Nishida's diary

トリニータを中心にいろんな試合を。

【大分】vs鹿島(A) 片野坂サッカーVer.4.0〈J1 第1節〉

物語はハッピーエンドがいい。それは誰しも思うこと。しかし、サッカーで、スポーツで、人生で、全てが上手く行く事なんてそうそうない。Jリーグでそれを一番知ってるのは多分、トリニータだ。だからこそ、このJ1という晴れ舞台での久しぶりの勝利は格別だった。

 

ひさびさのJ1。順位予想は軒並み最下位か降格が占め、開幕はACL王者の鹿島。そして対戦成績では7連敗中と、さすがに開幕は引き分けられれば上々のスタートかなぁ、なんて思ったが、トリニータは継続してきたやり方で見事に鹿島を圧倒してみせた。

 

この日のメンバーは以下のように。

鹿島アントラーズ
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J1……ビッグネームが多く、町田でめっちゃアシストしてた平戸太貴もベンチ!?層が厚いなぁ、これが1部の上位か……といった面子。

それでも鈴木優磨や伊東幸敏、小田逸稀、中村充孝白崎凌兵が離脱と、昨年から怪我人が多い印象。

開幕前にACLプレーオフに出場。そこから先発は2枚変更をして町田浩樹から犬飼智也土居聖真から遠藤康になった。大分からするとプレースキッカーの遠藤と高さの犬飼が来るからセットプレーが怖いなぁ、と。そしてプレーオフって聞くと胃がキリキリする……

 

大分トリニータ
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大分は開幕がもちろん今年初の公式戦。

昨年からGK、3バックはそのままに開幕からティティパン!?それも丸谷拓也外すかぁ~!と。左右は予想通りの馬力のある2人。シャドウは新加入の伊藤涼太郎と小塚和季。伊藤も結構ビックリした。1トップは藤本憲明

「J2オールスター」と呼ばれた補強により層が厚くなり、庄司朋乃也、オナイウ阿道馬場賢治でもベンチスタート。伊佐耕平や小林成豪、三平和司はベンチにも入れなかった。

 

 

慣れるまで、慣れてから

開始から10分の大分は、これまで続けていたGKを含めたビルドアップはそのままに、「受け身にならないこと」に重点を置いていた。

そのため、ボールへの寄せの速さ、強度を重視。攻守の切り替え、特に奪われてすぐ(ネガティブトランジッション)でのボール狩りを行ってメンタル面で呑まれない事に重きを置く。しかし、相手はJ1の鹿島。競技レベルも上がれば判断や技術も高く、大分のサイドで鹿島がボール奪取をするとティティパン、前田凌佑のダブルボランチがボール狩りを行い、バイタルエリアがガラ空きになる場面も散見された。

また、ビルドアップでもGK→CB→ボランチorWBと各駅停車が多く、鹿島の網を張ったボランチやWBの位置で前が向けない、剥がせないという窮屈さも感じ取れた。

しかし、1つのプレーで大分は自信を持ってプレーができるようになった。この日最初のビッグチャンス、11分の高木駿のロングフィードから藤本が裏抜け→GKと1対1を作った場面だ。この後、何度か見られる藤本のDFに競らせて背後を狙うパターンは、昨年にも多く見られた形。対峙する相手DFは藤本が競る事を前提に身体を預けるが、藤本は一歩下がったり、身体を先に入れたりして相手を往なして広大なスペースを使う。

去年にも似たような形が。こりゃやらしいわ……

 

鹿島の狙い、誤算

この日の鹿島の守備の狙いは明確で、大分のビルドアップに制限をかけて横圧縮。ショートカウンターで仕留めたい、というものだったと思われる。

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まずはビルドアップの起点となる3バックに2トップの伊藤翔セルジーニョで制限をかけて前のパスコースを消す。そしてセルジーニョの逆サイドを遠藤康(この図では大分の右サイド、鈴木・岩田・高木でボールを回していることを想定)がフタをして3バックに3枚ぶつける。これにより、大分は最終ラインから無理にボランチにつけても対面する鹿島のボランチが質的に上回り、サイドに浮き球を配球してもタッチラインを割ったり、横にスライドをして対応ができるため、大分のビルドアップを封鎖できると考えたのだろう。

ここまでの鹿島の想定は、1stDFが上手い伊藤翔を起点にマンマーク気味に。選手の質で上回ることができるので優位性が保たれる。逆サイドに展開されても危険度は低く、横スライドで対応をすればOKといったものだ。

しかし鹿島はこの質的優位を過信していたのが大きなアダとなる。それは高木駿という個の上手さだった。

この日の高木は本当にスーパーで、自身が常にフリーマンであることを生かした配球が冴え渡っていた。鹿島は3バックに3枚をぶつけたが、大分はビルドアップの出口を2つ準備。1つはボランチの片方が落ちて数的優位を作ること。鹿島のボランチがこれに釣られて前に出ようものなら大分の2シャドウに背後を取られるため迂闊に寄せられない。しかし、これもよくあるビルドアップの形なので鹿島もそんな単純な誘いにはもちろん乗らない。が、鹿島にとって一番厄介だったのがもう1つの形、GKの高木駿のビルドアップの参加だ。

3バックに3枚がそれぞれ監視をする鹿島だが、さすがにGKにまでマンマークはつけられない。なぜなら、それをしてしまうとフルコートの1on1になってしまい、走力!体力!気持ち!が重要になってしまうため、質的優位を保てない。どうしても横スライドだけでは選手を追えず視線を切られてしまう。高木にプレスに行きたいが、全体で意識の共有をしないといけず、細かいDFラインの調整も必要になるため、高木は絶対的なフリーマンになる。そして大分は、高木にフリーマンとしての明確な役割が与えられていた。

高木の役割は「1つ外の選択をする」事だ。GKから1つ外のWB、1つ前のボランチ。そして鈴木と横並びになり1つ外の岩田……といったように、ボールの逃げ道を作る役割だ。この日の高木がスーパーだったのは、ワンタッチでボールを逃がす事ができたこと。DFからバックパスをもらって、鹿島の前線が詰めてくる。それでもどこにフリーな選手が居るかを正確に見極めて少ないタッチで配球をする。それにより鹿島の網を崩してしまったのだ。

絶対的なフリーマンが正確に配球をする。これにより、鹿島は前線での質的優位はあるが常に1人多く見ないといけなくなるばかりか、1つ外のパスをされるために、目線も切らないといけなくなった。

 

誤算続きの鹿島、慣れた大分の次の策

「高木駿が捕まえられない」

これにより鹿島は前線からのプレスからミドルサード敵陣寄りに1stDFの位置を下げる。それにより大分のDFラインは解放され、低い位置でのビルドアップでは高木が左CBとしてプレーすることができた。

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15分まではアグレッシブさで相手に息をさせない守備を心掛けた大分は、ビルドアップが高い位置でできるようになることで、次の手を打つ。

この試合、解説の岩政大樹さんが話していた「伊藤涼太郎のポジショニングが低い」と指摘していた所がミソだったように思われる。ビルドアップの位置取りができた大分は、ボールの位置によってミスマッチを生かすだけでなく、ポジションを動かして中央での数的優位を確保していた。

 

最終ライン~ミドルサード自陣寄り

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高木が1列上がり前線で数的優位に立つ事を目標にする。前田とティティパンは高木の動きに合わせて関係を縦横で使い分けていた。

 

ミドルサード敵陣寄り~

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カウンター対策のため高木は下がり、鈴木義宜と福森直也の間に前田orティティパンが入って守備の強度を確保しつつ、中盤には伊藤が落ちて、左右のWBを高くする。小塚は2列目でボールの繋ぎ役としてバイタルエリアで浮いたポジショニングをする。

このときに、鹿島は4-4-2なのでミスマッチは起きないが、大分のポジションチェンジについていけず、アタフタしていた印象。

鹿島DFからしたらCBが見るはずの伊藤涼太郎が自分のテリトリーから外れてわざわざ鹿島ボランチの網にかかっているように、鹿島のボランチは自分たちのコース切りによって大分のボランチをDFラインまで下げさせた、と錯覚をしてしまう。が、鹿島のSHは福森、岩田にプレスをかけられず、「自分は今、福森(岩田)を見るべきか、下がってSBのケアをするべきか」の判断を迫られ、いつの間にかサイドで数的不利に陥る、という具合に。鹿島の永木亮太は異変を感じてややサイドに寄っての守備をしたが、そうすると中央でレオ・シルバ伊藤涼太郎とティティパン(or前田)の2枚を見なければならなくなり、鹿島はチームとしてどう守備をするのか、整理が全くできていなかった。

大分はビルドアップの確保からミスマッチをスタートとするポジション移動により鹿島の守備を混乱させることができた。

 

アタッキングサード

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アタッキングサードに入ってからは、伊藤は再び前線にアタック。サイドは高く、左右のCBのどちらかが攻撃にも関わる。

守備の混乱を起こしている鹿島は、時間差で上がる伊藤涼太郎を誰が見るかが明確でなく、DFラインがガタガタになっていた。大体の場面でアタッキングサードに侵入した後でもボランチが伊藤にチェックに行けていたのでそこまでの問題にはならなかったが、これにより大分は鹿島のボランチの片方のピン止めに成功。ボール奪取の上手い厄介なレオ・シルバを大分のダブルボランチが監視することにより、被カウンターの準備もできた。

被カウンターの準備は以下のような形で行われていたように思われる。

 

伊藤涼太郎が永木をピン止め

②中盤でレオ・シルバに奪取されると大分ボランチがアタック

③そこで刈り取れなくても近いポジションの選手(ボランチの片方、WB、CB)が再びボール回収を目指す

(④)逆サイドのWBは急いでカバーリングに入る

 

後ろから作り前まで運ぶ。前で奪われても即時回収を目標にできたことにより、守備の強度を保つ事ができ、結果として先制点も奪う事ができた。

 

18分の先制点の形は、鹿島のプレスを受けない位置から福森が前線へパス。一度はチョン・スンヒョンに弾かれるが、こぼれ球を前田→伊藤→小塚と繋ぎ藤本が逆足ながら冷静に決めて……というもの。チョン・スンヒョンが弾いたあとの永木のポジショニングが外に寄っており、前田はフリーに。伊藤も1列前で浮いたポジションに居る。伊藤にボールが入った時点でチョン・スンヒョンは藤本と伊藤を見なければならなかったため、ラインが上がることを信じてボールにチャレンジも、少ないタッチ数で藤本がエアポケットに侵入。鹿島の右SBの安西幸輝が慌てて寄せるも藤本は冷静にフィニッシュ。準備したものが上手くハマり、持ち前のパスワークを生かしてのフィニッシュ。完璧な先制点だった。

 

藤本はこれでJFLJ3、J2、J1で開幕ゴール。念願のやべっちF.C.にも解説するっちで出演もできた。J1ってすごい。藤本はもっとすごい!

