Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【日本代表】vsパラグアイ 組織は見えたが……〈国際親善試合 〉

ワールドカップ前最後の調整となったパラグアイ戦。日本代表は「らしさ」を見せることができたが、守備がハッキリしないままワールドカップを迎える結果になった。

 

この日のメンバーは以下のように。

日本代表
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前回と同じ4-2-3-1を採用。メンバーは酒井高徳以外は全員入れ替え。酒井高徳も逆サイドの左SBで起用された。

 

パラグアイ代表
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こちらも4-2-3-1を採用。この試合でGKのビジャールは代表引退試合となった。2010年の南アフリカ大会で対戦した時のGKであった。お疲れさまでした。

 

"香川システム"が機能

前半から日本は相手のMFとDFの間やDFラインの裏を狙うシーンが多く見られた。

中盤の底から柴崎がクサビのパスを多く入れ、2列目で受けた選手がターンやワンツーをして相手に後手を踏ませる。狭いバイタルエリアでフリックやターンができる香川を中心に攻撃の形を作る。

攻撃のスイッチの役割を果たした柴崎だったが、シーンによっては中盤でパスコースがなく、バックパスしかない状況でパラグアイの前線から激しくチェックを受けて数的不利になる場面も数度あり、ビルドアップのサポートはまだ課題があるように見受けられた。

それでも、日本はボールサイドに1トップと2列目の3人が寄り、空いた逆サイドのスペースをSBが上がった3-2-4-1や、ボランチが1列上がり4-1-4-1のような形にして狭いスペースでパス回しをして行く事と、ボールを奪われてもすぐに取り返す事を意識していた。

左サイドで組み立てる時は逆サイドの遠藤が2列目の一角に入り、幅を持たせる。
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ボールを奪われても前から仕掛けていく。

相手CBが岡崎からボールを奪い、手薄な日本の右SBのウラを狙うが、前からプレスをかけてそのスペースにいい形でボールが行かないようにする。
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相手に素早いカウンターをさせないようにしていたこの形が機能していた。狭いスペースで人数をかける事で狭いスペースで局面を打開できる香川が生きやすく、プレスの連動ができるようになっていた。

しかし、32分にスローインの流れからオスカルロメロにボレーシュートを決められて先制を許す。

その後39分に柴崎のFKがクロスバーをかすめるなどあったがスコアは動かず0-1で前半を終える。

 

守備の形を模索した後半

 後半に入り日本は東口、遠藤を下げて中村と酒井宏樹を投入。これで日本は代表メンバー23人全員がプレーすることとなった。

51分に香川がDFラインとMFの間に動きワンタッチで乾にパス。乾はカットインから巻いたシュートを放つとゴールに吸い込まれ同点に。3試合目にして嬉しい初ゴールとなった。

 

ボールが落ち着いた後半、日本は守備の形を変更した。

ガーナ戦で試した3バックのような形で守備を行い、酒井宏樹が内側に入り武藤がサイドを守るような形に。
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 相手を引き込んで、カウンターの場面を作る意図があったようだ。55分には香川が裏に抜け出してペナルティエリア内に入るもシュートまでは持ち込めず。

63分にパラグアイのSBの裏で武藤がボールを受けると、CBが武藤のチェックへ。これにより内側でズレができ、武藤から香川へパスをすると香川はフリック。後ろから走り込んだ乾がフリーでシュートを放つとGKの脇に当たりながらもゴールにが決まり逆転に成功。

この得点後に武藤を下げて大迫を投入。これにより2トップとなった。
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解説は「2トップで前線のポイントを増やしてより攻撃的にー」と話していたが、リードを奪った際の守備を意識していたように見えた。香川のサイド起用は4年前に守備の穴として散々狙われていたので守備の強度を見たかったのだと感じた。しかし、結果としてシステム変更により日本の多くの選手が守備の際に適切な対応ができずに、無闇に複数人がボールホルダーに寄せていき、危うく守備が崩壊しかけた。

