護

前回のガーナ戦で3-4-2-1の守備の穴になり続けた本田圭佑。この日は"得意"の4-2-3-1で2列目の真ん中でプレー。しかし、この日の本田もタメを作る事で攻撃で多少のアクセントにはなったが、やはり守備では負担になり続けた。

前半30分まで"飛ばした"日本。選手たちの距離感が近く、ポジショニングも流動的。これが90分フルでできれば世界をアッと驚かせる事ができるだろうが、強度の問題と稚拙な守備により脆くも崩れた。そしてその中心にいたのは本田だった。

前線で起こったカオスの中心は本田。彼が10番として中盤を自由に動くことによりできた歪みは、守備の大きな負担になりチームメイトの足を止めさせる枷になっていた。本田が自由に動けば動くほど、左右の人数の偏りは激しくなり、次第に2列目の3選手は中へ中へと渋滞を起こしてボールロストを繰り返す。カウンターから本田のいないサイドにボールが渡る事があっても、本人の走力、体力が原因でサポートに行けずに攻撃に厚みを持たせることができないし、守備ではボールホルダーの前に立つだけの"アリバイ守備"に終止し、1対1でデュエルもできず、パスコースの限定もできない。本田は無回転芸人であって中村俊輔のようなスペシャルなフリーキッカーではないし、香川のように狭いスペースでの打開や、相手の背後を取るアイデアもアジリティもない。むしろ何ができるのだろうか本当にわからない。

そんな彼にFWと左右の2人の3人がかりで介護をつけて良い形で攻撃に繋げることは不可能だ。11人の組織の中で攻撃のタスクを握る中盤の真ん中でなにもしない、できないのだから異物と言う他ない。これでピッチ内で監督のように振る舞う王様っぷりは本当に不快でしかなかった。なぜ代表に選ばれているのかを「結果」で示してもらうほかない。

本田についてはこちらでも指摘があるのでそれも良ければご覧下さい。

 

それ、本気で言ってます?

 この試合のハーフタイムに、JFA会長の田嶋幸三が出演。前半の感想を聞かれ「やりたい形が見えた」「DFも中盤もコンパクトで意図が伝わる」「忌憚ない意見を言い合っている」と妄言に終始した。

「やりたい形」の意図は全く見えないし、「中盤もDFもコンパクト」にベタ引きをして攻撃に転じる事もできないし意図があるなら教えてほしい。そんな中で「忌憚ない意見を言い合っている」のは一部の権力を握った選手達が一方的に要求をしていることではないかと勘繰られても仕方がない。

【閲覧注意】
f:id:west242447:20180611024726j:image

また試合後に西野監督は「形はできている」「ゴールが足りなかった」「中が閉じられていて変化がないと厳しい」と能天気な事ばかり述べていた。テストマッチは残り1試合。何を話しているのだろう。

ゴールするための手段も意図もなにも見えないし感じられない。11人がサッカー未満の意図のない球蹴りを見せられて「形はできた」ってもうアホかと。本番前で無能がたくさんしゃべっても結果が出ない、出る雰囲気もない地獄を見せられても我々は白けるだけだ。

 

それでも本番はやってくる

クソみたいな単調で意図の全く見えない試合をW杯直前に見せられて大変腹立たしいが、それでもコロンビア戦はすぐに始まるし、腹は減るし、いずれ田嶋も死ぬ。"奇跡"を待つしかない虚しさを抱えながら。