 

先制後の大分、鹿島のアクション

先制後の大分はボール喪失後の即時回収からラインを下げて守備では5-4-1を敷いた。この5-4-1は、今までのような5+4ブロックの構えての守備、というよりはボールホルダーには強く行き、空いたスペースをスライドで埋める様な形であった。これにより構えたままでの5+4ブロックではフリーにさせてしまう相手のSBにも強く行く事ができた。

一方の鹿島は、スタートからSHに逆足になる選手を配置。右サイドに左利きの遠藤康、左サイドに右利きの安部裕葵を起用して、そこにボールが入ると逆サイドの選手が絞って3バックに3枚をぶつける。

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この場合では左サイドの安部にボールが入った場面を想定。サイドに逆足の選手を配置することによって対面する大分のWBを抜かずともカットインからニアサイドのFWに足下に出す、インスイングのクロスで飛び込ませる、自らカットインをして大分のWBを内側にずらして大外からSBを上げる、といったように様々な選択肢を持てる。実際、カウンターから高山薫が千切られてあわや失点!な場面もあった。そして5+4ブロックでは、WBが抜かれてしまうとCBがサイドに引っ張り出され、ファーサイドでミスマッチが起こりやすくなる。そういった狙いが鹿島にあった。

これにより大分の先制後は落ち着かせるつもりが押し込まれる流れになってしまった。

これに対して大分もリアクション。

ボールと逆サイドのシャドウを内側に寄せて3センターに近い形に。鹿島の前3枚の前に大分の中盤が3人でコースを消すことで、ニアサイドへのクサビを封じた。

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また、明確な3センターにはせず、シャドウの選手は少し遅れても良い、という判断にしたことにより、攻撃に転じた際に重心が重くなり、鹿島のプレッシャーに圧されることを事前に防いだ。

その後、鹿島も35分ほどからSHをスイッチさせてSBとのタテの関係で崩しにかかるも、最後のところで大分が踏ん張り、前半を大分が1点リードで折り返す。

 

生かされた高さ

後半に入り、変化を見ていきたいな……と思っていた矢先に試合は振り出しに戻る。48分にハーフライン近くからのFK。ゾーンで守る大分だったが、永木が山なりのボールをファーサイドへ。大外から犬飼智也が頭で落とすと、伊藤翔がしっかりと詰めて同点に。鹿島は「高さ」という絶対的な優位性を生かした。

 

後半からの変更点

鹿島は後半から、カウンターで幅を使うことを意識。ボールに対して強く来る大分の中盤の背後を取って位置を確保したかったのだろう。しかし、みえたのはそれだけ。サイドに振っても、中の動きが整理されているわけではなかったこともあり、あくまでも個々の裁量に任せる、といったスタンスか。

 

一方の大分は、藤本の裏抜けが思いの外ハマったため、GKを含めた最終ラインから1発を狙いつつ、じっくりとボールを回して鹿島の陣形を崩す、というゲームプラン自体の変更はなし。前半との違いは、中盤と前線の繋ぎ役としてプレーをした伊藤涼太郎の役割を、小塚和季にも求めた。大分は前半からWBを高くして押し込む事はできたが、WBがビルドアップに関わると中盤で鹿島の選手たちに奪われる場面が見られた。そこで、WBにボールが入った際には、同サイドのシャドウが近づいてパスコースを作り、逆サイドのシャドウはFWとしてプレー。2トップ気味にしたことで鹿島のCBをピン止めしつつ、サイドで数的優位を作ることを求めていたようだ。

 

先手先手で主導権を奪う

ボールの位置によって入れ替わり立ち替わり選手が目まぐるしく動いていた大分。選手交代でも先手を打って勝ち点3を奪いに行く。

62分に伊藤涼太郎を下げてオナイウ阿道を投入。オナイウは藤本と2トップを組んで3-1-4-2へとシステムを変更した。

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2トップにしたことにより、相手のCBと1対1が2つできることになったが、相手のSBがフリーになりやすくもなった。そのため、守備ではチーム全体が下がってプレー。5-3-2でブロックを作った。

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高さに優位性のある鹿島に対して、引いて守るという選択は危ないのでは?とも感じたが、鹿島のSBからシンプルに前線へ放り込む事はそれほどなく、SH-SBが連携をして大分のサイドの深い位置を狙う事を第一目標にしていたようだ。SBがフリーになった鹿島は、引いた大分を押し込んでいく。大分にとってもオナイウ投入からの5分間はセカンドボールを回収されてボールを持てない我慢の時間が続いた。

押し込む鹿島は、SBが高い位置でプレーをすると、SHはハーフスペースに絞り、FWは下がってのポストプレーで大分のDFラインを崩しにかかる。鹿島が優勢に見えたが、それこそが大きな狙いであった。

鹿島のSBが高い位置を取るということは、必然的にDFラインも高くなる。鹿島の2CBは共に高さはあるが速さはそこまでない。そして、広大なスペースを生かしたロングカウンターができる藤本、オナイウが2トップ。どちらかが対面するDFを抜いてしまえば広いスペースで2対1を作れる。そして大分の最終ラインがビルドアップを阻害されても高木のロングフィード1本で状況をひっくり返せる、と踏んだ。

69分にこの狙いは得点という最高の結果で実を結ぶ。高くなった鹿島の最終ラインを引っ張り出すために高木が1タッチでサイドにボールを入れる。オナイウはチョン・スンヒョンを背負うと、ボールはチョン・スンヒョンの頭上を越えてオナイウは一気に裏へ。目測を誤り背後を取られたチョン・スンヒョンのカバーに犬飼が入り、なんとかディレイを試みるが、オナイウはアウトサイドでGKとDFの間にスルーパス。あとは裏抜け大好き藤本がワンタッチで冷静に決めて再びリードを奪う。

 

これまた似たような形が去年にもあった。

ハイライトでは映っていないが、GKの高木からロングフィード1本で抜け出して2対1を作ってゴール。必殺の疑似カウンター!

 

試合の閉め方

失点直後に鹿島は安部裕葵から土居聖真を投入。大分もその2分後にティティパンから丸谷拓也を入れた。

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大分は丸谷をアンカーに据えてGK+3バック+3センターでビルドアップを行い、WBを高くして前線で幅を取りつつ鹿島SBのピン止めを、守備では5+3ブロックで中を閉めて、オナイウを遊軍としてプレーさせた。中を閉められた鹿島は外→外と前進はできてもゴールまでは迫れなかった。

苦しくなった鹿島は、76分に遠藤康→山口一真、89分に永木亮太レアンドロと相次いで攻撃的なカードを切ってパワープレーに。

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5分というなっがーいアディッショナルタイムを大分はなんとか凌ぎつつ、90+3分に警告を受けていた前田凌佑から馬場賢治を投入。あくまでも最後までアグレッシブさを要求した。

そして、試合終了。大分は2006年以来の鹿島からの勝利。そして県立カシマスタジアムで通算2回目の勝ち点3を手に入れた。

 

鹿島の印象

決してノープランではなかったが、横圧縮が効かなかった時の次の策が「幅を使う」のみだったのは苦しかった。しかし、選手の個の能力の高さ、判断の正確さはやはりJ1クラスで、非常に厄介。悉く最終ラインをぶち抜かれ、決定的な場面がたくさんあったが、クォン・スンテが最後の砦となり守備の崩壊を防いだ。FWからしたら最後まで動かないGKってとてもやりづらい……。永木亮太も上手くプレスがハマらない中で全体のバランスを見ながらなんとか中盤で奪いきろうと頑張っていた印象。レアンドロがあと10分早く出てきていたらサイドをゴリゴリと抉られて劣勢になっていたかもと思う。ゾッとする。

 

片野坂サッカーVer.4.0

4年目となった片野坂サッカー。この試合は昨年のサッカーをベースにしつつ、ボールの位置を基準にした細かな決まり事を設定。選手交代でフォーメーションを変えるなど、どの采配をとっても意味があり、90分を通して「主導権を握る」「常に能動的に、先手を打つ」事を徹底。そのチャレンジが久しぶりのJ1、それもアウェイの鹿島戦で、開幕から魅せてくれた事。そして、J3から共に駆け上がってきた選手たちがJ1の舞台で堂々とプレーをし、勝ちきった事がとても痛快であった。

 

3-4-2-1をベースに、昨年の夏ごろの躓きから導入された3-1-4-2(3-3-2-2)も織り混ぜて戦術的な幅を広げつつ、構えての守備からアグレッシブな守備へと形を変えた事は、開幕からの大きなサプライズであった。

この日の大活躍でメディアにも大きく取り上げられた藤本憲明。そんな彼でも、次節もスタメンである保証は全くない。片野坂監督は狙いによって選手起用も大きく変わるからだ。「次は何をやってくれるのか」という楽しみに、今年は「J1でどこまでやれるのか」という新たな、そして大きな期待感がある片野坂サッカー。その変化をこれからも追っていきたい。

 

【大分】 新たなる舞台の先に見るものは〈2019年 シーズンプレビュー〉

6年ぶりとなるJ1に挑戦するトリニータ。久しぶりのJ1、今からとても楽しみです。

 

J3からJ1へ。V字回復の裏にはたくさんの過ちと迷走があった。怪我人が続出し地獄の14連敗。痺れを切らしてちゃんとまとまってたのかを問いただした2009年。その年の末には債務超過によりチームはバラバラに。そこから「おい!ファンボ!」な1年を挟んで田坂さんたちと共にPOを勝ち抜いて、資金面は募金によりなんとか工面。しかし戦力は充分とは言えず、翌13年はホーム未勝利&ダントツ最下位でJ2に戻り、柳田の大迷走によりJ3まで落ちた。

J3では苦しい闘いになったが、なんとか掴んだJ2復帰。片野坂監督と駆け抜けた3年もとても印象に残るが、本当に本当に激動の10年だった。

10年ぶりに「勝負ができる」状態でJ1に挑めるのは実に感慨深い。

 

そんな今年、片野坂体制4年目は大きなチャレンジの1年になる。開幕からどうなるかの予想を含めながら、今季の展望を見ていこう。

 

2019年 ポジション一覧(仮)

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とりあえずシーズン開幕前のポジション争いは多分こんな感じに。昨年ベースだとやっぱり前線の選択肢が多いなぁ、と感じる。

現状でのポジション別に細かく見ていこう。

 

GK

1stチョイスは昨期と同じく高木駿。やっぱり足元の上手さは頭ひとつ抜けてる印象。

サブにはムン・キョンゴンと小島亨介がほぼ同列。触れ込みの少なさからポープ・ウィリアムはちょっと落ちる印象。今季はルヴァン杯もあるので、そこでのGKの起用にも注目したい。

 

DF

昨年の主な並びは右から岩田・鈴木・福森。

右CBは岩田智輝の他に高さの岡野洵、怪我で離脱中の刀根亮輔に中盤が本職の丸谷拓也が昨年は起用された。

真ん中は不動の鈴木義宜だが、昨年、金沢でプレーをした庄司朋乃也も加入。一昨年の様に真ん中に竹内彬(現讃岐)、右に鈴木を起用したように、庄司を3バックの真ん中で起用しつつ鈴木との併用も考えられる。また、こちらも中盤が本職だが島川俊郎もできるらしい。

左CBは福森直也か。新加入の三竿雄斗は左利きということもあるが、怪我が多く実戦から離れている事もあり序列は下がるとみられる。三竿が復調しないまま福森も怪我などで離脱をしてしまい右利きのCBがこのポジションを務めると、ファーストタッチで前を向けないためかビルドアップの際にJ2でもわりとロストをしていたため結構重要なポジションだと思われる。

 