これを見て西野さんは岡崎から原口に変更し、4-2-3-1に戻す。
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その後、柴崎のFKから相手のオウンゴールでリードを離し、再び4-4-2での守備を試すために79分に乾から宇佐美へと交代。香川を2トップの1角で起用を試した。
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この変更後は相手ボランチから中盤でボールを奪いカウンターから3対2の形を作るも香川がフカしてしまい決まらず、90分にパラグアイがFKのこぼれ球を豪快なミドルで突き刺して3-2。その1分後にまたしても相手ボランチからボールを奪い2対3になったところを香川が狭いスペースのドリブルで抜いて最後はDFの股を通してGKの逆をついてゴール。

4-2と西野さんの率いた時のガンバのスコアのような形で初勝利を飾った。

 

"ザックリ"とした中で

攻守共にやりたい事が見えた日本代表ではあったが、どれも"ザックリと"したモノにしかならなかった印象が強い。

攻撃面では1トップ+2列目3人でボールサイドに寄って空いたスペースを下から支えて計5人が前に張る事は見えた。が、4-4-2に変更をして2トップ+両サイド+1枚の形での崩しは見ることができなかったし、5人より少ない人数では仕留めきれない印象が強かった。また、ネガティブトランジッション(攻撃→守備)ではリスクを負って出たスペースのカバーが曖昧で、そこを突かれた時にどう立ち振る舞うかは全くと言っていいほど見られなかった。

守備ではスイス戦後に槙野が「(DFラインの人数は)3枚なのか4枚なのかわからないですが……」と話していたように、この日もどちらにするかを迷ってしまい、細部が詰められないままでいる。最悪なのは3バックと4バックの併用。この日のパラグアイの緩い攻めであっても3バックから4バックへ変更した際に、マークの受け渡しやフォアチェックなどすべてで後手を踏み「とりあえず」ボールホルダーに食い付く場面はすなわち守備の崩壊を意味する。時間帯によって臨機応変にできる見込みはごくごく僅かだろう。 

今回迎えるワールドカップは「南アフリカ大会によく似ている」と言われているようだが、"ザックリ"とした中で迎えるワールドカップは今回がはじめて。最後で日本式ポゼッションを棄てて守備の意識を第一に置いた岡田監督と、最後までどっち付かずな今の日本では比べる対象ですらない。

すでに開幕をしたロシアワールドカップでは、代表チームがクラブチームのような緻密さを持つチームが多い。そんな中で攻守ともにどっちつかず、出たとこ勝負なチームは非常に難しいゲームになるだろう。開幕戦でサウジアラビアが崩壊したように、無秩序なチームは切り刻まれる。今までで最も難しい大会にしてしまった田嶋をはじめとするハリルホジッチ監督を切った人々を怨まずにはいられない。

 

何に期待するか

ここまでは夢も希望もない日本代表についてグダグダと話したが、明日にはいよいよ初陣のコロンビア戦。4年前のトラウマは未だに強烈な印象だが、セネガルポーランドに比べればまだなんとかなりそうなイメージ。(ウラを返せば開幕で惨敗なら悲惨な結果になるだろう。)ここで踏ん張れるか否かで予選だけでなく、これからの日本サッカーの未来は大きく変わるだろう。

期待すべきは香川を中心としたアタッカー陣。世界に比べ、守備は貧弱としか言えず、西野さんになってからは平均2失点と守って勝つのはほぼ不可能だろう。と、なれば2点取られても3点取る勢いが必要。チーム全体を圧縮してボールサイドで細かいパス回しをして狭いスペースを仕掛けの量で圧倒して押し込み前からの守備、ショートカウンターを狙う必要がある。それができれば「窮鼠猫を噛む」では無いが、世界をアッと驚かせることができるかもしれない。

 

 

 

とりあえず、日本代表に「がんばれ」と声をかけ続けて田嶋が消える

だったり

某プロフェッショナルに「ありがとう」と声をかけ続けてスタメンから消える

だったりすればいいんじゃないっすかね。
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ハリルホジッチでよかったやん!!!!!

いろいろあるけど応援します。