MF

RWB

右のWBは昨年と同じく松本怜が主力となる予想。高山薫は昨年、逆サイドでプレー。岩田は昨年序盤に途中出場で少しと天皇杯でRWBでプレーしたが、後に右CBでハマったため松本と同じポジションで争う選手はちょっと居ないような。

 

ボランチ(DH)

ダブルボランチの右を守備的(ビルドアップに主に関与)、左を攻撃的(シャドウとの関係性重視)とざっくり分けると、昨年と同様に右に丸谷拓也、左に前田凌佑がメインになる、かなぁ……

ボランチの筆頭、というか中盤の軸は丸谷。昨年、ビルドアップの受け方、ターンや配給、ポジショニングと五臓六腑の働きをした彼は不動に近いだろう。同ポジションと同じ役割を担うことを期待されているであろう選手は島川と坂井大将。頑張って丸谷を脅かす存在になってほしい。

ボランチは昨年主力だったからという理由で前田を選んだが、ここは激戦区の予感。

ほぼ両利きに近いとウワサの長谷川雄志にアジアカップから合流したティティパンもいる。が、二人とも新加入で実際のプレーを見てないからなんとも。丸谷と競合かも。

本職以外では小塚和季と小手川宏基ボランチ、できるでぇ~と言うことで書いたが、小塚は昨年、シャドウがメインポジションだったこととフィジカル的に不安があるような気がしている。小手川は昨年の甲府戦(トラウマ)でハイプレスに晒されてリズムが出せなかった事からちょっと不安。二人とも3-4-2-1なら2列目、3-3-2-2なら3センターの左右どちらかがメインポジションになるタイプだと思っているためダブルボランチの一角での起用は難しいと見ている。

 

LWB

左サイドで昨期主力だった星雄次だったが、昨年チーム3番目にシュート打ってた割りに決まらず、カットインができなくなると一気にプレーの幅が狭くなっていたため、J1でプレーをしていた高山薫が主力になるのかなぁ、と。そしてユース上がりの高畑奎太。ここ数年、ユースから昇格も半年で武者修行に出されるケースが多い。頑張って食らいついてほしい。

左右のWBでちらほらと伊藤涼太郎、小林成豪の予想が見られる。が、個人としては両選手共にサイドハーフの印象はあるが、より走力が必要なWBのタイプとは違うと考える。スクランブルでのWB起用はあるかもしれないが、片野坂監督はあまりコンバートをしたがらないタイプなのでよっぽど適正がある!とならないと実践で使わないかなぁ、と。ルヴァン杯天皇杯を実験場として使うかもしれない。そこでトリニータがどんな目的を持ってカップ戦に挑むのか、という1つの指標になるだろう。

 

FW

大激戦区の1トップ2シャドウ。昨年はゴールを決めていても、調子がいかに良くても相手を見ながら組み合わせを変更していたため、今季も様々な組み合わせを試しながら、柔軟に対応をしていくはずだ。昨年はこの柔軟な起用によって4選手もが2桁得点を記録。今季も攻撃的なサッカーを目指すため、FW陣の奮起はめっちゃ大切になると思っている。

 

ST(シャドウ)

シャドウもボランチと同様に左右で役割が微妙に異なる。右STは中盤との関係性、右サイドとの連携を重視し、左STは1トップに近い前プレを重視。多分昨期はこんな役割だったと記憶している。

右STは昨年やってたから!という理由で大分の元気印である三平和司を持ってきたが、小塚、小手川もプレーしていたし、中盤色の濃い選手をとりあえず競合とした。

左STはこれまた昨年、結構試合に出てたから!という理由で馬場賢治を一番上に。後藤優介も伊藤、小林もみーんな昨年2桁を記録ってどんな恐ろしいポジション争いかよ……と思う。誰がJ1で通用するのかが本当に楽しみ。みんな通用すると嬉しい。

そして左のSTには伊佐耕平も加えた。本職はCFだが、昨年終盤、途中出場でSTとして起用されるとサイドから馬力のあるドリブルで運んだり、飛び込んだりと意外にハマっていた。そして何より収まる。他の選手とは違ったプレーでSTの幅を広げた伊佐はここをメインで起用されるかもしれない。

 

CF

1トップの主軸は伊佐。最前線で収めるプレーは効いていたが、昨年の天王山であるアウェイ町田戦の様に1対1を結構外していた印象。やっぱりFWは点取ってナンボだし、藤本憲明が主軸になるのでは、と予想。そして新加入のオナイウ阿道がどのタイミングでフィットするか。レンタルから復帰した吉平翼は正念場。J1でもルヴァン杯でもいいから得点を取って泥臭さに結果をつける1年にしてほしい。

 

 

様々な組み合わせが試されるであろう1トップ2シャドウ。今のところの印象を、ポジションを縦軸に、攻守(中盤寄りかFW寄りか)を横軸にして表を作るとこんな感じに。

イメージよイメージ。
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新加入選手は曖昧な印象だが、この中で被りにくい3人を使ったり、似たような3人を使ったり、もしくは2トップだったり。起用の仕方によって片野坂監督が考えている試合の意図が見えてくるかもしれない。

 

 

開幕スタメン予想

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わからん!けど当たってたらすごい!(当たらないけど)

願望込み込みでこんなのかなぁ~って妄想を書いていく。あくまで予想。あくまで願望。

 

GK、3バック、ダブルボランチはビルドアップを重視して昨年と同様の並びに。高さを意識して岩田→庄司はあるかも。RWBも不動の松本。逆のLWBには馬力のある高山を使うと予想。

さて、問題は1トップ2シャドウ。鹿島DFは高くてヘディング強いイメージ。となるとオナイウや伊佐をぶつけていきたいが、彼らの所で収まらないと地獄になりそうなので、バリエーションを増やすために1トップは背後を取れる藤本を、シャドウには相手DFより前でポイントを作るために伊佐を起用すると予想。そして右シャドウには小塚。彼を先発予想したのは守備面で昨年と違う形を作るかもしれないと考えたからだ。

 

今季の序盤戦で一番注目したいのは守備。ここまで前3人の組み合わせについて結構書いてきたが、守れなければもちろん勝てない。今となってはほぼ死語になっている「カメナチオ」とまではならずとも、ある程度の強度は残留には必須である。

昨年は5-4-1のブロックを作っていたが、リトリートの際にバイタルの処理どうするか問題、ベタ引きWBが千切られたときどうするか問題が発生。人はいるけど思ったより脆かった。夏場からは5-3-2に変更をしたりしたが、ベースは5-4-1のまま。

今季も昨年同様に5-4-1にするのか、欧州リーグの3バックの様に5-3-1-1で守るのかは非常に気になる。開幕ではひょっとしたらシャドウの一角を中盤的な選手を起用して、守備時に3センターの様に守るのかもしれない。

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そうなると、小塚って結構なキーマンになりうる存在になると考える。3センターの一角だと馬場や小手川もできるが、なんかやってくれそう感が強く、一番適正ポジションっぽい小塚を予想。シンプルにプレーを見たい選手でもあるし。

 

…………と、今季の開幕前のポジション一覧の考察?と開幕スタメンを予想を書いてみましたが、やっぱりJ1、華やかだなぁ~。色んな媒体で大きく取り上げられたりして受かれちゃいます。しかし、まだ、なにもトリニータは成し遂げていない。これから先を拓く一年にしてほしい。

 

今季はまず残留を第一の目標に。そしてシーズンを終えた後にたくさんの選手が飛躍した、実りの多い一年だったと言えるようにするために、まずはスタートダッシュを!

信じてるぞ!絶対勝ってくれよー!!

 

【大分】2018年シーズンレビュー 掴んだもの、足りなかったもの〈選手編④〉

シーズンレビュー、選手編の④です!

FW登録の選手!

 

第1弾(GK編)はこちら

第2弾(DF編)はこちら

第3弾(MF編)はこちら

 


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※詳細ポジションはフットボールラボJリーグ公式を基準(先発出場時のポジション)に、得点はJリーグ公式、アシストはゴールの2つ前のパスまでとしてます。大体の数ですので悪しからず……

 

 

FW

9.後藤優介

Pos:OH,CF,RH

10G7A

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昨年は42試合中41試合に出場し、2度のハットトリックを含む17ゴールと飛躍。「大分のエース」となった後藤だっただけに、今年は物足りないシーズンとなった。

開幕スタメンを勝ち取り、2ゴール。第25節愛媛戦までで19試合に先発も、そこからはベンチスタートしかなかった。得点も第25節までで8ゴールと順調だったが、ベンチスタートが増えた後半戦は第28節岡山戦の2ゴールのみ。

後半戦からは好調な選手が増えたことによりFWの選択肢が増えたことや怪我も影響をしたが、守備面での課題があった。前半戦では3-4-2-1をベースに守備では5-4-1に可変。シャドウの守備での役割はリトリートをしてサイドに開く事が求められた。しかし、後藤がベンチスタートになった第26節岐阜戦からは3-3-2-2へと基本のポジションが変わり、守備のやり方も「まずはサイド」ありきではなく、全体を見ながら5-3-1-1で中を固めたり、全員が自陣に戻り5-3-2で守り、ロングカウンターを狙う形も増えるなかで、コースの限定やポジショニングが課題になったのだろう。

シーズンを通しては10ゴールと2ケタ得点を記録。技術の高いコントロールショットアクロバティックなゴールがあっただけに、物足りないシーズンになってしまった。守備の改善ができれば、来年も得点数を重ねることができるだろう。

 

10.藤本憲明

Pos:CF

12G7A

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J3で2年連続で得点王に輝いた藤本は開幕から1ゴール1アシストと確実に結果を残すも、第4節東京V戦を最後にベンチとメンバー外が続く。第19節松本戦で久々に先発に復帰すると早速ゴール。そこからは伊佐、三平、馬場などと熾烈なFWスタメン争いを繰り広げた。

シーズンで12ゴール、7アシストとカテゴリーを1つ上げたがしっかりと2ケタ得点。すごい。

チームとしても彼のプレーを理解できたことが大きかった。開幕からの数試合ではCFの役割は相手を背負ってのポストプレーがメイン。シャドウを助ける動きを求められていた。しかし、第17節松本戦からはポストプレーよりも裏抜けやスペースに飛び込むタイプのFWとして松本からのロングスルーパスなど、相手の背後を突くパスが増えた事により、藤本の長所が出やすくなった。

藤本の凄さは引き出しの多さと抜け目のなさ。ポストプレーは得意ではないが、いつも最終ラインとGKのスペースを見ており、そこにボールを引き出すためのポジショニングは秀逸の一言。第32節熊本戦でのゴールでは攻守の切り替え→ボールを呼ぶ→裏抜け→GK交わしつつ身体入れてボールを隠す→体勢を崩しつつもゴールとたくさんの要素が含まれた得点をしたり、第34節山口戦では後ろ向きのボールむっちゃトラップするもん!そんなんできる?できひんやん普通!な半端ないゴールをしたり、第22節甲府戦では百発百中の落ち着いたPKをやったりとたくさんの引き出し持ってる。これがストライカーなんだなぁ~!と日々感心するばかり。来期はJ1の舞台。JFLから駆け上がってきたストライカーがどこまで通用するかとても楽しみ。

 

 

11.林容平

Pos:CF

2G1A

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2014年に途中加入ながら7得点と最多得点を上げインパクトを残して惜しまれつつFC東京に復帰。昨年に完全移籍で加入し、開幕スタメンを勝ち取るが怪我に泣いた。復活を期する今季は第5節水戸戦でスタメンを獲得すると1ゴール1アシストと活躍。特に得点は微妙に浮き球でGKからも近かったが、脚を振らずに当ててニア上に決める。器用。そこからはCFとして出場も、第15節山口戦での先発を最後にベンチ外がほとんどに。前線からのバタバタプレスと伊佐スタグラムでやったコチュジャンマンが印象に残ったが、ハイレベルなFW争いに敗れる形となった。

馬場との熱い会話を交わしたり、第7節千葉戦では得点後になんか「ッシャオラー!」みたいなアクションと結構ギラギラしてた。この冬にJFAの自由交渉リストには掲載されてはいなかったが、トライアウトに参加していたことから多分退団になりそう。頑張れる選手でCFができる選手だから勿体ない気はするが、選手は出場してナンボでもあると思う。頑張って!

 

18.伊佐耕平

Pos:CF

4G9A

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大分の広報兼FW。今季は4得点と2ケタ得点カルテットが居た分数字面でのインパクトには欠けたが、後期からの戦術では大きな役割を担っていた。前期(第25節愛媛戦)までは途中出場が大半で、後藤、林、三平、そして伊佐の4人で回していた印象。しかし後期(第26節岐阜戦)から2トップの一角、そして3-4-2-1のトップとして機能した。伊佐が後期で重宝されたのは前線からのハードワークに加え、自陣に引いてからカウンターの際に馬力があること、攻め残りで攻撃の起点になり時間を作る役割が果たせたから。明確にポストプレーができるタイプが居なかったというチーム事情でフィジカル面が強い伊佐がその役割を果たした、という事だろう。どちらかと言えば適正はシャドウなのだろうが、その機動力を生かして左右に流れてボールを収める事ができるというのはチームにとってはビルドアップの逃げ所としての役割も果たしていたため、大きな意味があったと考える。試合の流れの中、交代で藤本をトップ、伊佐がシャドウをする場面も見られたがボールキープで時間を作り全体を押し上げたり逆サイドからのボールに飛び込んだりと迫力あるプレーは1トップでなくても存分に見ることができた。

一方で、決定力は課題。第37節町田戦ではしっかりとデザインされた攻撃でGKと1対1の場面を前半早々に2度も作ったが、得点ならず。ゴール前での落ち着きが必要だろう。

ピッチ外でも活躍した伊佐。伊佐スタグラムでは勝ち試合の後のバス内の選手やスタッフの様子、練習後の悪ガキたち(藤本、岩田、岡野)を連れて喫茶モンテに行ったりと選手の素の顔も伊佐から知ることができた。クラブ広報とは違う形で選手やチームのことを知るコンテンツとしてとても楽しかった。来年も楽しみにしてる。

ピッチ外の個人の出来事では肉食獣だった伊佐が、野菜も多く摂取。野菜たっぷりの豚汁を作るなど好き嫌いも克服した模様。

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伊佐スタのストーリーをよくTwitterでスクショしたものが流れているけど、それってどうなんだろ?と思ったり。24時間で消えるからこそ書いてくれる側面も大いにあると個人的に思うから、サポーターがそれを無闇に広めて伊佐本人が思ってない形で広まる事は怖いな、考えものだな、と要らん心配はある。が、伊佐の伝え方が上手く、賢いから気苦労で済む気もするからなんとも言えない。クラブ、選手とサポーターが共に楽しめるコンテンツとして大きな役割を果たしている「伊佐スタ」とサポーターの関わりはちょっと考えるべきなんかもなぁ~って思ったり。

 

27.三平和司

Pos:OH,CF

10G6A

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大分のムードメーカー。お調子者っぽいイメージがあるかも知れないが、根は真面目。DAZNのプレビューインタビューで「全部勝ーつ!!!」的な発言を元気に言って躓いたのは良い思い出。多分気にしてたんだろうなぁ~なんて思ってる。

今季は30試合に出場。第2節から約1ヶ月ほど離脱をしたが、そこからは主力として定着。意外にもフル出場はなく、55~75分程で退くのがほとんどであった。京都で大木監督(現岐阜監督)と出会い技術力が向上し、器用な選手になった三平は3-1-4-2と3-4-2-1のトップとシャドウを行き来して、臨機応変なシステム変更を可能とした。技術力の高さがうかがえるのは第26節岐阜戦だ。丸谷のミドルシュートをワントラップでDFとGKの間に置いてシュート。あの強さのボールはコントロールから難しいのでめちゃくちゃ上手かった。シーズン後半につれてコンディションが上がっており、天王山の第39節松本戦では切り替えの早さ、スペースを見つけてのシュートをしたり、第41節金沢戦では得点こそならなかったが左サイドをヌルヌル抜けてシュートと足下の上手さが光った。

今季末に契約を更新。前回の昇格時は京都に移籍をしたためはじめてのJ1挑戦となる。三平と共にJ1行けるのが嬉しい。来年、まずはデジっちからトリニータを魅せてほしいな……!

 

48.川西翔太

Pos:CH

2G2A

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取れそうで取れない独特のドリブルで異彩を放つボランチ。山形時代にFWからコンバートされて中盤の選手となったが、常にボールを自分の真下に置いて左右どちらにも動けるようにしており、対峙する選手にとっては非常に間合いの詰めにくい選手だったはずだ。

昨年は鈴木惇(現福岡)と共にダブルボランチの一角として主力だったが、今季は先発4試合、途中出場が19試合と出場機会が激減。夏場からはベンチ外になる機会も多くなったいた。それでもシーズン最終盤の第41節金沢戦では約2ヶ月ぶりに出場をして価千金の決勝ゴール。川西らしさがよく出たヌルヌルドリブルからの巻いたシュート。本当にエロかった。

ドリブルで運べること、決定的なチャンスになるスルーパスなど得点の匂いがする選手だっただけに、川西がベンチ外で負けると決まって川西待望論が出ていた印象。しかし、「まずは守備から」と考える片野坂監督からしてみると、運べる川西よりも球際で戦える前田、というチョイスだったと思う。チームの調子に関係なく懐の深いドリブルで相手を剥がせる川西は、チームの重心が低い時には持ち上げる起点になるが、チームの調子が良い時は球離れの悪さが目立ち、持ちすぎるという風にみえた。

ボールを触ってリズムを作るタイプ。それ故に彼が中心から外れると非常に難しい立ち位置になってしまうのだろう。チームとしては残ってほしいがあくまでもオプションのひとつ、となりそうな事を考えると来年は大分に居ない気もする。またドスケベなドリブルで抜いていく姿をみたいが……

 

レンタル組
吉平翼

→秋田(loan)

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(※写真は2017年のもの)

今季はJ3の秋田へ武者修行中のFW。プロ入り3年でJ2で8試合、J3で13試合2ゴールと伸び悩んだ中での移籍となったが、今季は17試合出場で得点なし。数字の面での結果は残せなかった。

しかし、前半戦は途中出場しか無かったが、シーズン途中に監督交代や、夏場での1ヶ月間の中断期間で3-4-2-1から4-1-2-3へと大幅な戦術変更を経験。ラスト4試合ではトップ下としてフル出場を果たした。選手としての幅を広げること、途中出場が多かったがシーズンの過半数に出場と成長できたのではないだろうか。

来期の更新はまだ発表されていない。ルヴァン杯などを見越しての復帰をしてほしいなぁ……

 

 

総評

ST(シャドウ)

ゲームによって馬場、後藤、三平、國分、清本、(小手川)と様々なタイプが居たポジション。小手川以外は主戦場をこのポジション。馬場、後藤、三平が2ケタ得点を記録した事により清本と國分はなかなかスタメン出場は叶わなかった。

非常に高いレベルで行われたポジション争い。夏場からは2トップとの併用により守り方をはじめとするポジショニングが変わる中で、トップと中盤の繋ぎ役としての役割が強くなる。その上で2ケタ得点を記録した馬場と三平の評価は高いものだった。

チームの中で一番充実しているこのポジションがどこまでJ1で通用するかにより明暗は大きく別れるだろう。来期もコンスタントに得点を重ねていく事を期待する。

 

CF

ゲームの狙いによって裏抜けの藤本、フィジカルの伊佐と使い分ける事ができたが、いかんせんこの2人に林の3人では心許ない。一応、三平や馬場、後藤もできるがポストプレーができるタイプが伊佐以外居ない所は大いに気になる所。Jリーグ全体としてもポストプレイヤーが居なくなっている印象なのでもう1人居れば違ってくるかもなぁ~とか高松が若返ってくれれば……なんて思うが、ポストプレイヤーを生かせないのもJリーグの課題な気もする。片野坂監督なら上手いことやりくりしてくれるだろうが……

来年、このポジションにどんな役割を求めていくかも注目していきたい。

 

写真はトリニータ公式HPより

 

 

今年中にもう1つ頑張って記事書きたい「気持ちは」あることを記してとりあえず選手のまとめを終わります。

【大分】2018年シーズンレビュー 掴んだもの、足りなかったもの〈選手編③〉

シーズンレビュー、選手編の③です!

MF登録の選手!

 

第1弾(GK編)はこちら

第2弾(DF編)はこちら

 


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※詳細ポジションはフットボールラボJリーグ公式を基準(先発出場時のポジション)に、得点はJリーグ公式、アシストはゴールの2つ前のパスまでとしてます。大体の数ですので悪しからず……

 

 

MF

7.松本怜

Pos:RWB,LWB,RH,RB

4G11A

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カッコいい……

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可愛い……

……完璧じゃん!

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昨季はチーム事情により逆サイドをする機会が多かったが、今季でLWBになったのは第12節大宮戦のみ。得意の右サイドでプレーできたこと、健康面に気をつけたと語っていたように怪我もコンディション不良もなく全試合に先発出場。途中交代も2試合と欠かせない存在になった。

これまでは足は速いがクソクロスに年イチゴーラーと言われており、昨季は3ゴールをあげて「大分に雪が降るんじゃ……!?」ってちょっとザワついた記憶だったが、今季は4ゴール。逆サイドで作っている間にファーに飛び込んだり、相手をかわしてシュートができるようになった。これまでの課題であったクロス精度の低さは100のスピードでぶち抜いてその勢いのままクロス!だったためボールにうまくミートせずにアウトスピンがかかってラインを割ったりミートしすぎて誰も居ないファーサイドへのハイクロスだったりしていたが、今季は100でぶち抜いてから減速して丁寧にボールを蹴るようになった印象に。この減速によりクロスの精度という根本的な課題の解決だけでなく、昨季やった逆サイドでのプレーを生かした左足からのミドルシュートやインスイングのクロスという選択肢も相手にちらつかせる事ができた。結果として、相手は用意に飛び込めないし、飛び込んでも初速の速さでぶち抜く事ができ、アシスト数を2ケタに乗せることができた。

また、今季終盤ではそれまでほぼ機能しなかったセットプレーからの形をショートコーナーで松本に預けてクロス、松本がCKを蹴る、松本が逆足の左足でCKを蹴るという3段活用で多少の揺さぶりをかけることもできた。

加入当初は田坂さんの魔改造という名のコンバートを受け、FW登録なのにWBに回されてキック精度が低く、これはちょっと……なんて思ったりしたが、2年目はレンタル延長、3年目からは完全移籍、そしてJ3降格でも男気残留をした爽やかイケメンのJ1昇格決定後の涙にはグッと来るものがあった。

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(泣いても男前なの、ホントズルいわー!)

今となっては在籍年数は後藤に次ぐ2番目に。大分トリニータの顔となる存在になった。大分と共に育ち、大分のために熱く戦ってくれる松本怜。本当に本当にカッコいい。来年はJ1の舞台で快足を見せつけてほしい。

 

8.黄誠秀

Pos:CB,RB

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J3降格時に加入したミスターポリバレント

今季の初出場となった第2節山形戦でスタートではRB、試合途中で右CBを務めたが、ビルドアップの距離感に手こずりフィジカル面でも優位に立てないままチームの「穴」として狙われ続けた。そこからベンチ外が続いたが、第13節新潟戦で右CBに入ると、相手に競り負けない、ビルドアップでも距離感を保って相手を剥がしたりと、見事に順応して見せた。その後、第15節山口戦、第18節愛媛戦でも同ポジションで出場し、刀根とポジションを争う形になったが、福森の復帰、岩田の台頭により第24節栃木戦を最後に出場が無くなってしまった。

加入から3年で出場機会は8,5,6試合と決して序列が高いわけではなく、来期の更新は不透明と言ったところだろうか。しかし、プロキャリアのスタートはFW、その後はボランチやSB、CBと様々なポジションをこなせる貴重な存在。どうなるんだろ……

 

15.清本拓己

Pos:OH

4G2A

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昨季は長期離脱でシーズンのほとんどを棒に振ったが、復帰戦となった昨年最終節熊本戦で残り5分ほどで途中出場をすると、直後にライダーキックのようなジャンピングボレーで得点と華麗なる復活。

再起を期す今季は、ベンチスタートがほとんどだったが、第7節千葉戦、第8節京都戦で途中出場→ゴールと結果を出して信用を得ると、ほとんどの試合でベンチ入りを果たし、スーパーサブとして後半から流れを変える役割を果たした。相手が疲れてからの縦突破やドリブルは脅威の一言。しかし、今季で契約満了となってしまった。

印象では結構得点に絡んでいる印象ではあったが、最後にゴールをしたのは第33節讃岐戦。シーズンを通して4ゴールとあまり数字を残せなかった。また、同ポジションには12Gの馬場、10Gの後藤、三平が居り数字の面で物足りなかったこと、小手川や宮阪とは違い、中盤のプレイヤーではないこと、清本は2列目以外ではSHではプレーできるが、チームはWBを採用しているためポリバレントさに欠ける事。同じような立ち位置で國分がいたが、ユースっ子が相手で年も1つだが若いとなるとやむを得ないのかもしれない。

J3ではアウェイ藤枝戦での強烈なミドルや昨年の熊本戦、今季では第8節京都戦での劇的な決勝点とたくさんの印象に残るゴールをしてくれた清本。来期、どこ行っても応援するよ。

 

17.國分信太郎

Pos:OH

1A

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ユース→大学→トップチーム第1号となった國分。結構弄られキャラっぽい。

今季初出場は第13節新潟戦。それまでベンチ入りもなかったが、いきなりスタメンに大抜擢。そこからはベンチ入りやスタメンをふらふらしながら10試合に出場。特に第20節福岡戦から第24節栃木戦まで5試合連続でのスタメン出場。第22節甲府戦ではプロ初のフル出場を果たすなど、少しずつプレー時間を増やしている。前線からのプレスやスペースを見つけるのが上手く、自らスペースで受けたり第38節千葉戦でのアシストのような光る場面もあった。しかし、今季でのプロ初ゴールはお預け。現在は甲府所属、関西学生サッカーリーグで共にしのぎを削った曽根田穣はゴールという結果が出てから一気にブレイクしたのを見ると、来期点取ってブレイクする國分が見れたらなぁ~と思う。頑張ってほしい。

 

20.小手川宏基

Pos:OH,CH,LH

4G3A

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Mr.フォトジェニック。今年の写真を見てみると、カッコいい写真が多分一番多かった。

これとか!

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これとかも!

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キャプテンマーク見えながらってのが個人的にポイント高いです!

今季序盤戦は相手を見ながら宮阪と入れ替えて使われていた印象だったが、第26節岐阜戦からは主力となった。その岐阜戦ではこれまでの3-4-2-1から3-3-2-2へと変更し、小手川は今季の大きな転換期のキーマンとなる。2トップ2シャドウとなる3-3-2-2で右のシャドウに入ると、サイドの松本とオーバーラップする岩田のカバーリングをしつつ、隙があれば自らも積極的に攻めるという難しい役割を見事にこなして見せた。試合の流れを見てビルドアップに顔を出したりボランチとシャドウを行き来して相手を惑わせたりとサッカー脳の良さを見せてくれた。多分、夏場の失速後にこの3-3-2-2というオプションが機能しなければ、今年の昇格は無かったと思う。

契約を更新し、来期もトリニータでプレーをすることが決まった。来期もよろしく!コテ!

 

24.姫野宥弥 

Pos:CH

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大分の狂犬。163㎝と小柄ながら、豊富な運動量で掻き回す事のできる選手。昨年から取り組むミシャ式をベースにした今のサッカーでは、選手のポジショニングが重要であるため、中盤の底で動き回るタイプの姫野にとっては窮屈かもしれない。

今季は3試合に先発出場をするも、内2試合で前半の内に交代となり、いまいちハマってない印象。豊富な運動量で動き回るのは、裏を返せば適切なポジショニングを取らずとも走力でなんとかする、ということ。ここで適切なポジション取りやボールの配球を身につければ選手としての幅は大きく広がると思う。一方で、今の運動量を生かして町田のようなストーミングを基本戦術としたチームに行って個性を生かすのも手かな、とは思う。が、やっぱりユース育ちだし、うちでプレーをして活躍してほしい。来年は勝負の一年だ。

 

32.前田凌佑

Pos:CH,OH

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大分のモドリッチ。夏場の戦術変更で出場機会を得るとそのまま不動の存在に。丸谷、小手川と組んだ3センターでは互いにバランスを見つつ飛び出したり戻ったりとチームを安定させた。特に印象に残ったのは第31節福岡戦。攻めども攻めどもあと一歩が足りずスコアレスで迎えた後半アディッショナルタイム。大分はバランスを崩して前田、丸谷も高い位置を取ると、そこからカウンターをくらい失点。劇的な敗戦後に涙した前田の姿は、バランスを崩してしまった後悔、ダービーに負けたこと、夏場での連敗と様々な事が溢れてきたのだろう。そこからは中盤のチャレンジ&カバーが徹底されて、終盤戦では丸谷と役割を逆にして、流れのなかでアンカーをこなすなど大きく成長した。f:id:west242447:20181213013400j:image

すーぐ泣く~!

 

福岡戦や昇格決定後に涙するほどアツい男だが、熱くなりすぎてアフター気味に削る場面がちょいちょい見られたのは気になった。しかし、ギラギラした選手が近年では少なくなっているのでカードをもらわない程度にガシガシいってほしい。

そして、神戸からのレンタルから大分へ完全移籍。来年は真の意味でのトリニータの選手になった。いつも熱いプレーで1試合にかける思いがある選手は見ていて気持ちがいいもの。来期もよろしく!

 

33.丸谷拓也

Pos:CH,CB

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前回のJ1昇格を知る男が5年ぶりに大分に復帰。今季はコンディション不良の2試合と出場停止1試合以外の39試合に出場。中盤の要となった。

序盤戦はビルドアップに多少あたふたして、プレスを受けると失う場面もあったり、3バックの右で使われて3試合目の第21節徳島戦で今季唯一の退場処分を食らったりしたが、夏場からは安定。DFラインからボールを引き出すためのポジションを取って、相手がプレスに来ても往なして前を向いて剥がす、無理しないで戻してやり直す、DFラインに下がってサイドを高くするなど、ベースとなったミシャ式の重要事項をこなす、まさにチームの軸として機能した。夏場の3センターを採用してから3-4-2-1へと戻した際に、小手川がやっていた松本、岩田のカバーリングをこなして、攻撃力を保ちつつ、シャドウにより攻撃的な選手を入れる事ができる余地を作るなど、器用さとさりげなさも見せた。できる人だ……

来期の契約も早々に更新。来期はJ1の舞台。さりげなく気配りができる丸谷に注目してほしい。

 

35.宮阪政樹

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今季最も前期と後期で評価が別れる選手となったバズこと宮阪。

前期はボランチの配球役として鈴木惇(現福岡)の変わりを完璧にこなす。持ち前のデカケツから繰り出される左足からの正確なロングフィードで左右に大きな展開をもたらす。第6節讃岐戦ではセンターサークル自陣寄りからのFKをズドン。約60㍍の距離からほぼワンステップで決めちゃうケツ筋、すごかった。

しかし、5月末辺りから雲行きは怪しくなっていく。第16節甲府戦から途中交代が増え、第23節大宮戦を最後にベンチ外が続く。2ヶ月後の第34節山口戦でスタメン出場を果たすが、前半で交代となり、その後はシーズン終了まで出場機会がなかった。

なぜ、これほどまでに評価が下がってしまったのか。それは第20節福岡戦で解説に来ていた小林伸二さんの指摘にもあったように、相手のプレスがないにも関わらず、1列下がってプレーをするから。ビルドアップはあくまでもボールを持つためにするのではなくて、良い状態で攻撃をするための準備だ。相手が前から仕掛けてこないなら、こちらからラインを高くして相手を押し込めるのに、ボランチが1列下がってしまうと、DFからのパスに奥行きが出ないばかりか、ボールを失うとバイタルエリアが晒されてしまうためボランチの相方も高い位置を取ることができない。そういった理由から次第に先発を外れることになったが、2回汚名返上をするチャンスはあった。

1回目は第23節大宮戦。この日はWBをサイドからインナーラップさせて、サイドの高い位置にOHの國分が流れて、國分が空けたスペースに飛び込む事が求められた。しかし、チームがボールを持っても攻撃よりも守備側に多く顔を出してしまい、重心を下げてしまった。

2回目は第34節山口戦。3-4-2-1ながらシャドウの1枚に小手川を入れて押し込んだ際には3-3-2-2へと可変ができるように準備をした試合だったが、3センターの左でプレーをする宮阪は相手のマンマーク気味のプレスにあたふたしてしまい、なかなか前を向けない。自らのミスから失点もしてしまい、前半で無念の交代となってしまった。

後期では決められたプレー位置でプレーができなかったこと、相手のプレスに晒されるとボールロストが増えてしまいカウンターの起点にされてしまうという悪い面が出てしまい、出場機会が激減してしまった。

年齢的に中堅の立場になって中盤でプレスを往なせないとなると、大分での契約更新は難しいだろう。プレス耐性がつけば一気に青山敏弘(現広島)のようなプレーができる気がするが……

 

38.馬場賢治

Pos:OH,LH,CF

12G4A

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えっ!?ババケンってMF登録なの!?

今季加入の馬場は開幕スタメンこそ逃すも、第5節水戸戦から先発に。第11節町田戦でプロ入り後初のハットトリック、第33節讃岐戦でプロ入り後初の2ケタ得点を含む12得点で、藤本と並びチーム内得点王になった。33歳にして初のハットトリック、2ケタ得点と大きく飛躍した1年になった。

特筆すべきはゲームの流れを読む力に長けることだ。今季、3トップのシャドウとしてプレー。攻撃時はバイタルエリアに入り味方と近い距離でパス&ムーブをして、守備時には5-4-1のSHとして守備の方向づけとプレッシングをこなす。しかし、攻撃時でWBに蓋をされたとなるとサイドに流れて組み立てに関与したり、間延びしている時にはボランチの前でプレーをしたりと、居てほしい所に居る選手であった。それはゲームの流れがわからないとバランスを崩しかねないし、運動量がないとできない事だったが、見事にこなしてみせた。また、チームの役割として気が利くだけでなく、負けん気の強さで流れを引き寄せる事も。第19節松本戦で藤本の獲得した正当なPKジャッジ以降、ボディコンタクトが増える展開。松本の選手が一人倒れて、ボールは生きているが大分側はプレーを止めるようなジェスチャーをしたが、ボールを持っていた岩上祐三はプレーを切るふりをして持ち上がりチャンスを伺うも、味方の指示でサイドにボールを出してプレー切る。大分ボールのリスタートで再開されると、普通なら暗黙の了解でGKに返すが、馬場はアウトサイドに回転をかけて松本ボールのスローインにした。

たったこれだけの事だが、個人的には凄く印象に残るプレーであった。多分岩上がすぐにプレーを切っていれば馬場もGKにボールを返していただろうが、岩上はプレーを止めようとしなかった。恐らく岩上は、隙あらば得点に繋がるチャンスを伺っていたのだろう。馬場はそのプレーで大分の選手がストレスを感じないように、そして松本の選手に「好きにはさせないぞ」という意図を含んだプレーだった気がする。アルウィンであのプレーをするのは相当なプレッシャーになると思うが、勝負へのこだわりが感じ取れる、痺れるプレーだった。

竹内の移籍後はキャプテンマークをつけるなど、チームを引っ張る存在に。難しい試合後に自身のブログで発信など、気持ちを知る機会も多かった。来年はJ1の舞台でトリニータを引っ張る漢、馬場賢治をみたい。

 

 

レンタル組

坂井大将

→新潟(loan)

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(※写真は2017年のもの)

昨年夏にベルギーのAFCテュビズに期限付き移籍をするも、ビザの関係で出場ができなくなり半年でテュビズと契約を解消し、新潟へ期限付き移籍。新潟では鈴木政一監督の下、開幕スタメンを勝ち取り第10節までで8試合もスタメンに起用されるも、5月からはルヴァン杯天皇杯カップ戦の出場に留まった。大分ではプレー時間が短かったためどんなプレイヤーかはわからないが、U-19などではボランチとして使われていた。が、SBやSHなどでも使われていたためどんな選手かが全く掴めていない。来期、大分に復帰すればルヴァン杯などで見る機会があるとは思うのでそこで見てみたい。

 

江頭一輝

→盛岡(loan)

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(※写真は2016年のもの)

エガちゃん。一昨年にトップ昇格も、プロ入り1年目は天皇杯の出場のみ。昨年は鈴鹿アンリミテッド、今年はJ3の盛岡へそれぞれ期限付き移籍をしていた。

盛岡では20試合に出場。本職のボランチだけでなく、左右のWBもこなすなど選手としての幅を広げた。第29節北九州戦では強烈なミドルシュートでJ初ゴール。スーパーゴールだからみんなみて!

江頭がトップ昇格してからトリニータJ3からJ1へと飛躍した。来年、彼の処遇はどうなるか……

 

野上拓哉

ヴェルスパ大分(loan)

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(※写真は2017年のもの)

昨年トップ昇格も、半年でヴェルスパ大分へレンタル。今季もレンタルを延長した。

ヴェルスパでは左利きのアタッカーとして昨年は13試合2ゴールも、今季は4試合の出場に留まる。今年は夏場以降の出場がないのが気がかり。いかんせん情報量が少な過ぎてなんとも言えない。

 

総評

ポジション別総評をば。

ボランチ

丸谷を軸に小手川、前田が頑張って3センターとダブルボランチの使い分けというオプションを増やすことに成功。一方で宮阪は評価を下げる形になってしまった。今季のボランチに求められたのは、ビルドアップのコースを増やしてプレスを回避すること、相手が寄せてきても無理をしないで戻す、前を向いて剥がす、の判断。ボールを持って主導権を握る上でボランチがいかに時間を作れるか、いかに良い体勢でプレーできるかが大切になったが、試合を重ねるごとにプレス耐性を身につけていった。来期はより高いレベルになるため、踏ん張りどころ。頑張ってほしい。

・WB

右WBでは、一年を通じて松本が安定。岸田、岩田はバックアップとなったが岩田は右CBとして開花。岸田にはより奮起が期待される。

左WBは一大補強となり、シキーニョ、山岸智が放出、新たに那須川、星、山口でポジションを争うと、星が豊富な運動量でスタメンを獲得したが引き出しが多くなく、停滞する場面も見られた。シーズン末に那須川、山口が放出されたことにより、また新たな競争が生まれるだろう。

 

写真はトリニータ公式HPより

 

次回はFW編です!

 

 

【大分】2018年シーズンレビュー 掴んだもの、足りなかったもの〈選手編②〉

シーズンレビュー、選手編の②です!

DF登録の選手!

 

第1弾(GK編)はコチラ


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※詳細ポジションはフットボールラボJリーグ公式を基準(先発出場時のポジション)に、得点はJリーグ公式、アシストはゴールの2つ前のパスまでとしてます。大体の数ですので悪しからず……

 

DF

2.ウイリアン
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今年の夏に加入のブラジル人DF。登録された時に「ウイリアン・エンリケ・アントゥネス」と結構長い名前で話題になる。ネマニャ・ヴチチェヴィッチ(元FC東京)や長谷川アーリアジャスール(名古屋)などと比較されていた記憶。うちの長い選手名だとジュニオールマラニョンくらいしか思い付かなかったので最長の登録名に。結局、Jリーグでの登録はウイリアンに。(みんなウィリアンって結構誤字ってたな……)

190㎝と長身のCBだったが、純粋なCBタイプは鉄人鈴木が居た。おそらく夏にレンタル移籍をした竹内の代わりとして鈴木のバックアップとしての加入だったのだろう。大分加入後1ヶ月ほどで肉離れで離脱。ゲキサカの写真はチェルシーのウィリアンだったりと結局、謎外人枠として終わってしまった。

「謎は謎のままがいい」とは大分の土産物、謎のとり天せんべいのCMで言われたりしてるが、最近は謎の東ティモール国籍の選手たち()やパッとしなかったエヴァンドロ、パウリーニョ、キム・ドンウクなど外国籍選手は軒並み助っ人にはなり得てないケースが多い。ポルトガル語が話せる(はずの)我らの西山強化部長にはもうちょっと頑張ってほしい。

話は逸れてしまったが、ウイリアンは補強というよりは補充の意味合いが強かった。怪我で離脱と練習からも離れる事もあったがメキシコから大分までわざわざ来てくれてありがたかった。今季で契約満了ということだが、また何かの機会に大分に来てほしいなぁ、なんて。アディオス。

 

3.那須川将大

Pos:LWB,LB

1G2A

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今季加入の職人っぽいLWB。シーズン開幕前は同ポジションに星と山口がいたためひょっとして福森とポジションを争うかなー、なんて思ってたが、LWBの2番手に収まった。

第2節山形戦で4-4-2のLBとして出場もその後はベンチ外に。久々にGWの第13節新潟戦で出場すると低い位置からの高精度のクロスを供給して逆サイドの松本にアシストをするもまたしてもメンバー外に。そして8月に入り、久々に来た出番をシュータリングで決めてから4試合連続で出場。しかし8月最後のゲームとなった第30節徳島戦での敗戦を最後に先発はなし。ベンチには居るが出番が回ってきたのは第36節京都戦のみだった。

浅い位置からのピンポイントのクロス、深い所でボールを受けてのグラウンダーのパスなど技術で魅せてくれたが、絶対的な存在にはなることができずに、1年で契約満了となった。J1では厳しいという判断だろうか……

30歳を越えてベテランの域に入ってはいるが、最近では珍しいクロッサー。デカイFWがいるクラブやサイドの選手が不足するチームならまだまだ主力としてやれる。頑張ってほしい。

 

5.鈴木義宜

Pos:CB

1G1A

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今年も元気にフル出場。これで3シーズン連続のフルタイムでの出場となった。フィールドプレイヤーでこれってしゅごい。ほんまの鉄人。真ん中には必ず鈴木が居るだけで安心だし、居ないのが想像できない。大卒1年目の入替戦で退場という苦い経験をしてから年に1枚ペースの警告と怪我をしない丈夫な身体って。マァ~ヤダワァ~!これ、うちの子なんよ!って本当に自慢できる息子(違う)。

これだけ丈夫な身体で試合に継続して出場できるんだからたぶん、厄除けとか家内安全、学業成就くらい願っても良いと思うの。

今季はセットプレーがなかなか上手くいかずに得点もないな~なんて思ってたらホーム最終戦で得点。痺れたなぁ……

今年上がれなかったら即J1に引き抜かれていただろうし、今もオファーは来てるはず。できれば来年も大分のユニでプレーする姿をみたい。

 

6.福森直也

Pos:CB

4A

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鈴木義宜によく似てるといわれるCB。鈴木とは同期、ポジションも隣、数字も1桁となんだかんだで似てるらしい。知らんけど。

今季もCBの左の主力として37試合に出場。第18節愛媛戦から第22節甲府戦まで約1ヶ月出場がなく、その前後でセレッソ大阪大熊清さんが大銀に来ていたらしく関西学院大出身……セレッソジュニアユース……あっ!引き抜き!と謎に脅えたが、その後はまたスタメンに名を連ねてホッとしたおもひで。

現状では3バックの左は福森オンリー。左利きでCBってだけでも希少なのに「ちょっとLBも噛ってました」みたいなタイプはなかなか居ない。攻め上がりのタイミング、ロングフィードのタイミングなど攻撃面で特徴がある福森は替えが居ない。

そんな彼だが、ビルドアップでのショートパスがやや弱かったり、高木にやや弾んだバックパスをしたりと詰めの甘さが目立つ。「福森そんなよくない」おじさんには、そんなことねぇから!と言いたいが、ちょくちょく「気ぃ抜いてたやろ!」ってパス出すのはちょっと怖い。改善できれば一番良いけど可愛いから許す。

 

14.岸田翔平

Pos:RWB,CB

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加入2年目のカバさん(弟)。昨年はLWBがあまりハマらなかったため、RWBの松本が逆サイドに回ったということもあり主力に。今季はそのLWBに星、那須川、山口と補強をしたこともあり、松本とポジションを争うことに。結果はコンディションが絶好調だった松本のサブという役回りになり、4試合の出場に留まった。第22節甲府戦ではじめてCBの右に入り攻撃力を生かすのかな、と思ったが上手くハマらず。その試合を最後にベンチ入りもなかった。立場としては有力なRWBの獲得があれば放出されるかも、といった立ち位置か。ユースっ子だし大切にしたいけど編成次第かなぁ……といった感じだと思われる。頑張ってくれ!!

 

16.岡野洵
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夏に千葉からレンタルで加入した喫茶モンテの主。明るいキャラクターで伊佐や藤本、同い年の岩田らとよくご飯に行ってたCB。先発での出場はなく、クローザーとしての投入が多かった。一番長い時間見れたのは第32節熊本戦。前半で岩田が怪我で退き45分間プレー。積極的な攻撃参加と負けん気の強さを見せたが、それと同時に若さも見られた。被カウンターで相手との1対1、味方DFはまだ戻りきれていない。ここでの判断でベストなのは相手を遅らせる事だが、岡野は結構迷いなく突っ込む場面が多かった。もし交わされてウラを取られたら……もし突っ掛けてカードをもらったら……と考えると冷や汗モノ。それは守備と言うよりはギャンブルに近い、伸るか反るか!みたいな対応だった。まぁ普段慣れ親しんでいた千葉のハイライン・ハイプレスの犠牲者かもしれない。攻撃のセンスや積極性に判断の良さが加わればもっと良い選手になってくれそう。千葉も良いけど大分で成長、しよ?

 

19.星雄次

Pos:LWB,LB

5G6A

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可愛っ!

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今季加入のLWB。伊佐曰く「ぶりっ子おじさん」らしい。可愛いから許す。

開幕の栃木戦から惜しいシュートをしたと思ったら、第5節水戸戦でカットイン→シュートで綺麗なゴールを決めるなど、いつの間にか点決めてる印象。天敵の千葉にホーム、アウェイの両方でゴールしてくれたのもメンタル的に非常にありがたかった。

右利きの左サイドという事で、結構カットインが好きな様子。リーグ戦序盤ではカットインとファーサイドに詰める形で得点の雰囲気がよくあった。しかし、厄介なカットインは次第に対策されてしまう。第37節町田戦ではハーフスペースに人を置かれてカットインに持ち込めずに縦突破からクロスをするも精度の低さを露呈した。足の速さとWBに必要な運動量は文句ないが、中を切られた時の引き出しの少なさ、特にミドルレンジでのプレーの選択肢が少ない(縦ぶち抜きorカットイン)ため浅い位置からクロスを入れたりできるとより厄介な存在になれるのかなー、とは思う。

伊佐スタグラムをみてるとシャイなタイプっぽい。笑って何かをごまかしてそう。まぁ可愛いからなんでも良いんやけど。

 

29.岩田智輝 

Pos:CB

5A

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シーズン開幕当初はRWBの控えとしてたまーに出てくる程度であったが、刀根の長期離脱によってCBの右として第25節愛媛戦から出場すると、持ち前の攻撃力を生かして積極的に前線に顔を出していき、岩田、小手川、松本のコンビは後半戦のキーマンになった。

試合を重ねる毎に攻め上がりのタイミングやクロス、相手を抜くドリブルをしたりと今年一番伸びた選手と言っても過言ではないだろう。また、試合の流れによってシャドウでプレーをしたりと器用な一面も見せてくれた。

今季のアシスト「5」はCBとして立派な数字。ただのロングフィードだけでなく前線にたくさん顔を出せたからこその結果だろう。

ただ、今季13本のシュートを放つも得点はゼロ。惜しいミドルシュートはたくさんあっただけに1つは決めたかった。

来期は東京オリンピックを目指すためにもJ1でしっかりと活躍してもらいたい。オフのニヘーっとした笑顔をゴールでみたいぞ!

 

41.刀根亮輔

Pos:CB

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厳つい見た目のCB。伊佐スタグラムでは「チィーーッス!」の一本槍で突き通す丸坊主オネエ。

今季、久々に大分に復帰すると第4節から右のCBとして先発を掴み取る。第18節からは福森の失踪により左のCBとしてもプレー。対人の強さと厳つい見た目で相手選手を恐喝するのが得意な選手(語弊ありまくり)。結構際どいプレーでもしっかり身体を入れて奪ったり跳ね返してくれるからとても頼りになる選手だ。

しかし、第22節甲府戦後の練習で前十字靭帯の損傷により8ヶ月の離脱と発表された。自分も前十字靭帯の断絶を経験したことがあるが、受傷日よりも手術後の方が痛い。そして膝を捻ると違和感があったりする。前十字を切った後にスピードキュンキュン系のFWが全く別のプレイヤーになるのをみると膝やるとやべぇ、って思う。が、先月には練習場でランニングをしたりと確実にリハビリは進んでいるので復帰が今から楽しみ。

 

50.山口真司
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(※画像は2016年のもの)

J2復帰の際に最終盤でLBのスタメンを勝ち取った山口だったが、今季は星、那須川の壁を破ることはできずにのリーグ戦と天皇杯でフィールドプレイヤーでは唯一ベンチ入りもなかった。

シュッとしたイケメンだけど結構、無精髭を生やしがち。せっかくのイケメンも小汚なく見えるのが残念だった。

本日、神戸と大分から契約満了が発表された。これからどうなるのか……

 

レンタル・途中移籍組

4.竹内彬

カマタマーレ讃岐(loan)

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昨年の主力だったキャプテンの竹内だったが、今季は3バックの真ん中から右に回されると、フル出場は開幕の栃木戦のみ。先発が1試合、途中出場が2試合、合計154分と出場機会が激減。

チームとして最終ラインからよりつなぐ事を大切にしたことにより、空中戦で強い竹内よりもパスを回せる鈴木を真ん中に据えた。右に回った竹内は攻撃面での物足りなさが浮き彫りとなる結果となってしまった。そしてシーズン中盤の8/15に讃岐へと期限付き移籍

移籍の際に異例となる監督と社長からのコメントがついており、あー、多分こりゃ片道切符なんだな、と思った。年齢的にも試合に出られるクラブにいた方が幸せだろうしなぁ……

去年のアウェイ名古屋戦の竹内彬チャントしまくったのは良い思い出。サンキュー。

 

25.佐藤昂洋

ラインメール青森(loan)

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(※写真は2016年のもの)

地元大分出身でスクール→U-12→U15→U18と駆け上がってきた純トリニータ産の選手。駄の原グラウンドでボールを蹴ってたらしく、地元感がすごい。今季は新体制発表時には在籍していたが、1/19にJFLラインメール青森期限付き移籍

プロ入り4年目となったが怪我が多く、試合にあまり絡めなかったが、今年は青森で夏場からスタメンを勝ち取り、11試合に出身。

来期はカテゴリーが上がること、プロ5年目となるため結果を残したい所。動向はわからないためなんとも言えないが、できればトリニータのユニを着ててほしいけど、どこ行っても応援するぞ。

 

16.イム・スンギョム

→(名古屋)→木浦市庁FC(KOR)

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今季、名古屋から期限付きで加入した選手。

天皇杯2回戦の山口戦でフル出場もそれっきり。天皇杯の放送が無かったため、どんな選手かわからないまま7/12に名古屋との契約も切り韓国へと戻っていった。

昨年の出場記録を見る限り、福森のバックアッパー的な立ち位置だったのかも知れない。

唯一の思い出は名古屋公式が夜中にレンタル移籍を発表するお漏らしがあったことくらいかなぁ……

ちょっと前に帰省中のムン・キョンゴンのストーリーに讃岐のソン・ヨンミンと一緒に写ってた。韓国でもがんばれ!

 

 

総評

DF登録の選手、でまとめるとポジションがまとまらないため、とりあえず3バックの総評を。

今季は3バックにはビルドアップの能力が強く求められるだけでなく、左右のCBは攻撃にも積極性を求められた。その結果、SBとCBの中間的な役割が必要となったために、シーズン開幕から右CBの模索、福森の離脱後は両サイドのCBが試される事になった。右CBに刀根がハマるかなぁという時期に長期離脱をしてしまったが、岩田がその穴を上手く埋めてくれた。

一方で、CBにハマらなかった岸田、竹内、イム、ウイリアンは厳しい立場に。手薄な左CB、鈴木の控えとなる真ん中、岩田と張り合える右CBとJ1を戦う上で3バックの実力の向上は至上命題かもしれない。

 

写真はトリニータ公式HPトリニータ公式Twitterより

 

次回はMF編!

強い気持ちで!

 

【大分】2018年シーズンレビュー 掴んだもの、足りなかったもの〈選手編①〉

阿鼻叫喚のJ1参入プレーオフ紙一重でなんとか回避し、自動昇格の切符を掴み取った大分トリニータ。シーズンも終わった事なので、選手やチームの一年を振り返っていきます。

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まずはGK登録の選手から!

 

GK

1.修行智仁
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(※写真は2016年のもの)

4年前に加入。1年目こそ夏場から上福元直人のポジションを奪い、J3優勝に貢献も2年目からは出場機会は激減。今年は出場なしだった。しかし、チームが苦しい時にポッと更新してくれるTwitterやベンチ外のメンバーに言葉や背中で「プロとしての在り方」を魅せてくれた選手。試合に出ることだけがチームに貢献してるんやないぞ!という事を改めて教えてくれた。

シーズン末に契約満了で大分を後にするが、その時のコメントの一部を。

大分のことが大好きです。ただ、選手として僕が大分でやれる事はもうありません。この4年間で僕のやれる事は全てやりきりました。今年で最後。その覚悟でこの1年を過ごしてきました。僕が大分でやりたかった事は、J1に昇格する事、少しでも若い選手の力になる事、そして大分の人を幸せにする事です。
 皆さんの応援のおかげでJ1に昇格する事ができました。ただ、僕の仕事はJ1に上がるまでであり、昇格したその時が大分とのお別れの時だとずっと思っていました。昇格しても大分でプレーすることはない。それでもみんなと昇格したい。そう思わせてくれるクラブでもありました。みんなの喜ぶ顔が見られて良かったです。

全文はコチラで

選手として「このチームでやりきった」という気持ちと「まだまだ現役を続けたい」というプロとしての向上心とがコメントから見えて心から応援したいと思った。ありがとう、修行さん。

 

22.ムン・キョンゴン
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今季は天皇杯山口戦で出場、リーグ戦はベンチ入りのみ。デカさとシュートストップが魅力のGKとの触れ込み(だったはず)だが映像で見ることはできず。天皇杯ではハイクロスをファンブルして失点とほろ苦い感じだったそうな。GKは失点の場面が目立つからそこだけで語りたくはないかな、と。

大卒で初の海外挑戦だが、インスタや伊佐スタなどで日本語頑張ってるなぁと。全体見て指示を出すポジションだから言語は大切。存分に三平や伊佐あたりと絡んでほしい。

来年はルヴァン杯など試合数も増えるはずなのでプレーをみたい。

 

23.兼田亜季重
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今季加入の爽やかイケメン。ベンチ入りがなく、GKの中での序列は低かった。彼の話題だと途中で坊主にしてよりかわいくなった事くらいしかわからない……

クラブからの発表はまだだが、JFAのフリーの選手に名前が載っていたのでおそらく退団。アディオス。

 

31.高木駿
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今季リーグ戦全試合フル出場。一年を通して大きく崩れる事はなかったが、夏場までは周りの評価は高くなかった気がする。おそらくビルドアップの起点やシュートストップはおそらくJ2トップクラスの実力があったが、WBへのロブパスがタッチラインをよく割っていたため、「おい高木ィィィ!!」と謎の激昂おじさんがたくさんいたのだろう。しかし夏場あたりからコツを掴んだのかWBにも正確にボールを付ける事が増えた。この中距離のロブパスの精度が上がったことにより、チームとしてもビルドアップの逃げ道を作りつつ幅を持たせるができた。

完成度の高い選手になりつつあるが、気になる点がひとつ。大分のビルドアップはよくGKが関わるので必然的にボールをさわる回数が増える。高木にボールが入って味方にパスを出す、となった時に相手選手がパスコースに入ってきてもそのままパスをしてしまうクセがある気がする。(ウイイレのスーパーキャンセルができないみたいな。)アウェイ福岡戦のドゥドゥにカットされた場面に象徴されるようにGK-DF間でのパスミスはほぼ失点!となるため丁寧さは絶対だが、基本的にGKにマンマークを付けてくるなんて事はまずないので、もうちょっと余裕をもってほしい。繋ぎのミスから慌ててしまいバタつく場面も散見されるので、決め打ちのパスを減らすのはその後に影響が及ばないようにするためという意味でも大切にできるといいなぁ、と。

ビルドアップの際に1列飛ばして中盤にパスを付ける機会が増えるとより戦術の幅が広がりそう。J1というより高いレベルでチャレンジしてほしい。

試合後の伊佐スタグラムにて「マンオブザマッチタカーギー」とかラインダンスでよく前に出たりと明るいキャラクターだが「でも1失点~」とかコメントを見ると三平と同じて真面目な所がふと表れる。そういう所好き。

契約更新もそうそうに発表。来期もヨロシク!

 

 

総評

結果としては高木がシーズンフル出場。ポゼッションを志向するためクラシカルなタイプは活躍の機会はなかった。2番手争いをムン、修行で行い兼田はベンチ入りも果たせなかった。基本的にGKは戦術がガラリと変わったり、アクシデントがないとなかなか入れ替えはないポジションなだけに出場時間だけでは貢献の具合は測れない。けれどもみんな仲が良い雰囲気は伝わってきた。

 

 

写真はトリニータ公式HPJリーグ公式より

 

次回はDF編!

 

 

 

【大分】vs山形(A) 割り切って、乗り越えて〈J2 第42節〉

リーグ戦終了。最後はヒヤリとしたが、なんとか得失点差で2位で自動昇格を手にした。

いやぁ、良かった。ホッとしたから更新が遅くなりまして……

 

とりあえず、当初の目標を上回り、自動昇格。その振り返りはするとして、まずは山形戦の振り返り。普段とは違う、ピリッとした空気は冬の寒さではなく、メンタルから来るものだったのかもしれない。

 

この日のメンバーは以下のように。

モンテディオ山形
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この日は栗山直樹が出場停止。かわりに坂井達弥がスタメン。シャドウには南秀仁が入り2枚の変更。

松本怜大がこの試合でJ通算100試合出場。おめでとう!

 

大分トリニータ
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この日は伊佐耕平がメンバー外。コンディション不良でメンバーから外れていた藤本憲明が先発に復帰。

 

丁寧な準備

最終節、勝てば自動昇格と緊張しないわけがないシチュエーション。もちろん硬さはみられたが、大分はしっかりと狙いを持って山形戦に挑んでいた。

①低い位置でのビルドアップでは、大分は両サイドのWBが高い位置を取り、丸谷拓也が1列落ちて4-1-2-3に。

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②最終ラインがボールを持って相手を自陣に押し込むと、両WBと左右のCBが近づきシャドウとトライアングルを作り、狭いスペースでの崩しをみせていく。

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このボールの位置の違いでWBの役割を変える事により相手を押し込む事ができた。

相手とのマッチアップを見ながらその違いを見ていこう。

①ではWBが高い位置に居ることで、対面する相手WBを自陣に押し下げる。またある程度は割り切って中盤を省略してロングボールを入れても良い、という考えがあった。

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しかし、このままではDFラインが低く前線に人数をかけていくから意図的に間延びをしている状態になっているため、前線にクサビのパスを入れようとしても相手ボランチがフィルターになっているため外へしかボールが回らない。

 

そこでDFとダブルボランチ、GKで相手のプレスをかわしていき、自陣に押し込むと、②へと変化していく。

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ここでのミソは大分のシャドウが山形のボランチの外側に顔を出すこと。これにより、左右のCBにボールが入ると、相手の嫌なところにスペースを作る事ができる。

大分のWBが下がって対面するWBを釣り出し、シャドウがその背後を突けば相手CBをサイドに引っ張り出すことができたり

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(この場面ではボールホルダーの岩田に松本怜が近づき、内田を釣り出す。内田の背後に三平が入り、松本怜大をサイドに引っ張り出す。ボールサイドのボランチの中村は松本怜大のカバーに入れば前田がフリーになり、前田のマークを離さなければ藤本がクサビを受けやすくなる。

または松本にボールが入るとフリックして三平に早くボールをつけたり……)

 

シャドウが下がってボランチを引っ張り、WBやCBがハーフスペースへと入りマークをずらしたり

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(この場面では三平がボールサイドに寄り岩田とパス交換をして岩田は中村の内側へ侵入。

もしくは三平、岩田でパス交換をしている間に内田が三平へと寄せてきたら松本怜が裏へ抜ける。)

 

などサイドでボールを持った際のバリエーションが多くあり、山形は誰が誰を捕まえるか、どこのスペースを閉じるかが曖昧になっていた。

主導権を握った大分は②の形で岩田、三平、松本がサイドで少ないタッチ数で崩して相手をボールサイドに寄せておき、大外の星雄次が合わせて先制点を奪う。

 

一方の山形は、攻守を5人ずつで分業気味に。

1トップ2シャドウ、ダブルボランチの5枚で相手のビルドアップを制限して中央を閉めて外へと追い込み、3バック+両WBはセットして相手との人数を合わせつつスペースをなくす。

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しかし、山形がボールを持つと3バック+両WB+GKで回し、幅は作れるが奥行きが出てこないままロングボール。

大分に先制を許してからはボールを持つ場面が増加。これにより本田拓也南秀仁が1列ずつ下がり、4-4-2へ可変。

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これによりサイドの厚みとビルドアップに奥行きができた。が、実況からも指摘があったようにパススピードが遅く、大分のプレス(特に馬場賢治)に寄せられてパスコースがなくなる事も多く、効果的に前線にまで運べなかった。

 

流れを掴めない山形、サイドから攻める大分、という感じで前半は進んだが、大分はもう1つ準備をしてきた。

それはセットプレーの場面。

15分の大分のCKの場面ではマンマークを敷く山形に対して大分はペナルティスポットあたりに鈴木義宜、福森直也、丸谷拓也を置いて山形DFをピン止めをしてその前に三平がセット。ボールが入るタイミングで三平はファーサイドに逃げてマンマークについた選手は鈴木、福森、丸谷のブロックに捕まり三平はフリーに。ボールは弾かれたがデザインされたものであった。

また、35分のCKでは馬場がキッカーの星に近づき、山形の選手がマイクで「ショート(コーナー)あるぞ!」と声がかかっていたが、星はセンタリング。三平が高い打点で合わせるも枠に嫌われた場面。これも今年は松本がショートコーナーからクロスを散々見せたのが功を奏する形になった。

そんなこんなでボール持って主導権を握り先制点→ボールを持たせて時計を進めつつも抜け目なくセットプレーから追加点を狙うといった形で前半を折り返す。

 

消極的な慎重さ

後半に入ってすぐの48分、大分がこの日はじめてのFKのチャンス。ボールの近くに大分の選手が8人も集まり入念にFKのサインプレーの準備らしき事をするも上手くいかずに、山形にボールを持たせると次第に山形がチャンスを作る。ペナルティアーク付近で得たFKを素早いリスタートでサイドにまわして熊本雄太がシュートも枠を外してしまう。

徐々に流れが山形に傾くなかで大分が1枚目の交代。58分に馬場を下げて小手川宏基を投入。

後半の頭からロングボールが多いとは感じていたが、ここからより消極的になっていったように思われる。

三平と小手川が曖昧なポジショニングをしていたためカッチリとしたものではなかったが、大分は自陣に網を張り跳ね返す事を選択。

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両WBを高くせずに中央は3+3で突破を許さないようにした。

 

これをみて山形ベンチにも動きが。

67分に本田拓也阪野豊史を下げてアルヴァロ・ロドリゲスと中山仁斗を投入。可変システムでCBに落ちる本田を下げてアルヴァロ・ロドリゲスを入れる事で3バックで引いた相手を押し込む事を選択し、ゲームで消えていた阪野から中山に変えて前線の活性化を目論んでいた。

押し込まれる大分は5+3(+三平)でブロックを作り、高くなった最終ラインの裏を藤本が狙う形しかなくなる。74分に三平→川西翔太でボールを持ち上げることをしたかったが、あまり上手くいかず。

山形が大分が自陣に入ってからプレスをかけてくるとわかってからは、小林成豪とアルヴァロ・ロドリゲスを1列ずつ上げて押し込む。中盤の高い位置でボールを持てるアルヴァロ・ロドリゲスと南がプレーする機会が増えて大分はますます押し込まれてしまう。81分には松本怜大→汰木康也でより攻撃に力を入れると、アディショナルタイムに試合が動く。南がバイタルエリアで裏に浮き球のパスを送ると、小林と中山が反応。中山のシュートはブロックされるが、こぼれ球をアルヴァロ・ロドリゲスがミドルシュートで一撃。土壇場で同点に追い付く。

最後に大分は藤本→林容平でなんとか追加点を狙いにいくも時間は足りず。1-1のドローで試合終了となった。

 

それでも掴む

試合終了後の整列時の大分の選手たちの表情は皆暗く、「やってしまった」感が溢れていた。他会場の結果に委ねられた順位。2~3分の静寂はとても長かった……

が、大分のゴール裏からワッと歓声が上がると同時に選手たちも自動昇格とわかったようで、歓喜の瞬間が訪れる!

他会場では町田が引き分け横浜FCが勝利したため大分、町田、横浜FCの3チームが共に勝ち点76で並んだが、得失点差で頭ひとつ抜け出した大分がJ2 2位で来期の昇格を決めた。

 

内容は悪くとも

プラン通りで先制点を奪い、無理せずにセーフティーにゲームを進めてはいたが、前半から5+4ブロックの間が間延びをしていたり、パスが噛み合わなかったりとちぐはぐな感じを拭えないまま後半に。より引いて相手にボールを持たせるが、ボールを持てる南、アルヴァロ・ロドリゲスを自由にしすぎてやりたいことができなかった。幸いにも90分まではゴールを割らせなかったため、絶望と大慌ての時間はアディショナルタイムのみで良かったが、もしあと10分、20分早い時間での失点だったら……と思うと背筋が凍る。

それでも、この試合は1/42であり、42試合で勝つときはたくさん点を取り、負けても失点数は少なかった(甲府は知らん)からこそ掴み取れた自動昇格。とにかく!よかった!

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【ハイライト】2018明治安田生命J2リーグ第42節 モンテディオ山形 vs 大分トリニータ - YouTube

 

ひとまずは

一年間、皆さんお疲れ様でした。本当に本当に良かった!わしゃ泣いたよ。嬉しいよ。

とりあえずは2018年のマッチレビューはこれでおしまい。来週からはシーズンの振り返りをやっていきます!